決算で市場予想を大きく上回る「サプライズ」を出した銘柄は、初日に急騰しやすい一方で、翌日に一度崩れてから再び上がるケースが少なくありません。ここに、個人が取りやすい“もう一段”の値幅が生まれます。
ただし、2日目は「初日の高値掴みの投げ」「短期勢の利確」「寄り付きのギャップに反応した逆張り」といった売買が交錯し、同じ決算サプライズでも動きは二極化します。再上昇する銘柄と、寄り天で終わる銘柄の違いを、板・歩み値・出来高・VWAP・ギャップ構造で機械的に切り分けるのが核心です。
- なぜ「2日目」に歪みが生まれるのか:参加者構造を分解する
- 初日を読む:2日目の勝負は「初日の終わり方」で8割決まる
- 2日目の全体像:朝の15分で「再上昇する銘柄」を仕分ける
- 実践の型①:2日目「寄り付きギャップダウン→VWAP回復」を狙う
- 実践の型②:2日目「ギャップアップ→押し目→再加速」を狙う
- 実践の型③:2日目「静かな寄り→後場の再加速」を拾う
- PTSと気配値の読み方:2日目の作戦は「寄り前」に半分決まる
- 具体例で理解する:3つのシナリオと「やる/やらない」の判断
- よくある失敗パターン:2日目で負ける人の共通点
- 再現性を上げるためのルール化:チェックリストと運用手順
- 銘柄選定のコツ:何でも2日目をやらない
- まとめ:2日目は「吸収→回復→支持」で勝てる形だけを取る
- 上級者との差が出る観測点:同業他社・指数との“相対”でだましを減らす
- ポジションサイズ設計:2日目は「当て物」ではなく分散で期待値を安定させる
- 翌日に持ち越すか:2日目の終盤でやるべき“手仕舞い判断”
なぜ「2日目」に歪みが生まれるのか:参加者構造を分解する
決算サプライズの初日は、情報の新規性が最大で、アルゴと短期資金が一気に流入します。ストップ高・大陽線・出来高爆発が起こりやすい反面、初日の後半には「当日中の利確」が必ず出ます。これが翌日朝の需給を歪ませます。
2日目の朝は、概ね次の3層が同時に存在します。
①初日に乗れなかった買い遅れ層:寄り付きの押し目を待つ。
②初日高値で掴んだ層:含み損なら寄りで逃げたい。含み益でも利確したい。
③短期の回転勢:ギャップとVWAPを見て、上下どちらにも張る。
この3層がぶつかると、寄り付き直後は売りが優勢になりやすい一方、売りを吸収できれば「買い遅れ層の成行買い」と「回転勢の追随」が合流し、再加速が起こります。つまり2日目は、吸収できるだけの買い需要が残っているかの確認作業です。
初日を読む:2日目の勝負は「初日の終わり方」で8割決まる
2日目を狙う前に、初日のローソクと出来高の形を“採点”します。ポイントは「上げた」ではなく、上げ方と引けの位置です。
合格パターンA:高値圏引け+出来高が後半に再加速
引けが日中高値に近く、後場にかけて出来高が落ちずに再び増える銘柄は、引けに買いが残っています。機関のバスケット買い・指数連動・信用新規など、翌日に繋がる需要が存在しやすいです。
合格パターンB:上ヒゲはあるが、VWAPの上で終える
上ヒゲは利確の証拠ですが、終値がVWAPを明確に上回るなら、平均取得コストの上で引けています。2日目にVWAPが支持線になりやすい。
要注意パターンC:引けにかけて失速し、終値がVWAP近辺まで沈む
この形は、初日の買いが短期資金中心で、引けで“逃げ切り”が起きた可能性が高い。2日目は寄り天になりやすく、狙うなら「戻り売り優勢」を前提に戦術を変えます。
危険パターンD:出来高爆発+長い上ヒゲ+引け安
いわゆる“天井示唆”になりやすい形です。翌日は大口の売りが残り、寄り付きの戻りで叩かれやすい。2日目の再上昇狙いは避け、別の戦略(戻り売りや見送り)が合理的です。
2日目の全体像:朝の15分で「再上昇する銘柄」を仕分ける
2日目は、場が開いた瞬間の注文が最も非効率です。ここで判断材料を集め、勝ち筋がある形だけに絞ります。
チェック1:寄り付きギャップの種類
ギャップには3種類あります。
・ギャップアップ:初日の高値を更新して始まる。勢いはあるが、寄り天の罠も多い。
・ギャップダウン:初日終値より下で始まる。売り吸収→反転なら2日目の狙いどころ。
・ギャップなし:寄りは静か。むしろ後場に再加速するタイプが混ざる。
