MACDで相場の波を読むシンプル順張り戦略

テクニカル分析

MACDで相場の波を読むシンプル順張り戦略

MACD(マックディー)は、多くのチャートに標準搭載されている有名なテクニカル指標です。しかし、多くの初心者は「ゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売る」という単純な説明だけで使い始めてしまい、その結果「ダマシが多くて全然勝てない」と感じてしまいます。

本記事では、MACDを単なるクロスシグナルとしてではなく、「トレンドの勢い(モメンタム)を視覚化するツール」として捉え直し、初心者でも再現しやすい順張り戦略として整理します。株でもFXでも暗号資産でも、ローソク足とMACDさえ表示できれば実践できる内容です。

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MACDとは何かを感覚ベースで理解する

MACDは「短期移動平均線」と「長期移動平均線」の差をグラフ化し、その動きを平均化したシグナル線と組み合わせた指標です。数式を暗記する必要はありません。重要なのは次のイメージです。

  • 短期線が長期線より上に強く乖離しているほど、上昇の勢いが強い
  • 短期線が長期線より下に大きく乖離しているほど、下落の勢いが強い
  • 勢いがピークをつけると、乖離が縮小し始め、MACDは山(または谷)を作って反転していく

ローソク足だけでは「なんとなく上がっている/下がっている」としか見えなかったものが、MACDでは「勢いが強まっているのか、弱まっているのか」がはっきり視覚化されます。この「勢いの変化」を読むことがMACDの本質です。

MACDの基本的な見方:クロスだけに頼らない

一般的な教科書的なMACDの使い方は以下のようなものです。

  • MACDラインがシグナル線を下から上に抜ける(ゴールデンクロス)=買いシグナル
  • MACDラインがシグナル線を上から下に抜ける(デッドクロス)=売りシグナル

しかし、レンジ相場ではクロスが頻発し、そのたびに逆行されてしまいます。そこで、本記事ではクロスそのものよりも、次の3つに注目していきます。

  • 0ラインより上にいるのか、下にいるのか(上昇トレンド優位か、下落トレンド優位か)
  • 山や谷の大きさ(勢いの強さ)
  • 山や谷が連続する中で「勢いが弱まっているかどうか」(ダイバージェンス)

これらを見ることで、「今はトレンドが続きやすい場面なのか、それとも転換が近い場面なのか」をおおまかに判断できます。

初心者がMACDでやりがちな失敗パターン

具体的な戦略の前に、よくある失敗を整理しておきます。

レンジ相場でクロスを追いかけ続ける

価格が横ばいのとき、MACDは0ライン付近を行ったり来たりします。この状態でクロスだけを根拠に売買すると、往復ビンタを食らいやすくなります。MACDは「トレンドが出ている相場」で威力を発揮しやすい指標であり、レンジを見抜くフィルターが必要です。

0ラインの位置を無視して逆張りを繰り返す

MACDが0ラインより大きく上にある状態は、強い上昇トレンドの最中であることが多いです。それにもかかわらず、「山が高いからそろそろ天井だろう」と逆張りショートをすると、そのまま踏み上げられることがあります。0ラインより上では買い優位、下では売り優位、という大前提を無視した逆張りは危険です。

時間軸をごちゃまぜにして判断する

5分足、1時間足、日足など複数の時間軸を同時に見て混乱してしまうパターンも多いです。最初は「1つの時間足に絞る」方が再現性は高くなります。本記事では例として「1時間足」で説明しますが、基本の考え方は他の時間軸でも応用できます。

勝ちやすい場面だけを狙うMACD順張り戦略の考え方

ここからは、初心者でもシンプルに再現しやすい「MACD順張り戦略」の骨格を紹介します。キーワードは「トレンドが出ている場面だけに絞る」「押し目・戻りを待つ」「勢いが再加速する瞬間に乗る」の3つです。

ステップ1:トレンド方向を決める(0ラインと移動平均線)

