NR7パターン徹底解説:ボラティリティ収縮を狙う短期トレード戦略

テクニカル分析

本記事では、短期トレードの世界で有名な「NR7(Narrow Range 7)」という値動きパターンについて詳しく解説します。NR7は、ローソク足7本分の中で最も値幅が狭い足が出現した状態を指し、ボラティリティが一時的に縮小している局面を捉える手法です。値動きが縮んだあとには、往々にして大きなブレイクが発生しやすく、そこに乗ることができれば効率的に利益を狙いやすくなります。

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NR7とは何か:定義と基本コンセプト

NR7は、直近7本のローソク足を比較し、その中で最も「高値と安値の差(=値幅)」が小さい足が出現した状態をいいます。例えば、日足チャートであれば、過去7営業日の中で最も値幅が狭い日がNR7です。5分足チャートであれば、直近7本の5分足で最も値幅が小さい足がNR7ということになります。

定義は非常にシンプルですが、重要なのは「値幅が縮小している=市場参加者のエネルギーがため込まれている可能性がある」という点です。横ばい・膠着状態が続き、出来高がやや細くなり、マーケットが方向感を失っているように見える局面ほど、次に出るトレンドの初動に乗れれば大きなリスクリワードを期待できます。

なぜNR7が機能しやすいのか:ボラティリティ収縮とエネルギー蓄積

相場は「静から動」「動から静」へと周期的に変化します。ボラティリティが高い時期が続けば、いずれ値動きは落ち着き、ボラティリティが低い時期が続けば、やがてどこかで大きく動きます。NR7は、この「静」の局面の中でも特に値幅が縮んだ瞬間をピンポイントで捉えるツールです。

値幅が狭いということは、多くの市場参加者が様子見をしているか、売りと買いのバランスが拮抗している状態です。しかし、時間が経つほどポジションは溜まり、どこかのタイミングで一方向に傾いたとき、一斉にストップロスや順張りの新規注文がぶつかり、大きなトレンドが出やすくなります。NR7は、この「ブレイク直前」のタイミングに近い局面を抽出しようとする考え方だと理解しておくとよいです。

NR7の具体的な見つけ方:チャート上での手順

NR7を実際のチャートで見つける手順は次の通りです。

  • ① 時間軸を決める(例:日足、1時間足、15分足など)。自分のトレードスタイル(スイング、デイトレ、スキャル)に合わせて選びます。
  • ② 任意のローソク足からさかのぼって7本分を確認する。
  • ③ 各ローソク足について「高値-安値」の値幅を計算する。
  • ④ 7本分の中で最も値幅が小さい足を特定する。
  • ⑤ その足を「NR7」としてマークし、その翌足以降のブレイク方向に注目する。

TradingViewなどのチャートソフトでは、スクリプトやインジケーターでNR7を自動検出することも可能です。ただし、最初のうちはあえて手作業でチャートを見て、「どのような局面でNR7が出やすいのか」を自分の目で確認することをおすすめします。これにより、単にサインだけを見るのではなく、相場全体の流れと組み合わせて判断する感覚が養われます。

NR7が効果的に機能しやすい相場環境

NR7はどのような相場でも一律に機能するわけではありません。特に有効性が高まりやすいのは、次のような環境です。

  • ・明確なトレンドが出ている途中で、一時的に値動きが収縮した場面
  • ・重要なサポートラインやレジスタンスライン付近での膠着状態
  • ・重要指標や経済イベントの前後で、マーケットが様子見になっている場面

例えば、上昇トレンド中に移動平均線が右肩上がりで推移しているとき、その付近で小さな値幅の足が連続したあとにNR7が出ると、上方向へのブレイクが発生しやすくなります。逆に、明らかなレンジ相場のど真ん中で出たNR7は、その後もダマシになりやすく、方向感が出にくいことも多いです。

株・FX・暗号資産でのNR7の違い

NR7の考え方自体はどの市場でも共通ですが、市場ごとに特徴があるため、少しずつ使い方を調整する必要があります。

株式市場でのNR7

個別株は、決算発表や材料ニュースなどのイベントで一気に値が飛ぶことが多く、NR7からのギャップアップ・ギャップダウンもよく見られます。日足ベースでのNR7後に、寄り付きで上放れした場合、出来高が伴っていればそのまま上昇トレンドが継続するケースも多くなります。一方で、出来高が伴わないギャップは埋められやすいため、エントリー前にボリュームを必ず確認することが重要です。

FX市場でのNR7

FXは24時間ほぼ連続的に取引されているため、株式ほど大きな窓開けは頻繁ではありません。その代わり、ロンドン時間やニューヨーク時間の開始前後にボラティリティが上昇しやすく、それまでのアジア時間がNR7のような小さな値幅になることが多くあります。典型的なのは、「アジア時間でレンジ+NR7 → ロンドンオープンでレンジブレイク」という流れです。このパターンは、短期トレーダーにとって狙いやすい局面です。

暗号資産市場でのNR7

暗号資産は24時間365日取引され、ボラティリティも高いため、NR7が頻繁に出現します。特にビットコインや主要アルトコインでは、日足ベースでも値幅の縮小と拡大が繰り返されます。ボラティリティが高いぶん、ブレイク後の値動きも大きくなりがちなので、損切り幅とロット管理を慎重に設計することが必須です。具体的には、ATR(Average True Range)などの指標を使って、ボラティリティに応じてポジションサイズを調整するとよいです。

NR7を使った具体的なエントリー戦略

ここからは、NR7を利用した実践的なエントリー戦略をいくつか紹介します。いずれもサインを鵜呑みにするのではなく、トレンド方向やサポレジ、出来高などの要素と組み合わせて判断することで、期待値を高めることができます。

戦略① トレンドフォロー型NR7ブレイク

もっともシンプルで使いやすいのが、トレンド方向へ素直にブレイクを狙うトレンドフォロー型の戦略です。

  • ・上昇トレンド中:移動平均線(例:20EMA)が右肩上がりで、価格がその上側で推移している状態を確認します。
  • ・そのトレンドの途中で値幅が縮小し、NR7が出現したことを確認します。
  • ・NR7の高値を上抜けたら買いエントリー、安値を割れたら様子見(または損切り)とします。
  • ・損切りはNR7の安値の少し下に設定し、利確は直近のレジスタンスやリスクリワード比(例:1:2以上)で決めます。

この戦略のポイントは、「トレンド方向と同じ向きのブレイクのみを取る」ことです。逆方向へのブレイクはダマシになりやすいため、無理に逆張りを狙わず、あくまでトレンドフォローに徹することで、勝率と期待値のバランスを取りやすくなります。

戦略② レンジブレイク型NR7

明確なレンジ相場が続いている場合、レンジ上限または下限付近でNR7が出ると、その後のブレイクが大きなトレンドに発展することがあります。

  • ・水平なレンジ帯(サポート・レジスタンス)を事前に引いておく。
  • ・レンジ上限付近でNR7が出た場合、上限ブレイクで買いエントリーを検討する。
  • ・レンジ下限付近でNR7が出た場合、下限ブレイクで売りエントリーを検討する。
  • ・損切りはレンジ内に戻されたタイミング(ブレイク足の反対側)に置く。

この戦略では、「ブレイクしたら一気に走る」という場面を狙います。特にFXや暗号資産では、長時間レンジが続いた後のレンジブレイクが、その日の一方向トレンドの大部分を占めることも珍しくありません。

戦略③ フェイクブレイクを利用した逆張り戦略

やや上級者向けですが、NR7からのブレイクがダマシになった瞬間を逆張りで狙う手法もあります。

  • ・NR7後に一度上方向へブレイクしたものの、すぐにNR7のレンジ内に戻される。
  • ・その後、今度は逆方向(下方向)に強く抜けていく。
  • ・このパターンでは、最初のブレイクについていったトレーダーの損切りが逆方向の燃料になり、大きく動くことがあります。

この戦略では、「最初のブレイクは触らず、ダマシが確定した後の逆方向だけを狙う」という割り切りが重要です。心理的には難しいですが、パターンとしては非常に強力なことが多く、バックテストや検証を重ねる価値があります。

損切り・利確・ポジションサイズの考え方

NR7はあくまでエントリータイミングを示すサインであり、損切りと利確の設計を誤ると、期待値がマイナスになってしまうこともあります。ここでは、基本的なリスク管理の考え方を整理します。

損切りの置き方

  • ・もっともシンプルなのは、NR7の高値・安値の反対側に損切りを置く方法です。
  • ・ボラティリティが高い銘柄や通貨ペアでは、ATRの一定倍(例:1.2倍)を上乗せして、ノイズで刈られないように調整します。
  • ・決して「なんとなくこの辺」という感覚的な損切りにはしないことが重要です。

利確の考え方

  • ・リスクリワード比1:2以上を目安に、チャート上の目標値(直近高値・安値、レジスタンス・サポート)を決める。
  • ・途中で一部利確し、残りをトレーリングストップで伸ばす方法も有効です。
  • ・ボラティリティが急拡大し、一気に目標値を超えて伸びた場合は、欲張りすぎずにきちんと利益を確保することが大切です。

ポジションサイズの調整

NR7ブレイクは一撃の値幅が大きくなる反面、ダマシも発生します。そのため、1回のトレードで口座資金の数%以上を失うようなポジションサイズを取ることは避けるべきです。目安としては、1トレードあたりの許容損失を口座残高の1〜2%に抑え、その範囲内に収まるようにロットを計算するのが一般的です。

