値上がり銘柄数・値下がり銘柄数比率で読む地合い:市場の空気を数値化する実戦ガイド

市場解説

相場で一番つらいのは、個別銘柄のチャートだけ見て「形が良いから買った」のに、指数の地合いが悪くて一斉に叩き落とされる局面です。逆に、指数は横ばいでも中身(個別)は強く、実は“上がりやすい地合い”が続いていた、ということもあります。

この「相場の中身」を最短で把握する道具が、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率(いわゆる市場の幅・ブレッドス)です。日本株なら東証全体やプライム市場で、当日どれだけの銘柄が上がり、どれだけの銘柄が下がっているか。これを毎日・毎時間・毎5分で観察すると、地合いの良し悪しが“言い訳できない数値”として見えます。

この記事では、初心者でも再現できるように、値上がり/値下がり比率を「どこで見て」「どう解釈し」「売買にどう落とすか」を、具体例と手順で徹底的に説明します。結論だけ言えば、あなたが戦うべき日は“中身が味方している日”だけです。中身が敵の日に無理をしない。それだけで手残りが変わります。

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1. 「値上がり銘柄数・値下がり銘柄数比率」とは何か

値上がり銘柄数は、その時点で前日比プラスの銘柄数。値下がり銘柄数は前日比マイナスの銘柄数です。これを単純に比率で見ると、相場の“広がり”が分かります。

代表的な指標化は次の3つです。

  • アップ/ダウン比率(A/D比):値上がり銘柄数 ÷ 値下がり銘柄数。1を上回れば上昇優勢。
  • アップ率(Advancing%):値上がり銘柄数 ÷(値上がり+値下がり+変わらず)。全体の何%が上がっているか。
  • ネットブレッドス:値上がり銘柄数 − 値下がり銘柄数。プラスなら上昇銘柄が多い。

初心者が最初に使うなら、「アップ率(何%が上がっているか)」が分かりやすいです。比率は値下がりが少ないと極端になりやすいですが、アップ率は0〜100%で直感的です。

2. なぜ“指数”だけでは地合いが分からないのか

日経平均は値がさ株の影響が大きく、特定の大型株数社が上がるだけで指数が強く見えます。一方で、個別の多くが下がっているのに指数だけ上がる日は、体感として非常に勝ちにくいです(持ち株が上がらない、利確が遅れる、損切りが増える)。

例えば次のような“ズレ”が典型です。

  • 指数はプラス、でも値下がり銘柄が圧倒的に多い:指数主導の上げ。個別の戻りは弱く、押し目が深くなりやすい。
  • 指数は横ばい、でも値上がり銘柄が多い:中小型や内需が強いなど、地合いは実は良い。翌日に指数が追随して上がることも多い。
  • 指数はマイナス、でも下げ止まりの兆しがある:値下がりが減り、変わらずが増える。投げが終わりつつある。

つまり、あなたが見たいのは「指数の顔色」ではなく、市場参加者の勝敗(多数が勝っているか負けているか)です。その近道が値上がり/値下がりの観察です。

3. 実戦で使う“地合いレジーム”の分類

値上がり/値下がり比率は、単体で売買シグナルにするより、その日の“戦い方”を決めるフィルターとして使うと強いです。私は地合いを次の4レジームに分けます。

  • 全面リスクオン:アップ率が高く、時間が経っても高止まり。押し目買いが機能しやすい。
  • 指数主導のリスクオン:指数は強いがアップ率は低い。大型のみ。個別の押し目は浅くない。
  • 全面リスクオフ:アップ率が低く、下げ銘柄が優勢。逆張りは小さく、順張りは戻り売り目線。
  • 底打ち移行(投げ終わり):アップ率はまだ低いが、時間とともに改善。大型より先に中身が戻る。

この分類は、数字の閾値を固定するより、「寄り付き直後」「前場引け」「後場寄り」「大引け」の4点観測で変化を見るのがコツです。同じアップ率60%でも、寄りから60%で横ばいなのか、30%→60%に改善したのかで意味が違います。

