- なぜ「東京時間だけ」に絞るのか
- 前提:この戦略が得意な通貨・銘柄、苦手な通貨・銘柄
- 戦略の骨格:やることは「箱」を作って、抜けたら乗るだけ
- ルール設計(基本形):東京レンジ30分ブレイク
- ダマシを減らすフィルター:これだけで成績が変わる
- 具体例:USD/JPYでの“典型的な勝ちパターン”を分解
- 具体例:負けパターン(ダマシ)を先に潰す
- エントリーの精度を上げる:成行と指値の使い分け
- 損切りが機能する設計:1回の損失を必ず小さくする
- 「東京時間だけ」の運用で起きる落とし穴
- 上位互換:東京レンジ+VWAP/移動平均フィルター
- バックテストのやり方:難しい統計はいらない
- 改良ポイント:レンジの作り方は1つではない
- 実戦手順:朝のチェックからエントリーまでの流れ
- よくある質問:ブレイクしたのに伸びない日はどうする?
- まとめ:この戦略で本当に得たいもの
- 派生戦略:東京時間ブレイクを「2段階」にして精度を上げる
- 値幅の根拠を持つ:ATRを“当日用”に使う
- ポジションサイズの決め方:初心者が事故らない計算式
- 勝ちやすい“日”の見分け:日足の位置で期待値を微調整する
- 執行の現実:スプレッド拡大と滑りにどう対処するか
- チェックリスト:エントリー前に必ず確認する項目
- トレード日誌の付け方:上達が速くなる“3行ルール”
- 最終的な到達点:相場が変わっても崩れない設計
なぜ「東京時間だけ」に絞るのか
FXや指数の短期売買で負けやすい原因のひとつは、相場の“性格”が変わる時間帯を同じロジックで殴り続けることです。ロンドン開始、NY開始、重要指標、要人発言の前後では、板の厚み・スプレッド・瞬間ボラ・トレンドの継続性が別物になります。ここで「東京時間だけブレイクを狙う」と決めるのは、勝てる時間帯を探すというより、負けやすい局面を最初から除外して再現性を上げるという発想です。
東京時間(概ね9:00〜15:00、広めに見てアジア時間 7:00〜16:00)は、欧米に比べて突発的なニュースが相対的に少なく、値動きの構造が“レンジ→一方向に伸びる”か“レンジ継続”のどちらかに寄りやすい傾向があります。ここに適したブレイクアウト(ブレイク狙い)は、無限にある手法の中でもルール化しやすく、初心者が「同じことを同じように繰り返す」練習に向いています。
前提:この戦略が得意な通貨・銘柄、苦手な通貨・銘柄
東京時間ブレイクは、東京時間に参加者が多い(=東京主導の需給が出る)通貨ペアと相性が良いです。代表はUSD/JPY、EUR/JPY、GBP/JPY、AUD/JPYなどの円絡みです。とくにUSD/JPYは東京時間の値動きが素直になりやすく、検証材料も豊富です。
一方で、EUR/USDなど欧州主導の通貨は、東京時間は“ただの待機時間”になりやすく、ブレイクしても伸びが短いことがあります。やれないわけではありませんが、同じルールでも期待値が落ちやすいので、まずは円絡みで組むのが現実的です。
暗号資産や日本株でも、時間帯の性格はあります。暗号資産は24時間ですが、東京時間は参加者層が変わるため、同様の考え方(時間帯固定)で戦略を作れます。日本株はそもそも東京時間のみが取引時間なので、この戦略の考え方は「場中のどこでブレイクが機能するか(寄り直後、後場寄り、引け前)」に置き換えられます。
戦略の骨格:やることは「箱」を作って、抜けたら乗るだけ
東京時間ブレイク戦略の基本は単純です。東京時間の最初に“レンジ(箱)”を定義し、その上抜け・下抜けに乗る。ただし、単純な上抜け買い・下抜け売りをすると、ダマシ(抜けたふり)が多発します。そこで、箱の作り方と、エントリー条件(フィルター)を具体化してダマシを減らします。
ここからは、実務(実際の手順)として使える形に落とします。TradingViewでもMT4/MT5でも同じです。必要なのは、時間と高安を正確に取ること、そして損切り位置を先に決めることです。
ルール設計(基本形):東京レンジ30分ブレイク
まずは最もシンプルで検証しやすい型を示します。通貨はUSD/JPY、時間足は5分足を想定します。
1)レンジ(箱)の定義
