VWAP割れ戻り売りで狙う短期アルファ:板・歩み値・出来高で精度を上げる運用ガイド

株式投資

VWAP(出来高加重平均価格)は、短期トレーダーにとって「その日の平均的な約定水準」を示す実用的な基準線です。多くの参加者がVWAPを意識して発注するため、価格がVWAPを割る(下回る)と、買い手の心理が弱まりやすく、戻り局面では売りが出やすくなります。本記事では、「VWAPを明確に割った後の戻り(リテスト)を売る」という短期戦略を、初心者でも再現できる手順に落とし込みます。株だけでなく、FXや暗号資産でも同じ考え方で応用できます。

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1. VWAP割れ戻り売りとは何か(狙いどころを言語化する)

VWAP割れ戻り売りは、次の流れを狙います。

①上昇またはレンジ推移 → ②VWAPを割り込む(需給の転換) → ③一度戻る(買い戻し・逆張り買い) → ④VWAP付近で上値が重くなり再下落

この戦略の核心は、「VWAP割れ=その日の平均コストより下で売買が成立し始めた」ことにより、買い勢の含み損(または優位性の低下)が発生し、戻りでは利確売り・損切り売りが出やすいという構造です。つまり、VWAPは単なる線ではなく、参加者の平均損益と心理が集まりやすい水準だと理解すると、売るべき局面と見送るべき局面が明確になります。

2. この手法が機能しやすい相場・銘柄条件

VWAP割れ戻り売りは万能ではありません。機能しやすい条件を先に押さえると、無駄なトレードが減ります。

(1)トレンドが「上→弱い→下」に切り替わる日
例えば、寄り付きで上を試したが高値更新に失敗し、買いが続かず失速する日です。前日高値やラウンドナンバーで叩かれた後にVWAPを割ると、戻り売りが効きやすくなります。

(2)材料で急騰した後の“疲れ”が出た日
材料で飛んだ銘柄は、初動後に利確が優勢になりやすいです。VWAP割れは「初動が終わったサイン」になりやすく、戻り売りの根拠が作りやすいです。

(3)出来高が十分にある銘柄(流動性)
VWAPは出来高で重み付けされます。出来高が薄すぎるとVWAP自体の信頼性が落ち、ヒゲに振られやすくなります。板が薄い銘柄より、寄りから継続して出来高がある銘柄の方が再現性が上がります。

(4)指数が弱い/セクターが弱い環境
指数やセクターが下方向のときは、戻りが弱く、VWAP付近で叩かれやすいです。逆に指数が強いと、VWAP割れが“ダマシ”になりやすいので、環境認識は重要です。

3. エントリーの「型」:3つのシナリオを固定して迷いを減らす

VWAP割れ戻り売りは、戻りの形がいくつかあります。判断を単純化するため、代表的な3シナリオだけに絞って運用すると安定します。

シナリオA:VWAPリテストで反落(最も基本)
VWAPを下抜けた後、価格がVWAP付近まで戻り、そこで上値が止まり反落する形です。初心者はこれを主戦場にしてください。ポイントは「戻りで買いが続かない」ことを確認してから入ることです。

シナリオB:VWAPの少し手前で失速(弱い戻り)
VWAPに届かず、手前で失速するのは弱さのサインです。ただし早すぎる売りは踏まれやすいので、“戻り高値が切り下がった”など、形が出てから入ります。

シナリオC:VWAPを一瞬回復するが終値ベースで戻される(フェイク回復)
板が薄い銘柄やアルゴが多い銘柄では、VWAPを上に抜けて見せてから戻されることがあります。5分足の終値でVWAPを回復できずに戻されたら、売りの根拠になります。ただし難易度は高めなので、慣れるまで小さく試すのが現実的です。

4. 具体的な判断材料:VWAPだけで売らない(出来高・板・歩み値)

この手法の失敗原因の多くは「VWAPを割れたから」と線だけで機械的に売ってしまうことです。精度を上げるための観察ポイントを、実際の画面操作に近い形で整理します。

(1)出来高:戻り局面で出来高が細るか
理想は、VWAP割れの下落局面で出来高が増え、戻り局面で出来高が減る形です。戻りで出来高が増える場合は、買い勢が強い(またはショートの踏み上げ)可能性があるため、エントリーを遅らせるか見送ります。

