モメンタム投資の基礎と実践:上昇トレンドに乗るシンプル戦略

投資戦略
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モメンタム投資とは何か

モメンタム投資とは、簡単に言えば「最近よく上がっている銘柄は、しばらく上がり続けやすい」という傾向を利用する投資手法です。株式でもFXでも暗号資産でも、価格はランダムに動いているように見えますが、実際にはトレンドが続く場面が多くあります。モメンタム投資は、このトレンドの継続性に素直に乗る発想です。

初心者の方は、「高くなったものを買うなんて危ないのでは?」と感じるかもしれません。しかし、安くなったからといってすぐに反発するとは限らず、弱い銘柄はさらに売られ続けることも多いです。モメンタム投資は、割安かどうかを深く分析する代わりに、「強いものに乗る」というシンプルなルールで市場の値動きを利用する手法です。

また、モメンタム投資は必ずしも短期売買だけを意味するわけではありません。3か月〜12か月といった中期のトレンドに乗る戦略や、月1回のリバランスで運用する戦略など、落ち着いた頻度で実践できる方法も数多くあります。そのため、日中チャートを見続けられない会社員の方でも取り組みやすい投資スタイルと言えます。

なぜモメンタムは生まれるのか

モメンタムが生まれる背景には、人間の行動パターンと市場の構造があります。投資家はニュースや決算を見て、徐々にポジションを調整します。一部の投資家が買い始め、その後に遅れて他の投資家が追随し、結果として上昇トレンドが一定期間続くことがあります。これが「アナリストの目標株価引き上げが何度か続く銘柄」や「決算後にじわじわと上がり続ける銘柄」でよく見られる動きです。

もう一つの要因は、機関投資家の制約です。大口投資家は一度にすべての株を売買できないため、数週間から数か月にわたってポジションを積み増し・解消することが多いです。このゆっくりとした売買が、トレンドを引き延ばす要因になります。個人投資家は、この遅れて動く大口のフローに便乗するイメージでモメンタム戦略を構築できます。

また、下落局面でもモメンタムは発生します。悪材料が出た銘柄は、信用買いの投げ売りやロスカットが連鎖し、数日〜数週間にわたって下げ続けることがあります。モメンタム投資は、こうした下落トレンドを避ける、あるいは空売りやインバースETFで利益に変える手法としても応用できます。

個人投資家が使いやすいモメンタム指標

モメンタム投資では、銘柄の「強さ」を定量的に測る指標が重要です。ここでは、初心者でもすぐに使える代表的な指標をいくつか紹介します。

1つ目は「一定期間の騰落率」です。例えば「過去3か月の上昇率」「過去6か月の上昇率」などを計算し、上昇率の高い銘柄を上位から選ぶ方法です。証券会社のスクリーニング機能で簡単に抽出できるため、最初に試す指標として非常に扱いやすいです。

2つ目は「移動平均線との位置」です。例えば終値が200日移動平均線より上にあり、かつ50日移動平均線も200日線より上にある銘柄は、中長期の上昇トレンドにあると判断できます。チャート上でぱっと見て確認しやすく、テクニカル分析に慣れていない方でも視覚的に理解しやすい指標です。

3つ目は「相対力指数(RSI)」のブレイクアウト活用です。一般的にはRSIが70以上で「買われ過ぎ」と言われますが、モメンタム投資ではあえてRSIが高水準に突入した銘柄を注目します。強いトレンドはRSIが高いまま続くことも多く、「70を超えたら即売り」ではなく、「強さのサイン」として活用する考え方も有効です。

シンプルなモメンタム戦略の設計手順

ここからは、個人投資家が実際に運用しやすいモメンタム戦略を、設計手順に分けて解説します。ポイントは「ルールを明文化し、感情を極力排除すること」です。

第一に「投資対象のユニバース(銘柄群)を決める」ことです。例えば、日本株であれば「東証プライムの時価総額上位200銘柄」、米国株であれば「米国ETFのみ」「NASDAQ100構成銘柄」など、ある程度絞り込みます。これにより、情報収集と管理が現実的な範囲になります。

