半導体株は「強いトレンドが出ると大きく伸びる」一方で、「ニュース一発で急落」も珍しくありません。とくに近年は、決算よりも地政学イベント(輸出規制、制裁、補助金政策、関税、サイバー攻撃、紛争リスクなど)が短期の値動きを決めるケースが増えています。
ただし、ここにチャンスがあります。地政学イベントは市場にとって“嫌な材料”なので、見出しだけで投げ売りが起きやすい。ところが現実には、半導体サプライチェーンは複雑で、一次的なショックが数週間〜数か月の調整で吸収されることも多い。結果として「売られすぎ」が発生し、逆張りが機能しやすい局面が生まれます。
この記事では、地政学ニュースを“感情”ではなく“構造”として扱い、イベント逆張りを再現可能な手順に落とし込みます。銘柄の選び方、ニュースの仕分け、エントリー条件、損切り、利確、ポジションサイズまで、実務的にまとめます。
- 1. そもそも「半導体サプライチェーン」とは何か
- 2. 地政学イベントが株価を動かす「メカニズム」
- 3. 逆張りが成立する条件:売られすぎを定義する
- 4. 実践フレーム:ニュースを“4つの質問”で解剖する
- 5. 具体例で理解する:3つの典型シナリオ
- 6. エントリー設計:逆張りは「時間差」で勝つ
- 7. 損切りと利確:逆張りの成否は出口で決まる
- 8. ポジションサイズ:初心者ほど小さく始める
- 9. 銘柄選定のコツ:逆張り向きの“条件”
- 10. 実務の運用手順:ニュース→判断→執行のチェックリスト
- 11. まとめ:地政学逆張りは「構造」と「手順」で勝つ
- 12. 上級への入口:イベントの“二次波”を取りにいく考え方
- 13. よくある失敗パターンと、避けるための処方箋
- 14. すぐ使えるテンプレ:あなた専用の売買メモを作る
- 15. 発展:指数やETFで“間接的に”半導体逆張りをする
- 16. 最終チェック:この戦略が向いている人・向かない人
1. そもそも「半導体サプライチェーン」とは何か
半導体産業は、単に「チップを作る会社」だけではありません。大きく分けると、以下の層で価値が生まれます。
1-1. 設計(ファブレス)
GPUやスマホ向けSoCなど、半導体の頭脳部分を設計する企業です。設計が当たれば利益率は高い一方で、製造は外部(ファウンドリ)に依存します。地政学では「どこで作れるか」「誰に売れるか」が短期の株価に効きます。
1-2. 製造(ファウンドリ/IDM)
製造を担う層です。設備投資が巨額で、国の補助金や規制の影響を受けやすい。輸出管理が強まると「装置が入らない」「顧客に売れない」という論点が出ます。
1-3. 製造装置
露光、成膜、洗浄、検査などの装置メーカー。地政学で最も揺れるのがここです。輸出規制の対象になりやすく、短期ショックが大きい一方で、需要自体は「先送り」になりやすく、ゼロになるわけではないことも多い。逆張りの主戦場になりやすい領域です。
1-4. 材料・部材
フォトレジスト、シリコンウェハ、ガス、CMPスラリーなど。材料は代替・切替に時間がかかるため、供給制約がニュースになると過剰反応が起きやすい。反面、供給側が寡占なら価格転嫁が可能で、落ち着くと戻りも早い場合があります。
1-5. 後工程(パッケージ/テスト)
先端パッケージやテスト工程。地政学で生産拠点の移転が起きると、短期でコスト増・遅延懸念が出ますが、長期では需要増(設備増設)につながることもあります。
2. 地政学イベントが株価を動かす「メカニズム」
半導体の地政学は、要するに供給と需要の“どこを詰まらせるか”です。株価は、利益の期待値(平均)と不確実性(分散)で決まります。地政学イベントは、不確実性を一気に増やすため、短期で売られやすい。
2-1. 典型的なショックの種類