東京オープン(9:00 JST)から9:30までの30分間の高値と安値を、レンジ上限・下限として固定します。これを「東京レンジ」と呼びます。30分にする理由は、最初の15分だとノイズが多く、60分だとブレイクのタイミングが遅れて伸びを取り逃しやすいからです。もちろん最適値は銘柄で変わるので、後で最適化しますが、最初は30分で十分です。
2)エントリー条件(上抜け買い・下抜け売り)
上抜け買いは「5分足の終値がレンジ上限を明確に上回って確定」した時点で行います。下抜けも同様に、5分足終値で確定を待ちます。ヒゲで抜けた瞬間に飛びつくと、ダマシ率が上がります。“確定待ち”は初心者の最大の武器です。
3)損切り(ストップ)の置き方
損切りは「レンジ反対側」では遠すぎることが多いので、現実的には2案あります。A案は、直近の押し安値(買いならブレイク後の最初の押しの安値)を割ったら損切り。B案は、レンジ上限(買いなら)を少し下回ったら損切りです。初心者はB案が分かりやすく、ブレイクの失敗を早く切れます。具体的には、レンジ上限−0.06円(6pips)など“固定幅”を使うと、迷いが減ります。
重要なのは「エントリー前にストップが確定している」ことです。これがないと、たまたま助かった経験が癖になり、損失だけが肥大化します。
4)利確(テイクプロフィット)
利確は3つの型を用意し、どれか1つに固定します。①固定R倍:リスク(損切り幅)×1.5〜2.0で利確。②次の節目:ラウンドナンバー(例:150.00)や直近高値まで。③トレーリング:1分足や5分足の安値更新で段階的にストップを引き上げます。初心者は①が最も管理しやすいです。
ダマシを減らすフィルター:これだけで成績が変わる
同じブレイクでも、勝ちやすいブレイクと負けやすいブレイクがあります。東京時間でよく効くフィルターを、根拠とセットで提示します。
フィルターA:レンジ幅が小さすぎる日はやらない
レンジ幅が小さすぎると、少しの揺れで抜けた判定が出てしまい、スプレッドとノイズに負けます。目安としてUSD/JPYなら東京レンジ30分幅が8pips未満なら見送り、12〜25pipsが狙い目です。広すぎる(例えば40pips超)日は、東京時間としては異常値で、既に材料が出ている可能性が高いので、別ロジックに分離した方が良いです。
フィルターB:ブレイク時の出来高(ティック数)が増えていること
FXは出来高が取れないことが多いですが、ティックボリューム(価格更新回数)で代用できます。ブレイクした5分足のティック数が、直前5本平均の1.5倍以上なら“参加者が増えている”と判断し、採用します。増えていないブレイクは、たまたまの薄い板で抜けただけの可能性が高く、戻されやすいです。
フィルターC:直前に一度も反対側へ抜けていないこと
東京レンジを作っている30分の間に、上下へヒゲで何度も突っ込む日は、参加者の意図が割れており、ブレイク後も反転しやすいです。こういう日は“レンジ継続日”であることが多く、ブレイク戦略と相性が悪いです。判定方法は簡単で、レンジ形成の30分の中で、9:00〜9:30の各5分足が上下に長いヒゲ(例えば本体の2倍以上)を何本も出しているなら見送ります。
フィルターD:当日の大きなイベント前後はやらない
東京時間でも、日銀関連、政府要人発言、突発ヘッドラインなどで相場の質が変わります。また、海外イベント(米CPIやFOMCなど)がその日に控えている場合、東京時間は“様子見レンジ”になりやすく、ブレイクが伸びません。経済カレンダーで重大イベントがある日は、ブレイクの利確目標を縮めるか、そもそも見送る方が期待値が安定します。
具体例:USD/JPYでの“典型的な勝ちパターン”を分解
場面を想定して、どこで何を見て、どう行動するかを具体化します。
9:00〜9:30で、東京レンジ上限が149.62、下限が149.50になったとします(幅12pips)。9:35の5分足が149.64で引け、上限を終値で超えました。ここで買いエントリー。ストップはレンジ上限−6pips=149.56。リスクは8pipsです。
