先物取引では、契約金額の全額ではなく証拠金を差し入れて取引します。この仕組みは資金効率を高める一方、証拠金の額を損失上限と誤解すると危険です。管理すべきなのは、想定元本、価格が1単位動いた損益、必要証拠金、口座内の余裕資金です。
日経225先物を想定し、指数38,000、倍率100円、1枚の想定元本380万円とします。必要証拠金を仮に30万円、口座資金100万円と置いても、指数が1,000動けば損益は10万円です。証拠金30万円に対して10万円ではなく、口座資金全体に対して10%の変動として管理します。実際の倍率や証拠金は取引所・証券会社で確認してください。
証拠金は担保であり、許容損失ではない
先物の必要証拠金30万円で1枚建てた場合、残り70万円が安全資金とは限りません。価格変動で含み損が生じれば、口座の純資産は減少します。追加証拠金の基準は取引所の証拠金と証券会社の維持基準で異なります。必要額を超えているから大丈夫ではなく、急変時の損失額を先に見積もります。
1ポイント100円なら、損切り幅800ポイントの1枚の予定損失は8万円です。口座資金100万円に対する予定損失率は8%。許容損失を口座の1%、つまり1万円と決めるなら、この商品を1枚保有する設定は大きすぎます。指数の倍率を変えられないなら、取引枚数を減らすか、取引自体を見送る判断になります。

最初に「1ポイント損益」を確認する
商品ごとに倍率や最小変動幅が違います。指数38,000、倍率100円なら100ポイントの変動で1万円、1,000ポイントで10万円です。ドル円の先物、商品先物、株価指数先物を同じ感覚で比較しないよう、仕様表から1ティック損益と取引単位を書き写します。
想定元本は価格×倍率×枚数です。必要証拠金率が8%なら380万円×8%=30.4万円という概算になりますが、証拠金率は固定とは限りません。変動する制度の数値を、将来も同じと仮定しないことが大切です。
損益は「価格変動×倍率×枚数」です。指数が38,000から37,400へ600下落した場合、1枚の損失は600×100=6万円。必要証拠金30万円を基準に20%、口座100万円を基準に6%です。同じ損失でも、分母によって印象が変わります。自分の管理表には口座資金基準を主に置きます。
追加証拠金の前に、ギャップと休日を試算する
損切り注文を置いていても、休日中の海外材料や寄り付きの価格飛びで予定水準を超えて約定することがあります。損切り幅800ポイント、通常の損失8万円に対して、1,500ポイントのギャップなら損失は15万円です。注文があることと、指定価格で約定することを混同しません。
週末をまたぐなら、通常変動、急変、極端なギャップの3ケースを計算します。極端なケースに耐えられない場合、枚数を半分にしても十分とは限りません。建玉を持たない、満期前に閉じる、価格変動の小さい商品へ変えるといった選択肢も含めて、資金用途から検討します。

資金管理表へ入れる項目
- 商品名、倍率、最小変動幅。
- 価格、枚数、想定元本。
- 必要証拠金と維持基準。
- 通常・急変・ギャップ時の損失額。
- 取引後に残る現金と、他の建玉の相関。
複数の先物を持つ場合、同じ方向へ動く建玉を別々のリスクと数えないようにします。株式を保有しながら株価指数先物を売るなら、ヘッジになる可能性はありますが、完全に相殺されるわけではありません。相関が崩れる局面と必要証拠金の重複を確認します。
CME Groupの証拠金資料でも、証拠金モデルは価格変動などのリスクをもとに計算され、必要額が変わり得ることが説明されています。証拠金の安さを利益率と読み替えず、最悪時にいくら失うか、追加入金が必要になったとき資金用途を守れるかを先に点検することが実務の中心です。


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