ボリンジャーバンド・スクイーズの実践法|値幅収縮から拡大を狙う

ボリンジャーバンドの収縮と拡大を分析する架空の成人日本人女性トレーダー。AI生成イメージ。 日本株・短期売買

ボリンジャーバンドが細くなった場面は、値動きが静かなだけで、上昇を約束するサインではありません。実戦で価値があるのは「いまの収縮が、その銘柄にとってどれほど珍しいか」「どちらへ抜けたか」「抜けた後に参加者が増えたか」を順番に確認することです。本稿では、スクイーズを予言ではなく、次の値幅拡大に備える監視装置として使う方法を組み立てます。

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スクイーズが示すのは方向ではなく準備状態

一般的なボリンジャーバンドは、20期間の移動平均線を中心に、標準偏差の2倍を上下へ加減して描きます。終値のばらつきが小さくなると上下の帯が接近し、スクイーズになります。重要なのは、標準偏差が下がった理由です。材料待ち、昼休み前後、指数の膠着、売買参加者の減少など、同じ形でも背景が違います。したがって帯が細いという事実だけで買わず、価格がどこで圧縮されているかを見ます。

上昇後の高値圏で安値を切り上げながら収縮しているなら、売りを吸収している可能性があります。反対に下落後の安値圏で戻り高値を切り下げているなら、下放れへの準備かもしれません。方向はバンドではなく、高値・安値の構造とレンジ離脱で判定します。

ボリンジャーバンドが収縮後に拡大する仕組みの図解
図1:スクイーズは方向予測ではなく、値幅拡大の準備状態として読む。

帯の細さは絶対値ではなく過去順位で測る

銘柄ごとに通常の値動きは違うため、バンド幅3%を一律に「狭い」と決めると誤差が大きくなります。バンド幅は「上側バンド-下側バンド」を中心線で割り、100を掛けて比較します。中心線2,480円、上側2,525円、下側2,435円なら、幅は90円で、バンド幅は約3.63%です。この3.63%が直近120営業日の下位10%に入るなら、その銘柄では珍しい収縮と扱えます。

実務では毎日、バンド幅の120日パーセンタイルを計算し、10%以下を監視候補、5%以下を重点候補にします。ただし流動性が極端に低い銘柄は、取引がないために標準偏差が小さくなることがあります。売買代金、スプレッド、板の厚さを同時に確認し、約定可能性の低い偽スクイーズを除外します。

エントリーまでの四段階

1. 圧縮レンジを先に固定する

バンドを見ながら都合よく高値を引き直すと検証不能になります。直近5~15本で複数回止められた高値と安値を、取引前に一本ずつ決めます。上限2,528円、下限2,470円なら、この58円が判断レンジです。寄り付き直後の一本だけで形成されたヒゲは、出来高と終値位置を見て採否を決めます。

2. 終値での離脱を確認する

短期足で上限へ触れただけでは、逆指値を巻き込んで戻ることがあります。5分足を使うなら、終値がレンジ上限を超え、次の足が上限付近を維持することを基本条件にします。初動を数円逃しても、だましを減らす価値があります。急騰して損切り幅が広がり過ぎた場合は、追いかけず再テストを待ちます。

3. 出来高と市場環境を重ねる

ブレイク足の出来高を同時刻の過去20日平均と比べ、1.5倍以上なら参加者増加の一例とします。日中の累積出来高を前日一日分と比べるのは時間帯が違うので不適切です。また個別株が上抜けても、同業種指数とTOPIXが急落していれば継続率は下がります。銘柄、業種、市場の三つが同方向なら優先順位を上げます。

4. 注文前に撤退価格と株数を決める

架空例では、確認後の買いを2,532円、レンジ内へ戻ったと判断する価格を2,514円、想定スリッページを3円とします。一株リスクは21円です。一回の許容損失が9,000円なら、9,000÷21=428株ですが、100株単位では400株に落とします。想定損失は8,400円です。2Rの目安は2,532+42=2,574円ですが、途中に日足の抵抗があるなら、期待値を再計算します。

バンド幅パーセンタイルと一株リスクから株数を計算する図解
図2:収縮の珍しさと注文数量は別々に計算する。

利食いはバンド接触ではなく構造で管理する

強いトレンドでは価格が上側バンド沿いに推移する「バンドウォーク」が起こります。上側バンドへ触れたという理由だけで全量を手仕舞うと、スクイーズ後の大きな値幅を取り逃します。最初の利食いを1Rで一部、残りを直近5分足安値割れや中心線割れで追随させる方法なら、利益確定と伸長の両立ができます。

逆に、上抜け直後に終値がレンジ内へ戻り、出来高が増えているなら、買い方の失敗が明確です。損切り線まで待つのではなく、ブレイク前提が消えた時点で縮小するルールも有効です。ただし場中の感情で変えず、「レンジ内終値が2本続けば半分撤退」など事前に数値化します。

よくある失敗と修正方法

第一の失敗は、スクイーズを上昇サインと思い込むことです。下放れも同じ確率で準備し、買いと売りのシナリオを対称に書きます。第二は、バンド幅が狭くなり始めた段階で早過ぎる仕込みをすることです。収縮期間が長引けば資金が拘束されるため、離脱確認をトリガーにします。

第三は、決算発表前のスクイーズを通常のテクニカル局面と同じに扱うことです。翌日に窓を開ければ逆指値価格で約定できず、計算した損失を超えます。決算、業績修正、指数入れ替えなど予定イベントを確認し、持ち越す場合は株数を下げます。第四は、同じテーマ株を複数持つことです。見た目は分散でも同時に下放れしやすいため、一銘柄9,000円ではなく、同一テーマ全体で許容損失を管理します。