- 輸出規制・輸出管理:装置や先端品が「売れない/買えない」懸念
- 制裁:特定企業・国向け取引の停止、サプライチェーンの再構築コスト
- 補助金・産業政策:国内回帰(リショアリング)で設備投資が増える一方、条件や不確実性も増える
- 関税・貿易摩擦:価格転嫁・需要減・迂回輸出などの不透明感
- 紛争・封鎖リスク:物流停止や供給途絶の極端シナリオが織り込まれる
- サイバー攻撃:操業停止・情報漏えい・調達停止など、短期インパクトが大きい
ここで重要なのは、見出しのインパクトと、企業利益への“実害”が一致しないことです。逆張りはこのズレを狙います。
2-2. 「実害の大きさ」を3段階で仕分ける
ニュースを見たら、まずは以下の3段階で仕分けしてください。これができるだけで、地政学ニュースに振り回されにくくなります。
A:短期の不安(見出し先行):詳細が未確定、対象範囲が狭い、例外規定が多い。市場が先に売って、後から落ち着きやすい。
B:中期の調整(業績に効くが吸収可能):売上の一部が減る、顧客分散や地域シフトが必要。ただし代替需要や価格改定で吸収の余地。
C:構造破壊(長期の前提が変わる):主要顧客の喪失、技術移転の停止、規制でビジネスモデルが壊れる。逆張りの難易度が跳ね上がる。
逆張りは基本的にAと、条件付きでBを狙います。Cは「触らない」が最も合理的です。
3. 逆張りが成立する条件:売られすぎを定義する
逆張りで最も危険なのは「安いから買う」です。安いには理由がある。だから、売られすぎを数値で定義します。ここからは具体的にいきます。
3-1. 価格の売られすぎ(テクニカル)
初心者でも扱える、シンプルで再現性の高い判定は次の組み合わせです。
- ATR(平均真の値幅)での急落判定:直近20日のATRの2.5倍以上の下落が1〜2日で出た
- 出来高の膨張:出来高が過去20日平均の1.8倍以上(投げが入った可能性)
- 短期移動平均からの乖離:5日線からの乖離が-6%〜-10%など、銘柄特性に応じて閾値を決める
これらは「市場参加者がパニックで投げた痕跡」を捉えるための道具です。
3-2. バリュエーションの売られすぎ(ファンダ)
地政学の急落局面では、PERが下がったように見えても、実は利益見通しが下方修正される前で“見かけ”の安さに過ぎない場合があります。そこで、初心者は次の2点だけを押さえれば十分です。
① ガイダンスの有無:会社が「影響は限定的」「レンジ内」と述べているか。沈黙しているなら不確実性が高い。
② 売上の地政学依存度:特定地域・特定顧客比率が高いほど、逆張りの難易度は上がります。
3-3. ニュースの売られすぎ(心理)
ニュースが出た直後は、SNSや速報で“最悪ケース”が拡散されます。このときに起きやすいのが、「確率の低い極端シナリオ」が価格に織り込まれる現象です。
逆張りは、極端シナリオが一旦織り込まれた後、追加悪材料が出なかったことで「元に戻る」力を取りにいきます。だから、初動で飛びつかないことが重要です。
4. 実践フレーム:ニュースを“4つの質問”で解剖する
地政学ニュースを見たら、必ず次の4つを自問します。これだけで、感情トレードの確率が下がります。
質問1:誰が、何を、どこまで止めるのか?
規制や制裁は対象範囲が命です。装置の一部だけなのか、先端ノード全体なのか。抜け道(例外)や猶予期間があるのか。範囲が狭いほどA寄りです。
質問2:代替は可能か? どれくらい時間がかかるか?
半導体は代替に時間がかかります。だからこそ、短期の混乱が過剰に見積もられやすい。逆に、代替不能ならC寄りになります。
質問3:需要は消えるのか、先送りされるのか?
データセンター投資や車載向けは、遅れても需要が戻ることが多い。需要が消えないなら、株価の急落は過剰反応になりやすい。
質問4:企業が“価格”で吸収できるか?
