RSIダイバージェンスで相場の転換点を狙う実践ガイド

テクニカル分析

RSIダイバージェンスは、オシレーター系指標の中でも「天井・底打ちのサイン」として意識されやすいシグナルです。チャート上で価格とRSIの動きが食い違うポイントを見つけることで、トレンドの勢いの変化を早めに察知し、押し目買い・戻り売りだけでは拾いきれない転換局面を狙うことができます。

この記事では、RSIそのものの基礎から、ダイバージェンスの種類、実際のエントリー・決済ルールの組み立て方、株・FX・暗号資産それぞれでの使い方の違いまで、初心者の方でも実践に落とし込みやすい形で詳しく解説していきます。

スポンサーリンク
【DMM FX】入金
  1. RSIダイバージェンスとは何か
  2. 代表的な4種類のダイバージェンス
    1. 1. 通常の弱気ダイバージェンス(ベアリッシュ・ダイバージェンス)
    2. 2. 通常の強気ダイバージェンス(ブルリッシュ・ダイバージェンス)
    3. 3. 隠れ弱気ダイバージェンス
    4. 4. 隠れ強気ダイバージェンス
  3. RSIダイバージェンスの具体的な見つけ方
    1. ステップ1:RSIの設定を決める
    2. ステップ2:価格チャートでスイング高値・安値を特定する
    3. ステップ3:同じタイミングのRSIのピーク・ボトムを確認する
    4. ステップ4:時間軸ごとの絞り込み
  4. RSIダイバージェンスを使ったトレード戦略例
    1. 戦略1:弱気ダイバージェンスからの戻り売り戦略(FX・株式)
    2. 戦略2:強気ダイバージェンスからの押し目買い戦略(暗号資産)
    3. 戦略3:隠れ強気ダイバージェンスとトレンドフォローの組み合わせ
  5. RSIダイバージェンスの注意点とダマシ回避のポイント
    1. 1. 強いトレンドでは何度もダマシが出る
    2. 2. 水平ライン・移動平均線との組み合わせ
    3. 3. 時間軸を固定し過ぎない
  6. 株・FX・暗号資産ごとのRSIダイバージェンスの特徴
    1. 株式市場での特徴
    2. FX市場での特徴
    3. 暗号資産市場での特徴
  7. RSIダイバージェンスをトレードルールに組み込む手順
    1. 1. 使う時間軸と市場を決める
    2. 2. ダイバージェンスを使う局面を限定する
    3. 3. 他のテクニカル要因とセットで条件化する
    4. 4. リスク管理ルールを明確にする
    5. 5. 過去チャートで検証する
  8. まとめ:RSIダイバージェンスは「勢いの変化」を教えてくれる

RSIダイバージェンスとは何か

まず前提となるRSI(Relative Strength Index)は、「一定期間の上昇幅と下落幅のバランス」から買われ過ぎ・売られ過ぎを数値化したオシレーターです。一般的には14期間を使い、0〜100の間で推移します。70以上で買われ過ぎ、30以下で売られ過ぎといった目安がよく使われます。

RSIダイバージェンスとは、このRSIの動きと価格の動きが逆行する状態を指します。例えば、価格が高値更新を続けているのに、RSIの高値は切り下がっているような場面です。これは「価格は上がっているが、上昇の勢いは実は弱くなっている」ことを示唆しており、トレンド転換や深めの調整が近い可能性を示します。

代表的な4種類のダイバージェンス

ダイバージェンスにはいくつか種類がありますが、トレードの現場で意識されやすいのは次の4つです。

1. 通常の弱気ダイバージェンス(ベアリッシュ・ダイバージェンス)

・価格:高値を更新(高値切り上げ)している
・RSI:高値を更新できず、むしろ高値を切り下げている

上昇トレンドの終盤に現れやすく、「勢いの衰えからの反落」を示唆します。具体的には、株価が1回目の高値で1000円、2回目で1050円と高値更新しているのに、RSIのピークは1回目が75、2回目が70と低下しているようなケースです。この場合、価格だけ見ると強そうですが、RSIを見ると買いの勢いが落ちていることが分かります。

2. 通常の強気ダイバージェンス(ブルリッシュ・ダイバージェンス)

