移動平均線の乖離率で読む修正安・修正高:逆張りトレードの勝率を上げる具体手順

テクニカル分析

「上がり過ぎたら下がる」「下がり過ぎたら戻る」──これは相場の基本ですが、実際のトレードで難しいのは“どれくらい上がり過ぎか/下がり過ぎか”を数値で定義し、さらに「戻る前にもう一段走る」リスクをどう管理するかです。そこで使えるのが移動平均線からの乖離率です。乖離率は、価格が移動平均線(MA)からどれだけ離れているかを%で示す指標で、いわば「値動きの熱量計」です。

この記事では、乖離率を使った修正安(売られ過ぎ)・修正高(買われ過ぎ)の狙い方を、初心者でも運用できる形に落とし込みます。単なる“逆張りの雰囲気”ではなく、①相場環境の見極め、②仕掛け条件、③損切り、④利確、⑤失敗パターンの回避まで、再現性を重視して整理します。

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  1. 乖離率とは何か:移動平均線との距離を「%」で見る
  2. 乖離率逆張りが機能しやすい相場・機能しにくい相場
    1. 機能しやすい局面:レンジ、調整、ニュースが軽い日
    2. 機能しにくい局面:材料相場、トレンド初動、急変時
  3. まず決めるべき「基準」:何日MAの乖離率を見るか
  4. 乖離率逆張りの“型”を作る:4つの判断レイヤー
    1. レイヤー1:相場環境フィルター(トレンド/レンジ)
    2. レイヤー2:乖離率の“異常値”を定義する(固定%ではなく銘柄特性)
    3. レイヤー3:反転のトリガー(待つ:逆張りは「当てにいかない」)
    4. レイヤー4:撤退条件(損切り)を先に決める
  5. 具体ルール例:25日乖離率×短期の反転で「修正安」を狙う
    1. エントリー条件(買い)
    2. エントリーの置き方(例)
    3. 損切り(例)
    4. 利確(例):2段階が現実的
  6. 具体例:日本株でのイメージ(数値は例)
  7. FX・暗号資産に応用するコツ:24時間市場は「時間帯」が違う
  8. 乖離率を“ボラ調整”する:固定%の弱点を補う考え方
  9. 失敗パターンの典型:乖離率逆張りが負ける3つの理由
    1. 理由1:トレンド初動を逆張りしている
    2. 理由2:トリガー無しで“落ちるナイフ”を掴む
    3. 理由3:損切りが曖昧で、期待が裏切られても保有し続ける
  10. チェックリスト:エントリー前に3分で確認する項目
  11. まとめ:乖離率は「候補抽出」+「反転確認」+「撤退設計」で武器になる

乖離率とは何か:移動平均線との距離を「%」で見る

乖離率(Deviation Rate)は、一般的に次のように計算します。

乖離率(%)=(現在値 − 移動平均線)÷ 移動平均線 × 100

例えば、株価が1,050円で、25日移動平均線が1,000円なら、乖離率は(1,050−1,000)/1,000×100=5%です。価格がMAより上ならプラス、下ならマイナスになります。

ここで重要なのは、乖離率は「上がった/下がった」ではなく「通常(平均)からどれだけ逸脱しているか」を表す点です。上昇トレンドでも一時的に熱くなり過ぎれば息切れし、下落トレンドでも売られ過ぎれば短期の巻き戻しが起きます。乖離率はその“短期的な過熱”を数値化します。

乖離率逆張りが機能しやすい相場・機能しにくい相場

乖離率を使った逆張りは、いつでも強いわけではありません。まずは「平均に戻りやすい局面」と「戻らず走り続ける局面」を切り分けます。ここを雑にすると、逆張りは一気にギャンブル化します。

機能しやすい局面:レンジ、調整、ニュースが軽い日

レンジ相場(上限と下限の間で往復する相場)では、平均回帰の力が働きやすく、乖離率の極端な値は“行き過ぎ”として反転材料になりやすいです。スイングなら、直近の高値/安値が水平気味で、出来高が平常、材料が薄いときが狙い目です。デイトレなら、寄り付き直後の急伸急落のあと、VWAPや短期MAに寄せるような動きが出る日が該当します。