寡占の装置・材料は、供給が絞られると価格転嫁が効きやすい。短期の売上減でも、マージン改善で埋まる場合があります。ここは銘柄選別の核心です。
5. 具体例で理解する:3つの典型シナリオ
5-1. シナリオA:輸出規制の強化報道で装置株が急落
「規制強化」という見出しで装置株が一斉に売られる状況を想像してください。ここで見るべきは、対象が“先端プロセス限定”なのか、“広範囲”なのかです。
先端限定なら、売上の一部が減る一方で、他地域・他顧客への需要は残る。さらに、規制があるほど各国は国内投資を増やし、装置需要が中期で増えることすらあります。短期の恐怖で売られた後、現実の数字が出て「思ったほど悪くない」で戻る、これが逆張りの勝ち筋です。
5-2. シナリオB:特定地域の紛争懸念でファブレスが急落
ファブレスは製造を外部に依存するため、「供給が止まる」という連想で売られがちです。ただし実際には、在庫、複数の製造委託、代替生産の調整で短期の売上は守られることもあります。
このシナリオの逆張りは、供給の現実(在庫日数、代替製造の可能性)を評価できると強い。ただし初心者は情報が取りにくいので、無理に狙わず、より分かりやすい装置・材料へ回すのも合理的です。
5-3. シナリオC:サイバー攻撃で工場停止、材料株が急落
工場停止は実害が出るためB寄りです。ただし、停止が短期間で復旧し、供給がタイトになると価格が上がることがあります。材料が寡占であれば、最悪の見出しほど、後から「むしろ価格が強い」で戻るケースが出ます。
ここで重要なのは、復旧の見通しと、顧客が代替調達できるかです。復旧が不透明なら、逆張りは遅らせるべきです。
6. エントリー設計:逆張りは「時間差」で勝つ
地政学イベント逆張りの基本は、初動では買わず、二段階で入ることです。具体的なルール例を示します(数字は目安。銘柄特性で調整してください)。
6-1. ルール例(現物・低レバ向け)
ステップ1:ショック判定
- 当日または翌日に、ATR×2.5以上の下落
- 出来高が20日平均×1.8以上
- 当日の終値が、安値から1/3以上戻して引ける(投げが一巡したサイン)
ステップ2:初回エントリー(小さく)
- 翌営業日、前日の安値を割らずに寄り付く
- 寄り後30〜60分で安値更新しない
- この条件で資金の30%だけ入れる
ステップ3:追加エントリー(確認して増やす)
- 5日移動平均を終値で回復、またはギャップダウンを埋め始めた
- ニュースの追加悪材料が出ない(静かになる)
- この条件で残りの70%を段階的に入れる(例:35%+35%)
ポイントは「時間差」です。初動の恐怖をやり過ごし、反転の兆しが出てから入る。これで勝率が上がります。
6-2. 逆張りでやってはいけない入り方
一番危ないのは、急落した日の前場で「もう十分落ちた」と判断して買うことです。地政学ニュースは追加報道が出やすく、後場や翌日にもう一段の売りが出ることがあります。逆張りは“落ち切ったサイン”を待つべきです。
7. 損切りと利確:逆張りの成否は出口で決まる
逆張りは「戻り」を取る戦略です。トレンド転換の大相場を狙う必要はありません。欲張ると勝ちが負けに変わりやすい。
7-1. 損切りルール(シンプル)
- 初回エントリーの根拠が崩れたら撤退:イベント安値を終値で明確に割ったら損切り
- 想定シナリオがCに変わったら撤退:追加の規制強化、主要顧客喪失など、構造破壊の兆候が出たら即撤退
損切りは「痛みを小さく」するための保険です。逆張りは当たる時は早く戻る。戻らないなら、間違っている可能性が高い。
7-2. 利確ルール(戻りを取る)
利確の目安は次のいずれかです。
- ギャップ(窓)を半分以上埋めた
- 急落前の支持線・レジスタンスに戻った
- 5日線と20日線の間に戻り、勢いが鈍化した
逆張りの期待値は「恐怖が剥がれる」局面にあります。恐怖が剥がれたら、そこで勝負は終わりです。
8. ポジションサイズ:初心者ほど小さく始める
地政学イベントは、たまに“想定外”が起きます。だから、資金管理が最重要です。ここでは難しい計算は避け、初心者向けに現実的な枠組みを示します。