第二に「モメンタムの測定期間と指標を決める」ことです。例えば「過去6か月の騰落率」と「200日移動平均線より上かどうか」の2条件を組み合わせる、というようにシンプルなルールから始めるとよいです。あまり多くの条件を加えすぎると、過去データにだけ都合よく合った戦略になりやすくなります。

第三に「リバランス頻度と保有銘柄数を決める」ことです。月1回、または2か月に1回の見直しを基本とし、そのタイミングでモメンタム上位の銘柄を例えば5〜10銘柄選び、等金額で保有する、といったルールを定めます。これにより、日々の値動きに振り回されず、冷静に運用を続けやすくなります。

第四に「売却ルール」を明確にします。モメンタム戦略では、「トレンドが崩れたら淡々と降りる」ことが重要です。例えば「200日移動平均線を終値で下抜けたら売却」「過去3か月の騰落率がマイナスに転じたら、次回リバランスで除外」といった条件をあらかじめ決めておきます。

具体例:米国ETFを使ったモメンタム戦略プロトタイプ

ここでは、初心者の方でも実践しやすいように、米国ETFを使ったシンプルなモメンタム戦略の例を示します。銘柄は、S&P500連動ETF(VOO)、全米株式ETF(VTI)、NASDAQ100連動ETF(QQQ)、全世界株ETF(VT)など、流動性が高く分散が効いたETFを対象とします。

ステップ1として、毎月月末にこれらのETFの「過去6か月の騰落率」を計算します。証券会社のチャート機能や、無料の株価サイトを使って、6か月前の終値からの上昇率を調べます。その上で、騰落率の高い順にランキングします。

ステップ2として、ランキング上位2本のETFに資金を等分して投資します。例えば100万円を運用する場合、各50万円ずつVOOとQQQに投資するといったイメージです。残りのETFは、その月は様子見とします。

ステップ3として、翌月の月末に再び同じ計算を行います。新たな6か月騰落率ランキングに基づき、上位2本が変わっていればポートフォリオを入れ替えます。例えば、ある月にVTIとQQQが上位になった場合は、前月保有していたETFを売却し、VTIとQQQを購入します。

この戦略のポイントは、「いつ上昇トレンドが切り替わっても、自動的に強いETFへ乗り換え続ける」ことです。個別株の決算リスクや倒産リスクを避けながら、米国株式市場全体のトレンドに追随できるというメリットがあります。一方で、頻繁な乗り換えを行うため、売買コストや税金も考慮する必要があります。

リスク管理:ドローダウンを抑える工夫

モメンタム投資は、上昇相場では強力な戦略になり得ますが、当然ながらリスクも存在します。特に、相場全体が急落する局面では、トレンドが一斉に崩れ、損失が一時的に大きくなることがあります。そのため、リスク管理のルールを事前に組み込んでおくことが重要です。

一つ目の工夫は「最大ポジションサイズの制限」です。例えば、1銘柄あたり資金の20%を上限とし、どれだけモメンタムが強くても集中投資しすぎないようにします。これにより、特定の銘柄が急落しても、ポートフォリオ全体への影響を抑えられます。

二つ目の工夫は「相場環境フィルター」です。代表的な方法として、「主要株価指数が200日移動平均線を下回っている期間は、株式の比率を半分に落とし、残りは現金または安定資産で保有する」といったルールがあります。これにより、長期の下落トレンドに巻き込まれるリスクを軽減できます。

三つ目の工夫は「段階的な売却」です。モメンタムが弱まり始めたときに、いきなり全てを売却するのではなく、「まず半分だけ売る」「次のリバランスでさらに減らす」といった段階的な対応を取ることで、感情的な判断をしにくくなります。実践上は、チャートを見ながら悩む時間を減らすことが、結果として大きなミスを防ぐことにつながります。

