PTS出来高急増は“翌日資金”の足跡:夜間で仕込む注目銘柄の見つけ方

株式投資

日中の取引が終わった後、PTS(私設取引システム)で突然出来高が伸びる銘柄があります。これは単なる“時間外の小口売買”ではなく、翌日の寄り付きに向けて資金が先回りしている痕跡であるケースが少なくありません。

ただし、PTSは流動性が薄く、スプレッドが広がりやすい市場です。出来高が増えているからといって、そのまま飛び付くと「約定はしたが高値掴み」「翌朝の寄りで真逆に振られる」になりがちです。ポイントは、出来高急増を“再現性のあるシグナル”に落とし込み、翌朝の出口まで設計することです。

ここでは初心者でも迷わないように、(1) 仕組み、(2) シグナル定義、(3) 夜間の具体手順、(4) 翌朝の戦い方、(5) 検証方法を、できるだけ具体的にまとめます。

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PTS出来高急増が「翌日注目」に直結しやすい理由

PTSで出来高が急増する背景は大きく3つです。

① 先回りのポジション構築:決算、業績修正、自己株買い、提携、規制変更など、材料が出た直後に「翌朝の寄り付きは高く始まりそうだ」と見た参加者が夜間に仕込みます。とくに翌朝にギャップアップが想定される局面で起きやすい動きです。

② 需給の歪みが一気に顕在化:日中は板が厚くて目立たなかった売買が、夜間の薄い板で“価格インパクト”として現れます。出来高急増と同時に値が飛ぶ(または急落する)なら、翌日の気配にも影響が出やすいです。

③ 情報の非対称性:夜間に材料を見て動ける人と、翌朝に知る人が分かれます。先に動いた資金がPTSで“足跡”を残し、翌朝の参加者の心理(追いかけ買い・損切り・利確)を誘発します。

この3つが揃うと、翌日の寄り付きは「ギャップ+高い出来高」になりやすく、短期トレーダーにとっては“値幅の源泉”になります。

まず押さえる:PTSの仕組みと、初心者が踏みやすい罠

PTSは取引所(東証)の立会時間外でも売買できる仕組みです。ただし、初心者が最初にハマる罠がいくつかあります。

罠1:流動性の錯覚
出来高が増えている銘柄でも、板の厚みがあるとは限りません。例えば「出来高10万株」と聞くと多そうですが、1回あたり数百株〜数千株の約定が細かく積み上がっただけで、少し大きい注文を出すと一気に値が飛ぶことがあります。

罠2:スプレッドと呼値
夜間は売り気配と買い気配が離れやすく、買った瞬間に含み損になりやすいです。さらに市場・銘柄によって呼値が異なり、思った価格で刺さらないこともあります。

罠3:翌朝の“ギャップ逆回転”
夜間に強い買いが入っても、翌朝に材料が否定されたり、地合いが悪化したりすると、寄り付きで急落することがあります。夜間は参加者が限定されるため、価格形成が偏りやすい点を前提にします。

罠4:証券会社ごとの受付締切の違い
PTSの夜間セッション自体が長くても、実際に注文を出せる時間は証券会社によって異なります。自分の環境の取引時間・注文条件(成行可否、指値のみ、対象銘柄など)を最初に確認してください。

シグナル設計:出来高急増を「定義」しないと勝てない

「出来高が多い」では、判断がブレます。ここからが本題です。PTS出来高急増は、定義してスクリーニングできる形にすると再現性が上がります。初心者向けに、まずはシンプルな定義を3段階で用意します。

レベル1(最小構成):倍率で見る

  • PTS出来高(夜間合計)が、直近20営業日平均との差の5倍以上
  • かつ、日中出来高に対して10%以上(日中が薄い銘柄でも“相対的に意味がある”状態)

レベル2(実戦向け):価格インパクトも条件に入れる

  • 上の条件に加えて、PTS終値が東証終値に対して+2.0%〜+8.0%の範囲
  • もしくは悪材料なら-2.0%〜-8.0%

レベル3(玄人の入口):約定の“密度”を見る

  • 出来高が増えた時間帯が、材料が出た直後(例えば18:00〜19:00)に集中している
  • 約定が断続的ではなく、数分おきに連続して積み上がる(“資金が仕事をしている”)

レベル1だけでも十分に戦えます。初心者がやりがちな失敗は、出来高“総量”だけ見て、価格がほとんど動いていない銘柄を拾うことです。価格インパクトが弱い=翌朝も注目されにくい、というケースが多いので、レベル2を推奨します。

出来高急増の“原因”を分類する:材料の種類で戦い方が変わる

同じ出来高急増でも、背景が違えば翌朝の動きも違います。ここはオリジナリティとして、夜間の出来高急増を4分類し、それぞれの勝ち筋を整理します。

分類A:決算・業績修正(最頻出)
夜間の出来高急増で最も多いのが決算です。ポイントは「良い/悪い」ではなく、市場の事前期待と比べて上振れかです。初心者は数字を全部読もうとせず、まずは次の3点だけで十分です。