チェック2:寄り付き直後の出来高が「初日比でどうか」
2日目の寄り付き5分の出来高が、初日寄り付き5分の出来高の30〜60%程度で収まるなら、投げ売りが限定的で“吸収可能”な範囲のことが多い。逆に初日同等以上の出来高で陰線が出る場合、売り圧力が強すぎて再上昇の期待値が落ちます。
チェック3:VWAPの位置と価格の関係
2日目にVWAPが形成され始めた後、価格がVWAPの上で踏ん張れるかが核心です。典型的には、寄り付きでVWAP下に潜っても、10〜20分でVWAPを回復し、そこを割らずに推移する銘柄は“買い直し”が強い。
チェック4:歩み値に「大きな塊」が出る場所
歩み値で数万株〜数十万株の塊が、安値圏で出て吸収される(価格が崩れない)なら買い本尊がいる可能性が上がります。逆に高値圏で大きな塊が出て上に伸びないなら、分配(売り)を疑います。
実践の型①:2日目「寄り付きギャップダウン→VWAP回復」を狙う
最も再現性が高いのが、この型です。初日急騰の反動で2日目に一度下げるが、売りを吸収して買い直しが入るパターンです。
前提条件(フィルター)
・初日:高値圏引け、またはVWAP上で引ける
・2日目寄り:初日終値より下(軽いギャップダウン)
・寄り直後:下げても初日の押し安値(または前日後場の支持帯)を大きく割らない
エントリー手順(具体)
1) 寄り後、最初の下げを“追わない”。売りの出尽くし待ち。
2) 5分足で安値更新が止まり、下ヒゲが出る。
3) VWAPが形成され、価格がVWAPを上抜く。
4) 上抜いた直後の押し(VWAPタッチ〜少し上)で買う。
損切りの置き方
損切りは「VWAP割れ」ではなく、押し安値の明確割れに置きます。VWAPは一時的に割ることがあり、そこで投げさせられると期待値が下がります。押し安値割れは、買い直しの仮説が崩れたサインです。
利確の考え方
利確は段階化します。
・第一利確:2日目の朝の戻り高値(寄り付き付近)
・第二利確:初日の高値手前(厚い売りが出やすい)
・伸ばす場合:初日高値を明確に超え、出来高が再加速した時のみ
この段階利確は「取り切る」よりも「取りこぼしを減らす」設計です。決算サプライズは変動が大きい分、逆回転も速い。確実に利益を積むことが、長期の勝ちに直結します。
実践の型②:2日目「ギャップアップ→押し目→再加速」を狙う
ギャップアップは強いですが、寄り天の罠が最も多い形でもあります。ここでやるべきは、寄りで飛びつくことではなく、押し目の質を確認して入ることです。
前提条件(フィルター)
・初日:出来高が後半まで維持、引けが高い
・2日目寄り:初日高値を小さく上抜いて始まる(上抜き幅が過大だと危険)
エントリー手順(具体)
1) 寄り直後の上げを見送る。
2) 最初の押しで、価格がVWAPに近づく。
3) VWAPで反発し、5分足が陽線に戻る。
4) 押しの高値を更新したタイミングで入る(“押し目ブレイク”)。
危険シグナル
・押しでVWAPを深く割り、戻りもVWAPで頭を押さえられる
・歩み値の大口が高値圏で連発し、上に抜けない
・板の買いが薄く、上の売りが異常に厚い(吸収の痕跡がない)
これらが出たら、2日目の再加速は期待値が低い。潔く見送るか、逆張りではなく“上がらないこと”を確認してから別戦略に切り替えるべきです。
実践の型③:2日目「静かな寄り→後場の再加速」を拾う
目立ちにくいですが、実は取りやすいのがこの型です。2日目の朝に派手な動きがなく、前日終値付近で揉み合い、後場に再び出来高が増えて上がるケースがあります。
見つけ方
・朝は出来高が細り、値幅も小さい
・VWAPがほぼ横ばいで、価格がその上に居座る
・押し目で下がらず、安値が切り上がっていく
エントリー手順(具体)
1) 前場は“監視”。価格がVWAPの上で推移していることを確認。
2) 後場寄り後に出来高が増え、前場高値を抜ける。
3) 抜けた直後の押しで、前場高値が支持に変わる(レジサポ転換)。
4) その支持確認で入る。
この型は、ニュースで煽られる初日と違い、短期勢が一旦落ち着くため、だましが少ないのが利点です。代わりに値幅が小さくなりがちなので、目標値幅を決めて淡々と取る設計が合います。
PTSと気配値の読み方:2日目の作戦は「寄り前」に半分決まる
