DeFiの利回りは「預金金利」ではなく、誰が何を負担して得る報酬かを見る
DeFiでは、トークンを預けると年率が表示されるサービスがあります。しかし、その利回りは銀行預金の利息と同じではありません。取引手数料の分配、流動性提供者への報酬、トークン発行による補助、借り手が支払う金利など、複数の収益源が混ざっています。
表示年率を見る前に、報酬の原資、受け取る資産、損失が生じる経路、資金を戻せる条件を分解する必要があります。
利回りを5つの原資に分ける
| 原資 | 仕組み | 主なリスク |
|---|---|---|
| 取引手数料 | 流動性を提供し、交換手数料の一部を受け取る | 取引量低下、価格差による損失 |
| 借入金利 | 資産を貸し出し、借り手から金利を受け取る | 担保不足、清算、金利変動 |
| トークン報酬 | プロトコルのトークンを配布する | 価格下落、報酬終了、希薄化 |
| ステーブルコイン差益 | 特定資産の需要や運用収益を分配する | ペッグ崩れ、発行体、準備資産 |
| レバレッジ | 借入を使い運用規模を拡大する | 損失拡大、追証、清算 |

利回り表示を年率に戻して考える
例えば、年率30%と表示されていても、トークン報酬の価格が半分になれば、円換算の評価額は大きく変わります。複利表示か単利表示か、報酬が同じトークンか、手数料やガス代を含むかでも結果は異なります。
元本100万円を仮に1年間運用し、表示報酬が30万円、手数料等が5万円、報酬トークンの価値が半減したとします。受け取った報酬が30万円相当から15万円相当へ下がれば、表示年率だけを見た期待とは違う結果になります。この例は損益を予測するものではなく、利回りと資産価格を別々に計算するための枠組みです。
流動性提供で起きる価格差損失
2つの資産をペアで預ける場合、片方だけが大きく上昇すると、プール内の比率が変わり、単純保有より評価額が低くなることがあります。受け取る手数料がこの差を上回るかは、取引量、価格変動、預け入れ期間によって変わります。
確認するのは、過去の年率ではなく、同じ期間に単純保有した場合との差、手数料収入、引き出し時の数量です。高い手数料収入があっても、資産数量の減少や価格下落で評価額が減る場合があります。
プロトコルを使う前の7項目
- スマートコントラクトのアドレスが公式情報と一致するか。
- 監査報告はあるか、監査が安全を保証するものではないと理解しているか。
- 管理者権限、アップグレード権限、緊急停止機能は誰が持つか。
- 預けた資産を戻す条件と、手数料・ガス代はいくらか。
- ブリッジを使う場合、移動先のチェーンと保管リスクは何か。
- 報酬トークンを売却できる流動性があるか。
- 最悪時に失っても生活に影響しない金額か。
金融庁も暗号資産について、登録事業者の確認や価格変動などのリスクを理解するよう注意喚起しています。DeFiは管理者が見えにくく、登録制度の対象や利用者保護が取引形態ごとに異なるため、仕組みを理解できないサービスは利回りに関係なく見送る判断が必要です。
まとめ
DeFiの利回りは、預金金利のように固定された安全な収益ではありません。手数料、借入、トークン報酬、ペッグ、レバレッジを分解し、価格差損失、契約、出金、管理者権限を確認します。年率の大きさではなく、どのリスクの対価として報酬を受け取っているかを説明できることが、最初の条件です。

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