チャートの世界で移動平均線は「見ている人が多い」こと自体が値動きの理由になります。その中でも75日移動平均線(75日線)は、日本株で中期トレンドの目安として意識されやすく、押し目の受け皿になりやすいラインです。
本記事では「75日線初接触での反発を買う」を、初心者でも再現できるように、銘柄選別→エントリー→損切り→利確→検証まで一気通貫で設計します。重要なのは、75日線に触れたから買う、ではなく、“初回タッチ”という需給の条件と、当日の値動き(板・歩み値・出来高)で勝率を上げることです。
- この手法の狙い:75日線は「中期の平均コスト」
- 「初回タッチ」とは何か:回数で期待値が変わる
- まずは相場環境を固定する:どんな局面で機能するか
- 銘柄選別:この手法で“勝ちやすい銘柄”の条件
- チャートの下準備:75日線タッチを“条件化”する
- エントリー設計:日足の条件+当日の動きで精度を上げる
- エントリー案A:反発確認型(最も再現性が高い)
- エントリー案B:指値待ち型(リスクリワード重視)
- 損切りの決め方:75日線反発は「割れたら終わり」が基本
- 利確の考え方:反発の“次の壁”を先に決める
- 資金管理:1回の失敗でゲームオーバーにしない
- よくある失敗パターン:これを避けるだけで成績が改善する
- 具体例:日足と5分足で“入る瞬間”を作る
- 検証(バックテスト)を現実的にやる:初心者向けの手順
- 応用:FX・暗号資産に持ち込む場合の注意点
- チェックリスト:エントリー前に必ず確認する項目
- まとめ:75日線反発は「ルール化」すれば武器になる
この手法の狙い:75日線は「中期の平均コスト」
移動平均線は、ざっくり言うと市場参加者の平均コスト帯です。75日線は約3か月(営業日換算)なので、短期勢よりも長めの参加者が多く含まれます。
上昇トレンドで価格が75日線まで押すと、過去数か月で買った層が含み益を削られながらも「ここは守りたい」と思う価格帯になります。さらに、トレンドフォロー勢は「中期の押し目」として拾いやすい。つまり、“買いが集まりやすい理由がある”ラインです。
ただし、何度もタッチしている場合は話が変わります。何回も叩かれた支持線は弱くなり、割れたときに損切りが連鎖しやすい。そこで、今回の肝が“初回タッチ”です。
「初回タッチ」とは何か:回数で期待値が変わる
初回タッチとは、直近のトレンドが始まってから、75日線に初めて接触する局面を指します。ここでのポイントは「トレンドが始まってから」です。半年以上横ばいで何度も触れている75日線は“初回”ではありません。
なぜ初回が強いのか。理由はシンプルで、支持線としての信用がまだ壊れていないからです。初回は買い方が「ここで反発するはず」と思いやすく、買いが入りやすい。一方で2回目、3回目は「また来た。割れるかも」という警戒が増え、反発しても上がり切らないことが増えます。
まずは相場環境を固定する:どんな局面で機能するか
75日線タッチ反発は、万能ではありません。機能する局面を先に固定します。ここを曖昧にすると、負けトレードの原因が分からなくなります。
機能しやすい局面は次の条件が揃うときです。
1つ目は、日足で上昇トレンドが明確なこと。具体的には、75日線が上向き(少なくとも横ばい→上向き)で、株価がその上で推移してきた状態です。
2つ目は、押しの原因が“致命傷ではない”こと。たとえば指数の調整、セクターの一時的な利確、短期的な需給悪化など。反対に、業績の大幅下方修正や不祥事など、トレンドを壊す材料があるときは避けます。
3つ目は、相場全体がパニックではないこと。指数が急落し、個別が無差別に売られている局面では、移動平均線など簡単に貫通します。そういう局面は「反発を当てに行く」より「守りを優先」する方が合理的です。
銘柄選別:この手法で“勝ちやすい銘柄”の条件
同じ75日線でも、銘柄によって反発の強さは全く違います。銘柄選別は、勝率を大きく左右します。ここでは初心者でも確認できる観点に絞ります。
(1)出来高が日常的にある:出来高が薄い銘柄は、少しの売りで75日線を割れます。目安として、普段から一定の出来高があり、板が極端にスカスカではない銘柄を優先します。
(2)押しの途中で出来高が増えすぎていない:押しで出来高が急増している場合、強い売り圧(投げ)が入っている可能性があります。理想は、押しの途中で出来高が落ちていき、タッチ付近で“売りが一巡”する形です。