機能しにくい局面:材料相場、トレンド初動、急変時

決算サプライズ、規制や事故、地政学など、材料が強い日は平均回帰よりトレンドが優先されます。また、トレンドの初動(ブレイク直後、出来高を伴う上抜け/下抜け直後)も乖離が拡大しやすく、逆張りは「焼かれやすい」局面です。さらに、急落時の“流動性が薄い時間帯”や、FXの指標直後、暗号資産の強制清算が連鎖している最中は、乖離率が過熱を示していても、さらに過熱することがあります。

まず決めるべき「基準」:何日MAの乖離率を見るか

乖離率は、どの移動平均線を基準にするかで性格が変わります。初心者が迷いにくいよう、目的別に整理します。

短期(デイトレ〜数日):5日MA、10日MA、20日MAの乖離率が扱いやすいです。短期の過熱を拾いやすい一方、ノイズも増えます。

中期(数日〜数週間):25日MAの乖離率が“定番の温度計”です。日本株では25日線に意識が集まりやすく、戻りの目標として機能しやすい傾向があります。

長期(数週間〜数か月):75日MA、200日MAの乖離率は、相場の行き過ぎ(バブル/投げ)を測る大枠の視点になります。頻繁には使いませんが、「この局面で逆張りしてよいか」を判断するフィルターとして有効です。

本記事の主軸は、再現性が出やすい25日MA乖離率を中心に、短期の仕掛け精度を上げるために5日/10日も補助的に使う設計です。

乖離率逆張りの“型”を作る:4つの判断レイヤー

乖離率だけで売買すると勝率が安定しません。ここでは、実際にルール化しやすい「4レイヤー」を提案します。上から順に確認し、上位条件が崩れるほどポジションを小さく、あるいは見送ります。

レイヤー1:相場環境フィルター(トレンド/レンジ)

最初に、平均回帰が働きやすい環境かをチェックします。具体的には、25日MAの傾きが急すぎないこと、価格が直近1〜2か月の高値/安値を明確に更新し続けていないこと、出来高が極端に増えていないことを確認します。ここで「強トレンド」と判断したら、逆張りは原則避けるのが合理的です。

レイヤー2:乖離率の“異常値”を定義する(固定%ではなく銘柄特性)

初心者がやりがちな失敗は「乖離率が±5%で売買」など固定の数字に飛びつくことです。銘柄や通貨ペアでボラティリティが違うため、同じ±5%でも意味が変わります。そこでおすすめは、過去データから“その銘柄の平常時の乖離レンジ”を把握するやり方です。

方法はシンプルです。過去6か月〜1年の25日乖離率をざっと眺め、通常は何%に収まるか、外れ値はどれくらいかを掴みます。例えば、値動きが穏やかな大型株なら±6%が外れ値でも、ボラが高いグロース株なら±12%でも平常の範囲かもしれません。FXのドル円は日中の変動が比較的落ち着くことが多い一方、ポンド円や暗号資産は乖離が大きくなりやすい、という具合です。

ルール化するなら、次のように「銘柄別レンジ」を作ります。

  • 過去1年の25日乖離率の分布を見て、上位10%と下位10%を“過熱ゾーン”としてマークする(例:+8%以上、−7%以下など)。
  • 直近3か月でボラが上がっているなら、過熱ゾーンを少し広げる(例:+9%、−8%など)。

こうすると、固定%より“実戦での耐久性”が上がります。

レイヤー3:反転のトリガー(待つ:逆張りは「当てにいかない」)

乖離率が外れ値になった瞬間に飛びつくと、さらに乖離が拡大する局面で損失が膨らみます。逆張りのコツは「行き過ぎを見つける」より「戻り始めを確認する」です。トリガー(仕掛けの引き金)は、価格行動で置きます。

具体例として、買い(修正安狙い)のトリガーは以下が使いやすいです。

  • 下ヒゲの長いローソク足が出て、安値更新を否定した(投げ売りが一旦止まった兆候)。
  • 5日MA乖離率が極端なマイナス→縮小に転じた(下落の勢いが弱まったサイン)。
  • 前日高値(または直近の小さな戻り高値)を上抜けた(短期の流れが反転)。

