毎月1日の需給アノマリーを攻略する:機関投資家の積立フローを味方につける日本株トレード戦略

株式投資

「月が替わると、なぜか相場が底堅い日がある」——こうした体感は、気のせいではないことがあります。日本株では、月初にかけて機関投資家や投資信託の“機械的な買い”が入りやすく、寄り付き〜前場にかけて需給が支えられる局面が出ます。

本稿では、毎月1日(および月初数営業日)に起きやすい積立資金の流入を「観測する」→「狙う」→「守る」の3段階で、初心者でも迷子にならないように設計します。結論から言うと、ここで勝ちやすいのは“当て物の予想”ではなく、需給の偏りに乗る短期の型です。

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  1. 1. 「毎月1日の機関投資家買い」とは何か:中身は“積立フロー”
  2. 2. 月初フローを“見える化”する:初心者向けの観測チェックリスト
    1. 2-1. 市場全体:先物と寄り前気配で「売りの勢い」を測る
    2. 2-2. 需給の芯:大型株と指数ETFの「下ヒゲ」を観察する
    3. 2-3. 個別へ降りる:候補は“指数に近い銘柄”から
  3. 3. 具体戦略:月初の「押し目→反発」を狙う2つの型
    1. 3-1. 型A:寄り付き後の押し目買い(5分足VWAPを基準)
    2. 3-2. 型B:月初1〜3営業日の「前日安値割れ失敗」を拾う(小さく負ける前提)
  4. 4. 銘柄選びの実践:月初アノマリーと相性が良い“3タイプ”
    1. 4-1. 指数寄りの大型株:最も再現性が高い
    2. 4-2. セクターで資金が集まりやすい局面:金融・半導体・商社など
    3. 4-3. 決算・材料“後”の需給整理銘柄:月初は整理が終わりやすい
  5. 5. 「月初でも負ける日」を先に決める:撤退ルールの作り方
    1. 5-1. ノートレード条件:この3つが出たら休む
    2. 5-2. 損切りは「価格」ではなく「シナリオ崩壊」で切る
  6. 6. 資金管理:1回の失敗で退場しない設計
    1. 6-1. 1回のトレードで失う上限を先に決める
    2. 6-2. 利確は分割、損切りは一括
  7. 7. オリジナリティ:月初フローは「銘柄」より「時間帯」で勝ちやすい
  8. 8. スイングに拡張する:月初1〜3営業日の「押し目→再上昇」
  9. 9. よくある失敗と対策:月初アノマリーの落とし穴
  10. 10. 最低限の検証方法:エクセルでもできる“ざっくりバックテスト”
  11. 11. 実践テンプレ:当日の流れ
  12. 12. まとめ

1. 「毎月1日の機関投資家買い」とは何か:中身は“積立フロー”

月初の買いは、ニュースで語られるような「誰かが強気になった」ではなく、もっと事務的な動きです。代表例は次の3つです。

(1)投資信託の積立・定期買付:個人の積立設定は月初に集中しやすく、信託銀行や運用会社は受け入れた資金を一定のルールで市場に投下します。約定日・受渡日のズレはありますが、月初数日で買い需要がまとまりやすいのがポイントです。

(2)年金・機関のリバランス:月末・月初はポートフォリオ比率を目標に戻す(リバランス)を実行しやすいタイミングです。特に株が月末に下げた場合、月初に“戻しの買い”が出ることがあります。

(3)指数連動の機械的執行:TOPIXや日経平均など、指数に連動した運用は「できるだけ市場に逆らわず、淡々と買う」ことが多い。結果として、先物や大型株で下値が固く見える時間帯が生まれます。

重要なのは、これが「常に上がる」魔法ではない点です。月初でも地合いが弱い日は普通に下がります。ただし、下げたときに“止まり方が違う”日がある。ここを観測できると、初心者でも再現性が上がります。

2. 月初フローを“見える化”する:初心者向けの観測チェックリスト

難しいデータベースは不要です。まずは、毎月1日の朝に次の順番で確認してください。

2-1. 市場全体:先物と寄り前気配で「売りの勢い」を測る

寄り付き前に見るべきは、個別銘柄より先に日経225先物・TOPIX先物です。月初フローが効く日は、多少の悪材料があっても先物が売り込まれにくい傾向があります。

目安の考え方:前日比で先物が-0.5%程度下げていても、寄り前の板で下げが加速しない、あるいは-0.2%〜-0.3%まで戻す動きがあるなら、「売りが一巡しやすい地合い」です。逆に、寄り前の段階で-1.0%を超えてズルズルなら、月初でも“支え切れない日”として無理をしません。