(3)直近で急騰しすぎていない:短期間に上がりすぎた銘柄は、反発しても戻り売りが分厚くなります。75日線まで落ちる=過熱が剥がれているケースも多く、反発が弱いことがあります。過熱度は、25日線乖離やATR(値幅)を参考にします。
(4)セクターの地合いが悪すぎない:個別が強くても、セクターが総崩れなら反発が伸びません。最低限、同業他社のチャートもざっと見て、同じように押しているか、崩れているかを確認します。
チャートの下準備:75日線タッチを“条件化”する
ルールを再現可能にするには、言葉を数値に落とします。ここでは、曖昧な「触れた」を定義します。
タッチの定義(例):日足の安値が75日線に接触、もしくは下に0.3%〜0.8%程度だけ刺さって引けで戻る。銘柄のボラが大きいほど許容幅を広げ、小さいほど狭めます。重要なのは、“ちょい割れ=即失敗”と決めつけないことです。多くの銘柄は、タッチ直前に一度刺さってから戻ります。
初回の定義:直近60〜120営業日(約3〜6か月)で、終値が75日線の上に維持され、75日線に明確に触れていないこと。期間はトレンドの長さで調整します。
エントリー設計:日足の条件+当日の動きで精度を上げる
日足だけで買うと、底を掴みにいく形になりやすいので、当日の値動き(短期の需給)を使ってエントリー精度を上げます。ここがオリジナリティの部分です。
エントリー案A:反発確認型(最も再現性が高い)
狙い:75日線を守ったことを確認してから入る。勝率重視で、取り逃しは許容します。
条件:寄り付き後の5分足〜15分足で、安値更新が止まり、出来高が急増→減速に転じる。さらに、VWAP(当日出来高加重平均)を下から上に回復する、またはVWAP付近まで戻して定着する。
実行:5分足終値がVWAPを上回った(または直近戻り高値を上抜けた)タイミングで成行〜指値で入ります。損切りは「当日の安値」か「75日線から一定幅下」を基準にします。
この型のメリットは、落ちるナイフを掴みにくいことです。デメリットは、反発が強い日は入りが遅れて利幅が減ることですが、初心者にはむしろこちらが向きます。
エントリー案B:指値待ち型(リスクリワード重視)
狙い:75日線近辺に指値を置き、刺さったら即反発を取りにいく。上手くいけば利幅が大きい反面、外すと損切りが増えます。
条件:日足で75日線が上向き、初回タッチ、押しの出来高が過度に膨らんでいない。さらに、寄り前の気配で投げが過剰(GD気味、売り気配強め)だが、板が崩壊していない。
実行:75日線の少し上〜同水準に指値。刺さった後、5分足で下ヒゲを付ける、歩み値で成行売りの連続が止まる、買い板が厚くなるなど、反転の兆候が出たら追加し、兆候が出ないなら即撤退します。
この型は“観察”が必要です。初心者がやるなら、サイズを小さくし、損切り幅も小さく固定するのが前提です。
損切りの決め方:75日線反発は「割れたら終わり」が基本
この手法で最も重要なのは損切りです。75日線は“守られる前提”で買っています。守られないなら、その仮説が崩れています。
損切り基準の例:
・日足で75日線を明確に下回って引けた(終値ベースで0.8%〜1.5%下、銘柄のボラに合わせて調整)
・当日の安値を更新し、戻りが弱い(短期の買い戻しが入っていない)
・指数が急落して“巻き込み”が始まった(個別の形が壊れる前に撤退する)
逆に「含み損が嫌だから少し戻ったら切る」といった感情損切りは、期待値を壊します。損切りは、入る前に価格で固定してください。
利確の考え方:反発の“次の壁”を先に決める
押し目買いは、利確を曖昧にすると“戻り売り”に捕まります。75日線反発の次の壁は、たいてい以下のどれかです。
・25日線(短期の平均コスト帯)
・直近の戻り高値(押しが始まった起点)
・前回高値(トレンド継続ならここが目標)
初心者向けの利確設計:まずは25日線までを第一目標にします。そこで半分利確し、残りは建値付近に逆指値を置いて伸びを狙う。こうすると「勝ちを小さく、負けを大きく」が起きにくくなります。
資金管理:1回の失敗でゲームオーバーにしない
どんな優位性でも、連敗は起きます。だから資金管理は“戦略の一部”です。
目安:1トレードの許容損失を資金の0.5%〜1%に収めます。たとえば資金100万円なら、1回の損失を5,000〜10,000円に制限します。