まずは大まかなトレンド方向を決めます。

  • MACDが0ラインより上にある → 基本は買い目線
  • MACDが0ラインより下にある → 基本は売り目線

これに加えて、チャート上に「終値ベースの20期間移動平均線」を1本だけ表示します。

  • 価格が20MAより上にある時間帯が長い → 上昇トレンドが優勢
  • 価格が20MAより下にある時間帯が長い → 下落トレンドが優勢

MACDの位置と20MAの位置関係が揃っているとき(0ラインより上+価格が20MAの上、あるいはその逆)だけトレード対象にすることで、ノイズの多いレンジをある程度避けることができます。

ステップ2:押し目・戻りを待つ

トレンド方向が決まったら、すぐに飛び乗るのではなく「押し目」または「戻り」を待ちます。

  • 上昇トレンドなら、一度20MAの近くまで価格が下がる(押し目)
  • 下落トレンドなら、一度20MAの近くまで価格が戻る(戻り)

このときMACDは、一度山(または谷)を作ったあとに勢いが弱まり、0ライン方向に近づいていくことが多いです。ここで慌てて逆張りするのではなく、「トレンド方向への再加速」を待つのがポイントです。

ステップ3:MACDの再加速でエントリー

押し目・戻りのあと、次のような動きが出たらエントリーを検討します。

  • 上昇トレンド:MACDが再び上向きにカーブし、シグナル線を下から上に抜ける動き
  • 下落トレンド:MACDが再び下向きにカーブし、シグナル線を上から下に抜ける動き

このとき、価格が再度20MAから離れ始めているかどうかも確認します。「MACDの再加速」と「価格がトレンド方向に動き出すタイミング」が揃った場面を狙うことで、ダマシをある程度減らすことができます。

具体例:ドル円1時間足を使ったシナリオ

ここでは、FXのドル円(USD/JPY)1時間足を例に、上昇トレンドでの買い戦略をイメージしてみます。

想定条件:

  • チャート:ドル円1時間足
  • インジケーター:MACD(12,26,9の標準設定)、20期間移動平均線
  • 相場環境:重要な経済指標発表が少なく、比較的素直なトレンドが出ている時期

シナリオ:

  1. MACDが0ラインより明確に上で推移し、山が連続している。価格は20MAの上で推移しており、明らかな上昇トレンド。
  2. 一度上値をつけたあと、価格がゆっくりと下がり、20MA近くまで押してくる。このときMACDも下向きになり、山の高さが前回よりやや低くなってくる。
  3. 20MA付近で下げ止まり、長い下ヒゲのローソク足が出現する。MACDは下向きだったカーブが徐々にフラットになり、やがて再び上向きにカーブを描く。
  4. MACDがシグナル線を下から上に抜けたタイミング、かつ価格が直近の小さな戻り高値を上抜けたところで、買いエントリーを検討する。
  5. 損切りは、直近の押し安値(下ヒゲの安値)を少し下回る位置に設定する。
  6. 利確は、リスクリワード比が1:1.5〜1:2程度になる価格帯、もしくはMACDが再び山を作って反転し始めたあたりで部分的に実行する。

このように、MACDを単なるクロスではなく「押し目・戻りからの再加速」を確認するツールとして使うことで、トレンドに素直に乗る順張り戦略が組み立てやすくなります。

エントリーと手仕舞いのルール設計

実際に運用するには、以下のようなルールを事前に決めておくことが重要です。

エントリー条件(買いの場合の一例)

  • MACDが0ラインより上にある
  • 価格が20MAより上で推移している
  • 一度20MA近くまで押してから、再び上昇に転じている
  • MACDが再び上向きとなり、シグナル線を下から上に抜けた
  • エントリー直前のローソク足の安値が、明確な押し安値として機能している

