相対出来高の使い方|寄り付きの本物の動きと一時的な急騰を見分ける

相対出来高を分析する架空の成人日本人女性トレーダー。AI生成イメージ。 日本株・短期売買

出来高が多い銘柄は注目されやすいものの、「今日は100万株だから活発」という絶対値だけでは判断できません。普段1,000万株売買される大型株の100万株と、普段10万株の小型株の100万株では意味が逆です。相対出来高(RVOL)は、当日の出来高を通常時と比較し、価格変化にどれだけ参加者が伴っているかを測る道具です。

実戦で重要なのは終日出来高との比較ではなく、同じ時刻までの累積出来高と比べることです。朝9時30分の出来高を過去20日間の終日平均で割ると、朝に集中する市場特性を正しく扱えません。この記事では架空銘柄を使い、候補抽出、方向判定、エントリー、無効化価格、株数、見送りまでを一つの手順にします。

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相対出来高は同時刻で計算する

9時30分までの当日累積出来高が36万株、過去20日間の9時30分時点の累積出来高平均が20万株なら、RVOLは36÷20=1.8です。通常の1.8倍の参加がある状態です。終日平均200万株で割ると0.18になり、活況なのに低く見えてしまいます。

当日同時刻出来高36万株を過去平均20万株で割り相対出来高1.8を求める図解
図1:当日と過去平均の観測時刻をそろえて比較する。

比較期間は20日が扱いやすい出発点ですが、正解ではありません。決算期をまたぐと過去平均が一時的に高くなり、現在のRVOLが低く見えます。5日、20日、60日の中央値を併記し、短期のイベントと通常状態を分ける方法があります。平均値は一日の異常値に引っ張られるため、外れ値が多い小型株では中央値も確認します。

RVOLが高いだけでは方向は分からない

RVOL1.8は買いシグナルではありません。大量の売りが出ていても数値は上がります。価格が前日高値の上で推移し、押しの出来高が細り、上昇時に再び増えるなら買い需要を示唆します。反対に高値更新で出来高が急増したのに終値がレンジ内へ戻れば、高値で売りを吸収できなかった可能性があります。

出来高と価格を四つに分けます。価格上昇・RVOL上昇は新規参加が増える局面、価格上昇・RVOL低下は薄い板で持ち上がった可能性、価格下落・RVOL上昇は売り圧力または投げ、価格横ばい・RVOL上昇は大口の吸収や分配候補です。この分類をした後、支持抵抗と終値位置で方向を決めます。

架空例:高値ブレイクを選別する

株価2,400円、前日高値2,445円、20日平均売買代金8億円の銘柄を考えます。当日9時30分に2,452円、同時刻RVOL2.1、TOPIXがマイナス0.3%、同業指数が横ばいなら相対的には強い状態です。ただし2,445円を一度越えただけでは入りません。5分足終値が2,448円以上で確定し、再テストが2,442円で止まるかを確認します。

2,451円で買い、再テスト安値の下2,438円を無効化価格にします。価格差13円、想定滑り2円で実効幅15円。資金300万円の0.3%、9,000円を許容損失とすれば9,000÷15=600株です。次の週足抵抗2,481円まで30円あるため、費用前の損益比は2対1です。

許容損失9000円を実効損切り幅15円で割り600株を求める図解
図2:出来高が多くても、無効化価格から数量を逆算する。

同じブレイクでもRVOL0.7なら見送る、という機械的な入口を作れます。ただし閾値は銘柄群ごとに検証します。大型株では1.3でも十分な変化になり、小型材料株では2.0が日常的なことがあります。全銘柄へ同じ数字を当てず、時価総額、売買代金、値幅でグループ化します。

寄り付きの出来高を過大評価しない

日本株は寄り付きに注文が集中します。9時01分の大きな約定は、夜間にたまった注文を板寄せで処理した結果であり、その後も同じ方向の需要が続くとは限りません。寄り出来高と9時00分以降のザラバ出来高を分け、15分後、30分後にもRVOLが維持されているかを見ます。

寄り付きでRVOL3.0でも、9時30分には1.2へ低下し、価格がVWAPを割るなら注目が急速に薄れています。反対に寄りは1.3でも、材料の認知が広がって10時に2.0へ上がる場合があります。数値の水準だけでなく傾きが大切です。15分ごとのRVOLを記録し、増加・横ばい・低下に分類します。

売買代金とスプレッドを同時に見る

出来高が多くても株価が低ければ、売買代金は小さいことがあります。100円で100万株は1億円、5,000円で100万株は50億円です。自分の注文額を平均1分売買代金で割り、注文が市場へ与える影響を見積もります。1分売買代金500万円の銘柄へ300万円を成行で出すのは、RVOLが高くても滑りやすい取引です。

気配の売値と買値の差も費用です。2,450円買い気配、2,454円売り気配なら往復前から4円の不利があります。損切り幅15円に対して4円は大きいため、株数計算へ加えます。RVOLは流動性改善の目安になりますが、特定価格の板厚や約定可能性を保証しません。

ニュースとイベントの種類を記録する

決算、上方修正、自社株買い、提携、業界報道では出来高の持続性が違います。タイトルだけで判断せず、会社開示なら売上高、営業利益、通期計画、発行株式数への影響を確認します。好材料でも事前期待が高ければ高値で売られ、悪材料でも織り込み済みなら反発します。

取引記録には材料区分を一つ付けます。決算RVOL2以上の成績と、材料なしRVOL2以上の成績を混ぜないためです。材料なしの急増は指数リバランス、大口クロス、誤発注など、一方向の継続を意味しない約定かもしれません。