日本株では、決算発表直後にPTSが動き、翌日の寄り付きに影響します。PTSは万能ではありませんが、2日目をやるなら“観測すべき情報”です。
PTSで見るべきは価格より「推移」
・決算直後に急騰し、その後も高値圏で横ばい:翌日も需要が残りやすい。
・急騰後にズルズル下がり、終盤で戻らない:翌朝のギャップが弱く、寄り天リスク。
・急騰後に一度下げても、買い戻しで持ち直す:2日目の“吸収→反転”に似た需給がある。
気配値の強さの判定
寄り前の気配は、板の厚みだけでなく“更新の仕方”を見ます。買い気配が上がるたびに売り板が薄くなるなら強い。一方、気配が上がっても上の売りがどんどん厚くなる場合、上では売りが待ち構えている可能性が高いです。
具体例で理解する:3つのシナリオと「やる/やらない」の判断
ここでは架空の例で、数字を置いて判断フローを具体化します(値幅や出来高は銘柄の値段・流動性で調整してください)。
例1:やる(ギャップダウン吸収)
初日:1,000円→1,200円(終値1,180円、VWAP1,150円)出来高は後場も維持。
2日目寄り:1,140円(軽いギャップダウン)。寄り5分で1,120円まで売られるが、歩み値で大口買いの塊が出ても価格が崩れない。10分後にVWAP(1,135円)回復。
→狙いはVWAP回復後の押し(1,135〜1,145円)。損切りは1,120円割れ。第一利確は寄り値付近(1,140〜1,150円)ではなく、戻り高値(1,170円付近)を意識。
例2:見送り(ギャップアップ寄り天)
初日:1,000円→1,180円(終値1,060円、長い上ヒゲ、VWAP1,100円割れ)。
2日目寄り:1,120円(ギャップアップ)だが、寄り直後の5分足が陰線でVWAPを割る。歩み値の塊が高値圏で出ても上に伸びない。
→再加速の仮説が成立しないため見送り。ここで無理に買うと“戻り売りの餌”になりやすい。
例3:やる(静かな寄り→後場再加速)
初日:2,500円→2,900円(終値2,820円、VWAP2,760円)。
2日目:寄り2,800円、前場は2,780〜2,830円で揉み合い。VWAP上を維持し、安値が切り上がる。後場に出来高が増え、2,830円を上抜き、押しで2,830円が支持に変わる。
→レジサポ転換で買い。利確は2日目高値更新の勢いを見て段階化。
よくある失敗パターン:2日目で負ける人の共通点
失敗1:寄り付きで飛びつく
2日目の寄りは最も情報が少ないタイミングです。決算サプライズでも、寄り天は普通に起こります。寄りで買うのは「当たれば大きい」ではなく「外れた時の損失が大きい」行為になりがちです。
失敗2:損切りが遠い/曖昧
ボラが大きい銘柄ほど、損切りを曖昧にすると1回で大きく削られます。押し安値割れなど、仮説が崩れた点に機械的に置くべきです。
失敗3:出来高の意味を誤解する
出来高が多い=強い、ではありません。高値圏で出来高が多くて上に伸びないなら“売りと買いがぶつかっている”だけです。上に抜けるには、売りを飲み込む追加需要が必要です。
再現性を上げるためのルール化:チェックリストと運用手順
2日目戦略は感情が入りやすいので、ルールに落とします。以下は実戦で使える最小セットです。
前日夜(決算後〜PTS終了)
・初日の引け位置(高値圏か、VWAP上か)を記録
・PTSの推移が“高値維持”か“失速”かを分類
・翌日の重要価格:初日高値、初日押し安値、初日VWAP近辺をメモ
当日朝(寄り前)
・気配値が上がるたびに上の売り板がどう変化するか観察
・寄りのギャップ(アップ/ダウン/なし)を確定
寄り後(最初の15分)
・寄り5分の出来高が初日比で過大かどうか
・VWAP回復の有無(回復できないなら見送り優先)
・歩み値の塊が“安値で吸収”か“高値で分配”か
エントリー後
・損切りは押し安値割れで固定
・利確は2段階以上(戻り高値/初日高値手前)
・初日高値を超えて出来高再加速なら、残りを伸ばす
銘柄選定のコツ:何でも2日目をやらない
2日目で勝つには、そもそも対象を絞るのが最重要です。決算サプライズでも、以下は避けた方が期待値が落ちます。
・材料が複雑で、説明に時間がかかる(市場が理解していない)
・業績より“思惑”が中心(需給の反転が速い)