2-2. 需給の芯:大型株と指数ETFの「下ヒゲ」を観察する

月初のフローは、まず大型株・指数周辺に出やすい。ここで初心者におすすめの“観測銘柄”は、TOPIXコア30級の大型株と、売買代金が大きい指数ETFです。あなたがそのETFを買う必要はありません。相場の体温計として使います。

観察ポイントは単純で、寄り後の5分〜15分で下げたときに「下ヒゲが出るか」、そして次の足で戻りが続くかです。下ヒゲが頻発する日は、「下で待っている買い」がいる可能性が高い。

2-3. 個別へ降りる:候補は“指数に近い銘柄”から

月初フローは、まず指数→大型→セクター→個別の順に波及しがちです。初心者がいきなり低位株や材料株に飛び込むと、フローの恩恵が弱く、値動きだけ荒くなりがちです。

最初の候補は、(A)売買代金が大きい(B)スプレッドが狭い(C)指数に採用されている、この3条件を満たす銘柄から選びます。なぜなら、月初の“機械的買い”は、流動性が高いところから入るからです。

3. 具体戦略:月初の「押し目→反発」を狙う2つの型

ここからは実戦の型です。初心者でも運用しやすいように、ルールを絞ります。

3-1. 型A:寄り付き後の押し目買い(5分足VWAPを基準)

狙い:月初の買いフローがある日に、寄り直後の“ぶん投げ”を拾い、短時間で抜く。

準備:前日終値付近〜ギャップダウン(下窓)で寄った大型株・準大型株を監視。値幅がある方が利幅が出ますが、初心者はボラが強すぎる銘柄は避けます。

エントリー条件(例)

(1)寄り後5〜15分で一度下げる(初動の売りが出る)

(2)その下げで出来高が膨らむ(投げが出た証拠)

(3)5分足のVWAP付近まで戻してきて、VWAPを割らずに反発する(買いが優勢)

手仕舞い条件(例):直近高値の手前で半分利確、残りはVWAPを明確に割ったら撤退。強い日はVWAPの上で推移しやすいので、VWAP割れを“撤退の合図”にすると迷いが減ります。

具体例(イメージ):9:00に1000円で寄った銘柄が、9:10に990円まで急落(出来高急増)→9:20に997円まで戻り、VWAP=996円の上で下ヒゲ→9:30に1006円。ここで半分利確、残りはVWAP割れまで追随。こういう“戻りの速さ”が月初フローが効く日の典型です。

3-2. 型B:月初1〜3営業日の「前日安値割れ失敗」を拾う(小さく負ける前提)

狙い:地合いが弱くても、月初は“底を叩いた後の戻し”が出やすい。前日安値を割っても続落しない銘柄を、需給の軽さで買う。

エントリー条件(例)

(1)当日、前日安値を一瞬割る(ストップを巻き込む)

(2)割った直後に出来高が跳ねる(投げが出た)

(3)5分足で前日安値を回復し、その価格帯がサポートになる

損切り:前日安値の少し下(0.3%〜0.6%など)に置く。ここはケチらない。月初でも崩れるときは一気に崩れるため、“小さく負ける”が命綱です。

利確:前日終値〜当日寄り値を目標にし、到達したら分割で利確。伸びる日だけ伸びます。初心者は「毎回ホームラン」を捨てて、まずは回転を覚えます。

4. 銘柄選びの実践:月初アノマリーと相性が良い“3タイプ”

「どの銘柄でも良い」では勝てません。月初フローと相性が良いのは次のタイプです。

4-1. 指数寄りの大型株:最も再現性が高い

月初の資金は、まず大きな器に入ります。大型株は値動きがマイルドで初心者向きです。「動かないから儲からない」と感じたら、それはポジションサイズと損切り幅の設計が未熟な可能性が高い。大事なのは、安定した期待値です。

4-2. セクターで資金が集まりやすい局面:金融・半導体・商社など

月初は、運用会社が「今月のテーマ」を決めて寄せることがあります。たとえば米金利が上昇しやすい局面なら金融、ナスダックが強いなら半導体、資源高なら商社・資源株など。ここで初心者がやるべきは、テーマ当てではなく、“強いセクター内の押し目”を狙うことです。

具体的には、値上がり率ランキングで上位に複数並ぶセクターを見つけ、同セクターで一度売られてVWAPで止まる銘柄を優先します。テーマが当たっていれば、押し目が買われやすい。

4-3. 決算・材料“後”の需給整理銘柄:月初は整理が終わりやすい

決算やニュースで大きく動いた銘柄は、その後に信用・短期勢の整理が起きます。月初はフローが支えになるため、整理が終わった銘柄が“自律反発”しやすい局面があります。

見極めはシンプルで、(A)悪材料で急落した後に出来高がピークアウト(B)同じ価格帯で何度も止まる、この2点。月初の買いが入ると、重い上値も一気に抜けることがあります。