(2)歩み値:成行買いが“連続”しても上がらないか
戻りで成行買いが増えているのに価格が伸びない場合、上で吸収されている(売りが待っている)可能性が高いです。これは戻り売りの強い材料になります。逆に成行買いが連続して価格も素直に上がるなら、まだ売りは早いです。

(3)板:VWAP付近に厚い売り板が出る/買い板が薄い
VWAP近辺で上に厚い売り板が出て、かつ下の買い板が薄い場合は、戻りが止まりやすいです。ただし見せ板もあるので、板の厚さだけで決めず、実際に約定が進んでいるか(歩み値)とセットで判断します。

(4)ローソク足:戻り高値の切り下げと陰線の連続
1分足または5分足で、戻り局面の高値が切り下がり、陰線が増えてくると売りのタイミングが作れます。「VWAPに当たった瞬間」ではなく、「当たって失速が確定した瞬間」を狙うのが安全です。

5. エントリー手順(初心者向けのチェックリスト化)

再現性を高めるため、エントリー前に最低限チェックする項目を固定します。以下は“最小セット”です。

チェック1:VWAPを下抜けたのは1分足のヒゲではなく実体か
ヒゲだけの割れはダマシが多いです。最低でも1分足の実体割れ、できれば5分足での実体割れを確認します。

チェック2:下抜け局面の出来高が戻り局面より強いか
下で出来高が出ている=売りが主導している可能性が高いです。逆なら見送ります。

チェック3:戻りでVWAP付近まで来たとき、上がり方が鈍いか
例えば、同じ量の買い(成行買い連続)が出ても上値が伸びない、上で何度も叩かれる、などです。

チェック4:直近の戻り高値が切り下がったか
“高値切り下げ”は戻り売りの基本形です。これが出るまで待つだけで、無理な逆行が減ります。

これらを満たしたら、エントリーは次のように組み立てます。「VWAP付近で失速→小さな戻り高値切り下げ→安値割れで入る」という順序です。最初から上で売り叩くのではなく、割れる動きに合わせて入ることで、損切りを小さくできます。

6. 損切りと利確:VWAP戦略は“損小利小”に見えて、設計次第で伸ばせる

短期スキャルは利益が小さくなりがちですが、損切りと利確の設計で期待値は大きく変わります。

(1)損切り:VWAP上抜け+戻り高値更新を基準にする
最も分かりやすい損切りは「VWAPを明確に回復し、戻り高値を更新した」状態です。VWAPを一瞬上抜けただけでは切らず、1分足または5分足の終値で上に定着したかを見ます。ただしボラが高い銘柄では遅すぎるので、“戻り高値更新”を優先して切る方が実戦的です。

(2)第1利確:直近安値(直前の押し安値)
戻り売りは「再下落の1波」を狙うため、まずは直近安値が基本ターゲットです。ここで半分利確してメンタルを安定させると、残りを伸ばしやすくなります。

(3)第2利確:前日安値・節目・出来高が溜まった価格帯
VWAP割れ戻り売りが効く日は、前日安値やラウンドナンバーで加速することがあります。出来高の多い価格帯(過去の滞留)もターゲットになります。ここまで狙う場合は、下落局面で出来高が増えていることが条件です。

(4)トレーリング:戻り高値の切り下げを追う
利益を伸ばすなら、1分足の戻り高値を段階的に更新したら撤退、というシンプルな追随が使えます。VWAP戦略は“平均に戻る”動きが多い一方、弱い日はトレンドが出るので、トレーリングがハマることがあります。

7. 具体例(株):寄り付き後に失速した銘柄でのシミュレーション

ここでは、よくある1日の値動きを例に、判断の流れを具体化します。数値は説明用の仮定です。

前提
・寄り付き 1,000円
・寄り後に1,030円まで上昇するが高値更新に失敗
・VWAPは時間経過で1,015円付近に形成

展開
10:00頃、株価が1,018円→1,012円へ下落し、1分足の実体でVWAP(1,015円)を割り込みます。この下落局面で出来高が増加。次に、短期の買い戻しと逆張り買いで1,014円→1,016円まで戻りますが、歩み値を見ると成行買いが出ても1,017円以上に伸びません。VWAP直上には売りが厚く、1,016円台で何度も叩かれます。