検証ノートに残す項目

検証では、日時、時間足、バンド幅パーセンタイル、圧縮日数、レンジ幅、離脱方向、相対出来高、市場と業種の方向、エントリー、初期ストップ、最大有利変動、最大逆行幅を記録します。勝率だけでなく、パーセンタイル帯別の平均R、出来高条件あり・なしの差、寄り付きからの経過時間別の成績を比較します。

20件程度では相場環境の偏りが大きいため、上昇相場、下落相場、横ばい相場をまたいで蓄積します。条件を増やし過ぎると過剰最適化になるので、価格構造、相対出来高、損失限定という三つを中核にし、それ以外は補助変数として扱います。

実行前チェックリスト

  • 現在のバンド幅は過去120日の何パーセンタイルか
  • レンジ上限と下限を取引前に固定したか
  • 終値で離脱し、次の足でも水準を保ったか
  • 同時刻比の出来高と板の流動性は十分か
  • 業種指数と市場全体が逆風になっていないか
  • スリッページ込みの一株リスクから株数を切り下げたか
  • 決算などギャップ要因と、相関する保有銘柄を確認したか

時間足を変えるときの注意

日足のスクイーズと5分足のスクイーズは、同じ計算式でも参加者と保有時間が異なります。日足では数週間の持ち合いと決算日程、5分足では寄り付きからの出来高分布と前日高安が重要です。日足が収縮中でも5分足では何度も上下へ離脱するため、時間足を混ぜて「日足が狭いから5分足の上抜けを必ず買う」と決めないようにします。

実務では上位足を環境認識、執行足を注文判断に分けます。例えば日足が20日高値付近で下値を切り上げ、60分足のレンジ上限も近い場合だけ、5分足の上抜けを監視します。日足が下降トレンド中なら、同じ5分足上抜けでも目標値を短くし、株数も抑えます。上位足は方向を保証するものではなく、必要な期待値を調整する材料です。

再テストを待つ型と初動へ乗る型

初動型はレンジ上限を終値で越えた直後に入り、早い値幅を取りに行きます。利点は約定価格が目標に近いこと、欠点はだましを受けやすいことです。再テスト型は上抜け後に上限付近へ戻り、反発したのを見て入ります。だましは減りますが、強い銘柄では押しを作らず置いていかれます。この二つを途中で混ぜると、追いかけ買いになりやすいので、取引前にどちらかを選びます。

初動型なら上限からの許容乖離を0.3%まで、再テスト型なら上限の上下0.2%を許容帯とするなど、数値を決めます。2,528円の上限なら初動の上限は約2,536円です。2,545円まで走った後に成行で入ると、同じ2,514円の撤退水準でも一株リスクが34円へ増え、株数と期待損益が変わります。注文価格が変わったら必ず再計算します。

利益目標をボラティリティから補正する

固定の2Rだけでなく、収縮前の平均的な値幅も参考にできます。スクイーズ前の5日平均実体幅が45円、現在のレンジ幅が18円なら、離脱後に30~45円程度の拡大余地があるかを観察します。ただし過去の平均値幅は上限ではありません。価格障害、日中の残り時間、指数の方向を重ね、実現可能な目標かを判断します。

午後2時40分の離脱に朝と同じ値幅を期待すると、時間切れになりやすくなります。短期売買では「15分以内に0.5R進まなければ半分縮小」「大引け10分前には持ち越し条件を満たさなければ撤退」など時間ストップも設定します。価格が損切りへ届かなくても、想定した値幅拡大が起きないこと自体が仮説の弱まりです。

期待値を簡単に確認する

過去50回の記録で、勝率42%、平均利益1.8R、平均損失0.9Rなら、一取引の期待値は0.42×1.8-0.58×0.9=0.234Rです。手数料と平均スリッページが0.08Rなら、実質は0.154Rです。勝率が半分未満でも利益は残り得ますが、損切り遅れで平均損失が1.2Rになると期待値は急低下します。

条件を追加するときは、全期間の成績が良くなったかだけでなく、取引数が極端に減っていないかを見ます。出来高1.5倍を1.8倍へ変更して成績が改善しても、該当が5件しかなければ偶然かもしれません。条件の頑健性は、閾値を少しずらしても結果が大崩れしないことで確認します。

場中に迷わないための注文メモ

監視画面の横には、上限、下限、買える上限価格、初期ストップ、最大株数、最初の利食い候補を一行で書きます。例えば「上限2,528/買い2,532~2,536/撤退2,514/最大400株/1R2,553」とします。値動きが速くなってから暗算すると、株数を切り上げたり、都合よく撤退線を遠ざけたりしやすいためです。

一部約定した場合も、未約定分を追いかける前に平均取得価格でリスクを再計算します。200株が2,533円、残り200株が2,538円なら平均2,535.5円で、一株リスクは当初より3.5円増えます。許容損失を超えるなら残り注文を取り消します。手順を固定すると、スクイーズ後の速度に判断を奪われにくくなります。注文取消しも立派なリスク管理です。

まとめ

スクイーズの強みは方向を当てることではなく、静かな局面から値幅が変わる候補を早く絞れることです。過去順位で収縮の珍しさを測り、レンジ終値離脱、時間帯調整済み出来高、市場環境を確認し、最後に損切り幅から株数を決めます。この順序を固定すれば、バンドの形を眺めるだけの判断から、再現可能な短期売買へ変えられます。見送り条件まで同じ用紙へ残せば、取引しなかった判断も後日の検証材料になります。

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