セクターローテーションは、資金が業種間を移動する現象を読む考え方です。金利が下がったから成長株、金利が上がったから金融株、と一行で判断するのは簡単ですが、株価は将来利益の期待と現在の評価を同時に織り込みます。金利、利益予想、相対強度の三つを別々に確認します。
仮想ポートフォリオを、半導体、銀行、食品、公益の4セクター各25万円、合計100万円とします。1か月後に半導体30万円、銀行27万円、食品24万円、公益22万円なら、比率は30%、26%、24%、22%です。上昇した半導体を売る前に、利益予想の修正や価格の過熱を確認します。
相対強度は「上がったか」ではなく「何と比べたか」
半導体が1か月で+8%、市場全体が+5%なら相対差は+3ポイントです。半導体が+2%でも市場が−4%なら相対差は+6ポイント。単独リターンだけでは資金が相対的に向かっているか分かりません。比較対象、期間、配当込みかを統一します。
相対強度の改善が利益予想の上方修正を伴うなら、本業の再評価という仮説を置けます。一方、利益予想が下がっているのに株価だけ上がるなら、期待先行やショートカバーなど別の仮説が必要です。どちらも断定せず、次の決算や需給資料で確認します。

金利変化を業種の利益へ翻訳する
金利が0.3ポイント上がった場合、銀行の貸出・預金金利、公益の借入費、成長企業の割引率など伝わり方は異なります。金利ニュースと株価の同日反応だけで因果関係を決めず、決算資料の借入残高、利ざや、設備投資、利益率を確認します。
仮に銀行の純金利収益が前年100億円から110億円へ増えた一方、信用コストが3億円増え、保有債券の評価損が5億円なら、金利上昇の恩恵を単純に10億円と数えられません。セクター全体の見通しを個別企業へ適用する際は、収益構造の違いを表にします。
食品のようなディフェンシブ業種でも、原材料価格や値上げ浸透率が利益を左右します。公益も燃料費調整や規制料金の影響があります。セクター名をリスク要因の代わりに使わず、売上数量、単価、コスト、借入の四つへ分解します。
入れ替えルールを数値化する
目標配分を各25%、許容幅を5ポイントとするなら、30%へ上がった半導体は上限に達しています。総額103万円なら上限28%を超えたとき売却を検討します。半導体30万円、総額103万円の比率は29.1%。目標25%の金額25.75万円との差は4.25万円です。
ただし一度に全額を移す必要はありません。新規積立、配当、売買コスト、税を計算し、許容幅を超えた部分だけ戻す方法があります。目標幅を細かくすると売買が増え、広げ過ぎると集中リスクが増えます。ルールを過去の一番良かった時期に合わせず、異なる相場で極端な乖離を確認します。

監視表は月次で、売買は条件発生時に
- セクター別のリターンと市場との差を記録する。
- 利益予想の修正方向と利益率を並べる。
- PERなどの評価倍率を過去や市場と比較する。
- 目標配分からの乖離と売買コストを計算する。
- 次の決算で確認する業績指標を決める。
分散投資は市場下落をなくす保証ではありませんが、米SECのInvestor.govが説明するように、資産や商品を分けることで一つの投資に依存する度合いを下げる考え方です。セクターローテーションは短期の流行を追う合図ではなく、配分・利益・評価のどこが変わったかを点検するフレームとして使うと、判断が具体的になります。


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