・価格:安値を更新(安値切り下げ)している
・RSI:安値を更新できず、安値が切り上がっている

下落トレンドの終盤に現れやすく、「売りの勢いが弱まりつつある」ことを示します。例えば、ビットコインの価格が1回目の安値で30000ドル、2回目で29000ドルと安値更新しているのに、RSIのボトムは1回目が28、2回目が32と切り上がっている場合です。このような場面では、売りのエネルギーが弱まり、ショートカバーや新規の買いが入りやすくなります。

3. 隠れ弱気ダイバージェンス

・価格:戻り高値が切り下がっている
・RSI:戻り高値が切り上がっている

これは「トレンド方向に継続しやすい」ダイバージェンスとされます。下降トレンドの戻り局面で、価格自体は前回の戻り高値を超えられないのに、RSIの高値は切り上がっているようなケースです。いったん調整の買いが強まりつつも、価格はレジスタンスを抜けきれず、再びトレンド方向(下方向)に動くシナリオを示唆します。

4. 隠れ強気ダイバージェンス

・価格:押し安値が切り上がっている
・RSI:押し安値が切り下がっている

こちらは上昇トレンドの押し目局面で、価格は前回の安値より高く止まっているのに、RSIは一時的に前回より低い水準まで売られ過ぎになるパターンです。価格は下げ渋っているのにRSIだけが急激に売られ過ぎゾーンを試し、その後トレンド方向(上方向)に戻ることがよくあります。押し目買いの精度を高めるのに有効です。

RSIダイバージェンスの具体的な見つけ方

ダイバージェンスを実践に落とし込むには、感覚ではなく「どの高値・安値同士を比較するか」をルール化しておくことが重要です。

ステップ1:RSIの設定を決める

一般的には期間14がよく使われますが、短期トレードでは9〜12、スイングでは14〜21といった使い分けもあります。まずは相場や時間軸にかかわらず14で統一し、慣れてから調整していくとよいでしょう。

ステップ2:価格チャートでスイング高値・安値を特定する

ダイバージェンスを探すときは、細かいノイズではなく「目で見てすぐ分かる山と谷」を基準にします。ローソク足が3〜5本程度並んではっきりと山・谷を作っている箇所に注目し、直近2つの高値(または安値)を選びます。

ステップ3:同じタイミングのRSIのピーク・ボトムを確認する

選んだ価格の高値・安値に対応するタイミングで、RSIがどの値まで上昇・下落していたかを確認します。価格が高値更新しているのにRSIが前回より低い、または価格が安値更新しているのにRSIが前回より高い場合、ダイバージェンス候補となります。

ステップ4:時間軸ごとの絞り込み

5分足などの短い時間軸ではダマシが非常に多くなります。まずは4時間足・日足など、ある程度ノイズの少ない時間軸でダイバージェンスが出ているかを確認し、そのうえで15分足や1時間足でエントリーポイントを絞り込む、といったマルチタイムフレーム分析を組み合わせると精度が上がります。

RSIダイバージェンスを使ったトレード戦略例

戦略1:弱気ダイバージェンスからの戻り売り戦略(FX・株式)

1. 日足チャートで上昇トレンド中の通貨ペアや銘柄を選ぶ
2. 日足で価格が高値更新しているのに、RSIのピークが切り下がっている場面を探す(弱気ダイバージェンス)
3. 高値付近に明確なレジスタンスラインや過去の戻り高値があれば、そこを意識する
4. 4時間足・1時間足に落として、短期のサポート割れや移動平均線(例えば20EMA)割れをトリガーにショートエントリー
5. 損切りは直近高値の少し上、利確は次のサポートゾーンや日足の20SMA付近に設定

この戦略のポイントは、「ダイバージェンスだけで逆張りしない」ことです。ダイバージェンスはあくまで「勢いの変化」を示すサインであり、実際のエントリーは、短期足でトレンドが崩れたタイミングに合わせて行います。

戦略2:強気ダイバージェンスからの押し目買い戦略(暗号資産)