損切りとトレーリングストップ

損切りは「どこまで逆行したら優位性が崩れたと判断するか」で決めます。先ほどの例であれば、

  • 直近の押し安値を少し下回る位置に固定の損切りを置く

利益が乗ってきたら、移動平均線や直近の安値・高値を参考にトレーリングストップを移動させる方法もあります。

利確の考え方

MACDは「勢いのピーク」を見るのに役立ちます。例えば、

  • MACDの山が前回より小さくなり、勢いの鈍化が見られたら一部利確
  • MACDが0ラインに向かって急速に縮小してきたら残りを手仕舞う

すべてを天井で売り切る必要はなく、「リスク・リワード比が一定以上になったら機械的に利確する」など、シンプルな基準を持つ方がブレにくくなります。

時間帯・銘柄の選び方で勝率が変わる

同じMACD戦略でも、「どの時間帯・どの銘柄で使うか」によってパフォーマンスは大きく変わります。

  • FXなら、値動きが活発なロンドン時間・ニューヨーク時間を中心に絞る
  • 株なら、寄り付き直後の荒い値動きよりも、トレンドが落ち着きやすい時間帯に絞る
  • ボラティリティが極端に低い銘柄は避け、ある程度の値幅が期待できる銘柄を選ぶ

MACDは「値動きの勢い」を前提にしているため、そもそも動かない銘柄では優位性が出にくくなります。過去チャートをざっと眺めて、「トレンドが出やすいかどうか」を感覚的にチェックするだけでも、成績は変わってきます。

MACDと他の指標をどう組み合わせるか

インジケーターを増やしすぎると、かえって判断がブレます。最初は、次のようなシンプルな組み合わせを検討するとよいでしょう。

  • MACD+移動平均線(トレンドと勢い)
  • MACD+出来高(勢いと参加者の多さ)
  • MACD+サポート・レジスタンスライン(価格の節目)

例えば、重要な高値・安値のラインを引いておき、その付近でMACDが再加速したタイミングだけを狙う、といった絞り込み方もあります。あくまでMACDを「主役」とし、他の指標は「フィルター」として補助的に使うのがバランスの良い組み立て方です。

バックテストと検証の進め方

いきなり実弾でトレードを始めるのではなく、まずは過去チャートで「もしこのルールでやっていたらどうなっていたか」をざっくり検証してみることをおすすめします。

  • チャートソフトの過去データを使い、1本ずつローソク足を進めながらルール通りに「仮想トレード」してみる
  • エントリー、損切り、利確ポイントをノートやスプレッドシートに記録する
  • 10〜20トレード分くらいを集計し、勝率や平均損益、最大ドローダウンなどをざっくり把握する

完璧な検証は不要ですが、「感覚ではなく数字でざっくり把握する」ことが重要です。これによって、ルールのどこを調整すべきかが見えやすくなります。

うまくいかなくなったときの見直しポイント

どんな戦略でも、相場環境が変われば一時的に機能しにくくなる局面があります。うまくいかないと感じたときは、次のポイントをチェックしてみてください。

  • レンジ相場が増えていないか(トレンド前提の戦略をレンジに当てていないか)
  • 重要指標発表前後のノイズを避けているか
  • 損切り幅が広すぎたり狭すぎたりしていないか
  • ルールを毎回一貫して守れているか(裁量で変えていないか)

特に「レンジ相場で無理にトレンドフォローを続けていないか」は要注意です。MACDの山や谷が小さくなり、0ライン付近で細かく上下している期間は「様子見」と割り切る選択も重要です。

小さく始めて、少しずつ精度を上げる

MACDは、チャートソフトさえあれば誰でも無料で使えるシンプルな指標です。しかし、その本当の威力は「勢いの変化」に注目し、トレンドの再加速を狙う順張り戦略として整えることで発揮されます。

いきなり大きなロットで勝負するのではなく、最初は少額またはデモ口座で、

  • トレンドが出ている場面かどうかを見極める練習
  • 押し目・戻りを待つ忍耐力
  • MACDの再加速タイミングを視覚的に捉える練習
  • 損切り・利確ルールを一貫して守る習慣

を身につけていくと、チャートの見え方が少しずつ変わってきます。MACDをきっかけとして、「勢い」と「トレンド」を意識した売買の感覚を養っていくことが、長期的な成長につながります。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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