- 1. オラクルとは何か——価格の“取り口”が設計全体を決める
- 2. リスク特性の整理:なぜ併用が効くのか
- 3. ChainlinkとPythの特徴差を設計に落とし込む
- 4. ベースライン合成:メディアン+外れ値除外
- 5. 価格“安定化”のための時間処理:TWAPと遅延のトレードオフ
- 6. システムトレードへの応用:トリガーと執行を分離する
- 7. 具体例A:CEX×DEXミックス相場での異常値対策
- 8. 具体例B:イベント時(CPI/FOMC)の更新と外れ値処理
- 9. コスト試算:利用料・オンチェーンコスト・監視の運用費
- 10. 外れ値・操作耐性のルール化チェックリスト
- 11. 監視指標(KPI)としきい値設計
- 12. リスク管理:フェイルセーフと段階的縮小
- 13. よくある失敗と対処
- 14. 実装手順(最小バージョン)
- 15. 収益機会の増幅:戦略レイヤとの連携
- 16. まとめ
1. オラクルとは何か——価格の“取り口”が設計全体を決める
2. リスク特性の整理:なぜ併用が効くのか
- 更新遅延(ラグ): 急変時の追従遅れは、逆指値や清算閾値に影響。異なる更新方式(push/pull)を併用すると遅延の相関が下がりやすいです。
- 外れ値(アウトライヤー): 単一ソースの異常や一時的な板薄で価格が飛ぶ。メディアン合成や外れ値除外で軽減できます。
- 操作耐性: 一部取引所の薄い板で価格を動かす攻撃。ソース分散・出来高/流動性重み付け・時間平均で緩和します。
- 仕様依存: 更新間隔・手数料・データ取得経路などの仕様差が、障害時に非相関な挙動を生みます。
3. ChainlinkとPythの特徴差を設計に落とし込む
3.1 比較観点
- 更新方式・頻度:イベント駆動/閾値更新・定期更新・高頻度ティック型など。
- 取得元の分散:複数CEX/DEXミックス、出来高加重や異常検出ロジックの違い。
- 手数料構造:消費側コスト、オンチェーン投稿コスト、L2転送コスト。
- 対応チェーン:EVM、Solana、各L2での可用性。
3.2 設計への翻訳
異なる更新哲学とデータ加工パイプラインを持つ2系統を併用するほど、同時障害確率は低下します。具体的には、メディアン合成+フェイルオーバー+外れ値フィルタの三点セットで効果を最大化します。
4. ベースライン合成:メディアン+外れ値除外
<擬似コード(概念)>
feeds = [price_chainlink, price_pyth, price_backup...]
valid = filter_outliers(feeds, twap, sigma=3)
if count(valid) >= 2:
composite = median(valid)
elif count(valid) == 1:
composite = valid[0] # 暫定フェイルオーバー
else:
composite = last_good # 最後の良好値を短時間ホールド
5. 価格“安定化”のための時間処理:TWAPと遅延のトレードオフ
6. システムトレードへの応用:トリガーと執行を分離する
7. 具体例A:CEX×DEXミックス相場での異常値対策
8. 具体例B:イベント時(CPI/FOMC)の更新と外れ値処理
- kσの閾値を一時的に緩める(外れ値除外の過剰発動を防ぐ)。
- TWAPの期間を短縮(追従性を優先)。
- フェイルオーバー保持時間を短縮(極端な値のまま固まらないように)。
9. コスト試算:利用料・オンチェーンコスト・監視の運用費
10. 外れ値・操作耐性のルール化チェックリスト
- 2系統以上のオラクルを常時比較。価格乖離率を常時計測・保存。
- 外れ値フィルタ(kσ)と短期TWAPを実装。
- 最低2フィード一致でのメディアン採用、1本のみ時のフェイルオーバーポリシー。
- イベントモードのパラメータ事前定義(CPI/FOMCなど)。
- アラート:乖離率、更新停止、価格スパイク、出来高急減。
- 自動サイズ調整:信頼度低下時にリスクバジェット縮小。
11. 監視指標(KPI)としきい値設計
- 平均乖離率・最大乖離率(銘柄別、時間帯別)。
- オラクル更新ラグ(p50/p95)。
- 外れ値フィルタ発動率と誤判定率。
- イベント時の合成値ドリフトとP/L相関。
12. リスク管理:フェイルセーフと段階的縮小
13. よくある失敗と対処
- 平均での合成:外れ値に弱い。メディアン+外れ値フィルタへ。
- イベント時の過剰平滑化:追従できず清算。イベントモードへ。
- 乖離ログ未保存:再発防止ができない。メトリクス設計を。
- 単一チェーン依存:L2停止時に全滅。代替チェーン経由も用意。
14. 実装手順(最小バージョン)
- 対象銘柄を3〜5に限定し、2系統のオラクル購読を開始。
- 秒足ログを保存(価格、更新タイムスタンプ、乖離率)。
- メディアン合成+kσ外れ値フィルタを実装。
- イベントモードのパラメータを事前定義し、切替を自動化。
- アラート閾値を設計し、メール/チャット通知へ接続。
- 小額で試験運用→パラメータ最適化→対象銘柄拡大。


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