  • 通期見通し(上方修正か、据え置きか、下方修正か)
  • 翌期のガイダンス(会社が示すトーン)
  • サプライズの一言(増配、自社株買い、構造改革など)

夜間に買いが入るのは、多くの場合「翌朝の寄りで買うと高い。だから先に買う」という心理です。ここでは“寄り天”リスクも同時に増えます。翌朝は「寄りで一回は利確が出る前提」で出口設計します。

分類B:材料+テーマ(資金が集まりやすい)
例えば「AI」「半導体」「防衛」「インバウンド」など、テーマに乗っている銘柄は、PTSの出来高急増が翌朝の資金流入につながりやすいです。理由は単純で、翌朝にニュースを知った人が「同テーマの別銘柄も買う」連鎖が起きるからです。単銘柄だけでなく“セクター全体”を見るのがコツです。

分類C:悪材料(夜間の投げ=翌朝の寄り付きが荒れる)
悪材料でもPTS出来高は急増します。この場合、翌朝は「下げの続き」か「悪材料出尽くし」の二択になりやすいです。初心者が狙うなら、“ナイフを掴まない条件”が必要です。例えば、PTSで-10%も落ちている銘柄に逆張りで入るのは危険です。狙うなら「-3%〜-8%」程度で、翌朝の気配で売り圧が弱まるのを確認してからです。

分類D:指数・先物・為替連動(材料が銘柄固有でない)
日経先物や米株先物、為替の急変で、夜間に大型株が動くことがあります。この場合は“翌朝も続く”より、地合いが戻ると反転することが多いです。個別材料がないなら、夜間で仕込むより、翌朝の寄り付きで方向性を確認してからが安全です。

夜間で仕込む具体手順:初心者でも迷わない「3ステップ」

ここからは手順です。画面を開いたら、やることは3つだけです。

ステップ1:夜間スクリーニング(候補は多くて10銘柄まで)
候補が多いほど判断が雑になります。まずは“機械的に”絞ります。

  • PTS出来高が通常の5倍以上
  • PTS価格が東証終値から±2%超
  • 出来高が増え始めた時刻が“材料時刻”と近い

この時点で、候補は多くても10銘柄にします。初心者は2〜3銘柄で十分です。

ステップ2:原因の確認(読むのは30秒でいい)
材料を全部読む必要はありません。「何が起きたか」だけ掴むのが目的です。決算なら見通しの上方/下方、自己株買いなら規模、提携なら相手と実行性、という具合です。材料が見当たらないのに出来高だけ増えている銘柄は、見送り優先です(仕手・思惑の可能性が上がるため)。

ステップ3:板で“勝てる形か”を判断する
夜間で最重要なのが板です。見るポイントは次の3つです。

  • スプレッド:買い気配と売り気配の幅が狭いほど、勝負しやすい
  • 一段上の板の薄さ:上に飛びやすいか(逆に、売り板が厚く上値が重いか)
  • 約定の仕方:一撃で飛ぶのか、じわじわ買われるのか(後者のほうが翌朝も注目されやすい)

この3ステップで「買う価値がある候補」が残ります。ここから先は、“どう買うか(約定させ方)”です。

夜間のエントリー設計:成行は禁止、指値で「段階買い」

初心者が最初に徹底すべきルールは、夜間は成行を使わないことです。薄い板で成行を出すと、想定より高い位置で約定しやすく、翌朝のリスクを一気に背負います。

おすすめの基本形:段階買い(3分割)

例えば、翌朝のギャップアップ狙いで買いたい場合、以下のように分けます。

  • 第1段:現在の買い気配付近(“最低限の参加”)
  • 第2段:少し下(押し目が来たら拾う)
  • 第3段:さらに下(急な投げが出たら拾う)

このやり方の利点は、板が薄くても平均約定単価をコントロールできる点です。夜間は「当てにいく」より「事故を避ける」ほうが成績に効きます。

逆に避ける形:上値を追いかける指値
出来高急増で値が飛んでいる最中に、さらに上に指値を置くのは危険です。夜間の飛びは、翌朝に利確されやすいからです。買うなら“上がった後”ではなく、“買い支えが確認できる位置”です。

具体例:夜間出来高急増→翌朝で利幅を取るシナリオ

イメージが湧くよう、数字を置いた例を作ります(架空の例です)。

状況
東証終値:1,000円/日中出来高:50万株(普段は30万株)
18:30に好材料(上方修正+増配)が出た。
PTSでは19:00〜22:00に出来高10万株(普段は1万株未満)まで増え、PTS終値は1,060円(+6%)。

夜間の判断
・出来高倍率:10倍以上 → クリア
・価格インパクト:+6% → クリア(過熱しすぎでもない)
・板:スプレッドが1〜2円程度、上の売り板が薄い → “翌朝も注目されやすい形”

夜間の建て方
買いは3分割。
第1段:1,055円(小さめ)
第2段:1,045円(押し目)
第3段:1,030円(投げが出たら)

