1分足ゴールデンクロスで狙うスキャルピング:ダマシを減らす初動判断と執行ルール

テクニカル分析

1分足のゴールデンクロス(短期移動平均が長期移動平均を上抜く)は、値動きの「最初の加速」を拾うための超短期シグナルです。ところが、初心者がそのまま使うと勝てません。理由は単純で、1分足はノイズが多く、スプレッドと約定コストが利益を食い、さらにクロスが連発する“レンジ地獄”が頻発するからです。

本記事では、ゴールデンクロスを「エントリー合図」ではなく「条件の一部」として扱い、(1)勝ちやすい局面だけを選ぶ、(2)コスト負けを回避する執行、(3)損切りが浅い設計、(4)検証でブレない運用、という4点に落とし込みます。株・先物・FXで応用できますが、説明は分かりやすさのために流動性が高いUSD/JPYを例にします。

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1分足ゴールデンクロスが「効く」ときと「死ぬ」とき

ゴールデンクロスが機能しやすいのは、価格が一方向に走りやすい「トレンド発生直後」です。具体的には、(A)東京・ロンドン・NYの参加者が増えるタイミング、(B)指標や要人発言直後のボラティリティ拡大局面、(C)直前にレンジを抜けて“逃げ遅れ”が発生する局面です。逆に死ぬのは、出来高(ティック数)が細り、上下の往復が多い薄い時間帯や、明確な上値下値に挟まれたレンジのど真ん中です。

初心者が最初にやるべきは、「クロスが出たら買い」ではなく、まず相場が(トレンド局面/レンジ局面)のどちらかを判定し、レンジなら“見送る”ことです。見送る回数を増やすほど、1回のトレードの期待値が上がり、結果として資金が残ります。

移動平均線の設定:1分足は“短すぎ”が罠

1分足でよく使われる組み合わせは、短期5・長期20、短期9・長期21、短期10・長期30などです。ただし短すぎる設定(例:3と10)はクロスが増えすぎて、手数が増え、コスト負けしやすくなります。まずは「短期=9〜10」「長期=21〜30」から始めるのが無難です。理由は、短期が“呼吸”、長期が“方向感”を表しやすく、クロスが乱発しにくいからです。

移動平均はSMA(単純)でもEMA(指数)でも構いません。実戦で迷うならEMAを推奨します。1分足では直近の価格変化に早く反応した方が、初動を取りやすいからです。ただし反応が早いほどダマシも増えるため、後述のフィルターは必須になります。

最重要:ゴールデンクロス単体は使わない(3つの必須フィルター)

1分足クロスを戦術として成立させるには、最低でも次の3つを併用します。

フィルター①:上位足の方向一致
例として、5分足のEMA20が上向き(直近10本で平均が切り上がり)で、価格がEMA20の上にあるときだけ、1分足ゴールデンクロスで買いを検討します。上位足が下向きなら、1分足の上抜けは“戻り売りの餌”になりやすいからです。

フィルター②:レンジ判定(横ばいを排除)
実務的には「5分足の直近30分(6本)の高値−安値が狭い」「1分足でクロスが3回以上出ている」などの条件で、レンジを弾きます。たとえばUSD/JPYで30分レンジ幅が8pips以下なら、クロスはノイズになりやすい、というように自分の対象銘柄に合わせて閾値を決めます。

フィルター③:コスト負け回避(スプレッド+滑り)
1分足スキャルは、勝ち幅が小さいほどコストの影響が大きいです。目安として、狙う値幅(ターゲット)がスプレッドの5倍未満なら、統計的に厳しくなりやすいです。USD/JPYでスプレッド0.2pipsならターゲットは最低1.0pips以上、0.5pipsなら2.5pips以上が欲しい、という考え方です。スプレッドが広がる時間(指標直後など)では“取らない”判断が勝ちになります。

「初動判断」の具体化:クロスの角度と位置で9割決まる

同じゴールデンクロスでも、形が違えば意味が変わります。初心者が見るべきは、(1)クロス時の角度、(2)価格がどこでクロスしたか(位置)、(3)直前の値動き(溜め)の3点です。

