マクロ投資で「相場の風向き」を読む:金利・インフレ・景気循環から組み立てる個人投資家の戦略

取引手法
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  1. マクロ投資とは何か:個別銘柄ではなく「相場の土台」を取る発想
  2. マクロ投資で最重要の3変数:金利・インフレ・景気
    1. 1) 金利:資産価格の“割引率”を決める
    2. 2) インフレ:中央銀行を動かし、企業収益も歪める
    3. 3) 景気:リスク資産の“需要”を決める
  3. 初心者がまず作るべき:レジーム(相場の状態)判定の“型”
    1. レジームA:成長↑・インフレ↓(ゴルディロックス)
    2. レジームB:成長↑・インフレ↑(過熱)
    3. レジームC:成長↓・インフレ↑(スタグフレーション気味)
    4. レジームD:成長↓・インフレ↓(景気後退〜利下げ期待)
  4. レジーム判定の具体的手順:毎週30分の「マクロ・ダッシュボード」
    1. ステップ1:金利の方向(上昇・低下)を決める
    2. ステップ2:インフレの方向(再燃・沈静化)を決める
    3. ステップ3:景気の方向(加速・減速)を決める
    4. ステップ4:4レジームの箱に入れて、やることを固定化する
  5. 個人投資家が使える「道具箱」:株・債券・為替・コモディティ
    1. 株式:最も流動性が高いリスク資産
    2. 債券:金利の鏡。守りにも攻めにも使える
    3. 為替:金利差とリスクセンチメントの合成物
    4. コモディティ:インフレと供給制約に反応しやすい
  6. 具体的な稼ぎ方の骨格:レジーム別「やることリスト」を文章で固定する
    1. レジームA(成長↑・インフレ↓):株式中心で素直に取り、過剰なヘッジをしない
    2. レジームB(成長↑・インフレ↑):株は持つが、金利上昇に弱い部分を絞り、分散を厚くする
    3. レジームC(成長↓・インフレ↑):守りの局面。まず“負けない設計”に切り替える
    4. レジームD(成長↓・インフレ↓):長期債が主役になりやすく、株は“底打ちの兆候”を待つ
  7. 「マクロ×テクニカル」の合わせ技:エントリーはチャートに任せる
    1. なぜ分業が効くのか
    2. 初心者向けの具体ルール例
  8. 初心者が事故るポイント:レバレッジと“見えないコスト”
    1. 落とし穴1:正しい方向でも“耐えられず”負ける
    2. 落とし穴2:スプレッド、スワップ、ロールコストを軽視する
  9. 実践例1:利下げが近い局面を「債券→株」の順で取りに行く
  10. 実践例2:インフレ再燃局面で「株の中身」を入れ替える
  11. マクロ投資のリスク管理:勝つ前に“負け方”を決める
    1. 1) 1回の判断で破滅しない:分割と上限
    2. 2) ドローダウン上限を決める:下げ相場で“型崩れ”しない
    3. 3) 相関が上がる瞬間を恐れる:分散が効かない日がある
  12. 初心者のためのチェックリスト:意思決定の質を上げる質問集

マクロ投資とは何か:個別銘柄ではなく「相場の土台」を取る発想

マクロ投資は、企業の細かな材料やチャートの形だけでなく、金利・インフレ・景気・流動性といった「相場の土台」を軸に売買判断を組み立てるアプローチです。個別株を選ぶより先に、まず“風向き”を測ります。風が追い風ならセイル(株式・ハイベータ)を広げ、逆風なら帆を畳んで守り(債券・現金・ヘッジ)に寄せる、という考え方です。

初心者にとっての利点は2つあります。1つ目は、ニュースに振り回されにくくなること。日々のヘッドラインはノイズが多いですが、金利やインフレのトレンドは比較的ゆっくり変化します。2つ目は、銘柄選定の迷いを減らせること。「いまは景気減速+利下げが近い局面だから、株より債券寄り」「インフレが再燃して利上げが続きそうだから、長期債は避ける」といった具合に、選択肢を絞れます。