8-1. 1回の損失上限を先に決める
たとえば「1回のトレードで資金の1%まで」と決めます。100万円なら1万円。これが守れると、生き残れます。
8-2. 損切り幅から株数を逆算する
例:株価100ドル、損切りはイベント安値割れで-7%。許容損失1万円(約70ドル相当)なら、買えるのは約10株です(70ドル÷7ドル=10株)。この逆算が、レバレッジよりも効きます。
8-3. 分散は「銘柄」より「イベント」で考える
同じニュースで同時に動く銘柄を複数買うと、分散に見えて実は集中です。装置・材料・設計など、サプライチェーンの層を分けるか、そもそも一回のイベントでは1〜2銘柄に絞る方が安全です。
9. 銘柄選定のコツ:逆張り向きの“条件”
個別銘柄の名前を挙げるより、再現性のある「条件」を示します。次の条件に当てはまるほど、逆張り適性は高くなります。
9-1. 価格決定力がある(寡占)
装置・材料で寡占に近い企業は、需要が強い局面で値上げができます。地政学の一時的混乱があっても、中期で利益が戻りやすい。
9-2. 顧客分散ができている
特定顧客・特定地域の比率が低いほど、規制ニュースに対して過剰に売られやすく、戻りも狙いやすい。
9-3. 財務が強い
キャッシュが多く、負債が重くない企業ほど、ショックを耐えられます。逆張りは「耐えられる企業」を買うのが基本です。
10. 実務の運用手順:ニュース→判断→執行のチェックリスト
最後に、毎回同じ手順で動けるように、運用フローをまとめます。
10-1. ニュースを見た直後(5分)
① 何が止まるのか(範囲) ② いつから(猶予) ③ 例外はあるか(抜け道) ④ 対象企業の売上依存度は高いか。これだけを確認します。
10-2. その日の引けまで(30分〜)
ATR急落+出来高膨張+引けの戻し、の3点をチェック。揃わなければ見送ります。揃ったら監視リストへ。
10-3. 翌日〜数日(執行)
安値更新しないか、寄り後に投げが出たか、反転の兆しがあるか。初回は小さく、追加は確認してから。
10-4. 退出(最初に決める)
損切りはイベント安値割れ、利確は窓埋め・戻り抵抗線。これを事前に決め、相場中に迷わない。
11. まとめ:地政学逆張りは「構造」と「手順」で勝つ
地政学ニュースは怖い。だからこそ市場は過剰反応しやすい。しかし半導体サプライチェーンは、簡単には止まりません。止めるにも時間がかかり、その間に企業は調整します。ここに、短期の歪みが生まれます。
勝ち筋はシンプルです。ニュースをA/B/Cで仕分け、売られすぎを数値で定義し、初動を避けて時間差で入る。そして出口を先に決める。これができれば、地政学イベントは“恐怖”から“機会”に変わります。
12. 上級への入口:イベントの“二次波”を取りにいく考え方
ここからは、同じ逆張りでも一段階だけ難しい「二次波」の話です。地政学イベントは初動の急落(一次波)が目立ちますが、実は利益が出やすいのは、一次波が落ち着いた後に来る“二次波の誤解”です。
12-1. 二次波とは何か
一次波は見出しショックで、ほぼ全銘柄がまとめて売られます。二次波は、数日〜数週間後に「追加報道」「政策の細則」「企業コメント」「アナリストの下方修正」などが出て、再び売りが出る局面です。ただしこのとき、市場はすでに一度パニックを経験しているため、売りのエネルギーが弱くなっていることが多い。つまり、同じ悪材料でも下げが浅くなる現象が起きやすいのです。
12-2. 二次波の狙い方(初心者向けの安全版)
二次波を狙うなら、次の条件が揃ったときだけに絞ってください。
- 一次波の急落後に、いったん5日線〜20日線まで戻している(戻りがあった)
- 二次波の悪材料で下げるが、一次波の安値は割らない
- 出来高が一次波より明らかに少ない(投げ売りが減っている)
- 当日の終値が、日中安値から戻して引ける
このパターンは、売り方が“弾切れ”になりやすく、反発の確率が上がります。入るときは一次波と同じく小さく始め、損切りは一次波安値割れに置くのが分かりやすい。