よくある失敗パターンとその回避方法

モメンタム投資を実践する個人投資家が陥りやすい失敗パターンも、あらかじめ押さえておく必要があります。代表的なものを3つ取り上げ、その回避方法を解説します。

一つ目は「ニュースを追いかけすぎてルールが崩れる」パターンです。決算発表や材料ニュースを見ると、「まだ上がりそうだからルールを変えて保有を延長しよう」「思ったより悪いからルールより早く売ろう」といった判断をしたくなります。しかし、モメンタム戦略は統計的な優位性に基づく手法であり、個々のニュースに合わせてルールをいじり始めると、過去の検証結果と全く違う運用になってしまいます。

二つ目は「短期売買にしすぎる」ことです。モメンタム投資と聞くと、数日単位で次々と乗り換えるイメージを持つ方もいますが、初心者がこれを行うと、売買手数料やスプレッド、税金の影響でパフォーマンスを削られやすくなります。まずは月1回のリバランスなど、落ち着いた頻度で運用し、「取引コストを味方につける」ことを意識した方が現実的です。

三つ目は「バックテストをしていない」ことです。ルールを思いついたら、そのまま実践してしまう方も多いですが、最低限、過去数年のチャートを見ながら手動で検証するだけでも、戦略の癖が見えてきます。「どんな相場で調子が良く、どんな相場で負けやすいか」を事前に把握しておくことで、実際に含み損が出たときでも冷静に対応しやすくなります。

今日から始めるための具体的ステップ

最後に、モメンタム投資をこれから始めたい方に向けて、今日からできる具体的なステップを整理します。難しい数式を使う必要はなく、必要なのは「ルールを紙に書き出すこと」と「小さな金額で試すこと」です。

ステップ1として、「どの市場でモメンタムを試すか」を決めます。日本株、米国株、ETF、FX、暗号資産など、自分がニュースや情報を追いやすい市場を選ぶと継続しやすくなります。最初はETFや主要株指数に絞ると、個別銘柄の固有リスクを抑えられます。

ステップ2として、「モメンタム指標と測定期間」「リバランス頻度」「保有銘柄数」「売却ルール」をA4用紙1枚に収まる程度で書き出します。例えば、「米国株ETF4本を対象に、過去6か月騰落率上位2本を月末に買い、翌月末に入れ替える。主要指数が200日移動平均線を下回っているときは、株式比率を半分にする」といった具合です。

ステップ3として、いきなり全資金で始めず、生活資金に影響しない小さな金額で試します。同時に、エクセルやノートに月次のポートフォリオと評価額を記録し、「ルール通りに運用できているか」「どの局面で不安になったか」を振り返ります。このプロセス自体が、長期的に資産を増やすうえでの貴重な経験値になります。

モメンタム投資は、「相場の流れに逆らわない」というシンプルな考え方に基づいています。完璧なタイミングで売買することは誰にもできませんが、ルールに従って強いトレンドに乗り続けることで、市場全体の平均を上回る結果を狙うことは十分に可能です。まずは小さく始めて、自分なりのモメンタム戦略を育てていくことが、長く相場と付き合うための堅実な一歩となります。

エクセルで行う簡易バックテストの手順

本格的なプログラミング環境を使わなくても、エクセルだけでモメンタム戦略の雰囲気をつかむことは十分可能です。ここでは、米国ETF4本(VOO、VTI、QQQ、VT)を例に、月次データを使ったシンプルなバックテストの流れを説明します。

まず、証券会社や金融情報サイトから、各ETFの月末終値データを数年分ダウンロードします。CSV形式で取得できることが多いので、それをエクセルに取り込みます。各銘柄ごとに「年月」「終値」の列を用意し、同じシートに横並びで配置します。

次に、各月について「6か月前からの騰落率」を計算する列を作ります。例えば、ある月の終値を、6か月前の終値で割って1を引けば、6か月騰落率が求まります。この値を4本のETFすべてについて計算し、「どのETFが最も高い騰落率を持っているか」を判定する列を追加します。

