ボリンジャーバンドの「±2σ(2シグマ)」は、多くのチャートに標準搭載されているのに、使い方が雑だと一瞬で資金が溶けます。理由は単純で、2σに触れた・抜けた、という事実だけでは「トレンド発生」なのか「行き過ぎ(平均回帰)」なのか判定できないからです。
この記事では、2σ突破を見た瞬間に迷わないために、状況を2パターンに分類し、それぞれに最適化したエントリー・損切り・利確・見送り条件まで、初心者でも再現できる形に落とし込みます。対象は株・FX・暗号資産すべてで通用するように書きます。
- まず結論:2σ突破は「勝ちパターンが2種類」ある
- 準備:ボリンジャーバンド設定と、見るべき3つの情報
- 2σ突破を「順張り」にする判定基準
- 順張りルール1:バンドスクイーズ→拡大(ボラの目覚め)を狙う
- 順張りルール2:終値で2σの外に出たら「次の足」で追随する
- 順張りルール3:損切りは「ミドルバンド割れ」で統一する
- 順張りルール4:利確は「1回目は部分利確、残りはトレーリング」
- 2σ突破を「逆張り」にする判定基準
- 逆張りルール1:バンド外→次の足でバンド内に戻ったら「行き過ぎ」候補
- 逆張りルール2:エントリーは「戻り確認後の戻り売り(買い)」にする
- 逆張りの損切り:高値更新で即撤退、利確はミドル到達で一部
- 順張りか逆張りか迷ったら見る「バンドの傾き」
- 初心者がやりがちな失敗と、回避策
- 実戦シナリオ:日本株デイトレでの2σ突破の使い方
- 実戦シナリオ:ドル円スキャルでの2σ突破の使い方
- 実戦シナリオ:ビットコイン短期での2σ突破の使い方
- 検証のやり方:初心者でもできる「手計測バックテスト」
- まとめ:2σ突破は「形」を見れば武器になる
- 「バンド幅」で市場環境を分類すると、ムダな負けが減る
- マルチタイムフレーム:上位足の向きに逆らわない
- 注文の置き方:成行・指値・逆指値の使い分け
- ロット管理:損切り幅から先にポジション量を決める
- 具体的な数値例:順張りの1トレードを文章で再現する
- 2σ突破と相性が良い補助指標:使い方を間違えない
- ニュース・決算・指標が絡むときの扱い
- 最後に:チェック項目を文章化して、迷いを消す
まず結論:2σ突破は「勝ちパターンが2種類」ある
2σを上に抜けた(上抜け)場合でも、勝ち筋は大きく2種類あります。
(A)トレンド継続型(順張り):バンドが拡大しながら、上抜け後も価格がバンド上側に“張り付く”。このときの2σ突破は「加速の合図」です。
(B)行き過ぎ反転型(逆張り):バンドがあまり拡大せず、上抜けが一瞬で終わり、次の足でバンド内に戻る。これは「買いの燃料切れ」のサインになりやすいです。
要するに、同じ2σ突破でも“バンドの形とローソク足の戻り方”で別物です。以下、判定を機械的にします。
準備:ボリンジャーバンド設定と、見るべき3つの情報
一般的な設定は「期間20・σ=2」です。最初はこれで固定してください。期間やσをいじると、検証が破綻します。
2σ突破を判断するとき、ボリンジャーバンド単体では不十分なので、最低限以下の3つを同時に見ます。
1)バンド幅(BandWidth):バンドが広がっているのか、縮んでいるのか。縮小→拡大へ転換する瞬間は“方向が出やすい”。
2)移動平均(ミドルバンド):ミドルが上向きなら、上抜けは順張り優位。ミドルが横ばいなら、突破はダマシになりやすい。
3)出来高(株)/ティックボリューム(FX)/約定量(暗号資産):突破の足で増えているか。増えていない突破は“薄い相場のヒゲ”になりやすい。
2σ突破を「順張り」にする判定基準
順張りで狙うべきは、2σ突破が“トレンドの始まりか継続”であるケースです。初心者はここだけでも十分戦えます。
順張りルール1:バンドスクイーズ→拡大(ボラの目覚め)を狙う
最も勝ちやすい形は、バンドが細くなった後に一気に広がり、価格が2σを抜ける形です。いわゆる「スクイーズからのブレイク」です。
見分け方は簡単で、直近の数十本でバンド幅が縮小している(チャートが“締まっている”)状態から、突破の足でバンドが広がり始めます。ここで重要なのは、「縮んでいる時間が長いほど、解放の値幅が大きくなりやすい」という点です。
具体例(株):数週間レンジだった銘柄が、決算や材料で出来高を伴って上に跳ね、終値が2σの外。翌日もギャップアップしてバンド上側を走る。これは順張りの教科書です。
具体例(FX):東京時間は動かず、ロンドン入りでレンジ上限を抜け、2σ外でクローズ。NY時間も押しが浅い。ボラが出る時間帯に合致しているので継続しやすい。
順張りルール2:終値で2σの外に出たら「次の足」で追随する
突破の瞬間に飛びつくと、ヒゲで終わって戻される“ダマシ”を食らいます。そこで、「終値ベース」で判定します。
ルールはこうです。
・条件:ローソク足の終値が上側2σより上(下側2σより下)
・エントリー:次の足で高値更新(下抜けなら安値更新)したら成行または指値で入る
この「1本待つ」だけで、ダマシをかなり排除できます。初心者が最初に身につけるべき“待つ技術”です。
順張りルール3:損切りは「ミドルバンド割れ」で統一する
初心者が迷うのは損切り位置です。ブレイクでは“戻り”が必ずあります。戻ったら即損切り、だと勝てません。
そこで損切りをシンプルにします。上抜け順張りなら、「終値でミドルバンド(20MA)を下回ったら撤退」。下抜け順張りなら逆。
ミドルを割るということは、短期の平均価格まで戻っている=勢いが失われた可能性が高い、という意味です。細かい値幅で悩むより、ルールで機械的に切った方がトータルで安定します。
順張りルール4:利確は「1回目は部分利確、残りはトレーリング」
ブレイクは伸びるときに伸びますが、伸びないときは伸びません。ここで重要なのは、“全部を天井で売ろうとしない”ことです。
おすすめは二段階です。
・第一利確:エントリーからの含み益が、直近平均の値幅(たとえば過去20本の平均実体やATR)と同等になったら半分を利確。
・残り:「ミドルバンド割れ」または「直近安値割れ」で手仕舞い。
これで“勝ちを小さく、負けを大きく”という最悪の形を避けられます。
2σ突破を「逆張り」にする判定基準
逆張りは難易度が上がります。ですが、条件を厳しくすれば初心者でも“狙うべき局面だけ”を切り出せます。基本は「外に出たのに、すぐ内側へ戻る」パターンだけを狙います。
逆張りルール1:バンド外→次の足でバンド内に戻ったら「行き過ぎ」候補
上抜けの場合、突破足の終値が2σ外でも、次の足でバンド内に戻ることがあります。これが逆張りの入口です。
ただし、戻っただけでは弱いので、さらに条件を足します。
・条件A:バンド幅が拡大していない(広がり方が鈍い)
・条件B:突破足が長い上ヒゲ(高値はあったが買いが続かなかった)
・条件C:出来高が突出している(買いの最終局面=投げならぬ“踏み上げの天井”になりやすい)
これらが揃うほど、逆張りの期待値が上がります。
逆張りルール2:エントリーは「戻り確認後の戻り売り(買い)」にする
逆張りで最悪なのは、上抜けの最中に売ることです。まだ上昇が継続する可能性が残っています。
安全な入り方は、「バンド内に戻ったのを確認→一度反発するのを待つ→反発が弱いところで入る」です。
たとえば上抜け後にバンド内へ戻ったら、次の足で小さく反発することがあります。その反発が2σに届かず失速するなら、そこが“売りのタイミング”になります。
逆張りの損切り:高値更新で即撤退、利確はミドル到達で一部
逆張りは、当たれば速いが外れると痛い。だから損切りはタイトにします。上抜け後の逆張り売りなら、「直近高値を更新したら即損切り」。迷いません。
利確は、まずミドルバンド(20MA)到達で半分。残りは反対側1σや直近安値での反発を見ながら。逆張りで欲張ると、せっかくの勝ちが消えます。
順張りか逆張りか迷ったら見る「バンドの傾き」
初心者が最も簡単に使えるフィルターが、ミドルバンドの傾きです。
・ミドルがはっきり上向き:上抜けは順張り優先。逆張りは基本見送り。
・ミドルが横ばい:上抜けはダマシが増える。逆張りのチャンスが出やすい。
・ミドルが下向き:上抜けは戻り売りの形になりやすい(逆張り寄り)。
相場は“平均価格”が支配します。平均が上向きなら、行き過ぎに見えても高値更新しやすい。ここを無視すると、逆張りで焼かれます。
初心者がやりがちな失敗と、回避策
失敗1:2σタッチだけで逆張り。タッチ=売り、ではありません。トレンド相場ではタッチが“買いの合図”になることが普通にあります。回避策は「終値で外→内へ戻り」を待つこと。
失敗2:ブレイク直後の押しで損切り。順張りは押しを受け入れるゲームです。ミドル割れのような“意味のある撤退条件”を持つ。
失敗3:どの市場でも同じ時間軸でやる。株なら日足・60分足が扱いやすい。FXは15分〜1時間、暗号資産は流動性のある銘柄で5分〜1時間。初心者はまず「1つの市場×1つの時間足」に固定した方が検証しやすい。
実戦シナリオ:日本株デイトレでの2σ突破の使い方
日本株の寄り付きはギャップが入りやすく、2σ突破が“寄り天”にも“踏み上げ”にもなります。そこで寄り付き直後は、次のように扱います。
1)寄り付き5〜15分は観察。寄り成りで飛びつかない。
2)5分足で終値が2σ外、かつ出来高が増えているなら順張り候補。
3)ただし上ヒゲが長く、次足でバンド内へ戻るなら逆張り候補。
4)逆張りの場合、戻りが弱いところ(高値を更新できない戻し)で入る。
この“寄り付きの荒さ”を前提にすると、2σの情報が急に実用的になります。
実戦シナリオ:ドル円スキャルでの2σ突破の使い方
ドル円は時間帯でボラが変わるので、2σ突破の意味が変わります。東京時間の突破は続きにくく、ロンドン・NYで続きやすい傾向があります。
具体的には、ロンドン入り直後にスクイーズから拡大し、2σ外でクローズ→次足で高値更新、という形は順張りの再現性が高い。一方、指標前後の一瞬の突破はヒゲで戻りやすく、逆張り条件(外→内戻り)になりやすい。
初心者は「指標直後は触らない」「ロンドン・NYのトレンド時間帯だけで順張り」という絞り込みが効きます。
実戦シナリオ:ビットコイン短期での2σ突破の使い方
暗号資産は24時間動き、週末にボラが出ることもあります。2σ突破は頻発しますが、流動性が薄い銘柄ではダマシが激増します。まずはBTCや流動性上位のアルトに限定するのが前提です。
BTCでは、バンドが拡大し続け、価格が上側2σに沿って“滑る”ように上がる局面があります。このとき逆張りは危険です。順張りで「ミドル割れ撤退」を徹底する方が生存率が上がります。
逆張りをするなら、急騰の後に出来高がピークアウトし、上ヒゲが連発し、外→内戻りが出たときだけ。条件を絞るほど、余計な負けが減ります。
検証のやり方:初心者でもできる「手計測バックテスト」
いきなり自動バックテストに行くと、条件が複雑になって破綻します。最初は手計測で十分です。
手順はこうです。
・過去チャートで、終値が2σ外の足に印をつける
・次足が高値更新(順張り)か、バンド内戻り(逆張り候補)か分類する
・ミドル割れ撤退(順張り)/高値更新損切り(逆張り)で損益をメモする
・50回〜100回だけ数える
これだけで「自分が狙う市場・時間足で本当に機能するか」が体感できます。機能しないなら、あなたが下手なのではなく“その市場・時間足では相性が悪い”可能性が高い。ここを切り分けるのが検証です。
まとめ:2σ突破は「形」を見れば武器になる
2σ突破を、触れたら逆張り・抜けたら順張り、のように単純化すると勝てません。勝てるのは、
・スクイーズ→拡大で順張り
・外→内戻り+ヒゲ+出来高で逆張り
というように、“バンドの形”と“戻り方”で役割を分けたときです。
初心者が最初にやるべきは、順張りルール(終値外→次足追随、撤退はミドル割れ)を1つだけ固定して、同じ市場・同じ時間足で100回検証すること。これができれば、2σは単なる飾りではなく、あなたのトレードを矯正する「判断基準」になります。
「バンド幅」で市場環境を分類すると、ムダな負けが減る
同じルールでも、相場環境が違うと勝ちやすさが変わります。2σ突破の成否を左右するのがバンド幅です。バンド幅が小さい=低ボラのレンジ、バンド幅が大きい=高ボラのトレンド、という雑な理解でも十分効果があります。
低ボラのレンジでは、2σ外に出ても続きにくく、外→内戻りの逆張りが優位になりやすい。一方、高ボラのトレンドでは、2σ外への“張り付き”が起こりやすく、順張り優位になります。
初心者は「バンド幅が縮小している局面だけ順張り」「すでに大きく拡大している局面では追いかけない」と決めるだけでも、天井掴みが激減します。これは“買うタイミング”ではなく“買わないタイミング”を決めるテクニックです。
マルチタイムフレーム:上位足の向きに逆らわない
2σ突破のダマシは、下位足だけで見ていると増えます。対策はシンプルで、上位足のミドルバンドの向きを確認することです。
たとえば5分足で上抜けが出たとき、60分足のミドルが下向きなら、その上抜けは“戻り高値”で終わりやすい。逆に60分足のミドルが上向きなら、5分足の上抜けは“押し目からの再加速”になりやすい。初心者が勝率を上げるなら、この確認は必須です。
株なら「日足→60分→5分」、FXなら「4時間→1時間→15分」、暗号資産なら「4時間→1時間→5〜15分」のように、上位足→下位足の順で見る癖をつけると、2σ突破が急に“意味のあるシグナル”になります。