角度:短期線が長期線を“鋭く”上抜くほど、短期の買いが強い状態です。逆に、ほぼ水平で交差するクロスは、その後すぐにデッドクロスになりやすいです。チャート上で「斜め上に突き抜けているか」を目視で確認できるだけでも、成績が大きく変わります。

位置:重要な支持抵抗の直下でのクロスは危険です。たとえば直近高値が147.50で、クロスが147.48付近なら、上に売り注文が溜まっている可能性が高い。突破できないなら即逆回転します。逆に、明確なレジスタンスを上抜いてからのクロスは、追随買いが入りやすく、伸びやすいです。

溜め:直前に小さな揉み合い(例:1分足で10〜20本、値幅が縮小)があり、そこから上抜けるクロスは、損切りが浅くなりやすいのが利点です。溜めがなく、急騰の途中で出るクロスは“高値掴み”になりやすいので、押し目待ちに切り替えます。

エントリーの型:クロス直後に飛び乗らない

初心者がやりがちな失敗は、クロスが出た瞬間に成行で飛び乗り、1〜2本の揺り戻しで損切りになるパターンです。対策は「クロス→小さな押し→再上昇」で入ることです。具体的には次の2型を使います。

型A:1本待ちエントリー
クロス確定の足が終わったら、次の足で一度押して(短期線付近まで戻る)、再び高値更新を狙う。例:USD/JPYで147.20でクロス確定→次足で147.18まで押す→147.21を上抜けたら買い。これだけでダマシを相当削れます。

型B:ブレイク&リテスト
直近の小レンジ上限(例:147.15)を上抜け→一度147.15付近に戻る→反発して再上昇、で入る。ゴールデンクロスは「勢いの確認」として使い、実際のトリガーは水平ライン突破にします。水平ラインは初心者でも引きやすく、再現性が高いからです。

損切り設計:1分足は「時間」と「値幅」をセットで切る

スキャルは損切りが生命線です。おすすめは値幅だけでなく「時間切れ」を併用すること。理由は、1分足で伸びないトレードは、その後も伸びない確率が高いからです。

値幅ストップ:直近の押し安値の下に置きます。たとえばエントリー147.21、押し安値147.18なら、147.17に損切り(−4pips)。ストップを“なんとなく”で置くと、損切りが広がり、勝ちにくくなります。

時間ストップ:エントリー後、3分(3本)以内に含み益がスプレッドの2倍以上に乗らなければ撤退、など。USD/JPYでスプレッド0.2pipsなら、0.4pips以上に乗らなければ撤退。これで「動かないのに粘ってジリ貧」の典型を防げます。

利確設計:固定幅より“構造”で取る

初心者は「+2pipsで利確」など固定幅にしがちですが、相場は毎回ボラが違います。おすすめは、(1)直近高値、(2)心理的節目、(3)上位足の抵抗、のいずれか手前で一部利確し、残りはトレールで伸ばす設計です。

例:エントリー147.21、直近高値147.28、心理節目147.30。まず147.27〜147.28で半分利確(+6〜7pips)、残りは短期EMA9を割ったら手仕舞い、または1分足でデッドクロスが出たら撤退。こうすると、勝ちトレードで大きく取り、負けは小さく、という期待値の構造になります。

ダマシをさらに減らす「4つのチェック」

ここからは勝率を上げるための上級フィルターです。全部は不要ですが、2つ入れるだけで“無駄な負け”が減ります。

チェック①:クロス時に出来高(ティック数)が増えているか
1分足の出来高が直近20本平均を上回っているかを見る。増えていないクロスは、参加者が少なく伸びにくいです。

チェック②:スプレッドが通常値の2倍未満か
通常0.2pipsの口座で、0.4pipsを超えるなら見送り。勝ち幅が同じでも期待値が落ちます。

チェック③:上位足のVWAP/EMAの位置
5分足のVWAP(またはEMA20)の上で買い、下で売り。平均コストの“優勢側”にだけ乗るイメージです。

チェック④:直前の急騰(飛び乗り禁止)
クロスの直前3分で既に6pips以上走っているなら、押し目を待つ。走った後のクロスは、利確売りにぶつかりやすいです。

具体例:USD/JPYでの「良いクロス」と「悪いクロス」

良い例:東京時間9:05、5分足EMA20が上向き。直近の小レンジ147.10〜147.15を上抜け、1分足EMA10がEMA30を上抜く。出来高が増え、スプレッド0.2pips。エントリーは147.16の上抜けで買い、押し安値147.13の下にストップ(147.12)。147.22で半分利確、残りはEMA10割れで147.26で手仕舞い。平均で+7pips程度を狙える形です。