利確は固定R倍で1.8Rに設定すると、目標は149.64+(8pips×1.8)=149.78付近です。9:45〜10:10で緩く上昇し、149.79タッチで利確。重要なのは、途中の押しで“切りたくなる”局面が来ても、ルールが先に決まっているので淡々と保有できることです。短期で勝てない人の多くは、利確を焦って小さく取り、損切りを遅らせて大きく負けます。ここを逆にするだけで成績が変わります。
具体例:負けパターン(ダマシ)を先に潰す
負けパターンを理解して対策する方が、上達が速いです。ダマシの典型は2つあります。
1つ目は、ブレイク足が細く、ティック数が増えていないケースです。上限を終値で超えても、実態が小さく、次の足であっさりレンジ内に戻ります。これは“薄いブレイク”で、フィルターBで弾けます。
2つ目は、レンジ幅が極端に小さい日です。例えば幅5pipsのレンジを作ると、スプレッドや微細な揺れで抜け判定が連発します。勝っても負けても運要素が増えます。フィルターAで最初からやらない。これが一番コストが安い改善です。
エントリーの精度を上げる:成行と指値の使い分け
「終値確定で入る」と言っても、実際は成行か指値かで体感が変わります。初心者は成行がシンプルですが、滑り(スリッページ)を許容しないとストレスになります。そこで、次のように整理します。
成行が向くのは、ブレイク足が大きく、勢いが明確なときです。指値が向くのは、ブレイク後に一度戻り(リテスト)が入りやすい形のときです。例えば上抜け後、次の足でレンジ上限まで押してくることがよくあります。この場合、レンジ上限付近に指値を置けば、損切り幅が縮み、R倍利確の到達も楽になります。
ただし、指値は約定しないことがあります。約定しない日の“取り逃し”を許容できないなら、成行で入ってからストップと利確を機械的に置く方が精神的に安定します。ここは性格の問題です。期待値が同等なら、継続できる方が正解です。
損切りが機能する設計:1回の損失を必ず小さくする
短期のブレイクは勝率が6割を超えることもありますが、勝率だけで戦略の良し悪しは決まりません。重要なのは、平均利益と平均損失のバランスです。東京時間ブレイクの理想は「小さく負けて、そこそこ伸びた日に取る」です。損切りが遅いと、この構造が崩れます。
実務としては、1回の損失を口座の0.5〜1.0%に固定するのが現実的です。例えば口座100万円なら、1回の許容損失は5,000〜10,000円。USD/JPYでストップ8pips、1万通貨なら1pips=100円なので損失は800円。まだ余裕があります。ここでレバレッジを上げすぎると、同じ8pipsでも損失が膨らみ、損切りを躊躇します。初心者が最初に壊れるポイントです。
「東京時間だけ」の運用で起きる落とし穴
時間帯を絞れば勝てる、という単純な話ではありません。絞った結果、次の落とし穴が出ます。
まず、トレード回数が減ります。回数が減ると、1回の結果に感情が乗ります。するとルールを変えたくなります。これを防ぐために、ルールを固定したままサンプルを貯める期間(例えば30〜50回)は、他の時間帯に手を出さないと決めてください。
次に、東京時間は「伸びる日」と「伸びない日」の差が大きいです。伸びない日はレンジ継続になりやすく、ブレイクの回数も少ない。伸びる日だけを取りたい気持ちになりますが、事前には分かりません。だからこそ、フィルターで“負けやすい日”だけを除外し、残りは機械的にやるのが最適解です。
上位互換:東京レンジ+VWAP/移動平均フィルター
FXにVWAPは厳密にはありませんが、CFDや先物、暗号資産ではVWAPが使えます。また、FXでもEMA(指数移動平均)をVWAPの代替として使えます。ここでは“ブレイクの方向にトレンドがある”ことを確認するフィルターを足します。
具体的には、5分足の20EMAが上向きで、価格が20EMAの上にある状態で上抜けブレイクが出たら採用。逆に、20EMAが下向きで、価格が20EMAの下にある状態で下抜けブレイクが出たら採用。これだけで逆方向のブレイク(トレンドに逆らうブレイク)を減らせます。東京時間はトレンドが出にくい日もありますが、トレンドが出た日は伸びやすいので、伸びる日に寄せる工夫です。
バックテストのやり方:難しい統計はいらない