エントリー
ここで焦って1,016円で売るのではなく、1分足で戻り高値(1,016円)を付けた後、次の足で1,014円を割る動きに合わせて1,013円でショートします。損切りは戻り高値更新+VWAP上抜けが明確になった1,017円。

利確
まず直近安値の1,010円で半分利確。残りは前日安値が1,000円付近なら、そこまでの下落を狙い、途中の戻り高値切り下げを追ってトレーリングします。結果として、平均は1,010円~1,004円で利確できれば、リスクリワードは十分に取れます。

8. 具体例(FX・暗号資産):24時間市場でのVWAPの扱い方

FXや暗号資産は株と違い、取引時間が長く、日中の区切りも銘柄や取引所で異なります。それでもVWAPは有効ですが、「どのVWAPを使うか」を明確にする必要があります。

(1)セッションVWAP(東京・ロンドン・NY)
為替はセッションごとに参加者が入れ替わります。東京時間でVWAP割れ→戻り売りが成立しても、ロンドン開始で流れが変わることがあります。したがって、セッション開始からのVWAPを引き直して使うと、戻り売りの精度が上がります。

(2)アンカーVWAP(重要高値・重要安値・イベント起点)
CPIやFOMCなどのイベント後は、イベント足を起点にしたアンカーVWAPが効きやすいです。イベントで急変→アンカーVWAP割れ→戻り売り、という形は、短期の需給転換を捉えやすいです。

(3)暗号資産は“ダマシ”が多い前提で、終値確認を徹底
暗号資産はスプレッドや板の偏りでVWAP付近が荒れやすいです。1分足のヒゲで反応すると振られます。最低でも5分足終値での割れ・戻されを確認し、損切り幅も広めに設計します。

9. よくある失敗パターンと回避策

再現性を下げる典型的な落とし穴を、事前に潰しておきます。

失敗1:VWAPに触れた瞬間に売って踏まれる
VWAPは“ぶつかってから”が勝負です。触れた瞬間は流動性が高く、上にも下にも振れます。対策は、失速の証拠(戻り高値切り下げ、陰線連続、成行買いが効かない)を待つことです。

失敗2:強い地合いで逆張りショートしてしまう
指数が強い日は、VWAP割れが一時的になりやすいです。対策は、指数・先物・セクターを見て、戻り売りを“やらない日”を決めることです。

失敗3:薄い銘柄で板に振り回される
板が薄いと、VWAP付近で一瞬の成行で飛び、損切りが滑ります。対策は、出来高フィルター(例えば寄りから一定以上の売買代金)を設けることです。

失敗4:損切りが遅く、1回の負けで取り返せなくなる
短期戦略の最大の敵は大きな損です。VWAP戦略は“間違えたら早い”が正解です。戻り高値更新で即撤退、という単純ルールを優先してください。

10. 期待値を上げる運用設計(ルールを数値に落とす)

最後に、実際に検証しやすい形へ落とし込みます。以下は、個人でも再現しやすい設計例です。

ルール例(株・1分足)
・エントリー条件:VWAPを1分足実体で下抜け → その後の戻りでVWAP±0.2%以内まで接近 → 戻り高値切り下げ後、直近安値割れで成行または指値で売り
・損切り:戻り高値更新 または VWAP上で1分足終値が2本連続
・利確:直近安値で半分、残りは前日安値 or ラウンドナンバーまで、途中は戻り高値切り下げでトレーリング

検証のコツ
最初から完璧な数式化を狙うより、「割れ方」「戻り方」「出来高の変化」の3点をスクリーンショットで蓄積し、勝ちパターンと負けパターンを分類する方が早く上達します。特に、負けトレードは「地合いが強かった」「戻りで出来高が増えていた」など、原因が見えることが多いので、次の改善に直結します。

11. まとめ:VWAPは“平均”ではなく“群衆の損益”として扱う

VWAP割れ戻り売りは、単なるテクニカルの形ではなく、その日の平均コストを割ったことで生じる心理・需給の変化を利用する手法です。初心者が最短で成果を出すには、(1)VWAP実体割れを確認する、(2)戻りでの弱さ(出来高減少・歩み値の吸収)を確認する、(3)戻り高値切り下げから入る、(4)損切りを機械的に早くする、の4点を守ることが重要です。