4. まず覚えるべき閾値:アップ率の実務ライン

市場や時期で差はありますが、初心者が使うなら目安を決めた方が迷いが減ります。以下は“判断の型”としての目安です。

  • アップ率65%超:買いが優勢。押し目買い・ブレイク狙いが勝ちやすい。
  • アップ率55〜65%:やや買い優勢。個別の強弱が出る。厳選が必要。
  • アップ率45〜55%:中立。レンジや回転が中心。無理にポジションを増やさない。
  • アップ率35〜45%:やや売り優勢。ロングは短期回転、利確を早める。
  • アップ率35%未満:売りが強い。押し目買いは危険。戻り売り・様子見が基本。

ここで大事なのは、アップ率が良い日でも「個別が必ず勝てる」わけではないことです。アップ率はあくまで地合いの風向き。風向きが追い風なら、同じ戦略でも期待値が上がる。向かい風なら、期待値が下がる。これを数値で認めるのが出発点です。

5. 寄り付き5分が重要な理由:地合いの“初期条件”

寄り付きは一日のポジション調整が集中し、指数先物・ETF・裁定のフローが出ます。ここでアップ率が極端なら、その日はレジームが固定されやすいです。

具体的には次の見方をします。

  • 寄り付き直後にアップ率が70%超:寄り天リスクもあるが、まずは「押し目買いが機能しやすい日」と判断して良い。
  • 寄り付き直後にアップ率が30%未満:まずは守り。10時台に改善しないなら全面リスクオフで割り切る。
  • 寄り直後にアップ率が中立(45〜55%):その後の改善/悪化を見る。最初から決め打ちしない。

初心者がやりがちな失敗は、寄りで1銘柄だけ強い動きを見て飛びつき、地合いが悪くて伸びないパターンです。寄りの5分でアップ率を見て「今日は追い風か?」を必ず確認してください。これは無料でできるリスク管理です。

6. 具体例:指数は上がっているのに負ける日の正体

例として、日経平均が前日比+200円で始まった朝を想像してください。ニュースは強気、先物も堅調。しかし、プライム市場のアップ率が40%しかない。つまり、6割の銘柄は下がっている状態です。

この日は何が起きやすいか。

  • 値がさ大型(半導体・通信・一部メガバンクなど)だけが買われ、指数が持ち上がる。
  • その他の銘柄は利確・戻り売りが優勢で、押し目買いが入りにくい。
  • 個別のブレイクは“上ヒゲ”になりやすく、損切りが増える。

この地合いで勝つ方法は2つしかありません。(A)指数主導で買われている主役を選ぶ、または(B)無理にやらない。多くの個人投資家は(A)をやりたくて入るのですが、銘柄選定がずれると即負けます。だから(B)の価値が高いのです。

7. 具体例:指数が弱いのに“勝ちやすい日”がある

逆に、日経平均が前日比−150円で始まったのに、アップ率が60%を超えている日があります。これは、値がさの一部が下がって指数を押し下げているだけで、市場の中身はむしろ強い状態です。

この日は何が起きやすいか。

  • 内需・中小型・グロースなどに資金が回り、個別のトレンドが伸びやすい。
  • 指数が弱いせいで警戒が強く、押し目で買いが入りやすい(売りが続かない)。
  • 午後に指数が追随して戻すと、個別の上昇が加速する。

このように、アップ率は「世間の雰囲気」と逆のことを教えてくれる場合があります。初心者ほどニュースに引っ張られますが、数字は嘘をつきません。

8. “改善”と“悪化”を読む:変化率が最大の武器

アップ率は絶対値よりも、時間経過に対する変化が重要です。私は次のように観察します。

  • 寄り30% → 前場引け50% → 後場60%:投げが止まり、買いが広がっている。後場の押し目買いが機能しやすい。
  • 寄り70% → 10時60% → 前場50%:寄り天傾向。上げ銘柄が減っている。ロングは利確優先、ブレイクは慎重。
  • 寄り45% → ずっと45%付近:方向感なし。回転かノートレが正解になりやすい。