・板が薄く、スプレッドが広い(損切りが滑りやすい)
・初日にストップ高張り付きで出来高が少ない(売買が成立していない)
狙うなら、流動性が十分で、初日に売買が成立しており、2日目も回転が見込める銘柄です。取りやすさは値幅ではなく“約定のしやすさ”で決まります。
まとめ:2日目は「吸収→回復→支持」で勝てる形だけを取る
決算サプライズ銘柄の2日目は、派手に見えますが、実はやることは単純です。初日の終わり方で候補を選び、2日目の朝に売りを吸収できるかを確認し、VWAP回復と支持を根拠に入る。これだけです。
逆に、根拠が揃わないのに“上がりそう”で買うと、2日目特有の荒い値動きで振り落とされます。勝つために必要なのは、銘柄の当て物ではなく、不利な形を見送る規律です。
上級者との差が出る観測点:同業他社・指数との“相対”でだましを減らす
2日目は個別の値動きだけを追うと、指数要因やセクター要因に巻き込まれて判断を誤りやすいです。そこで、相対比較を入れると精度が上がります。
①セクター指数が同方向か
例えば半導体や銀行など、セクター連動が強い領域では、個別の決算サプライズでもセクターが崩れていれば上値が重くなります。2日目に個別がVWAPを回復しても、セクターが同時にVWAPを割っているなら、再上昇は“単発の戻り”で終わる可能性が上がります。
②指数先物の急変で「偽物のブレイク」を見抜く
寄り付き直後や後場寄りは、指数先物の売買で全体が一瞬傾くことがあります。その瞬間に個別が高値を抜くと、ブレイクに見えても、指数が戻った瞬間に失速することがある。対策は簡単で、ブレイクした足で入らず、一段上で“支持に変わったこと”を確認してから入ることです。レジサポ転換の確認が、指数ノイズを吸収します。
③同業の決算サプライズ銘柄と強弱比較する
同日に似た材料を持つ銘柄が複数あると、短期資金はより“伸びる方”へ移動します。あなたが狙う銘柄がVWAPを回復したのに伸びない時、同業の別銘柄が同時に強いなら、資金がそちらへ移った可能性が高い。これは“材料の良し悪し”より、短期資金の回転の問題です。強い方へ乗り換えるか、見送る判断を早めます。
ポジションサイズ設計:2日目は「当て物」ではなく分散で期待値を安定させる
決算サプライズ銘柄は変動が大きく、1銘柄集中はブレが増えます。2日目戦略を安定させるなら、サイズ設計を先に決めておくべきです。
①損切り幅から逆算して建てる
先に損切りポイント(押し安値割れ)を決め、その価格までの距離を損失額に換算します。許容損失を一定(例:1トレードあたり資金の0.5〜1%)に固定すれば、ボラが大きい銘柄で過大サイズになりません。
②分割エントリーは“理由”がある時だけ
分割は便利ですが、根拠が曖昧だとナンピンになりやすい。分割するなら、例えば「VWAP回復で半分」「レジサポ転換確認で残り半分」のように、情報が増えたタイミングで増やす設計にします。下がったから増やす、は2日目では事故りやすいです。
③利確も分割して“勝ちを残す”
2日目は逆回転が速いので、伸びた時に全利確できないことが多い。第一利確を入れて損益分岐を確保し、残りを伸ばすと心理が安定します。結果として、判断が雑になりにくい。
翌日に持ち越すか:2日目の終盤でやるべき“手仕舞い判断”
2日目の終盤は、翌日に繋がるかどうかの分岐です。デイトレで終えるか、スイングに伸ばすかは、雰囲気ではなく条件で決めます。
持ち越しに向く条件
・引けにかけて出来高が再び増え、引けが高値圏
・引け時点でVWAPを明確に上回り、終値が上ヒゲになりにくい
・初日高値を超えて引ける、または高値手前で“押さえ込まれた売り”を吸収している
持ち越しを避ける条件
・後場に失速し、引けでVWAP近辺まで沈む
・高値圏で歩み値の大口売りが連発し、価格が伸びない
・引け前に板が急に薄くなり、スプレッドが広がる(翌日のギャップリスクが上がる)
2日目は利益が出ているほど“もう一日伸ばしたい”心理が強まります。しかし、持ち越しはギャップの不確実性を抱える行為です。条件が揃わないなら、利益を確定して次の機会に回す方がトータルでは安定します。


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