マクロ投資で最重要の3変数:金利・インフレ・景気

マクロ投資の中心は、結局のところ次の3つです。

1) 金利:資産価格の“割引率”を決める

株価は将来利益の現在価値で決まる、とよく言われます。ここで効いてくるのが割引率=金利です。金利が上がると、将来のキャッシュフローの価値が目減りしやすく、一般に高PERの成長株ほど逆風になりやすい。一方、金利が低下すると割引率が下がり、成長株に追い風が吹きやすい、という直感がまずベースになります。

ただし金利は一枚岩ではありません。政策金利(短期)と、10年などの長期金利は別物です。初心者がまず見るべきは「長期金利の方向」と「イールドカーブ(短期と長期の差)」です。景気後退が近づくと、短期金利は高止まりしやすい一方で長期金利が先に下がり、カーブがフラット化・逆イールド化しやすい。逆に景気拡大局面では長期金利が上がりやすく、カーブがスティープ化しやすい、という“相場の癖”があります。

2) インフレ:中央銀行を動かし、企業収益も歪める

インフレは「物価が上がる」というより、「お金の価値が落ちる」現象です。インフレが高止まりすると、中央銀行は引き締め(利上げ・量的縮小)に寄りやすく、株式のバリュエーションには逆風になります。また企業側でも、コスト(人件費・原材料)が上がる一方で値上げが追いつかない業種は利益が削られます。逆に、価格転嫁が強い企業や、インフレと相性が良い資産(商品・一部の資源関連)は相対的に強くなりやすい。

3) 景気:リスク資産の“需要”を決める

景気が強いと、人も企業も投資に前向きになり、信用(借金)も伸びやすい。すると株式やハイイールド債のようなリスク資産に資金が入りやすくなります。景気が弱いとその逆で、ディフェンシブ資産に逃げやすくなります。ここで重要なのは「景気は足元ではなく、変化率(加速/減速)で市場が動く」ことです。景気がまだ良くても“減速し始めた”瞬間から市場は警戒し、逆に景気が悪くても“底打ちして改善し始めた”瞬間にリスク資産が上がり始めることが多いのです。

初心者がまず作るべき:レジーム(相場の状態)判定の“型”

マクロ投資で勝ちやすくするコツは、毎回ゼロから考えないことです。相場の状態=レジームをいくつかの箱に分類し、箱ごとに「やること」を決めます。ここでは実務的に回しやすい4レジームを使います。

レジームA:成長↑・インフレ↓(ゴルディロックス)

景気が良いのにインフレが落ち着いている状態です。金融引き締め圧力が弱く、株式が素直に上がりやすい環境になりやすい。初心者が最も戦いやすい局面で、株式インデックスやリスクオン寄りのセクターが軸になります。

レジームB:成長↑・インフレ↑(過熱)

景気は強いがインフレも上がっている。中央銀行が強く引き締めに動くリスクがあり、株が上がってもボラティリティが上がりやすい。コモディティや資源関連が相対的に強くなりやすい一方、金利上昇に弱い資産は注意が必要です。

レジームC:成長↓・インフレ↑(スタグフレーション気味)

景気が弱いのに物価は高い。最も厄介な局面で、株・債券が同時に弱くなることもあります。守りを強め、ポジションサイズを落とし、ヘッジや現金比率を上げる“生存モード”が基本になります。

レジームD:成長↓・インフレ↓(景気後退〜利下げ期待)

景気が落ち、インフレも落ち着いてくる。中央銀行が利下げに向かいやすく、長期債券が追い風になりやすい局面です。株式は一時的に崩れやすいものの、利下げが見えてくると先回りで底打ちしやすいのが特徴です。

レジーム判定の具体的手順:毎週30分の「マクロ・ダッシュボード」

初心者は「何を見ればいいか」が最大の壁になります。ここでは、難しい統計解析をせずに、毎週30分で“方向感”を作る方法を提示します。

ステップ1:金利の方向(上昇・低下)を決める

見るべきは長期金利のトレンドです。ポイントは「直近の上下」ではなく、数週間〜数か月の方向。上昇基調なら、成長株の比率を落としてバリュー寄り、あるいは現金・短期債寄りにします。低下基調なら、株式全体や成長寄りに追い風が出やすい。

さらに、短期金利と長期金利の差(イールドカーブ)も見ます。逆イールドが深い・長いほど、先行きの減速シグナルとして扱い、リスクを取り過ぎないルールを持つと事故が減ります。