この4点を徹底すれば、無理に当てにいくトレードが減り、負けを小さく保ちながら勝ちを積み上げる設計が可能になります。まずは「シナリオA(VWAPリテスト反落)」だけに絞って検証し、勝ちパターンが固まってからロットを上げてください。

12. ロット管理:勝率より先に「1回の損失上限」を決める

短期売買で安定しない最大要因は、エントリー精度よりもロットのブレです。VWAP割れ戻り売りは、当たると素直に下がる一方、外すとVWAP回復から踏まれやすいので、最初に損失の上限を固定します。

現実的な方法は、1回のトレードで失ってよい金額(例:資金の0.3%〜0.7%)を決め、損切り幅(円・pips)から逆算して株数/ロットを計算することです。例えば資金100万円で損失上限0.5%(5,000円)、損切り幅が4円なら、最大は1,250株になります。これを毎回やるだけで、連敗しても致命傷になりにくい運用に変わります。

なお、VWAP付近は値動きが荒れやすいので、損切り幅を小さくしすぎるとノイズで刈られます。初心者は「損切りをタイトにする」より、ロットを落として損切り幅を確保する方が勝ちやすいです。

13. 時間帯の癖:寄り・前場中盤・後場寄りで“効き方”が違う

VWAPは時間が進むほど安定し、序盤ほどブレます。そのため、同じVWAP割れ戻りでも時間帯で期待値が変わります。

寄り付き〜30分は、VWAPがまだ形成途上で、上にも下にも振れやすいです。この時間帯は「VWAP割れ」よりも、前日高値・寄り高値など明確な節目の方が効きます。VWAPを使うなら、割れた後の戻りで“伸びない”ことをより厳格に確認してください。

前場中盤〜後場寄り前は、VWAPが参加者の平均コストとして機能しやすく、最も戻り売りが組み立てやすい時間帯です。出来高の増減も読みやすく、歩み値の吸収も判定しやすくなります。

後場寄り直後は、PTS・昼休みの材料でギャップが出ることがあり、VWAPに一気に近づく(または乖離する)ケースがあります。この場合は、後場の最初の5分足が確定するまで待ち、VWAP付近の攻防が落ち着いてから仕掛けると、無駄な往復ビンタが減ります。

14. マルチタイムフレーム:5分足の形で「やってはいけない売り」を排除する

1分足はエントリー精度を上げる一方、ノイズも増えます。そこで、5分足で大局を確認してから1分足で入る、という順序にすると、初心者でもミスが減ります。

具体的には、5分足で「VWAP割れ後に戻りが弱い」「戻り高値が切り下がっている」「下落足の出来高が相対的に大きい」といった“弱さの証拠”が出ているかを見ます。5分足がまだ強い(陽線が続く、押し目が浅い)なら、1分足で売りサインが出ても見送る方が得策です。

また、5分足のボリンジャーバンド中心線や短期移動平均(例:20本)とVWAPが近い位置にあると、反発・反落が大きくなりやすいです。こうした“節目が重なる場所”では、利確も早めに入れておくと収益が安定します。

15. 注文の工夫:成行で叩くより「失速を確認して指値」を基本にする

戻り売りは「上で売って下で買い戻す」ため、エントリー価格が少し違うだけで損益が大きく変わります。初心者ほど成行で叩きたくなりますが、VWAP付近は約定が混み合い、思ったより不利な価格で約定することがあります。

おすすめは、失速を確認→戻り高値切り下げ→安値割れの瞬間に指値を置く方法です。例えば、安値割れが1,013円なら1,013円に売り指値を置き、刺さらなければ見送る、と割り切ります。刺さらないトレードは「最初から期待値が低かった」ことが多く、無理に追いかけると逆行する場面に巻き込まれやすいです。

一方、急落局面での利確は成行でも問題ないことが多いです。利確は“逃げ遅れ”が損失に直結しにくいので、慣れるまでは利確を優先して取りこぼしを減らす方が現実的です。

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