“改善している地合い”は、初心者にとって一番やりやすいです。なぜなら、押し目が浅く、損切りが小さく済むからです。逆に“悪化している地合い”は、上昇サインが出ても伸びず、損切りだけが積み上がります。

9. 売買に落とす方法①:銘柄選定フィルター

アップ率を見たら、次にやるのは「今日はどのタイプの銘柄が有利か」を決めることです。ここで役立つのが、強い銘柄=地合いが悪くても上がる銘柄という定義です。

例えばアップ率が35%未満の全面リスクオフの日に、あなたがロングをするなら、条件を厳しくします。

  • 指数が下げているのに前日高値を更新している
  • 出来高が前日同時間帯を上回り、押し目で出来高が減る
  • 板が薄すぎず、スプレッドが広がらない

逆にアップ率が65%超のリスクオンなら、多少条件が甘くても地合いが助けてくれます。つまりアップ率は、エントリー基準の厳しさを自動調整するツマミです。

10. 売買に落とす方法②:ポジションサイズの自動調整

初心者が一番やるべき改善は、損切り位置より先に「サイズ」を決めることです。アップ率を使うと、サイズ調整を定量化できます。

例として、あなたの通常の1回のリスク(損切りまでの許容損失)を1Rとします。

  • アップ率65%超:最大1.0R(通常サイズ)
  • アップ率55〜65%:0.7R
  • アップ率45〜55%:0.5R
  • アップ率35〜45%:0.3R
  • アップ率35%未満:原則ノートレ(やるなら0.2R以下)

これだけで、地合いが悪い日の損失が構造的に小さくなります。勝ち負け以前に、負け方が上手くなるのが投資の最短ルートです。

11. 売買に落とす方法③:利確の速さを変える

地合いが良い日は、利確を引っ張る価値があります。地合いが悪い日は、同じ銘柄でも利確を早めるべきです。アップ率はその判断材料になります。

具体例:

  • アップ率70%の日:+1Rで半分利確、残りはVWAP割れや短期移動平均割れまで伸ばす。
  • アップ率40%の日:+0.5R〜+0.8Rで早めに利確し、建値撤退を優先する。

地合いが悪い日に「大きく取ろう」とすると、結局伸びずに反転して建値割れ、という最悪のパターンになります。期待値は地合いで変わる。だから出口も変える。これが合理的です。

12. “変わらず”の扱い:膠着と底打ちのサイン

値上がり/値下がりだけでなく、変わらず銘柄数も見てください。変わらずが増えるのは、売りが一巡して膠着している状態を示します。

底打ち移行の典型は、次の順番です。

  • 全面安(値下がりが圧倒)
  • 値下がりが減り、変わらずが増える(投げが止まる)
  • 値上がりが増え、アップ率が回復(買いが戻る)

このとき指数がまだ弱くても、アップ率が改善していれば“中身先行”の戻りが始まっています。スイングで仕込みたい人は、この移行を待つと、無駄なナンピンが減ります。

13. よくある落とし穴①:セクター偏りで誤認する

アップ率が高いのに、あなたの監視銘柄が全然動かない。これは、上がっているのが別セクターで、あなたの得意分野に資金が来ていないだけかもしれません。

対策はシンプルで、アップ率と一緒に次を確認します。

  • 業種別指数の上位・下位(資金の流入先)
  • 大型/中小型のどちらが強いか(指数主導か中身主導か)
  • 出来高上位にどんな銘柄が並んでいるか(テーマ性)

アップ率は「市場全体の風」。あなたが乗るべきは「追い風が吹いている場所」です。セクターの方向まで合わせると、勝率が一段上がります。

14. よくある落とし穴②:寄り天・寄り底で騙される

寄り付き直後のアップ率は、先物主導のギャップで極端になりがちです。寄り天の日は寄りだけ高く、10時以降に急速に悪化します。寄り底の日は寄りだけ低く、10時以降に改善します。