ステップ2:インフレの方向(再燃・沈静化)を決める

インフレは「ピークアウトしたか」「再加速しているか」が重要です。初心者がやりがちなミスは、前年比の数字だけを見て一喜一憂すること。むしろ、直近数か月の伸び(モメンタム)がどうか、エネルギーや住居コストなど粘着性の高い項目がどうか、といった“再燃リスク”を意識します。

ステップ3:景気の方向(加速・減速)を決める

景気は雇用・消費・企業活動の3点セットで見ます。重要なのは「景気が良いか悪いか」ではなく、「改善しているか悪化しているか」です。例えば雇用が強くても、求人の伸びが鈍化し始めたら減速サイン。製造業が弱くても、受注が底打ちしてきたら改善サインとして扱います。

ステップ4:4レジームの箱に入れて、やることを固定化する

ここまでで、成長(↑/↓)とインフレ(↑/↓)が決まります。すると4レジームのどれかに入ります。箱が決まったら、次に説明する「商品選定」と「売買ルール」を機械的に適用します。判断を“型”に落とすことで、感情に負けにくくなります。

個人投資家が使える「道具箱」:株・債券・為替・コモディティ

マクロ投資は、プロのように先物をフル活用しなくても成立します。個人が扱いやすいのは、ETF/投資信託、FX、そして一部のCFDです。ここでは発想の整理として「道具」を分類します。

株式:最も流動性が高いリスク資産

株式は景気に敏感で、成長局面に強い。マクロ投資では、個別株よりもまずインデックス(市場全体)で方向性を取るのがシンプルです。そこから余力があれば、セクター(景気敏感/ディフェンシブ)やスタイル(成長/バリュー)で微調整します。

債券:金利の鏡。守りにも攻めにも使える

債券は「金利が下がると価格が上がる」性質があります。特に期間の長い債券ほど金利変化に敏感です。景気後退〜利下げ期待の局面では、株より債券が先に反応することが多く、ポートフォリオのクッションになり得ます。逆に利上げ局面では長期債は痛手を受けやすいので、短期債や現金相当を軸にします。

為替:金利差とリスクセンチメントの合成物

為替は金利差(キャリー)とリスクオン/オフの影響を同時に受けます。例えば金利差が大きい通貨は買われやすい一方、リスクオフになると安全通貨に資金が逃げる、といった力学が働きます。FXはレバレッジが効く分、マクロ投資の“拡声器”にもなりますが、初心者は小さく始めるのが鉄則です。

コモディティ:インフレと供給制約に反応しやすい

商品はインフレ局面で注目されやすいですが、需要(景気)と供給(地政学・在庫・生産)の影響が大きい点が株・債券と違います。インフレ再燃局面での分散要素として扱うと、ポートフォリオの耐久性が上がることがあります。

具体的な稼ぎ方の骨格:レジーム別「やることリスト」を文章で固定する

ここからが本題です。マクロ投資を“儲かるヒント”に変えるには、レジームごとに「何を買い、何を避け、どこで降りるか」を決めておく必要があります。以下は初心者でも回せる、しかし一般論で終わらないように具体例まで落とした骨格です。

レジームA(成長↑・インフレ↓):株式中心で素直に取り、過剰なヘッジをしない

この局面での最大の敵は「怖くて乗れない」ことです。ニュースは常に不安材料を投げてきますが、レジームAの環境では押し目が機能しやすい。戦略は単純に、株式インデックスをコアにして、トレンドが続く限り保有し、崩れたら撤退する“ルール運用”にします。

具体例として、週足で移動平均(たとえば20週など)を上回っている間は保有を継続し、明確に割り込んで数週間戻らない場合に一部を現金化する、というシンプルな条件でも、感情に流されにくくなります。ポイントは「売買回数を増やして当てに行かない」こと。レジームAは、当てに行くより“乗り続ける”方がリターンが残りやすいです。

レジームB(成長↑・インフレ↑):株は持つが、金利上昇に弱い部分を絞り、分散を厚くする

過熱局面では、株が上がっても乱高下が増えがちです。ここで重要なのは、ポジションサイズを一定に保つのではなく、変動に合わせて調整することです。具体的には、値動き(ボラティリティ)が上がったら枚数を減らし、下がったら枚数を戻す。これだけで破綻確率が下がります。