売り(修正高狙い)も対称で、上ヒゲ、短期乖離の縮小、直近安値割れなどを組み合わせます。重要なのは、乖離率は「候補を絞るフィルター」で、エントリーは「値動きが反転した後」に置くことです。

レイヤー4:撤退条件(損切り)を先に決める

逆張りは、損切りが遅れると致命傷になります。エントリーより先に、撤退ラインを明確にします。初心者が扱いやすいのは次の2パターンです。

パターンA:直近安値(または高値)の更新で撤退。反転したはずなのに安値更新したら「まだ下げが終わっていない」と判断できます。価格ベースで分かりやすいのが利点です。

パターンB:乖離率が一定以上“悪化”したら撤退。例えば「25日乖離率が−8%で候補、反転で入ったが、−10%まで悪化したら撤退」のように、熱量がさらに上がったら退く形です。ボラが高い銘柄では価格ベースより安定することがあります。

どちらにせよ、損切りは“狭くし過ぎるとノイズで刈られ、広過ぎると一撃が重い”ので、銘柄の値動きに合わせて調整します。目安としては、直近の平均的な1日値幅(ATRのような概念)に対して、損切り幅が小さすぎないかを必ず確認してください。

具体ルール例:25日乖離率×短期の反転で「修正安」を狙う

ここからは、実際にルールとして運用できる形に落とします。例は株を想定しますが、FXや暗号資産でも考え方は同じです。

エントリー条件(買い)

条件を“全部満たしたら”にするとチャンスが減り過ぎるので、必須条件と加点条件に分けます。

必須条件:①25日乖離率が過去1年の下位10%ゾーンに入っている、②当日または翌日に反転トリガーが出る(下ヒゲ+小さな戻り高値上抜け等)、③出来高が急増し過ぎていない(材料日でない)。

加点条件:⑤RSIが30近辺で下げ止まり、⑥ギャップダウン後に窓を埋め始めた、⑦市場全体(日経平均など)が極端に弱くない、など。加点は「やらない理由がなければ少し厚くする」程度に留めます。

エントリーの置き方(例)

最も分かりやすいのは「小さな戻り高値を上抜けたら買い」です。具体的には、下落中に一度だけ反発した“戻り高値”を超えたところで買うと、短期の売り圧力が抜けた後に乗れます。乖離率が外れ値のときは値幅が大きいので、逆張りでも「ブレイク買い」に寄せた方が安定します。

損切り(例)

「反転の起点になった安値」を損切りに置きます。エントリーの根拠が“下げ止まり”なら、そこが破られた時点で仮説が崩れます。損切りを置いたら、必ずポジションサイズを調整し、1回の負けが資金に与える影響を固定化します(例えば資金の1%など)。逆張りは連敗が起こり得るため、この固定化が生存条件になります。

利確(例):2段階が現実的

平均回帰の最短ゴールは「価格が25日MAに戻ること」です。ただし、戻り途中で再び売られることも多いので、利確は2段階が現実的です。

①まず、乖離率が半分程度まで戻ったところ(例:−8%→−4%)で一部利確してリスクを落とします。②残りは、25日MA付近、または「戻り高値の手前」で利確します。欲張って“完全回帰”を待つより、途中で現金化して勝率を上げる設計の方が、初心者には向きます。

具体例:日本株でのイメージ(数値は例)

例えば、ある大型株で、過去1年の25日乖離率が通常±4%、外れ値が±7%程度だとします。ここで−7%を下回ったら「過熱ゾーン」と定義します。

急落日に−8%まで乖離したとき、そこでいきなり買うのではなく、翌日以降に「下ヒゲ→小さな戻り高値上抜け」を待ちます。上抜けた時点で入ると、底値の絶対値は取れない代わりに“反転が始まった”ことを確認できます。損切りは急落日の安値の少し下。利確は−4%付近で一部、25日MA付近で残り、という流れです。

このときの注意点は、急落が「個別材料」か「指数主導」かです。指数主導の全面安なら、翌日も連鎖的に売られやすいので、トリガーが出てもサイズは小さくします。個別材料が重い場合は、平均回帰が働く前に“材料の再評価”が起きるため、そもそも逆張りの対象から外す判断も必要です。