注文の置き方:成行・指値・逆指値の使い分け
2σ突破の順張りで迷うのが注文方法です。原則として、突破の瞬間は滑りやすいので、初心者は「次足の高値更新で逆指値(ストップ)買い」を推奨します。これなら、更新しなければ約定しない=ダマシを自然に避けられます。
一方、押し目待ちの指値は“置きすぎる”と置いていかれます。なので、指値を使うならルールを固定します。たとえば上抜け順張りなら、「次足で高値更新したら成行、更新せずに押してミドルに近づいたら指値で分割」。このように、成行と指値を役割で分けると、感情でぶれません。
逆張りはさらに慎重で、基本は指値より「弱い戻りを確認してから成行」が安全です。逆張りは“待つほど有利”です。
ロット管理:損切り幅から先にポジション量を決める
初心者が破綻する最大要因は、手法ではなくロットです。2σ突破は、想定より大きく逆行する局面が必ずあります。だから、エントリー前に「損切り幅(値幅)」を決め、その値幅からポジション量を逆算します。
例えば株で、ミドル割れ撤退ルールを採用するなら、エントリー価格とミドルの距離が“損失になりうる最大幅”です。この距離が大きい銘柄は、同じ金額を張るとリスクが跳ね上がります。損切り幅が2倍なら、ロットは半分にする。これだけで生存率が上がります。
FXや暗号資産でも同じで、損切りをタイトにできない局面では、ロットを落とす。2σ突破は“当てに行く手法”ではなく、“損失を管理しながら伸びを取る手法”です。
具体的な数値例:順張りの1トレードを文章で再現する
例として、ある銘柄の60分足を想定します。長いレンジの後に出来高増加で上抜けし、終値が上側2σの外に出ました。終値は1,020円、上側2σが1,015円、ミドルが1,000円だとします。
このとき、エントリーは「次の足で高値更新」です。次足が1,025円を上抜けた瞬間に買い。損切りはミドル割れなので、終値で1,000円を割ったら撤退。つまり、最悪ケースの損失幅は20〜25円程度です。
利確は二段階で、まず平均的な値幅が20円程度なら、含み益が20円(1,045円付近)に到達したところで半分利確。残りはミドル割れが出るまで保有します。もし強いトレンドなら、1,080円、1,120円と“想定を超えて伸びる”ことがあります。順張りの本質は、この「伸びるときに残りを持っている」ことです。
2σ突破と相性が良い補助指標:使い方を間違えない
指標を増やすほど勝てる、は幻想です。ただし、2σ突破の誤判定を減らすための“補助”としては有効なものがあります。
まずRSIです。順張りで使うなら、上抜けと同時にRSIが50を超えて上向きなら追随しやすい。逆張りで使うなら、上抜けしてもRSIが高値更新できず、ダイバージェンスが出るときに限定する。こういう“使い分け”ができれば、RSIは役に立ちます。
次にVWAP(主にデイトレ)。上抜け後にVWAPを割らずに推移するなら順張り優位。上抜け直後にVWAPを割って戻りもVWAPで抑えられるなら逆張り優位。VWAPは「今日の平均価格」なので、ミドルバンドと同じ発想で使えます。
ニュース・決算・指標が絡むときの扱い
ボリンジャーバンドは価格から計算されるため、材料の内容を直接は反映しません。しかし、材料はボラティリティを変えます。つまり、2σ突破の“伸び”や“ダマシ”の確率を大きく動かします。
初心者が安全に扱うなら、材料直後は2つだけ徹底してください。ひとつは「初動の1本は見送る」。もうひとつは「出来高(または取引量)が増えている突破だけを採用する」。材料直後の薄い値動きは、2σを簡単に飛び出して戻ります。そこで触るのは、プロでも難しい領域です。
最後に:チェック項目を文章化して、迷いを消す
2σ突破で迷う瞬間は、ほぼ同じです。「これ順張り? 逆張り? 今入っていい?」。迷いを消すには、判断を言語化した“自分の文章”を持つことです。
たとえば順張りなら、「バンド幅が縮小していた。突破足は終値で外。次足で高値更新。ミドルは上向き。出来高が増えている。だから買う。撤退はミドル割れ。」。逆張りなら、「外に出たが次足で内に戻った。上ヒゲが長い。バンド幅が広がっていない。戻りが弱い。だから売る。損切りは高値更新。」。
この文章を、そのままトレード前に読めるレベルまで固定すると、2σ突破は“判断をブレさせる罠”から“判断を統一する道具”に変わります。


コメント