社債の利回りが国債より高いのは、発行企業の信用リスクや流動性リスクを投資家が負うためです。利回りだけを見て「国債より有利」と判断すると、景気悪化時に価格が下がる経路を見落とします。社債利回りを国債利回りと信用スプレッドに分けると、何が変化したかを整理できます。
10年国債1.5%、同程度の満期を持つ社債2.4%なら、信用スプレッドは0.9ポイントです。翌月に国債1.7%、社債2.8%となれば社債利回りは0.4ポイント上昇していますが、内訳は国債+0.2、スプレッド+0.2です。金利上昇と信用不安の両方が価格へ効いた可能性があります。
スプレッド拡大は、必ず倒産予想ではない
スプレッドはデフォルト確率だけで決まりません。市場の流動性、投資家のリスク回避、発行量、格付け見通し、同業他社の決算などでも変動します。価格下落を「倒産が近い」と断定せず、格付け変更、財務制限条項、借入の満期構成、営業キャッシュフローを調べます。
デュレーション5年の社債で、国債利回りとスプレッドの合計が0.4ポイント上がった場合、一次近似の価格変化は−2.0%です。これはクーポン、凸性、売買スプレッドを無視した概算です。投資信託やETFでは組入債券の入れ替え、経費、為替も加わるため、単体債券の近似をそのまま当てはめません。

同じ利回りでも、満期と格付けを揃える
5年債と10年債、投資適格とハイイールド、固定利付と変動利付を同じ利回り順に並べても比較になりません。信用スプレッドを比較するときは、満期・通貨・優先順位・担保の有無をそろえます。表に比較条件が書けないなら、利回り差の理由も説明できません。
また債券を満期まで保有する場合と、途中売却する場合ではリスクが違います。満期保有でも発行体の支払い能力は残ります。ETFは満期へ近づいて元本が償還される一本の債券ではないため、利回り表示と将来の売却価格を別に考えます。
高い利回りの背景を、返済能力へ戻す
EBITDAが100億円、純有利子負債300億円なら、純有利子負債/EBITDAは3倍です。利益が75億円へ下がれば4倍へ悪化します。利息費用20億円なら、営業利益やEBITDAがどれだけ利払いをカバーするかも確認します。非経常利益で返済能力を良く見せないよう、キャッシュフローと投資支出を併せて読みます。

購入前の確認表
- 利回りを国債部分とスプレッドへ分ける。
- 満期、通貨、格付け、優先順位をそろえる。
- デュレーションと途中売却の価格リスクを計算する。
- 負債倍率、利払い、満期集中を確認する。
- 売買スプレッドと流動性を確認する。
SECの社債投資家向け資料も、売却時の流動性リスクや契約条件の確認を促しています。利回りを収入だけと見なさず、どのリスクの対価として上乗せされているかを分解することが、社債投資の基本です。


コメント