5. 「月初でも負ける日」を先に決める:撤退ルールの作り方

初心者が一番やりがちなのは、月初だからといって“希望的観測で粘る”ことです。月初フローは万能ではありません。だからこそ、事前に「今日はやらない」を決めます。

5-1. ノートレード条件:この3つが出たら休む

(1)寄り前の先物が大幅安で、寄り後も戻らない(売りが支配)

(2)指数ETFや大型株で下ヒゲが出ない(買いが待っていない)

(3)リバウンドしても出来高が伴わない(戻りが弱い)

この3つのうち2つが当てはまるなら、月初でも無理をしません。勝てる日は、驚くほど分かりやすい形で“止まり方”が出ます。

5-2. 損切りは「価格」ではなく「シナリオ崩壊」で切る

月初戦略のシナリオは「積立フローで下がりにくい」です。したがって、下がりにくさが消えた瞬間が損切りポイントです。具体的には、VWAPを明確に割って戻らない、前日安値を割って反発できない、出来高が増えた下げが連発する、など。

価格だけで切ろうとすると、損切りが遅れます。初心者は特に、「見ていた根拠が崩れたら切る」を徹底してください。

6. 資金管理:1回の失敗で退場しない設計

短期トレードは、1回の判断ミスで大きく負けると続けられません。ここは派手さより、生き残りが優先です。

6-1. 1回のトレードで失う上限を先に決める

例として、証拠金・現金100万円なら、1回の損失上限を0.5%(5000円)〜1%(1万円)に設定します。損切り幅が0.5%なら、ポジションサイズは「損失上限 ÷ 0.5%」で決まります。損失上限1万円なら、建玉は200万円相当が上限。信用を使うなら、ここを厳格に守らないと、月初アノマリーどころではなくなります。

6-2. 利確は分割、損切りは一括

月初の戻りは早いことがありますが、途中で上下に揺さぶられます。利確を分割にすると、「利益を確保しながら伸ばす」形になり、判断のストレスが減ります。逆に損切りは一括で素早く。損切りを分割すると、ズルズルが始まります。

7. オリジナリティ:月初フローは「銘柄」より「時間帯」で勝ちやすい

月初の買いは、いつでも均等に出るわけではありません。市場参加者が多い時間帯、執行が集中する時間帯がある。

初心者がまず狙うべきは、寄り付き〜10:30です。理由は単純で、機械的な執行が入りやすく、出来高があるため、売りも買いも“見えやすい”からです。後場はニュースで歪みが出ることもありますが、初心者はまず前場で型を固めた方が勝ち筋が早い。

8. スイングに拡張する:月初1〜3営業日の「押し目→再上昇」

デイトレだけだと取りこぼす日があります。月初フローが効くとき、指数は数日かけてじわじわ戻すことがあるためです。

ルール(例):月初1〜3営業日で、(1)前日比マイナスから切り返し(2)終値が5日移動平均を回復(3)出来高が前日より増加。この3つを満たした銘柄を、翌日寄りで小さく買い、損切りは直近安値割れ。利確は25日線や直近高値付近で分割。

9. よくある失敗と対策:月初アノマリーの落とし穴

(1日だけを神格化する):1日が土日なら、実際の月初は2日や3日になります。狙いは「月初数営業日の需給の傾き」です。

(材料株で期待する):材料株は機械的買いが効きにくいことが多い。まずは指数寄りで型を作る方が安全です。

(損切りを広げて祈る):月初でも崩れる日は崩れます。損切り幅を固定し、ポジションサイズで調整します。

10. 最低限の検証方法:エクセルでもできる“ざっくりバックテスト”

過去6〜12か月分のチャートで、各月の第1〜第3営業日の(A)寄りからの最大下落率、(B)引けまでの戻り幅、(C)VWAPを割った回数、をメモします。効かない月の共通点(先物主導の大幅安、海外イベント、指数トレンド転換など)を探すのがコツです。

11. 実践テンプレ:当日の流れ

8:30〜8:55:先物の方向と下げの勢いを確認。危険ならノートレード。

9:00〜9:15:指数周辺で下ヒゲが出るか観測。出ないなら無理しない。

9:15〜10:30:型A(VWAP押し目)または型B(前日安値割れ失敗)で条件一致のみエントリー。

利確は分割、損切りは即断:VWAP割れや安値更新で撤退。

12. まとめ

毎月1日の底堅さは、積立・リバランス・指数運用などの機械的フローが作る需給の偏りです。先物で地合いを確認し、指数周辺の下ヒゲで買いを観測し、VWAP基準で小さく入り、崩れたらすぐ切る。この型を月初の数日だけ繰り返すと、相場の読みが速くなります。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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