そのうえで、「その月にどのETFを保有するか」を決めるルールをセルに記録します。例えば、騰落率が最大のETFに1、それ以外に0といったフラグを立てます。さらに、「翌月のリターン」と「どのETFを保有していたか」を掛け合わせることで、「戦略全体の月次リターン」を求められます。この計算を期間全体に渡って行うと、モメンタム戦略の累積パフォーマンスが見えてきます。

バックテストの目的は、「どのくらい増えたか」を正確に当てることではなく、「どのような相場で戦略が強く、どのような相場で弱いか」を理解することです。例えば、「コロナショックのような急落局面では一時的に大きく下がる」「その後の急反発局面では、トレンドに乗ることで指数を上回ることが多い」といった特徴が見えてきます。これを理解したうえで実践すると、含み損が出たときでも戦略を信じて継続しやすくなります。

モメンタム戦略と他の投資スタイルの組み合わせ方

モメンタム投資は、それ単体でも運用可能ですが、他の投資スタイルと組み合わせることで、ポートフォリオ全体のバランスを取りやすくなります。特に、長期のインデックス積立や高配当投資と組み合わせることで、「安定部分」と「攻めの部分」をはっきり分けることができます。

例えば、ポートフォリオ全体を「長期積立70%+モメンタム戦略30%」のように区分する方法があります。長期積立部分では、全世界株や米国株インデックスを毎月一定額積み立て、売却は基本的に行わない方針にします。一方で、モメンタム部分はルールに従って銘柄を入れ替え、相場のトレンドを積極的に取りにいきます。こうすることで、全体としては長期的な成長を狙いつつ、一部でアルファ(市場平均超過リターン)を狙う構造になります。

また、ディフェンシブな資産(債券ETFや現金比率)との組み合わせも有効です。株式モメンタム戦略はどうしても株式のボラティリティを引き受けるため、相場急落時にはポートフォリオ全体が大きく揺れます。そこで、ポートフォリオの一部を米国債ETFや短期債ETF、または外貨建てMMFなどに配分することで、資産全体の値動きを緩和できます。

重要なのは、「どの部分が安定役で、どの部分が攻め役なのか」を自分の中で明確にしておくことです。すべてをモメンタム戦略にしてしまうと、ドローダウンが大きくなったときに耐えきれず、底値付近で手放してしまうリスクが高まります。あらかじめ役割を分けて設計することで、心理的にも運用を続けやすくなります。

FXや暗号資産への応用と注意点

モメンタム投資の考え方は、株式だけでなくFXや暗号資産にも応用できます。これらの市場は24時間取引で値動きが大きく、トレンドが出やすい特徴があります。一方で、レバレッジが高くなりがちで、ボラティリティも株式より大きいことが多いため、リスク管理はより慎重に行う必要があります。

FXでモメンタムを使う場合、代表的なのは「トレンド通貨ペアに絞る」方法です。例えば、主要通貨ペアの中から「過去3か月で最も上昇している通貨ペア」「200日移動平均線より明確に上にある通貨ペア」を選び、中期的なトレンドフォローを行う戦略が考えられます。このとき、レバレッジを抑え、想定ドローダウンに耐えられるロットにすることが重要です。

暗号資産の場合は、ビットコインや主要アルトコインのトレンドを確認し、「ビットコインが長期移動平均線より上にある時だけアルトコインのモメンタム戦略を動かす」といった相場環境フィルターを設けることが有効です。相場全体が弱気トレンドのときに、個別銘柄だけモメンタムを追いかけると、大きな下落に巻き込まれやすくなります。

いずれの場合も、「レバレッジのかけすぎ」「短期足のノイズに振り回されること」が最大の落とし穴です。モメンタム戦略は、5分足や15分足といった短い時間軸でも構築できますが、初心者のうちは日足ベース、もしくは週足ベースでトレンドを捉える方が現実的です。チャートを頻繁に見すぎないことで、感情的な売買を減らし、ルールを守りやすくなります。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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