また、金利上昇の逆風を受けやすい“遠い将来の成長”に期待が乗った銘柄やテーマは、短期的に崩れやすいことがあります。そこで、インデックス中心にしつつ、セクターや資産の分散(例えば資源・エネルギー、あるいは短期債など)を少し足す発想が有効です。分散は「当てに行く」ためではなく、「外しても致命傷にならない」ために入れます。

レジームC(成長↓・インフレ↑):守りの局面。まず“負けない設計”に切り替える

この局面での初心者の典型的な失敗は2つです。1つ目は、株が下がってから慌てて全部売り、底で投げること。2つ目は、逆に「いつか戻る」と根拠なくナンピンして資金を溶かすことです。ここでは“生存”が最優先です。

実務上のルールとしては、リスク資産の比率を機械的に下げ、現金相当や短期債に寄せます。さらに、どうしても株を持ちたい場合でも、ヘッジを考えます。例えば、インデックスの下落に対して保険をかける(オプションを使う、またはヘッジ性のある資産を組み合わせる)発想です。ただし初心者は、複雑なオプションを無理に使うより、まず“ポジションを小さくする”方が効果的です。

レジームD(成長↓・インフレ↓):長期債が主役になりやすく、株は“底打ちの兆候”を待つ

景気後退局面では、株の下落が続くことがあります。一方で、利下げが見え始めると債券が先に上がりやすい。ここでの稼ぎ方の核は「株に突っ込む前に、債券で先回りし、株は底打ち確認後に段階的に入る」です。

具体例として、長期金利が明確にピークアウトし、インフレ指標も沈静化してきたら、長期債(もしくは中期〜長期の債券商品)をポートフォリオに入れて“景気悪化の保険”兼“利下げの追い風”を取りに行きます。その後、株式は景気の悪材料が出尽くしても下がらなくなった(悪いニュースに反応しない)段階で、分割で入れる。これが心理的にも機能します。

「マクロ×テクニカル」の合わせ技:エントリーはチャートに任せる

マクロは方向感には強い一方、タイミングは外しやすい弱点があります。そこで初心者に勧めたいのが、方向はマクロ、入り口と出口はテクニカルに任せる分業です。

なぜ分業が効くのか

マクロは変化が遅いので、判断は週次・月次で十分です。一方、エントリーは日次でぶれる。ここを同じ頭で処理しようとすると、日々の値動きでマクロ判断まで揺らぎます。そこで「今月はレジームD寄りだから債券を増やす」という意思決定は固定し、実際の買いはチャートで“優位な形”が出たときだけにします。

初心者向けの具体ルール例

たとえば、対象資産が上昇トレンドに入ったことを確認するために、日足で直近高値を更新したら小さく買い、押し目(移動平均までの調整)で追加し、移動平均を明確に割り込んだら撤退する。マクロで方向を決めているので、テクニカルは難しくする必要がありません。重要なのは「同じルールを繰り返す」ことです。

初心者が事故るポイント:レバレッジと“見えないコスト”

マクロ投資は、FXやCFDでレバレッジをかけると一気に破壊力が増します。しかし初心者が最初に意識すべきは、利益ではなく破綻確率です。ここでは、ありがちな落とし穴を具体的に書きます。

落とし穴1:正しい方向でも“耐えられず”負ける

マクロ判断が当たっていても、途中の逆行でロスカットされれば負けです。例えば「利下げ局面で長期債が上がる」と読んでいても、短期的に金利が跳ねると債券は一時的に下がります。レバレッジをかけすぎると、その揺れに耐えられず退場します。対策は単純で、ポジションを小さくし、損失許容(最大ドローダウン)を先に決めることです。

落とし穴2:スプレッド、スワップ、ロールコストを軽視する

FXやCFDでは、売買のたびのスプレッドに加え、建玉を持ち越すコスト(あるいは受け取り)が発生します。さらに先物連動型商品ではロール(限月乗り換え)によるコストが効くことがあります。これらは短期なら小さいですが、中期で積み上がると無視できません。初心者は「トレードの期待値=値幅だけではない」ことを覚えるべきです。毎回、取引前に“コスト込みで勝てるか”を確認する習慣が、長期の成績を分けます。

