- スクイーズは「方向を当てる手法」ではなく「動き出す瞬間を捕まえる手法」
- ボリンジャーバンドの基本:まず「何を見ている指標か」を言語化する
- スクイーズの定義:見た目ではなく「数値」で判定するのが強い
- なぜスクイーズの後に「放れ」が起きやすいのか:需給の観点
- 最重要:スクイーズだけで入らない。入るのは「放れの確認後」
- 具体例1:日本株(デイトレ~スイング)でのスクイーズ放れ
- 具体例2:FX(ドル円)でのスクイーズ放れ:指標前後は「取らない」も戦略
- ダマシ(フェイクブレイク)を減らす3つのチェック
- 実戦テンプレ:初心者がそのまま使える「監視→発注→管理」手順
- よくある失敗パターンと対策:実例ベースで理解する
- スクイーズ放れを「期待値」に変えるための検証観点
- まとめ:スクイーズは「監視リスト化」して、放れだけを機械的に取る
スクイーズは「方向を当てる手法」ではなく「動き出す瞬間を捕まえる手法」
ボリンジャーバンドのスクイーズは、相場が静かになり、値幅(ボラティリティ)が極端に縮む局面を捉える考え方です。ここで重要なのは、スクイーズは「上がる/下がるを当てる魔法」ではなく、「動き出しやすい状態(圧縮されたバネ)」を見つけるレーダーだという点です。
初心者がやりがちな失敗は、スクイーズ=買い、のように単純化することです。スクイーズは“準備状態”であり、実際に利益になるのは、そこから価格がレンジを抜け、出来高や勢いが伴って「放れ」が発生したときです。本記事では、株・FX・暗号資産いずれにも応用できる形で、放れを取るためのエントリー条件、ダマシの見分け、損切りの置き方、利確の設計までを具体例で解説します。
ボリンジャーバンドの基本:まず「何を見ている指標か」を言語化する
ボリンジャーバンドは、移動平均線(通常は20期間)を中心に、標準偏差(σ)の幅で上下のバンドを引く指標です。バンドが広がるのは価格変動が大きい(ボラが高い)とき、バンドが縮むのは価格変動が小さい(ボラが低い)ときです。
ここで押さえるべき本質は、バンドは「価格の上下限」を示すものではなく、「直近の変動分布(ばらつき)」を可視化しているだけ、という点です。上バンドに触れたら必ず下がる、下バンドに触れたら必ず上がる、という使い方をすると痛い目を見ます。スクイーズは“統計的にばらつきが縮んでいる=将来の変動拡大が起きやすい”という性質を利用します。
スクイーズの定義:見た目ではなく「数値」で判定するのが強い
チャートを見て「細いな」と感じる主観判定は再現性が低く、検証もしにくいです。実戦では、次のような数値条件に落とすとブレが減ります。
指標1:バンド幅(Bandwidth)
Bandwidthは「(上バンド−下バンド) / 中心線」で表されることが多く、縮小=スクイーズを定量化できます。例えば「過去120本のうち最小5%に入るバンド幅」をスクイーズと定義すると、銘柄や時間足が変わっても同じルールで回せます。
指標2:%b(パーセントビー)
%bは価格がバンド内のどこにいるかを示す指標です。スクイーズそのものではなく、放れの方向確認や押し目の深さの判断に使えます。
指標3:ATR(平均真の値幅)を併用する
バンド幅は標準偏差に基づきます。一方、ATRは値幅そのものを測ります。スクイーズ局面ではATRも低下する傾向があるため、「バンド幅が極小+ATRも低下」という二重条件にすると、単なるレンジではなく“極端に動かない状態”を拾いやすくなります。
なぜスクイーズの後に「放れ」が起きやすいのか:需給の観点
スクイーズ局面は、買い方・売り方が拮抗し、レンジの中で短期勢の回転が繰り返される状態です。ここでは逆指値やブレイクアウト注文がレンジ上限・下限の外側に溜まりやすくなります。価格がレンジを抜けると、溜まっていた注文が連鎖的にヒットし、値が飛びやすい。これが「放れ」の正体です。
さらに、機関投資家やアルゴはボラが低い局面でポジションを積み上げ、条件が揃った瞬間に流動性を利用して一気に動かすことがあります。スクイーズは“狩り場”にもなり得るので、だからこそ「抜けたかどうか」「勢いが本物かどうか」を条件で厳密にします。
