『お削り』戦略:ミクロ歪みを刻む超短期スキャルの再現手順

トレーディング手法
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概要:『お削り』とは何か

『お削り』は、暗号資産や先物・パーペチュアル市場のミクロな価格歪みを、数量を抑えた反復売買で継続的に収益化する超短期スキャル戦略です。価格の大きなトレンドに賭けるのではなく、スプレッドの縮小・拡大手数料体系(メイカーリベート)資金調達支払(ファンディング)など、微差の合算で期待値を積み上げます。ボラティリティが過度に高い相場より、板厚があり約定の連続性が保たれた、レンジ気味の時間帯で真価を発揮します。

この戦略で狙う3つの収益源

① スプレッド収益:ベストビッド/アスクの間に指値を置き、両側のヒットで差額を獲得します。板が厚く、タッチの頻度が多いほど安定します。

② 手数料構造(メイカーリベート):メイカー約定で手数料が支払われるのではなく受け取れる取引所があり、これはスプレッドが極小でも期待値を押し上げます。

③ 資金調達差(ファンディング):パーペチュアルでは定期的にロング/ショート間で支払いが発生します。在庫(建玉)を偏らせない前提で、支払方向と頻度を把握し、ファンディング直前の微小な歪み(駆け込み成行など)を刻みます。

向いている市場環境

・上下どちらにも極端に走らず、狭いレンジ内での回転が成立している。

出来高と板厚が十分で、成行の連なりと指値の補充(リフィル)が確認できる。

・ニュースイベントが少ない時間帯で、スリップリスクが低い

必須ツールと板情報の見方

板(Order Book):ベスト気配の数量と、内側のリフィル速度を重視します。消える板(フェイク)と、実際に埋める板(本気)を、出し入れの癖で見分けます。

約定履歴(Tape):連続成行の粒度・間隔・連鎖を観察。一定テンポで来る小口の連続成行は、板の内側に「刻む」チャンスです。

出来高プロファイル/足(1秒〜15秒):秒足で約定の連続性を確認します。ギャップが多い時間帯は撤退優先。

手数料テーブル:メイカー/テイカー、リベート率、VIP段階は必ず日次で再確認します。

発注設計:指値の置き方と撤退ルール

基本:常に内側に寄せる—ベスト気配±1ティック内側に小口で置き、約定したらすぐ反対側にヘッジ指値を置きます。1回転のターゲットは最小必要スプレッド+手数料上乗せです。

ロット設計:総資金に対し1回当たり0.5〜2.0%の範囲を目安に。板厚が薄い時は最小に落とし、厚い時だけ段階的に上げます。

取消スピード:内側に抜かれたら即キャンセル。置き直しで常に先頭を維持し、約定優先権を取り続けます。

撤退(ストップ):秒足で異常に長い成行連鎖が出たら、残建玉は成行で一括撤退。損失は小さいうちに切ります。

在庫(建玉)管理:風船理論

建玉は風船だと考えます。片側に偏ると、急な成行連鎖で破裂(清算リスク)が高まります。常に中立〜軽微な傾きを維持し、偏りが拡大したら、スプレッドが薄い瞬間に反対約定で圧縮します。

ミクロ期待値の設計(数式)

1回転あたり期待値 E は、概ね次式で見積もれます。

E ≒ (S − F) × Q + R × Q − slippage_cost

ここで、S=平均スプレッド、F=合計手数料(メイカー/テイカー差し引き)、Q=平均約定数量、R=メイカーリベート率(受け取りは正値)。slippage_costは撤退時の成行滑りの平均コストです。E>0を安定して維持できる板環境のみ参戦します。

具体的な回転フロー(例)

① ベストビッド/アスクが安定し、1秒足で約定が連続している時間帯を特定。

② ベストアスクの内側に少量指値。ヒット後、即座にベストビッド内側へ利確指値。

③ 反対側が埋まらず連続成行が来たら、0.5〜1.0ティックだけ内側へ静かにスライド。

④ 3回のスライドでも埋まらなければ、一部成行で在庫を圧縮し、板の息を整えてから再開。

⑤ ファンディング直前15分は、走りやすい方向の連鎖が出やすいので、在庫を軽くして回転速度を落とします。

手数料とリベートの現実的な影響

スプレッドが1ティックしか取れない時間帯でも、メイカーリベートがあるとEがプラスに転じます。逆に、テイカー主体で追いかける回数が増えると、コストで期待値が消えます。指値優先・取消俊敏が鉄則です。

リスク管理:5つの落とし穴

ニュース急変:秒足の異常な空白・急拡大は即撤退。持ち越し禁止。

板の見せ玉:出し入れの頻度と連動しない約定はノイズ。が見えるまでロットを上げない。

在庫膨張:反対側の補充が遅い時は、スプレッドが薄くても在庫優先で圧縮。

スリッページ蓄積:連続撤退が続いたら、時間帯を変える。相性の良い窓だけ稼働。

手数料段位の劣化:月初はVIP段位がリセットされがち。リベート前提の期待値が崩れていないか確認します。

検証とモニタリング

1取引=1行のログ(時刻、気配、置き位置、取消、ヒット、反対約定、P/L、滑り、在庫)をCSVで保存。回転速度(RPM)平均Eの推移を日次で可視化し、勝っている時間帯だけをカレンダー化して運用時間を固定化します。

シンプルな運用ルール(雛形)

・対象:BTC/ETHのパーペチュアル(板厚が十分な銘柄)。

・時間帯:出来高が増えるがニュースが少ない窓(例:ロンドン前半/NY後半の落ち着き時間)。

・建玉:常に中立±1ロット以内。偏り拡大時は在庫>スプレッドで圧縮を優先。

・約定優先:常に最内側。抜かれたら即キャンセルで置き直し。

・撤退:秒足で連続成行が閾値を超えたら全建玉クローズ。

ケーススタディ(仮想例)

レンジ100.0〜100.5、ティック0.1、メイカー+0.01%、テイカー−0.05%の場合、1回転で0.1幅のうち、手数料・リベートを差し引いても0.02〜0.04のEを積める時間帯が存在します。1分あたり2回転×60分で、在庫偏りゼロなら日次で意味のある額になります。重要なのは、悪い時間帯は何もしない勇気です。

発展:アルトとクロス取引

アルトは板が薄くスリップが大きい反面、一時的にスプレッドが広がるためEが跳ねることがあります。BTC/ETHの板でテンポが崩れた瞬間のみに限定して、小さく刻むのが現実的です。BTCとETHで同時回転し、片方の在庫偏りをもう片方で相殺する手法もあります。

まとめ

『お削り』は、トレンド依存度が低く板の呼吸を読む技術で期待値を積み上げる戦略です。鍵は、指値優先・取消俊敏・在庫中立・時間帯選別の4点。小さな優位性の合算で、日次の安定を狙いましょう。

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