実践例1:利下げが近い局面を「債券→株」の順で取りに行く

ここでは、典型的なレジームD寄りの流れを想定し、具体的な組み立てを示します(数値は説明用の仮定です)。

状況:インフレ指標が数か月連続で鈍化。長期金利も高値から低下し始めた。一方で雇用や消費は弱含み、景気後退懸念が増えている。

戦略:①まず債券をコアに入れる。②株は“悪材料に反応しない”サインを待って分割で入れる。③下落が再加速したら、株の追加は止め、債券比率で防御する。

運用の手順:週次で金利トレンドをチェックし、低下基調が継続している間は債券を保有。株は日足で下落トレンドが止まり、戻り高値を越えたタイミングで小さく試す。仮に株が再び安値を割るなら一度撤退し、次のチャンスまで待つ。ここで重要なのは、1回で当てに行かないこと。分割で入って、ダメなら小さく負けて撤退し、当たりが来たときに持ち続ける設計が、初心者でも再現しやすいです。

実践例2:インフレ再燃局面で「株の中身」を入れ替える

次に、レジームB寄り(成長は強いがインフレが再燃)を想定します。ここでは、株をゼロにするより、株の“中身”を入れ替えてボラティリティに耐えるのが現実的です。

状況:消費は強いが、物価が再び上向き、中央銀行のタカ派姿勢が強まっている。長期金利もじわじわ上がりやすい。

戦略:①株式比率は維持しつつ、金利上昇に弱い部分を絞る。②インフレ耐性のある資産やセクターを織り交ぜる。③値動きが荒くなるので、枚数を落として生存性を上げる。

運用の手順:週次で金利上昇トレンドが続くかを確認。続くなら、成長期待に偏ったポジションは圧縮し、より分散された構成へ。追加の買いは、上昇トレンドが続いている資産に限定し、下落中のものは“安いから”では買わない。インフレ局面は、底値当てに行くほど負けが増えやすいからです。

マクロ投資のリスク管理:勝つ前に“負け方”を決める

マクロ投資は大局観がある分、ポジションが大きくなりがちです。だからこそ、リスク管理が成績を左右します。初心者が最低限持つべきルールを、文章で具体化します。

1) 1回の判断で破滅しない:分割と上限

まず、どんなに確信があっても一括で入れない。分割で入れるだけで、タイミングの誤差に強くなります。次に、最大でも資産の一定割合まで、という上限を決める。上限は自分が夜眠れる範囲に置くべきで、経験が浅いほど小さくするのが合理的です。

2) ドローダウン上限を決める:下げ相場で“型崩れ”しない

「どこまで負けたら一度仕切り直すか」を先に決めます。例えば、総資産の一定割合を超える含み損が出たら、ポジションを半分に落とし、レジーム判定を見直す。こうした“ブレーキ”がないと、スタグフレーション局面のような難所で致命傷になりやすいです。

3) 相関が上がる瞬間を恐れる:分散が効かない日がある

普段は分散している資産も、リスクオフが急激に起きると同時に下がることがあります。これが「相関の上昇」です。相関が上がる局面で生き残る最も確実な方法は、現金(または短期債)を持つことです。現金は退屈ですが、危機局面ではオプションのような価値を持ちます。次のチャンスに“買う権利”を保つためです。

初心者のためのチェックリスト:意思決定の質を上げる質問集

最後に、毎週・毎月の判断で使える質問を提示します。これを繰り返すだけで、無駄な取引が減り、勝ちやすい局面に集中できます。

まず、金利は上昇基調か低下基調か。次に、インフレは沈静化しているか再燃しているか。景気は加速しているか減速しているか。ここまででレジームはどれか。レジームが変わったなら、ポートフォリオの比率をどう変えるか。エントリーは、トレンドが出ている資産に限定できているか。最後に、最悪ケース(逆行)が来たときの撤退条件は決まっているか。

マクロ投資は、派手な当てものではありません。相場の大きな流れに沿い、間違えたら小さく負け、合っているときに大きく取る。その“構造”を作る手法です。初心者ほど、難しいことを増やすより、型を作って同じ手順を反復する方が結果につながります。

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