最重要:スクイーズだけで入らない。入るのは「放れの確認後」
勝率を上げるコツは、スクイーズ“中”に当てにいかないことです。やるべきは、スクイーズを「監視リスト化」し、放れの条件が成立した銘柄だけを淡々とトレードすることです。
放れエントリーの基本セット(汎用ルール)
以下は株・FX・暗号資産に広く使える、初心者でも運用しやすいセットです。
- 条件A:Bandwidthが一定閾値以下(例:過去120本の下位5%)
- 条件B:レンジ上限(直近n本高値)または下限(直近n本安値)を終値でブレイク
- 条件C:ブレイク足の実体が大きい(例:実体が直近20本平均の1.2倍以上)
- 条件D:出来高(株)またはティック量/出来高代替指標(FX/暗号資産)が増加
条件Bで「終値」を使うのがポイントです。ヒゲだけのブレイクはダマシが多く、終値ブレイクは一段と信頼度が上がります。条件C・Dは“勢いの裏付け”で、抜けた後に失速するパターンを減らします。
具体例1:日本株(デイトレ~スイング)でのスクイーズ放れ
例として、ある中型株が決算前でニュースもなく、5日ほど狭いレンジで横ばいになっている状況を想定します。ボリンジャーバンドの幅が急縮小し、Bandwidthが過去120本で最小付近。ここで初心者は「そろそろ上がる」と予想して先に買いがちですが、これは不利です。なぜなら放れの方向は材料と需給で決まるからです。
実戦では、レンジ上限を明確に定義します。例えば「直近10本高値」を上限として、終値がこれを上抜けたらブレイク。ブレイク足の出来高が直近20本平均の1.5倍なら、条件Dも満たします。ここで初めてエントリーします。
損切りの置き方(株の例)
損切りは「レンジ内に戻ったら負け」と割り切るのが簡単です。具体的には、エントリー後に終値がレンジ上限を再び下回ったら撤退、または直近の押し安値(ブレイク直前の小さな谷)を割ったら撤退。レンジが狭いほど損切り幅が小さく、リスクリワードが取りやすいのがスクイーズの利点です。
利確の置き方(株の例)
利確は「伸びるときは伸びる」ので、最初から固定ターゲットを決めすぎない方が良いです。初心者向けには、次の二段階が運用しやすいです。
- 第一利確:リスク(損切り幅)の2倍到達で半分利確
- 第二利確:残りは中心線(20MA)割れ、またはトレーリングストップで追う
この形なら、ダマシでも損失が限定され、本物のトレンドでは利益を伸ばせます。
具体例2:FX(ドル円)でのスクイーズ放れ:指標前後は「取らない」も戦略
FXでは、米国指標や日銀関連のイベントで一気にボラが跳ねるため、スクイーズは“嵐の前”として頻出します。ただし、重要指標直前のスクイーズは、スプレッド拡大やヒゲ乱舞で初心者が破壊されやすいゾーンでもあります。
たとえば、東京時間からロンドン序盤にかけてドル円が20pips程度の狭いレンジで推移し、バンド幅が極小になったとします。ここで重要なのは「今、放れが起きやすい」ことと「放れの質が悪い可能性」も同時に高いことです。
FXの初心者が守るべきフィルター
- 主要指標(雇用統計・CPI・FOMCなど)直前30分は新規エントリーしない
- 放れが指標由来なら、最初の1本は見送り、2本目の追随で入る
- スプレッドが平常時の2倍以上に拡大している場合は見送る
「取らない」が最適解の場面を明確にしておくと、長期的な成績が安定します。
ダマシ(フェイクブレイク)を減らす3つのチェック
スクイーズ放れは魅力的ですが、ダマシも必ず発生します。ダマシをゼロにはできないので、発生頻度を下げる工夫を入れます。
チェック1:ブレイク足の“形”を点検する
上抜けなのに上ヒゲが長い、下抜けなのに下ヒゲが長い場合は、抜けた瞬間に逆方向の吸収(反対売買)が入っている可能性があります。実体が小さいブレイクは見送りやすいルールにしておくと、無駄打ちが減ります。
チェック2:上位足のトレンドと逆方向の放れは難易度が上がる
