VIX(恐怖指数)が1日で+20%超上昇する局面は、相場の空気が一気に変わった“リスクオフの衝撃波”です。ニュースの見出しは不安を煽り、SNSは悲観で埋まり、板や先物は荒れ、指数はギャップダウンしやすい。ところが、こうした「恐怖の爆発」は、翌日に“恐怖のピークアウト(行き過ぎ)”として戻りが出やすい局面でもあります。
本記事は「VIXが前日比+20%超上昇した翌日の寄り付きで逆張り」を、初心者でも運用できるように、条件・銘柄選定・執行・損切り・利確を一つの業務フローとして落とし込みます。単なる“逆張りは儲かる”ではなく、どこで、何を見て、何を買い、どこで逃げるかを具体化します。
- まず押さえるべき前提:VIXの急騰は「不安の速度」を表す
- この戦略のコア:翌日寄りの“需給の歪み”を狙う
- 対象は何を買うべきか:指数か、セクターか、個別か
- エントリー設計:逆張りの“タイミング”は寄りではなく「寄り後」
- 必須の監視指標:前日VIX+20%だけでは足りない
- 実務フロー:寄り付き逆張りを「IF-THEN」で運用する
- 損切り設計:逆張りで最も重要なのは“撤退の速さ”
- 利確設計:目標は「取り切る」ではなく「再現性を最大化」
- 具体例:想定シナリオで手順を追う
- 日本株への応用:米VIX急騰→翌日東京で取りやすい銘柄の選び方
- よくある失敗パターンと潰し方
- 検証のすすめ:あなたの“市場”で再現するためのバックテスト視点
- まとめ:この戦略は「恐怖のピーク」にだけ反応する
まず押さえるべき前提:VIXの急騰は「不安の速度」を表す
VIXはS&P500のオプション価格から算出される将来ボラティリティ(変動率)の期待値です。ポイントは「株価そのもの」ではなく、不安の“織り込み速度”が急激に上がると跳ねる、ということです。
VIXが+20%を超える日(例えば20→24、18→22など)は、相場が一斉にヘッジを求めた日になりやすい。ヘッジ需要が集中すると、指数は下がり、先物は売られ、裁定解消も走り、信用・レバレッジ勢の投げも発生します。ここで重要なのは、投げが“市場全体の一斉行動”になった時、翌日に反動が出やすいという統計的性質です。
ただし、ここで勘違いしがちなのが「必ず戻る」ではありません。急落が“トレンドの初動”のこともあります。だからこそ、翌日の逆張りは、反発の芽が出た時だけ乗る設計が必須です。
この戦略のコア:翌日寄りの“需給の歪み”を狙う
VIX急騰の翌日は、寄り付き前の段階で既に以下が起こりがちです。
1) 前日売れなかった人が寄りで投げる:夜間に恐怖が増幅し「寄りで全部切る」が増える。
2) ショート勢が利益確定したくなる:前日の下げで乗れた人は、寄りで利を確定しやすい。
3) ヘッジが一巡してオプション需給が落ち着く:極端なヘッジ需要は永遠には続かない。
つまり、寄り付きは“売りが最後に集まる場所”になりやすい。一方で、その売りが出切った瞬間に、ショートの買い戻し・裁定の買い・長期の押し目買いが重なり、短期の反発が発生しやすい。ここを取りにいきます。
対象は何を買うべきか:指数か、セクターか、個別か
初心者が最初に触るなら、指数連動(S&P500、NASDAQ100)が基本です。理由はシンプルで、「VIX急騰」という条件は市場全体イベントであり、個別要因のノイズを減らした方が再現性が上がるからです。
具体的には以下の優先順位がおすすめです。
優先度A(最も素直):S&P500連動ETF、先物、CFDなど。市場全体のリバを狙う。
優先度B(反発が鋭いが難度が上がる):NASDAQ100(ハイβ)。戻りは大きいが、続落も鋭い。
優先度C(上級寄り):個別株。決算や悪材料が絡むと、指数反発でも個別は戻らないことがある。
日本株で応用する場合は、米国VIX急騰→米株急落→翌日米株反発→東京時間で指数寄与度上位が反応、という流れを取りにいきます。ここは後半で手順化します。
エントリー設計:逆張りの“タイミング”は寄りではなく「寄り後」
この戦略の最大の失敗は「寄り付き成行で買う」ことです。寄りは“投げの本番”で、底ではないことが普通にあります。よって、エントリーは必ず寄り後の条件成立にします。
必須の監視指標:前日VIX+20%だけでは足りない
「VIXが+20%」は“候補日フィルター”です。翌日寄りの逆張りを成立させるには、最低限、次の3つを確認します。
(A) 先物の夜間レンジ:夜間で下げ続けているのか、どこかで止まったのか。下げが止まっているほど翌日の反発が起きやすい。
(B) 寄り付きのギャップ:ギャップが極端に大きいほど、寄りの投げが集中しやすい=反動余地が出やすい。ただし、ギャップが小さい場合でも反発はある。
(C) 寄り後5〜15分の値動き:最初の下げを更新できない、あるいは下ヒゲを作るなど、“売りが弱くなった兆候”が必要。
実務フロー:寄り付き逆張りを「IF-THEN」で運用する
以下は、指数(S&P500連動)での“テンプレ”です。あなたの取引環境に合わせて、数値は微調整してください。
前日(VIXが+20%超上昇した日)の夜にやること
・VIXの終値(前日比%)を記録し、翌日を“監視日”に指定する。
・S&P500先物(または連動ETF)の夜間の安値・高値・終値をメモする。
・翌日の重要イベント(指標、要人発言など)が寄り直後にあるかを確認する(乱高下リスクの把握)。
翌日(寄り付き当日)にやること
ステップ1:寄り付き5分は“観察だけ”。
