インプライド・ボラティリティの見方|オプションの高値掴みを避ける比較法

ボラティリティを分析する架空のオプショントレーダー。AI生成イメージ。 オプション・ボラティリティ

インプライド・ボラティリティ(IV)は、オプションの市場価格から逆算された将来変動率の期待です。IVが高いとオプション価格は一般に高くなりますが、「高いから売る」「低いから買う」と単独で決める指標ではありません。残存期間、権利行使価格、イベント、実現ボラティリティを同じ土俵で比較します。

株価100、満期30日、IV40%のコールと、IV25%のコールは、他の条件が同じなら前者の価格が高くなります。しかし40%が異常かどうかは、その銘柄の過去のIV分布と、決算発表などの予定を見なければ分かりません。年率40%を日率へ機械的に割るのではなく、期間に対応する変動幅として扱います。

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実現ボラティリティと、測定期間をそろえる

過去20営業日の実現ボラティリティが22%、30日IVが40%なら、オプション市場は過去より大きな変動を織り込んでいると読めます。ただし過去20日と将来30日は別の期間です。決算の2日前なら、過去の静かな値動きに対して将来のイベント変動が上乗せされていても不自然ではありません。

実現ボラティリティは日次リターンの標準偏差を年率化した値です。日次標準偏差1.4%なら、単純な年率化は1.4%×√252で約22.2%。観測日数、株式分割調整、終値か日中高安かをそろえなければ、別のボラティリティを比べることになります。

実現ボラティリティ22%と30日IV40%をイベント予定と比較する図
図1:過去の実現変動率と、満期に対応するIVを分けて確認する。

IVランクは水準の位置を示すだけ

過去1年のIV最低20%、最高50%、現在40%ならIVランクは(40−20)÷(50−20)で約67です。これは過去範囲の上側にあるという意味で、翌日に低下する予言ではありません。極端な急落期を含む1年と、平常期だけの半年では範囲が変わるため、期間も表示します。

IVが高い時に買いオプションを持つ場合、原資産が予想方向に動いても、イベント通過後のIV低下が価格を押し下げることがあります。売りオプションでは逆にIV低下が有利に働き得ますが、原資産の大きな変動や期限前の損失、証拠金を要する戦略のリスクがあります。方向性とボラティリティの見通しを混同しません。

スキューは下方向リスクの価格を見る材料

同じ満期でも、株価より低い行使価格のプットIVが高いことがあります。これは下落保険への需要などを反映するスキューです。ATMのIVだけを見て「IVは低い」と判断しても、下方のプットは高価かもしれません。比較するなら行使価格をデルタや株価からの乖離率でそろえます。

例えばATMのIV30%、株価−10%のプットIV42%なら差は12ポイントです。この差が将来必ず縮小するとは限りません。スキューは市場が下落リスクをどう価格化しているかを観察する道具で、確実な裁定機会ではありません。

ATMのIV30%と株価より低いプットIV42%のスキューを比較する図
図2:IVを一つの数字で終えず、満期と行使価格の位置を確認する。

発注前の確認

  1. 満期までの日数とイベント日を確認する。
  2. IVと実現ボラティリティの測定期間をそろえる。
  3. IVランクの観測期間と極値を記録する。
  4. ATMだけでなくスキューを見る。
  5. 損失上限、証拠金、流動性を契約単位で確認する。

IVは「市場が織り込む不確実性の値札」です。価格が高い理由を確認せずに売買するより、どの変動・どの期間・どの下振れを値付けしているかを分解する方が、オプションのリスクを具体的に把握できます。

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