FX・暗号資産に応用するコツ:24時間市場は「時間帯」が違う

FXや暗号資産でも乖離率は使えますが、株と違って24時間で流動性の波があります。平均回帰を狙うなら「流動性が戻る時間帯」が重要です。

FXなら、東京・ロンドン・NYの各時間帯でボラが変わります。例えば、アジア時間に一方的に走った乖離が、ロンドン勢の参入で戻されることがあります。暗号資産は米国時間に出来高が増えやすく、強制清算が絡むと乖離が一時的に極端になります。こうした市場では、「乖離率の外れ値+反転トリガー」に加えて、「流動性が厚い時間帯に入ったか」をフィルターに入れると、無駄な逆張りが減ります。

乖離率を“ボラ調整”する:固定%の弱点を補う考え方

乖離率の弱点は、ボラティリティが急変すると“過熱”の基準がズレることです。これを補う簡単な考え方が、ボラの代理指標(例えば直近の平均値幅)で閾値を調整する方法です。

実務的には、直近20日程度の値幅が平常より大きいと感じたら、過熱ゾーンを少し広げます。逆に値幅が小さい局面では、過熱ゾーンを狭めます。厳密な数式にしなくても、チャートで「最近のローソク足が太い/細い」を見て閾値を調整するだけで、固定%より事故が減ります。

失敗パターンの典型:乖離率逆張りが負ける3つの理由

逆張りの負けは、大きく3つに分類できます。原因をパターン化しておくと、エントリー前に“地雷”を避けられます。

理由1:トレンド初動を逆張りしている

ブレイク直後は、乖離が拡大するのが自然です。この局面で「乖離が大きいから売る/買う」は、トレンドフォローの燃料に逆らう形になります。回避策は、25日MAの傾きが急なときは逆張りをしない、出来高急増の直後は様子を見る、などの環境フィルターです。

理由2:トリガー無しで“落ちるナイフ”を掴む

乖離率が外れ値になった瞬間は、まだ投げが終わっていないことが多いです。反転の兆候が出るまで待つだけで、負けの質が大きく改善します。「底は当てない、戻り始めを取る」と割り切るのが勝ち筋です。

理由3:損切りが曖昧で、期待が裏切られても保有し続ける

逆張りは、当たれば速いですが、外れたときは“さらに外れやすい”のが特徴です。損切りが曖昧だと、回復までに時間がかかり、資金効率が落ち、精神的にも崩れます。損切りは価格か乖離率のどちらかで機械的に切れる形にしてください。

チェックリスト:エントリー前に3分で確認する項目

最後に、乖離率逆張りを“手順化”するためのチェックリストを用意します。各項目は短いですが、実際はこの順番で確認し、言語化してから発注すると成績が安定します。

  • 今はトレンド優勢か、平均回帰が起きやすい環境か(25日MAの傾き、直近高値安値更新、出来高)。
  • 乖離率は「銘柄固有の外れ値」か(過去の分布に照らして過熱ゾーンに入っているか)。
  • 反転トリガーが出たか(下ヒゲ、短期乖離の縮小、戻り高値/安値のブレイクなど)。
  • 損切り位置は明確か(どこで仮説が崩れるか)。
  • 利確は2段階で設計できているか(途中利確でリスクを軽くできるか)。
  • ポジションサイズは損切り幅に合わせて調整したか(1回の負けを固定化したか)。

このチェックを通過できない場合、最も合理的な行動は「見送る」です。乖離率はチャンスを増やす道具ですが、同時に“やってはいけない局面”を炙り出す道具でもあります。

まとめ:乖離率は「候補抽出」+「反転確認」+「撤退設計」で武器になる

乖離率は、平均回帰を狙う逆張りにとって強力なフィルターです。ただし、乖離率単体で売買すると不安定になります。①環境フィルターでトレンド局面を避け、②銘柄特性に合わせた過熱ゾーンを定義し、③反転トリガーを待って入り、④損切りを先に決めてサイズ管理する──この4点を徹底すると、逆張りの“再現性”が上がります。

まずは自分がよく見る銘柄(または通貨ペア)を1つ選び、過去1年の25日乖離率を眺めて「その銘柄の平常レンジ」と「外れ値」を言語化してみてください。そこから、反転トリガーと損切りをセットにした小さな検証を積み重ねるのが、最短の上達ルートです。

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