ステップ2:次の条件を満たしたら、初回エントリーを検討。
エントリー条件(例)
・寄り付き後の最初の5分足で、安値を更新しても「すぐ戻して下ヒゲ」になった。
・5分足終値が、寄り付き価格より上(もしくはVWAPを回復)。
・出来高が寄り直後ピークで、その後に増えない(投げの一巡)。
執行ルール(例)
・初回は資金の30〜50%だけ入れる(いきなりフルはしない)。
・追加は「直近高値を更新」または「VWAP上での押し目」が確認できたときだけ。
損切り設計:逆張りで最も重要なのは“撤退の速さ”
逆張りは、当たる時は早いが、外れた時は痛い。ここを雑にすると、一発で数日分の利益が飛びます。損切りは次の2系統で設計します。
1) 価格ベースの損切り:寄り後に付けた安値を明確に割ったら撤退。迷わない。
2) 時間ベースの損切り:エントリー後に反発が起きず、一定時間(例:15〜30分)で横ばい〜下落なら撤退。これは“反発の初動取り”という戦略定義を守るため。
初心者がやりがちなのは「少し戻るまで耐える」ですが、VIX急騰局面はボラが高く、含み損が膨らむ速度が速い。“戻るまで待つ”は戦略ではなく願望です。
利確設計:目標は「取り切る」ではなく「再現性を最大化」
VIX急騰翌日の反発は、寄りの投げが一巡した“短期の反動”であることが多い。よって、利確も短期に寄せます。代表的な利確ポイントは以下です。
・VWAP到達:寄りで大きく下から始まった日は、VWAPが強い磁石になります。最初のタッチで部分利確。
・前日終値近辺:ギャップダウンを埋めにいく動きが出たら、そこで利確が合理的。
・前場高値:前場の戻り高値で反落しやすいので、到達前後で利確を進める。
コツは「半分利確→残りはトレール」。これで“勝ちを小さくしすぎず、負けを大きくしない”形になります。
具体例:想定シナリオで手順を追う
以下は数値を単純化した例です(理解用)。
前日:S&P500が-2.5%、VIXが20→25(+25%)。ニュースで不安が拡大。
夜間:先物は一時-1.0%まで売られたが、後半は横ばいで終了。
翌日寄り:ギャップダウンで開始し、最初の5分でさらに下げるが、安値更新後に急反発して下ヒゲが出た。
この時の行動はこうです。
・最初の5分は見送る(投げのピークを観察)。
・5分足が下ヒゲで確定し、次の足で安値を割らずに切り返したら、初回30%で入る。
・価格がVWAPを上抜け、押し目でもVWAPを割らないのを確認したら、追加で20%。
・VWAPタッチで半分利確。前場高値更新が失敗したら残りも利確。
・もし安値を割ったら即撤退(価格損切り)。
日本株への応用:米VIX急騰→翌日東京で取りやすい銘柄の選び方
日本株でこの戦略をやる場合、テーマは「米株の恐怖→翌日反発→日本の指数寄与銘柄が寄りから戻る」です。個別要因を排除しやすい銘柄選びが重要です。
狙い方の基本
・日経平均寄与度が高い大型株(値嵩)や、TOPIXコア銘柄を優先。
・前日に指数より過剰に売られた銘柄(ギャップダウンが大きい)が“反動の餌”になりやすい。
・ただし、個別の悪材料(決算ミス、下方修正など)が出ている銘柄は除外。
東京でのエントリー条件(例)
・寄り付き後5分で安値を割らず下ヒゲ、かつ指数先物が下げ止まり。
・5分足終値がVWAPを回復、または前の5分足高値を更新。
・板が薄い小型は避け、スリッページが管理できる銘柄に限定。
よくある失敗パターンと潰し方
失敗1:寄りでナンピンしてしまう
寄りの売りは“最後の投げ”の可能性もありますが、“本当の初動の下げ”の可能性もある。ナンピンは、戦略の前提(反発初動)を破壊します。対策は「寄り5分観察」「安値割れ即撤退」「追加は上で」。
失敗2:個別株でやってしまい、指数反発なのに負ける
個別は材料で動きます。指数反発が出ても、悪材料の個別は戻りません。対策は「指数か大型」「材料株は除外」「上ヒゲが多い銘柄は避ける」。
失敗3:利確が遅く、戻り天井で全部吐く
短期反動は“息切れ”が早い。対策は「VWAPで部分利確」「前場高値で整理」「トレールを使う」。
検証のすすめ:あなたの“市場”で再現するためのバックテスト視点
再現性を上げるなら、過去データで“条件→翌日の値動き”を確認します。難しい統計はいりません。最低限、次をメモするだけでも戦略の輪郭が見えます。
・VIXが+20%超の日付
・翌日のS&P500の寄り付きギャップ(前日終値比)
・翌日の前場(最初の1〜2時間)の最大戻り幅
・最安値更新の有無(寄り後に底割れしたか)
ここから「自分の損切り幅で耐えられる局面だけをやる」という最適化ができます。例えば、“底割れ率が高い局面(夜間も下げ続けた日)”は見送る、といったフィルターが作れます。
まとめ:この戦略は「恐怖のピーク」にだけ反応する
VIX+20%超の翌日は、相場が“感情の極端”に振れた直後です。だからこそ、寄り付きに売りが集まり、そこから反動が起きやすい。しかし、必ず戻るわけではない。勝ち筋は、寄りで飛び込まず、寄り後の反発の芽だけを拾い、撤退を速くすることにあります。
最初は指数で、ルールを固定して、負けを小さくしながら経験値を積んでください。VIX急騰は頻度が高いわけではありませんが、来た時に“型”があると、焦りではなく手順で動けます。それが最終的に、短期トレードの期待値を底上げします。


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