失敗パターンを先に除外する

一つ目は、上昇後の高値でRVOLを見て追いかけることです。当日ATRの1.5倍をすでに動き、次の抵抗まで0.5Rしかなければ参加しません。二つ目は、出来高急増を「機関投資家の買い」と断定することです。公開情報から買い手の正体は分からないため、価格が高値を維持できたかだけを判断材料にします。

三つ目は、昼休みや大引けの特殊な約定を通常時間と同じ扱いにすること。四つ目は、株式分割後の出来高増加を調整せず比較することです。データ取得元の調整方法を確認し、異常値の日はチャートと開示を照合します。

日次レビューで期待値を測る

エントリー時RVOL、30分後RVOL、ギャップ率、ブレイク位置、指数相対強度、スプレッド、滑り、損益Rを残します。40件で勝率45%、平均利益1.7R、平均損失0.9Rなら、期待値は0.45×1.7-0.55×0.9=0.27Rです。ここから手数料と滑りを差し引きます。

RVOL1.5未満がマイナス、1.5~2.5がプラス、2.5超が再び悪化するなら、極端な過熱を避ける条件が考えられます。ただし少数例で閾値を決めず、翌期間で再検証します。相対出来高は「本物」を自動判定する魔法ではなく、普段と違う参加量を価格・コスト・無効化と結び付けるための比較軸です。

寄り前スクリーニングの作り方

前日までに20日平均売買代金5億円以上、株価300円以上、気配差が通常0.3%以内など、執行可能性で母集団を絞ります。寄り前気配の上昇率だけを使うと、注文取り消しで候補が入れ替わります。開示、決算予定、増担保や売買規制の有無も一覧にします。

寄り後は9時15分、9時30分、10時の累積出来高を自動または手作業で記録します。過去平均の母数に当日を含めず、同じ曜日やSQ日の偏りも確認します。連休明けや指数入れ替え日は市場全体の出来高が増えるため、個別RVOLだけでなくTOPIX構成銘柄全体の出来高倍率も補助にします。

累積RVOLと区間RVOLを使い分ける

累積RVOLは朝から現在までの注目度を示しますが、直近の勢い低下を隠します。9時までの大量約定で累積2.5でも、9時30分から10時の区間が0.6なら新規参加は細っています。15分区間の出来高を同じ区間の過去平均で割り、累積値と並べます。

累積が高く区間も上昇なら注目が継続、累積が高く区間が低下なら一巡、累積が低く区間が急増なら新しい材料やブレイク発生を疑います。価格が支持の上にあるかを確認してから発注し、出来高の変化だけで方向を決めません。

出来高プロファイルとの違い

RVOLは時間に対する量の異常を測り、価格帯別出来高はどの価格で多く取引されたかを示します。RVOL2.0でも、2,440円から2,460円に大量約定が集中していれば、その帯は支持または抵抗候補です。高値2,480円を越えても出来高が続かず帯へ戻れば、ブレイク失敗を疑います。

二つを組み合わせる際も、過去の大量出来高帯を必ず支持と決めません。そこで買った人が含み損なら戻り売りが出ます。帯へ到達した後の終値、反発幅、区間RVOLを観察し、支持へ転換したかを確認します。

売り局面でのRVOL

前日安値割れでRVOL2.3、指数より2%弱く、戻りで区間RVOLが0.7なら売り継続の候補です。反対に下落時RVOL4.0の後、長い下ヒゲと大幅な反発が出れば、投げ売りが一巡した可能性があります。高い数値ほど売りやすいわけではありません。

空売りでは買い戻しが出来高を増やすため、価格下落を伴わない増加を新規売りと解釈しません。貸株在庫、逆日歩、価格規制、材料発表時の上方ギャップを確認し、買いより想定滑りを厚くします。

複数銘柄を同時に持つ場合

RVOL上位に半導体株が五つ並び、各0.3%リスクで買うと、同じ指数下落で1.5%を同時に失う可能性があります。銘柄数ではなく損失要因を数えます。同一業種は合計0.6%まで、口座全体の未決済リスクは1%まで、などポートフォリオ・ヒートを設定します。

既存建玉が0.8%を使っているなら、新規へ使えるのは0.2%です。RVOLが高いから上限を広げません。注目銘柄ほど値動きも滑りも大きくなりやすく、優位性と危険が同時に増えます。

バックテストの注意点

日足出来高しかないデータで9時30分RVOLを再現することはできません。将来の終日出来高を朝の判断に使えば未来情報が混入します。分足データから当時利用できた累積値を作り、欠損、取引停止、株式分割を調整します。

上場廃止銘柄を除いた現在の構成銘柄だけで検証すると、成功企業へ偏ります。実際にその日に取引可能だった銘柄群を使い、指値・成行の約定価格、気配差、手数料を含めます。同じ足で利確と損切りに触れた場合は細かい足で順序を確認するか、保守的に損切り扱いにします。

朝の運用テンプレート

8時50分までに材料と前日高安を記入し、9時15分にRVOL、レンジ率、VWAP位置を追加します。9時30分に区間RVOLが維持され、目標まで1.5R以上ある候補だけ発注します。10時以降は新規候補を増やさず、保有管理と記録に切り替えます。

引け後は計画価格と実際価格の差を確認します。損益が良くても、無効化価格を動かした、予定外の株数を持った、材料を確認しなかった取引はルール違反として分けます。相対出来高の価値は派手な急騰を探すことではなく、普段との差を同じ尺度で記録し、再現可能な条件へ変えることにあります。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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