翌朝の出口設計(ここが重要)
翌朝に想定されるのは、(1) 寄りで飛ぶ、(2) 寄り天で垂れる、(3) 寄り後に押してから伸びる、の3つです。初心者は(2)でやられます。対策は単純で、寄り付きで一部利確することです。

  • 寄り付きが1,080円なら、まず1/3利確(ギャップの利益を確定)
  • 残りは5分足VWAPや前日高値(1,100円など)を基準に伸ばす
  • 寄り後に急落してVWAPを割るなら、残りも機械的に撤退

この設計なら、寄り天でも最低限の利益を確保しやすく、伸びた時は残りで取れます。夜間で仕込む戦略は、“当てる”より“形が悪い時に負けない”が最優先です。

翌朝のチェック項目:寄り前に必ず見る5つ

夜間で仕込んだら、翌朝は寄り前の確認で勝率が上がります。チェックは5つだけです。

  • 気配の位置:PTS終値より大きく上なら過熱、下なら失望の可能性
  • 寄り前の板の厚み:売りが厚いなら寄り天警戒
  • 同テーマ銘柄の動き:セクター全体が強いか
  • 指数・先物の地合い:地合い悪化なら利確を早める
  • 追加情報:夜間〜朝に続報が出ていないか

初心者は「自分の銘柄だけ」を見がちですが、夜間材料は地合いで無力化されます。特に寄り前の先物が崩れている日は、利益が乗っていても早めに回収する判断が正解になりやすいです。

失敗パターン集:これを避けるだけで成績が変わる

PTS出来高急増で負ける典型は、だいたい次のどれかです。

失敗1:材料を確認せずに“出来高だけ”で買う
出来高が増えている理由が不明だと、翌朝の参加者がついて来ません。翌朝に注目されないと、夜間で買った自分が“唯一の買い手”になってしまい、逃げにくくなります。

失敗2:スプレッドの広い銘柄で成行(または追いかけ指値)
夜間はスプレッドがコストです。自分が払うスプレッドは、そのまま翌朝の損益分岐点を押し上げます。勝ちやすい局面でも、コストで負けます。

失敗3:翌朝の出口がない
夜間で買う時点で「翌朝どこで売るか」を決めていないと、寄り天で“様子見”して崩れます。最低でも「寄りで一部利確」「VWAP割れ撤退」の2本立てを持ってください。

失敗4:悪材料を“出尽くし”と決めつける
悪材料のPTS急落は、翌朝さらに投げが出ることがあります。初心者は「安いから買う」になりがちですが、安い理由がある時は逃げが遅れると致命傷になります。悪材料は“確認してから”です。

検証のやり方:初心者でもできる「30銘柄ログ」

この手法は、短期売買の中では検証しやすい部類です。理由は、夜間の出来高と翌朝の動きが“セット”で観測できるからです。初心者向けに、最小の検証フレームを提示します。

ログに残す項目(これだけ)

  • 東証終値、PTS終値、PTS出来高、日中出来高
  • 材料の種類(決算/自社株買い/提携/悪材料/地合い)
  • 翌朝の寄り付き価格、前場高値、前場安値、終値
  • 寄り天か、押し目から伸びたか(パターン分類)

見るべき結論
勝ち筋は「PTSの上げ幅」ではなく、翌朝に出来高が続くかです。PTSで出来高が増えても、翌朝の出来高が続かない銘柄は“夜間の小競り合い”で終わっている可能性が高いです。逆に翌朝の寄りから出来高が付く銘柄は、押し目でも拾われやすく、戦いやすい。

実務的なコツ:夜間で“仕込む”より、翌朝のために“準備する”

最後に、初心者が現実に成果を出しやすい運用に寄せます。夜間は無理に売買しなくても良いです。むしろ、夜間でやるべき価値が高いのは「翌朝の注目リスト作り」です。

  • 出来高急増の候補を3〜5銘柄に絞る
  • 材料の種類をメモし、翌朝の想定シナリオを1行で書く
  • 寄り付きで“利確優先か、押し目狙いか”を決めておく

これだけで、翌朝の寄り付きで迷いが減り、判断が速くなります。短期売買は、スピードよりも「迷わない設計」が勝ちます。

まとめ:PTS出来高急増は“翌日資金”を読むための実戦的シグナル

PTS出来高急増は、翌日の注目銘柄を見つけるうえで強力な手掛かりになります。ただし、夜間は薄い板・広いスプレッド・偏った価格形成という“罠”があるため、出来高だけで飛び付くと負けやすいです。

勝ち筋は、(1) 出来高急増を定義する、(2) 原因を分類する、(3) 夜間は指値で事故を避ける、(4) 翌朝の出口を先に決める、の4点です。まずは「夜間に仕込む」より「夜間で準備して翌朝に取りに行く」運用から始めると、再現性が上がります。

あなたの取引スタイルに合わせて、倍率条件や上げ幅条件を微調整し、30銘柄ログで“自分の勝てる形”を見つけてください。ここまで作れば、PTSは単なる時間外取引ではなく、翌日の値幅を取りに行くための情報源になります。

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