1. 日足で中長期的には上昇トレンドにある暗号資産を選定
2. 調整局面で、価格が直近安値を割り込んでいるのにRSIのボトムが切り上がっている場面を探す(強気ダイバージェンス)
3. ボリンジャーバンドの−2σ付近や、日足200SMAといった長期の支持帯が重なっていると信頼度が上がる
4. 4時間足で直近の戻り高値を上抜けたタイミング、または短期のトレンドラインを上抜けたタイミングで買いエントリー
5. 損切りは強気ダイバージェンスが出ていた安値の少し下、利確は直近高値や日足の+1σ〜+2σ付近を目安に

暗号資産はボラティリティが大きく一時的にオーバーシュートしやすいため、RSIが30を大きく割り込んだ後にダイバージェンスが出るケースも多く見られます。そのような場面で分割エントリーを行い、ポジションサイズをコントロールすることが重要です。

戦略3:隠れ強気ダイバージェンスとトレンドフォローの組み合わせ

1. 日足で明確な上昇トレンドにある銘柄を選ぶ(高値・安値とも切り上がっている状態)
2. 押し目局面で、価格は前回の押し安値より高い位置で止まっているのに、RSIは一時的に前回より低い水準まで下落している場面を探す(隠れ強気ダイバージェンス)
3. その付近に20SMAや上昇トレンドラインが重なっていれば、押し目候補として強い
4. ローソク足で下ヒゲの長い反発足や、陽線包み足などの反転パターンが出たタイミングでエントリー
5. 損切りは押し安値の少し下、利確は直近高値更新を目安にトレイリングストップを活用

隠れダイバージェンスは「トレンド継続」を示唆するため、逆張りというよりは押し目買い・戻り売りの精度を高める目的で使うのが合理的です。

RSIダイバージェンスの注意点とダマシ回避のポイント

1. 強いトレンドでは何度もダマシが出る

株式市場の決算シーズンや、為替市場での金融政策イベントなど、ファンダメンタルズで強いトレンドが発生しているとき、RSIが何度もダイバージェンスを出しながらトレンドが継続することがあります。特に、上昇相場の序盤〜中盤では、弱気ダイバージェンスが出たからといってすぐに天井とは限りません。

このような局面では、日足・週足といった上位足でのトレンド方向を優先し、上昇トレンド中は強気ダイバージェンスや隠れ強気ダイバージェンスを重視、下降トレンド中は弱気ダイバージェンスや隠れ弱気ダイバージェンスを重視するなど、フィルターをかけるとよいでしょう。

2. 水平ライン・移動平均線との組み合わせ

ダイバージェンス単体ではエントリーのタイミングが曖昧になりがちです。そこで、水平のサポート・レジスタンスラインや移動平均線と組み合わせて、「反転が起こりやすい価格帯」を特定し、そのゾーンでダイバージェンスが出ているかどうかを見ると、シグナルの精度が上がります。

例えば、日足の200SMA付近で強気ダイバージェンスが出ている場合、多くの参加者が長期の押し目と見なしていることが多く、短期の反発以上の上昇トレンド再開につながるケースもあります。

3. 時間軸を固定し過ぎない

5分足だけ、1時間足だけといった単一時間軸にこだわると、ダイバージェンスが頻発しすぎてどれを信じればよいか分からなくなります。基本的な考え方として、上位時間軸(日足・4時間足)でダイバージェンスが出ている方向を優先し、下位時間軸(1時間足・15分足)でエントリーのタイミングを探す、という流れをルール化しておくと判断がブレにくくなります。

株・FX・暗号資産ごとのRSIダイバージェンスの特徴

株式市場での特徴

個別株は決算や材料でギャップを伴う大きな価格変動が起こりやすく、その前後ではRSIのダイバージェンスがきれいに機能しないことも多いです。一方で、指数や大型株など流動性の高い銘柄では、日足ベースのダイバージェンスが比較的素直に機能する場面も見られます。

特に、長期間の上昇相場の中で週足レベルの弱気ダイバージェンスが出始めた場合、中期的な天井圏のシグナルとして意識されることがあります。ただし、ポジションサイズや時間軸をよく考え、短期トレードと中長期の判断を混同しないように注意が必要です。

FX市場での特徴

FXは24時間取引でギャップが少なく、テクニカル指標が機能しやすい市場といわれます。RSIダイバージェンスも例外ではなく、特に主要通貨ペアの4時間足〜日足では、トレンドの勢いの変化を把握するのに有効です。