時間軸別のNR7活用法

NR7はどの時間軸でも使えますが、時間軸によって特徴や注意点が変わります。

日足NR7:スイングトレード向け

日足でのNR7は、数日〜数週間にわたるトレンドの起点になることがあります。株式や暗号資産のスイングトレードでは、日足NR7のブレイクをきっかけにポジションを取り、数日のトレンドを狙うスタイルが相性が良いです。この場合、ニュースやイベントのスケジュール(経済指標や決算日など)も併せて確認しておくことが重要です。

1時間足・4時間足NR7:デイトレ〜短期スイング向け

1時間足や4時間足でのNR7は、1日〜数日レベルの波を捉えるのに適しています。FXでは特に、ロンドン時間開始前後の4時間足NR7ブレイクや、ニューヨーク時間に向けた1時間足NR7ブレイクが有効に機能するケースがあります。暗号資産では、週末にボラティリティが低下し、週明けに大きなブレイクが起きるパターンなども見られます。

5分足・15分足NR7:デイトレード・スキャルピング向け

短い時間足でのNR7は、1日の中の値動きの波を捉えるデイトレーダーやスキャルパーに向いています。ただし、ノイズも非常に多いため、単純にNR7だけを追いかけるとサイン過多になりがちです。移動平均線の傾き、上位時間足のトレンド、セッションの切り替わり(東京・ロンドン・ニューヨーク)など、複数の条件を組み合わせてフィルタリングすることが必須です。

NR7のバックテストと検証の進め方

NR7はシンプルなルールだからこそ、過去チャートを使った検証が行いやすいパターンです。ここでは、個人投資家が取り組みやすい検証手順の一例を紹介します。

  • ① 銘柄・通貨ペアを1〜2本に絞る(例:USD/JPYとBTC/USDT)。
  • ② 時間軸を決める(例:4時間足)。
  • ③ 過去1〜2年分のチャートを遡り、NR7が出た足に印をつける。
  • ④ 「トレンド方向へのブレイクのみをエントリー」「リスクリワード1:2で利確」など、シンプルなルールを決める。
  • ⑤ エクセルやスプレッドシートに、各トレードの結果(勝ち・負け・損益pips・最大ドローダウンなど)を記録する。
  • ⑥ 勝率・平均損益・最大連敗数などを計算し、ルール全体の期待値を評価する。

この作業を通じて、「どのような相場環境でNR7が機能しやすいのか」「どの時間帯・どの方向へのブレイクが優位性を持ちやすいのか」といった感覚が磨かれていきます。これこそが、単なるパターンの暗記ではなく、自分の武器として戦略を落とし込むうえで重要なプロセスです。

NR7トレードでよくある失敗パターン

NR7は魅力的なパターンですが、使い方を誤ると期待した結果が得られないこともあります。よくある失敗パターンをあらかじめ把握しておきましょう。

  • ・どのNR7でも機械的にエントリーしてしまい、ダマシ連発で消耗する。
  • ・レンジの真ん中付近や、明確なトレンドがない場面でもブレイクを追いかけてしまう。
  • ・損切りをタイトにしすぎて、ノイズで刈られた後に本格的なトレンドが出る。
  • ・逆に損切りが広すぎて、1回の損失が大きくなり、メンタルが持たなくなる。
  • ・ポジションサイズが大きすぎて、数回の連敗で口座資金が大きく減ってしまう。

これらの失敗を避けるためには、「環境認識」「リスク管理」「ルールの一貫性」という3つの柱を徹底することが重要です。NR7はあくまでトリガーであり、相場環境に応じたフィルタリングと適切な資金管理が揃って初めて、戦略として機能します。

NR7を自分のスタイルに組み込むためのステップ

最後に、NR7を自分のトレードスタイルに落とし込むための現実的なステップをまとめます。

  • ① まずは1つの市場・時間軸に絞る(例:FXの4時間足、ビットコインの日足など)。
  • ② 過去チャートを使って、少なくとも数十〜数百サンプルのNR7を目視で確認する。
  • ③ その中から「自分が理解しやすく再現しやすいパターン」に絞り込む。
  • ④ シンプルなルール(トレンド方向へのブレイクのみ、リスクリワード1:2など)を紙に書き出す。
  • ⑤ 小さなロットでデモまたはリアル取引を行い、感情の動きや実際の執行の難しさを体感する。
  • ⑥ 結果を記録しながら、エントリー条件や損切り幅、利確方法を少しずつ調整していく。

このプロセスを経ることで、NR7は単なる「よく聞くチャートパターン」から、「自分の得意パターン」に昇格します。重要なのは、他人のルールをそのまま真似るのではなく、自分のリスク許容度や生活リズム、取引時間帯に合わせてカスタマイズすることです。

NR7は、短期トレードにおいて非常に応用範囲の広い手法です。株、FX、暗号資産のいずれでも利用でき、時間軸も柔軟に選べます。まずは少数の銘柄と時間軸に絞って検証し、自分なりの勝ちパターンを構築していくことで、相場のボラティリティを味方につける一歩を踏み出していただければと思います。

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