だから、寄りだけで決めない。最低でも10時時点のアップ率を確認し、改善/悪化の方向を見ます。特にスキャルピングをしないなら、10時まで待つのは十分に合理的です。

15. よくある落とし穴③:上昇銘柄が“薄い上げ”のとき

アップ率が高くても、値上がりの幅が小さく、出来高が伴っていない日があります。これは「なんとなく上がっている」状態で、午後に崩れやすいです。

ここで使える追加観察は、値上がり率ランキングの中身です。

  • 値上がり上位が低位株や材料株ばかり:地合いは良く見えても“投機優勢”。急落もあり得る。
  • 大型・中型の主力が上位にいる:資金が本気。押し目が入りやすい。

アップ率は量、ランキングは質。両方を見ると、より精度が上がります。

16. 応用①:A/Dラインで“中期の地合い”を追う

デイトレだけでなくスイングでも使えるのが、アドバンス・デクライン・ライン(A/Dライン)です。これは「値上がり銘柄数−値下がり銘柄数」を日々累積したものです。

直感的には、A/Dラインが上向き=上昇している銘柄が継続的に多い、ということ。指数が横ばいでもA/Dラインが上がっていれば、中身が強い状態が続いています。反対に指数が上がっているのにA/Dラインが下がっていれば、少数の銘柄だけで上げている危うい相場になりがちです。

初心者がやるなら、A/Dラインをチャート化して難しく考えるより、「直近5営業日で上昇優勢の日が多いか」をメモするだけでも効果があります。

17. 応用②:出来高と組み合わせて“本物の地合い”を判定する

アップ率が改善していても、出来高が伴っていないと「戻りの範囲」で終わることがあります。逆にアップ率が低くても、売りの出来高が急増してピークアウトしているなら、投げの終盤かもしれません。

使い方の型は次の通りです。

  • アップ率上昇+市場全体の出来高増:資金流入。トレンド発生の可能性が高い。
  • アップ率上昇+出来高減:戻り。利確を早める、深追いしない。
  • アップ率低下+出来高増:投げの加速。底打ち前の可能性もあるが、逆張りは慎重。

ここまで見られるようになると、地合い判断はかなり盤石になります。

18. “地合いの悪い日”の戦い方:やるなら狙いを絞る

アップ率が35%未満の日は、基本は守りです。それでも取引するなら、次のどれかに限定すると損失が膨らみにくいです。

  • 材料の強い銘柄の短期回転:地合いの影響を受けにくい。ただし逆回転も速い。
  • 指数主導で買われる大型の押し目:指数と同じ方向に乗る。地合いに逆らわない。
  • 底打ち移行の改善局面だけ:アップ率が30%→45%→55%のように改善しているときだけ。

この条件を満たさないなら、無理に売買しない。ここで休める人が、年間で勝ちます。

19. “地合いの良い日”の戦い方:伸びる銘柄を伸ばす

アップ率65%超の日は、トレンドフォローの練習日です。押し目で買い、伸びたら利確しつつ伸ばす。地合いが助けてくれます。

ただし、地合いが良い日は過信しがちです。次の管理を徹底してください。

  • 損切りは必ず置く(地合いが良いほど“例外の逆行”が大きい)
  • 利確を引っ張るのは「出来高が伴う上昇」だけ
  • 寄り天パターン(アップ率の悪化)を見たら即座に防御へ

20. 1枚のチェックリスト:毎朝これだけやれば良い

最後に、初心者が迷わないための“最低限の手順”をまとめます。これだけで地合い負けが激減します。

  • 寄り付き直後:アップ率を確認(35%未満なら守り、65%超なら攻めの準備)
  • 10時:アップ率が改善しているか悪化しているかを見る(方向が重要)
  • 前場引け:その日のレジームを確定(全面リスクオン/指数主導/全面リスクオフ/底打ち移行)
  • 後場寄り:午前の判断が継続しているか確認(崩れ始めに気づく)
  • 大引け:翌日のためにメモ(アップ率・変化・出来高・主役セクター)

相場は結局、確率のゲームです。値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率は、その確率を一段上げる“環境認識”の道具です。環境認識が整うと、個別の売買ルールが同じでも成績が変わります。まずは1週間、寄りと10時だけでも良いので記録してみてください。地合いの読みが、あなたのトレードの土台になります。

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