悪い例:昼休み相当の薄い時間、5分足が横ばいで価格がEMA20を上下に行ったり来たり。1分足でクロスが10分間に3回出る。スプレッドが0.4pipsに拡大。こういう場面は、クロスで入った瞬間に逆回転しやすく、損切りが続きます。最大の改善策は「取らない」ことです。

株・先物に応用する場合の注意点:板と歩み値が“コスト”を決める

株や先物ではスプレッドが固定ではなく、板の厚み・更新速度で実質コストが変わります。1分足クロスを使うなら、(A)板が薄い銘柄は避ける、(B)寄り付き直後や引け前など約定が厚い時間に限定する、(C)成行を多用しない、の3点が重要です。

具体例として、ストップ高/ストップ安付近では板が歪み、約定が飛ぶことがあります。この局面での1分足クロスは、テクニカルよりも需給が支配します。初心者は“銘柄選び”で難易度が激変するため、まずは日中の出来高が安定している大型株や、流動性の高い指数先物で練習するのが安全です。

勝率より期待値:スキャルは「勝ちやすい」より「負けにくい」

スキャルで資金が減る典型は、(1)勝ちは小さく、(2)負けは大きく、(3)回数が多い、の三重苦です。勝率が60%でも、平均利益+2pips、平均損失−5pipsなら、長期では負けます。だから設計は「損切りを先に決める」「利確は構造で伸ばす」「取引回数を絞る」が正解です。

目安として、最初は“1日3回まで”に制限し、条件に合う場面だけを待ちます。待てるようになると、エントリーが雑にならず、結果として勝率も期待値も上がります。

検証のやり方:1分足は「リプレイ」と「スプレッド込み」が必須

1分足戦略はバックテストが難しいと言われますが、やり方はあります。ポイントは「再現性が高いルールにする」「スプレッドと滑りを必ず入れる」「時間帯を分ける」の3点です。

手順はシンプルです。まず過去1か月分の1分足を用意し、(A)東京9:00〜11:30、(B)ロンドン16:00〜19:00、(C)NY21:30〜24:00など、時間帯で区切って検証します。次に、上位足フィルター(5分足EMA20上など)を満たしたクロスだけを抽出し、型A/型Bでエントリー、値幅ストップ+時間ストップで決済、利確は直近高値+トレール、という形で記録します。

記録項目は、エントリー理由(上位足一致、レンジ抜け、出来高増)、スプレッド、損切り幅、利確幅、保有時間、そして「守れた/守れなかった」を必ず書きます。最初は勝ち負けより“ルール遵守率”が重要です。遵守できないルールは、どれだけ美しくても実戦では機能しません。

実戦運用のチェックリスト:迷ったらこの順で判断

最後に、相場の前で迷う初心者向けに判断順を固定します。

1)今はトレンドかレンジか(5分足の方向、レンジ幅、クロス連発の有無)
2)上位足と同方向か(5分足EMA20/VWAPの上か下か)
3)コストは許容か(スプレッド、板の厚み、約定の滑り)
4)クロスの形は良いか(角度、位置、溜め)
5)エントリーは飛び乗りではないか(1本待ち/リテスト)
6)損切りは構造に置けるか(押し安値/戻り高値+時間切れ)

この6点を通過したときだけ実行します。通過しないなら見送り。見送りは機会損失ではなく、資金を守る“能動的な判断”です。

まとめ:ゴールデンクロスは「入口」ではなく「条件の一部」

1分足ゴールデンクロスは、最速でトレンドに乗れる一方、ノイズとコストで崩れやすい指標です。勝ち筋は、上位足で方向を固定し、レンジを避け、飛び乗りをやめ、損切りを時間と値幅で切り、利確を構造で取ることにあります。まずは「取引回数を絞る」「ルールを守る」「記録する」の3点から始めてください。結果が安定してから、パラメータやフィルターを微調整すると、再現性のあるスキャルの型になります。