また、為替はレンジ相場になりやすい特徴があるため、ダイバージェンスが出たからといって必ず大きなトレンド転換になるとは限らず、「レンジの上限・下限での反発サイン」として使うのも現実的です。レンジ上限付近の弱気ダイバージェンス、レンジ下限付近の強気ダイバージェンスは、短期の逆張りポイントとして機能しやすいパターンです。

暗号資産市場での特徴

暗号資産はボラティリティが非常に大きく、RSIが80〜90、あるいは10〜20といった極端な水準まで振れやすいのが特徴です。このため、RSIの数値だけを見て「70を超えたら売り」「30を割ったら買い」といった単純な判断をすると、強いトレンドに逆らってしまうことがあります。

ダイバージェンスを使う場合も、1回ダイバージェンスが出たからといっていきなり全力で逆張りするのではなく、出来高のピークアウトや長い上ヒゲ・下ヒゲ、他のオシレーター(ストキャスティクスやMACD)との組み合わせなど、補助的なシグナルを重ねて判断することが重要です。

RSIダイバージェンスをトレードルールに組み込む手順

最後に、RSIダイバージェンスを実際のトレードルールに落とし込む際のステップをまとめます。

1. 使う時間軸と市場を決める

例として、「FXの主要通貨ペアを4時間足で監視し、日足でのトレンド方向に沿ってトレードする」といったように、時間軸と対象をあらかじめ決めておきます。これにより、どのダイバージェンスに注目すべきかが明確になります。

2. ダイバージェンスを使う局面を限定する

ダイバージェンスをいつでもどこでも探そうとすると、シグナルだらけになってしまいます。例えば、上昇トレンド中は「押し目買いで隠れ強気ダイバージェンスのみを見る」、下降トレンド中は「戻り売りで隠れ弱気ダイバージェンスと弱気ダイバージェンスを見る」といった形で、使うパターンを限定すると判断がシンプルになります。

3. 他のテクニカル要因とセットで条件化する

RSIダイバージェンス単体ではなく、以下のような条件を組み合わせてルール化します。

  • 日足のサポート・レジスタンスライン
  • 20SMAや200SMAなどの移動平均線
  • ボリンジャーバンドの±2σ
  • トレンドラインやチャネルライン

例えば、「日足のサポートライン付近で強気ダイバージェンスが出ていて、4時間足で下降トレンドラインを上抜けたら買いエントリー」といった形にすると、視覚的にも分かりやすくなります。

4. リスク管理ルールを明確にする

どんなに優れたシグナルでも、すべての場面で機能することはありません。エントリー時には必ず損切りラインを決め、1回のトレードで許容する損失額を資金全体の何%までにするかを事前に定めておきます。RSIダイバージェンスは「天井・底」を狙うことが多いため、逆行した場合の損失も大きくなりやすく、ポジションサイズの調整が特に重要です。

5. 過去チャートで検証する

実際に資金を投入する前に、過去チャートを使って「自分が決めたルールであればどの程度の頻度でシグナルが出て、どの程度の値幅が狙えたのか」を確認しておくと、心理的なブレを減らすことができます。完全に機械的なバックテストが難しい場合でも、手作業で過去のダイバージェンス箇所に印を付け、エントリー・決済ポイントを想定してみるだけでも多くの気づきが得られます。

まとめ:RSIダイバージェンスは「勢いの変化」を教えてくれる

RSIダイバージェンスは、価格だけを見ていると気づきにくい「トレンドの勢いの変化」を視覚的に教えてくれる強力な道具です。ただし、それだけで売買判断を完結させるのではなく、トレンド方向・サポート・レジスタンス・移動平均線など、他のテクニカル要因と組み合わせて使うことで、精度と再現性が高まります。

まずは自分がよく見る銘柄や通貨ペアのチャートで、過去に大きなトレンド転換が起こったポイントを振り返り、「そのときRSIにどのようなダイバージェンスが出ていたのか」を確認してみてください。自分の目で事例を積み重ねることで、リアルタイムの相場でもダイバージェンスをより早く、より自信を持って活用できるようになっていきます。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

p-nutsをフォローする
テクニカル分析
スポンサーリンク
【DMM FX】入金
シェアする
p-nutsをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました