信用評価損益率の底打ち:追証売り一巡後の反発を『定量』で取りにいく実戦手順

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はじめに:『信用評価損益率』は、個人投資家の“痛み”を数値化した需給指標

株価が急落したあとに「そろそろ底では?」という声が出ます。しかし、底打ちの議論は感覚に寄りがちです。ここで使えるのが信用評価損益率です。これは信用買い残(主に個人の信用建玉)の含み損益を集計した指標で、簡単に言えば「信用買い勢がどれくらい苦しいか」を数字で表したものです。評価損益率が大きくマイナスに沈むほど、信用買い勢は含み損を抱え、追証(追加証拠金)やロスカットに追い込まれやすくなります。

重要なのは、評価損益率が底(強いマイナス)をつけた直後に株価が必ず上がるわけではない点です。底打ちは“時間”を要します。そこで本記事では、信用評価損益率を単体で神格化せず、出来高・値幅・需給イベント(追証)・市場全体のリスク指標を組み合わせて「反発を取りに行ける局面」を実務レベルの手順に落とし込みます。

信用評価損益率とは何か:定義・見方・誤解しやすいポイント

信用評価損益率は、信用取引の買い方(信用買い)の建玉が、平均でどれくらい含み益・含み損かを示す指標です。一般に0%が損益ゼロ、マイナスが含み損、プラスが含み益です。多くの情報ベンダーでは市場全体(東証全体や特定市場)で集計した値を提供しています。

誤解しやすいポイントは2つあります。1つ目は「評価損益率が大幅マイナス=絶対底」という誤解。実際には、相場環境(金融政策・信用収縮・セクター崩れ)によっては、マイナスが続いたまま下落が長引くことがあります。2つ目は「市場全体の評価損益率を見れば個別銘柄も同じに動く」という誤解です。個別銘柄は材料・需給・浮動株・信用倍率が違うため、市場全体の“気温”は分かっても、個別の“体温”は別に測る必要があります。

なぜ底打ちで効くのか:追証と投げ売りが“最後の売り”になるメカニズム

急落局面では、買いポジションに含み損が溜まり、証拠金維持率が低下します。維持率が一定水準を下回ると追証が発生し、追加資金の入金か建玉の返済(強制決済)が必要になります。資金を追加できない投資家は、持ち株を売却して現金化するしかありません。これが追証売りです。

追証売りは、相場の最後にまとまって出やすい特徴があります。なぜなら、急落の初期では「そのうち戻る」と耐える人が多く、下落が継続して初めて資金繰りが詰まるからです。信用評価損益率が大きく悪化しているときは、信用買い勢の含み損が広がり、追証が発生しやすい状態です。そして追証売りが出尽くすと、売り圧力が一気に減ります。売りが減れば、少しの買いでも価格が戻りやすくなります。これが「追証売り一巡後の反発」という現象の骨格です。

“底打ちのシグナル”は単一ではない:3層で判定する

ここから実戦的にします。底打ちは、(1)需給の枯渇(売りの終わり)、(2)価格の反応(下げ止まりの形)、(3)環境の改善(市場全体のリスク低下)の3層で判定します。信用評価損益率は(1)需給の枯渇に強いですが、(2)(3)が伴わないと“底っぽいのに落ちる”が起きます。

判定①:評価損益率の“水準”より“変化”を見る

評価損益率で見るべきは絶対水準だけではありません。重要なのは下落が止まったあとに、損益率がさらに悪化しなくなる(悪化ペースが鈍る)ことです。これは追証売りが出た後に、残存する信用買いが減り、含み損の拡大が止まりやすくなるためです。

実務では次のように扱います。評価損益率が極端に悪い水準(例:-10%〜-15%など、これは市場や時期で変動)に沈んだら「底候補」にチェックを入れます。ただし買いません。次に、指数や主力株がさらに下げても評価損益率が“急激には”悪化しなくなったら、「投げが進んだ可能性」を上げます。ここで初めて、価格の形と出来高の検証に進みます。

判定②:出来高と値幅で“投げ”を確認する

追証売りが一巡する局面では、出来高が膨らみやすいです。特に指数が大きく下げた日に、出来高が突出して増え、ヒゲを伴う大陰線→翌日以降に下げ渋るような形が出やすくなります。これは恐怖のピークでの投げ売りと、その後の買い戻し(ショートカバーや逆張り)が混在するためです。

具体例を作ります。日経平均が急落している最中、あなたが見ている銘柄A(東証プライム、流動性は十分)が、前日比-8%で寄り付き、場中にさらに売られて-12%まで下げたあと、引けにかけて買い戻され-6%で引けたとします。出来高は過去20日平均の3倍。この日を「投げの可能性」として記録します。翌日、同銘柄がギャップダウンせず、寄り付きから安値を更新しない(前日安値を割ってもすぐ戻す)なら、需給が変わり始めたと判断できます。

判定③:市場全体の“リスク温度”を下げる確認

個別が反発しても、市場全体がパニック状態だと二段底・三段底になりやすいです。市場全体の温度を測る簡便な方法は、指数(TOPIXや日経平均)のボラティリティ上昇が鈍るか、急落日の翌日に“全面安”ではなくなるかを見ることです。ニュースで恐怖を煽る見出しが出ても、値動きが極端でなくなるなら、売りのピークアウトが近い可能性があります。

買い方の設計:一括で当てに行かない。3回に分けて取りに行く

底打ち局面の最大の敵は「早すぎるエントリー」です。そこで、買いを3回に分割します。ここが本記事の核です。評価損益率は底候補を示すだけで、エントリーは価格と出来高で行います。

第1弾:観測買い(小さく)。条件は「投げの形(出来高急増+下ヒゲ)」「翌日以降に安値更新が止まる」「指数の下落スピードが鈍る」の3つが揃ったとき。資金の10〜20%だけ入れます。目的は利益ではなく、相場の質が変わったかの確認です。損切りは明確に置きます。前日安値を終値で明確に割り込んだら撤退、などです。

第2弾:確認買い(中サイズ)。条件は「5日移動平均を回復」「出来高は落ち着き始めるが下げない」「市場全体で主力株の下げが止まる」。ここで30〜40%を追加します。第1弾で“相場が底ではない”と判明していれば、第2弾は入れません。

第3弾:ブレイク買い(最大)。条件は「直近の戻り高値(ネックライン)を上抜く」「上抜き日に出来高が増える」。ここで残りを入れます。ここまで来ると“底当て”ではなく“反転の追随”なので再現性が上がります。底値からは離れますが、勝率は上がります。

損切りと撤退:底打ち狙いは“損を小さく”が生命線

底打ち狙いで最も重要なのは、損切りの設計です。「底だから」と耐えるのは最悪です。理由は単純で、底は外れるからです。外れたときに大損すると、次に本物の底が来ても動けません。

ルールは機械的にします。第1弾は損切りが浅くて良いです。例えば「投げの日の安値割れ」または「投げの日の終値割れ」など。第2弾は「5日線割れ」「出来高を伴う陰線での直近安値割れ」など。第3弾は「ブレイクした水準への押し戻しが2回続いたら撤退」など。これらは銘柄の値動きの荒さで調整しますが、“撤退条件を先に決める”ことが必須です。

利確の設計:反発は“早い、短い”前提で段階利確する

追証売り一巡後の反発は、急激に上がりやすい一方で、長続きしないことも多いです。理由は、上がると「助かった人」が売ってくるからです。これが戻り売りです。したがって、利確は段階化します。

具体的には、(1)直近の出来高多発帯(しこり玉が多い価格帯)に到達したら一部利確、(2)25日移動平均や前回急落の起点(窓埋め水準)に到達したらさらに利確、(3)最後はトレンドが続くならトレーリングで追う、という形です。反発局面は“取り切る”より“取り逃さない”が勝ちやすいです。

個別銘柄の選び方:評価損益率は市場全体、銘柄は需給と事業で選別

底打ち局面で「何を買うか」はパフォーマンスに直結します。私は次の3タイプに分けます。

タイプA:指数連動で売られた優良株。業績が崩れていないのに相場全体のリスクオフで一緒に売られた銘柄です。反発が素直で、戻りも大きい傾向があります。例として、財務が健全でキャッシュフローが安定し、直近決算でガイダンスが維持されているのに、指数下落で連れ安した銘柄が該当します。

タイプB:信用買い残が多いが、流動性が十分な銘柄。追証売りが出やすい反面、出尽くすと反発が大きいです。ただし危険も大きいので、分割買いと損切りを厳格に適用します。信用倍率や貸借区分、出来高を必ず確認します。