15分足のスクイーズ放れを狙うなら、1時間足や4時間足の流れも確認します。上位足が明確な下降トレンドなのに、下位足だけ上抜けで飛び乗ると、戻り売りに潰されやすい。初心者は「上位足と同方向のみ狙う」だけで勝率が改善しやすいです。
チェック3:出来高・流動性の“薄さ”を避ける
出来高が薄い銘柄や、スプレッドが広い通貨ペア・アルトコインでは、放れの一撃が強烈でも、その後の滑り(スリッページ)で期待値が落ちます。スクイーズは「狭い損切り」を活かす戦略なので、約定品質が悪い市場は不利です。
実戦テンプレ:初心者がそのまま使える「監視→発注→管理」手順
ここからは、再現性重視で“作業手順”に落とします。思いつきトレードを排除し、ルールで回すことが目的です。
手順1:スクリーニング(監視リスト化)
1日1回、もしくは取引する時間足に合わせて、Bandwidthが極小の銘柄だけを抽出します。TradingView等ならBandwidthやBBWidthのインジケーターが利用できます。抽出後、レンジ上限・下限(直近10~20本高安)に水平線を引き、アラートを置きます。
手順2:発注方法(逆指値の使い分け)
放れを取りにいくなら、上限を少し上に置いた買い逆指値、下限を少し下に置いた売り逆指値を使う方法があります。ただし初心者は、上下に注文を置くと往復ビンタ(上下両方約定)になることがあります。最初は「終値ブレイク確認→次足で成行/指値」でも十分です。
手順3:損切り(撤退基準を先に決める)
損切りは、エントリー前に“撤退シナリオ”として文章化しておきます。例:「終値でレンジ内に戻ったら撤退」「ATRの0.8倍逆行したら撤退」など。損切りを曖昧にすると、スクイーズの最大メリット(小さな損で済む)を失います。
手順4:利確(固定+追随のハイブリッド)
初心者が最も安定しやすいのは、先に紹介した「2Rで半分利確+残りを追う」方式です。放れは短期で終わることも、トレンドに化けることもあるため、両方の可能性を同時に取りにいく設計が合理的です。
よくある失敗パターンと対策:実例ベースで理解する
失敗1:スクイーズ中に先回りして、レンジ往復で削られる
原因は「動かない相場で動く前提のポジションを持つ」ことです。対策は単純で、スクイーズ中は監視だけ。入るのは“抜けてから”に限定します。
失敗2:ブレイク直後に飛び乗り、すぐ戻って損切り
これはダマシそのものです。対策は、終値ブレイク、実体の大きさ、出来高の増加、上位足方向の一致、のうち2~3個を必須条件にします。条件が増えるほどトレード回数は減りますが、初心者は回数より期待値を優先すべきです。
失敗3:利益が出たのに利確できず、反転で建値割れ
放れは初速が強くても、その後の利確売り・戻り売りで反落します。対策は、部分利確を必ず入れること。心理的に楽になり、残りを伸ばしやすくなります。
スクイーズ放れを「期待値」に変えるための検証観点
ルールは作って終わりではなく、最低限の検証で改善します。難しい統計は不要で、次の3点だけでも十分です。
- 勝率:何回中何回勝ったか
- 平均利益/平均損失:1回あたりの期待値
- 最大連敗:メンタルと資金管理の設計に直結
スクイーズ放れは、勝率がそこまで高くなくても、損切りが小さく、勝ちが大きくなりやすい構造が魅力です。勝率だけで判断せず、平均損益と連敗耐性を必ず見ます。
まとめ:スクイーズは「監視リスト化」して、放れだけを機械的に取る
ボリンジャーバンドのスクイーズは、相場の静寂を検知し、次の急変点を待ち伏せするための強力なフレームです。勝つための要点は明確で、スクイーズ中に当てにいかず、放れの確認後に入ること、ダマシを条件で減らすこと、狭い損切りと部分利確で期待値を積み上げることです。
「動き出す瞬間」だけを取る。これを徹底できれば、初心者でも相場のノイズに削られにくくなり、再現性のあるトレードに近づきます。


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