12-3. 二次波が危険なケース
二次波が危険なのは、悪材料が「詳細化」ではなく「拡大」する時です。たとえば対象範囲が広がった、例外が削られた、実施が前倒しになった、など。これはA→B、B→Cへシナリオが悪化しているサインです。この場合は、二次波の逆張りは成立しにくい。
13. よくある失敗パターンと、避けるための処方箋
13-1. 失敗:ニュースの意味を“雰囲気”で判断する
地政学ニュースは専門用語が多く、雰囲気で「ヤバそう」と感じやすい。だからこそ、記事中で説明した4つの質問に落とし込んでください。範囲、代替、需要、価格。これ以外は後回しで構いません。
13-2. 失敗:底を当てようとする
逆張りの本質は「底当て」ではなく「歪み取り」です。底を当てようとすると、初動に手を出し、最も危険な時間帯でポジションを抱えがちになります。時間差で入る。これが最大の安全装置です。
13-3. 失敗:利確を伸ばしすぎる
戻りを取ったのに、さらに上を狙って結局建値割れ、というのは典型です。地政学逆張りは“恐怖プレミアム”の剥落で利益を取る戦略。恐怖が剥がれたら撤退。これが合理的です。
13-4. 失敗:一度負けたイベントでムキになる
地政学は確率のゲームです。負けたら「自分の分析が悪い」と決めつけず、シナリオがCだった、という結論でも構いません。重要なのは、損失を限定して次に備えることです。資金が残れば、勝てる場面で勝てます。
14. すぐ使えるテンプレ:あなた専用の売買メモを作る
最後に、毎回同じ型で記録できるテンプレを置きます。紙でもメモアプリでも構いません。これがあると、トレードが安定します。
- イベント名:(例:輸出規制強化報道、制裁、補助金条件など)
- 分類:A / B / C
- 対象範囲:(先端のみ/広範囲/猶予あり 等)
- 銘柄の位置:設計/製造/装置/材料/後工程
- 売られすぎ条件:ATR倍率、出来高倍率、乖離率
- 初回エントリー条件:(安値更新なし、寄り後の動き)
- 損切り:(イベント安値割れ、または別条件)
- 利確:(窓埋め、戻り抵抗線 等)
- 振り返り:(次回改善点を1つだけ書く)
テンプレ化すると、地政学イベントのような“怖いニュース”でも、手順通りに判断できるようになります。結果として、無駄な損失が減り、狙うべき局面に集中できます。
15. 発展:指数やETFで“間接的に”半導体逆張りをする
個別銘柄は情報量が多くて怖い、という場合は、半導体関連の指数・ETFを使って「分散された半導体逆張り」をする手もあります。ここでの狙いは、特定企業の個別リスクを薄めつつ、地政学ショックで売られすぎたセクター全体の戻りを取ることです。
考え方は同じで、急落(ATR倍率・出来高)と、反転の兆し(安値更新なし、引けの戻し)を確認し、段階エントリーします。個別より戻りは鈍いことがありますが、想定外の悪材料が特定企業に刺さるリスクは下がります。
15-1. セクター逆張りの注意点
セクターでやる場合は、地政学ショックと同時に「景気後退」「金利急騰」など別の悪材料が重なると戻りが弱くなります。半導体は景気敏感でもあるため、イベントだけでなくマクロ(指数全体の地合い)も最低限チェックしてください。
16. 最終チェック:この戦略が向いている人・向かない人
向いている人:ルールに従って小さく入り、損切りを機械的にできる人。ニュースを見てもすぐポジションを取りたくならない人。
向かない人:含み損に耐えられずナンピンしがちな人、損切りを先延ばしする人、短期で一発逆転を狙う人。逆張りは“地味に積む”戦略で、一撃必殺ではありません。
以上で、半導体サプライチェーンの地政学イベントを材料にした逆張り戦略の設計図を一通り提示しました。次にやることは、銘柄名を探すことではなく、自分のルール(閾値)を1つ決め、過去チャートで数回だけ検証することです。小さく検証し、修正し、運用に落とす。これが、再現性のある利益への最短ルートです。


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