注文方法と執行:成行は“最後の手段”にする

1分足では、エントリーの1〜2ティックの違いが損益に直結します。特にFXは成行でも約定が安定しやすい一方、株・先物では板の状況で滑ります。初心者は次の原則を徹底すると事故が減ります。

原則1:指値で入れる余地があるなら指値
型Aの「1本待ち」は、押し目付近に指値を置けます。例えば147.18まで押す想定なら147.18に指値、約定しなければ見送りでも構いません。約定しない=勢いが強すぎて置いていかれた、というだけで、その後は高値掴みになりやすいからです。

原則2:逆指値は“トリガー”ではなく“保険”
初心者は逆指値(ストップ注文)でブレイクを取りたくなりますが、スプレッド拡大や瞬間的なヒゲで巻き込まれやすいです。ブレイクは「ローソク足の終値で抜けた」など、確定を待つ方が期待値が上がりやすい局面が多いです。

原則3:損切りは最初から入れる
超短期ほど、“後で入れよう”が命取りです。クロスがダマシだった場合、数十秒で反対側に走ります。必ずエントリーと同時にストップを入れ、ストップを動かすのは「利が乗ってから」だけにします。

資金管理:1回の負けを“固定額”にして破綻を防ぐ

スキャルは回数が多くなりがちなので、資金管理が甘いと一気に崩れます。初心者が最初に設定すべきは「1回の最大損失=口座資金の0.2〜0.5%」です。たとえば資金100万円なら、1回の負けは2,000〜5,000円まで。これなら10連敗しても致命傷になりにくく、練習の余裕が生まれます。

ロット(取引数量)は、ストップ幅から逆算します。例:USD/JPYで損切り幅4pips、許容損失3,000円なら、1pipsあたり750円の価値になる数量に調整します。ここを曖昧にすると、相場より先に自分の資金が崩れます。勝ち方より先に“負け方”を決めるのがプロの発想です。

メンタル設計:1分足は「衝動」を呼びやすい

1分足は、常に動きがあり、判断回数が増えます。その結果、初心者は“取り返そう”が発動しやすく、ルール外のエントリーが増えます。対策は、トレードを「意思」ではなく「手順」に落とすことです。

具体的には、エントリー前に必ず「上位足一致」「レンジ除外」「コスト許容」「型A/B」「ストップ位置」を声に出して確認します。声に出すのが恥ずかしければメモにチェックを入れます。手間を増やすほど、衝動エントリーが減り、期待値が上がります。

さらに、連敗時のルールを決めます。例えば「2連敗したらその日は終了」「3回取引したら終了」。スキャルは“継続して勝つ”より“継続して負けない”方が難しいため、停止ルールは必須です。

よくある失敗と、具体的な修正方法

失敗1:クロスが出るたびに触る
修正:クロスは“合図”であり“許可証”ではありません。上位足一致とレンジ除外のどちらかが満たされない限り、ノートレードにします。

失敗2:損切りを広げてしまう
修正:ストップは“押し安値/戻り高値”に置いた時点で正解です。広げるのは、最初の想定が間違っていた証拠なので、広げずに切って次を待ちます。

失敗3:利確が早すぎて伸びる場面を捨てる
修正:半分利確+トレールを固定します。勝ちの上振れを取り逃がすと、統計的に期待値が伸びません。

失敗4:相場の“時間帯”を無視する
修正:同じルールでも、流動性が違えば結果が変わります。検証と運用は必ず時間帯を固定し、得意時間だけを増やします。

運用を育てる:パラメータ調整は最後にする

初心者は、負けるとすぐに移動平均の期間をいじります。しかし、負けの原因の多くは「局面選別」「コスト」「損切り」「ルール遵守」です。パラメータは最後です。

まずはEMA10/EMA30、上位足5分EMA20、型A/B、値幅+時間ストップ、半分利確+トレール、という骨格を固定し、100回分の記録を取ります。その上で、(A)レンジ閾値、(B)時間ストップの分数、(C)利確の位置、の順に小さく調整します。順番を守ると、改善が“再現”されます。

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