許容損失が決まれば、損切り幅(円)で割って枚数(株数)を決められます。これで、たまたま難しい局面でも資金が残り、次のチャンスまで生き残れます。
よくある失敗パターン:これを避けるだけで成績が改善する
失敗1:75日線が下向きなのに買う。下向きの75日線は「落ちてくる平均コスト」で、上値抵抗として機能しやすい。反発狙いには向きません。
失敗2:初回ではない。2回目・3回目のタッチは反発が鈍く、割れたら損切り連鎖が起きやすい。タッチ回数を必ず数えます。
失敗3:押しで出来高が爆増している。投げが入っている可能性が高く、いったん止まっても戻りが弱いことが多い。出来高の推移を確認します。
失敗4:指数が崩れているのに逆らう。個別が強くても、全体がリスクオフなら移動平均線は貫通します。指数の状態を軽視しないでください。
具体例:日足と5分足で“入る瞬間”を作る
ここでは典型的なシナリオを文章で再現します。
前提は、ある銘柄が数か月上昇し、押し目で下げてきて、75日線に初めて接近している状況です。前日は陰線で引け、当日も寄りは弱め(GD気味)。この時点で重要なのは、寄り付きで飛びつかないことです。
寄り後の5分足で一度売られて安値を付けますが、その次の足で下ヒゲが出て、安値更新に失敗します。同時に、歩み値で成行売りの連続が止まり、買いが混じり始める。ここで「売りが一巡した」可能性が出ます。
さらに数本後、価格がVWAPを回復し、VWAPの上で推移し始めたら、反発の確度が上がります。このタイミングでエントリーし、損切りは当日安値の少し下、利確は25日線付近を第一目標とします。
この一連を“型”として繰り返すと、再現性が出ます。
検証(バックテスト)を現実的にやる:初心者向けの手順
検証は難しく考えなくていいです。目的は「自分のルールで勝てる局面が存在するか」を確認することです。
手順:
(1)過去チャートで、75日線が上向きの銘柄を探す
(2)上昇トレンド中に75日線へ初回タッチした場面だけを抽出する
(3)タッチ翌日〜数日で、どれだけ反発したか、どこで失敗したかを記録する
(4)失敗の共通点(指数急落、出来高爆増、材料悪化など)を“除外ルール”にする
(5)反発が強い共通点(押しの出来高減少、セクター強い、終値で75日線維持など)を“加点ルール”にする
この手順だけで、ただの“なんとなく押し目買い”から、期待値を設計した戦略に変わります。
応用:FX・暗号資産に持ち込む場合の注意点
75日線の考え方は、FXや暗号資産にも応用できます。見る人が多い移動平均線は、どの市場でも節目になり得るからです。
ただし、24時間市場のFX・暗号資産は、日足の区切りがブローカーや取引所で微妙に違ったり、ボラが大きかったりします。そこで、75日線そのものに固執せず、“中期の平均コスト帯に初回で戻ってきた”という概念で捉えるのが実戦的です。
また、暗号資産は急落時の下ヒゲが極端になりやすいので、タッチの許容幅(何%刺さって良いか)を広めに取り、ポジションサイズを落とすのが現実的です。
チェックリスト:エントリー前に必ず確認する項目
最後に、実行前の確認項目を文章でまとめます。トレード前にこれを読み上げるだけで、ミスが減ります。
・75日線は上向きか、少なくとも下向きではないか
・直近3〜6か月で75日線への“初回タッチ”か
・押しの出来高は膨らみ過ぎていないか(投げが入っていないか)
・指数・セクターはパニック局面ではないか
・当日の5分足で安値更新停止、下ヒゲ、売り一巡の兆候があるか
・VWAP回復など、短期で買いが優勢になった根拠があるか
・損切り価格は事前に固定できているか
・許容損失から株数(枚数)を逆算したか
まとめ:75日線反発は「ルール化」すれば武器になる
75日線初接触での反発を買うは、見た目がシンプルな分、曖昧にやるとただの願望トレードになります。逆に、初回タッチという条件、相場環境のフィルター、当日の需給確認、そして損切りの固定まで落とし込めば、初心者でも再現できる“型”になります。
やることは多いように見えますが、実際は「買う理由」と「切る理由」を価格で固定しているだけです。トレードで一番大事なのは、思いつきではなく、同じ条件で何度も試せることです。ここまで作った設計図を、あなたの監視銘柄に当てはめ、まずは小さく検証してみてください。


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