タイプC:材料で売られた銘柄。決算ミス、下方修正、訴訟、規制など。これは底打ち狙いに不向きです。追証売りが出ても、ファンダメンタルの再評価が終わっていない可能性が高いからです。「相場の問題で売られたのか」「会社の問題で売られたのか」を分けます。

初心者向けに、具体的な“監視テンプレ”を作る

初心者が迷うのは「毎日何を見ればいいか」です。ここでは文章で手順化します。紙に書いてルーチンにしてください。

まず、毎週末に市場全体の信用評価損益率を確認し、「悪化しているのか」「悪化が鈍っているのか」「改善しているのか」をメモします。次に、日々の指数の動きで、急落日が出たら出来高と値幅を記録します。あなたの監視リスト(10〜20銘柄)について、急落日に(a)出来高が20日平均の何倍か、(b)引けで戻したか、(c)翌日に安値更新したか、をチェックします。

そして「投げの可能性」が出た銘柄だけに絞り、第1弾の観測買い条件(安値更新停止+指数の下落鈍化)を待ちます。条件が揃わなければ、何もしません。これが最重要です。何もしないことが、底打ち局面では最大の武器になります。

ケーススタディ:二段底を食らうパターンと回避策

底打ち狙いで多い失敗が二段底です。典型例は「評価損益率が悪化→出来高急増→買う→その後に指数がもう一段崩れて再び投げが出る」という流れです。回避策は3つです。

1つ目は第1弾を小さくすること。観測買いは“相場チェック”なので、損失が出ても軽いサイズにします。2つ目は撤退条件を終値ベースで置くこと。場中のヒゲで振り落とされないよう、銘柄特性に合わせて「終値で安値割れ」などにします(ただし損が大きくなる場合は不可)。3つ目は第2弾を急がないこと。5日線回復や高値切り上げなど、相場が明らかに反転したサインを待ちます。

“信用評価損益率”をさらに武器化する:組み合わせると強い2つのデータ

ここから一段踏み込みます。評価損益率を武器化するには、他の需給データと組み合わせます。

組み合わせ①:信用買い残(残高)の増減。評価損益率が悪いのに信用買い残が減っていないなら、投げがまだ出ていない可能性があります。逆に、評価損益率が悪い局面で信用買い残が急減しているなら、追証売りやロスカットが進んだ可能性が高いです。底打ち候補の信頼度が上がります。

組み合わせ②:貸借倍率と逆日歩の兆候。貸借銘柄では、売り方(信用売り)が増えると踏み上げの燃料になります。急落後に売りが積み上がり、反発で買い戻しが入りやすい状態になります。ただし、これは短期の需給に過ぎません。あくまで“反発の加速要因”として扱い、主役は出来高と価格の形に置きます。

やってはいけないこと:底打ち局面で資産を壊す行動

底打ち局面で致命的なのは、(1)ナンピンの無計画化、(2)レバレッジの過大化、(3)材料株への突撃、の3つです。

ナンピンは「分割買い」と似ていますが、撤退条件がないナンピンは別物です。分割買いは“条件が改善したら追加”であり、ナンピンは“下がったから追加”になりやすい。底打ち局面で後者をやると、二段底で破壊されます。

また、信用取引で底打ちを狙うときは、現物よりも撤退が難しくなります。評価損益率が悪い局面は市場全体が荒れているので、想定以上にギャップが出ます。初心者は現物中心で、どうしても信用を使うなら建玉を小さくし、建値からの許容損失を金額で固定してください。

まとめ:『底を当てる』から『底打ちの反発を取りに行く』へ

信用評価損益率は、投資家の痛みが最大化しているかどうかを測る有力な需給指標です。ただし、単体では売買判断になりません。本記事で示したように、評価損益率で底候補を見つけ、出来高と値幅で投げを確認し、市場全体のリスク温度が下がるのを待って、3分割でポジションを作る。この手順なら、底当てのギャンブルから距離を置きつつ、反発局面のリターンを狙えます。

最後にもう一度。底打ち局面は「当てるゲーム」ではなく「外れたときに小さく負けるゲーム」です。撤退条件を先に決め、サイズを管理し、条件が揃うまで待つ。これだけで、底打ち狙いの成績は大きく改善します。

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