初心者がバックテストで挫折するのは、複雑な指標や大量のデータ処理に手を出すからです。東京時間ブレイクは、手動でも十分検証できます。やり方は次の通りです。
過去チャートを開き、1日ずつ、9:00〜9:30の高安を引き、9:30以降に上抜け・下抜けが起きたかを記録します。エントリーは5分足終値確定、ストップは上限−6pips(買い)、利確は1.8Rなど、固定します。勝敗とR(利益÷損失)を記録し、30〜100サンプル貯めます。これで勝率と平均Rが出ます。
ここで見るべきは、勝率よりも平均Rと最大連敗です。最大連敗が6回なら、メンタル耐性として「6連敗しても続けられるロット」に落とす必要があります。ロットが大きいと、統計的には普通に起きる連敗で心が折れて、戦略の評価が歪みます。
改良ポイント:レンジの作り方は1つではない
30分レンジ以外にも、勝てる型はあります。検証しやすい順に紹介します。
1つ目は「15分レンジ」。早く仕掛けられる代わりにダマシが増えるので、ティックボリュームフィルターを強くします。
2つ目は「東京前のアジアレンジ(7:00〜9:00)」。東京オープンでそのレンジを抜ける動きが出る日があり、値幅が取りやすいことがあります。特に早朝に材料が出ていない日に有効です。
3つ目は「前日NY終盤〜東京オープンまでの持ち合いレンジ」。これは少し上級で、日足や4時間足の文脈を使って“溜め”を測ります。初心者はまず30分レンジで十分です。
実戦手順:朝のチェックからエントリーまでの流れ
朝にやることを固定すると、判断のブレが減ります。以下は1日のルーチン例です。
まず、経済カレンダーを見て、その日に重大イベントがあるかを確認します。次に、前日NYの値幅と終値位置(高値圏で引けたか、安値圏で引けたか)を把握します。東京レンジを引いたら、レンジ幅が狙い目の範囲か(例:8〜25pips)を判定し、範囲外なら見送ります。範囲内なら、上抜け・下抜けのどちらでも同じルールで入る準備をして待ちます。
ここで大事なのは、予想をしないことです。「上に行きそうだから買い目線」ではなく、「上抜けなら買う、下抜けなら売る」と条件で動きます。ブレイク戦略は、当てに行くほど負けます。
よくある質問:ブレイクしたのに伸びない日はどうする?
伸びない日はあります。東京時間の特徴です。対策は“伸びない日の損失を小さくする”ことに尽きます。具体的には、利確を固定R倍にして、到達しなければトレーリングで建値まで戻したら撤退、などが有効です。
例えば、エントリー後に0.8R進んだらストップを建値付近に上げる、というルールを入れると、伸びない日は小さな損失か同値撤退で終われます。伸びる日だけが利益を残し、期待値が上がります。
まとめ:この戦略で本当に得たいもの
東京時間ブレイクの目的は、派手に一発を取ることではありません。同じ条件で同じ判断を繰り返し、再現性を積み上げることです。時間帯を固定し、レンジを固定し、終値確定で入り、損切りを先に決め、R倍で利確する。これだけで、初心者が陥りがちな「感情でルールをいじる」「損切りが遅れる」「利確が早い」を潰せます。
次のステップとしては、通貨ペアを増やすのではなく、同じ通貨でレンジ時間(15分/30分/60分)とフィルター強度(ティック数倍率、レンジ幅閾値)を少しだけ変えて検証し、最も安定する組み合わせを採用してください。最適化はやりすぎると未来に弱くなります。変数は最小限、ルールは簡潔、執行は機械的。これが短期トレードの勝ち筋です。
派生戦略:東京時間ブレイクを「2段階」にして精度を上げる
同じブレイクでも、最初の抜けはダマシで、2回目の抜けが本物になる日があります。これを取りに行くのが2段階ブレイクです。やり方はシンプルで、1回目のブレイクで無理に入らず、一度レンジ内に戻った後、再びレンジを抜けたタイミングだけ採用します。
例えば上抜けしたのに次の足でレンジ上限の下へ戻った場合、その時点で「今日はダマシが出た」と判断します。ここで入っていれば損切りになりやすい場面です。2段階ブレイクでは、戻りが出た後に、もう一度終値で上限を超えたら買います。ポイントは“2回目のブレイク足はティック数が増えやすい”ことです。参加者が一度失敗を見てから再参入するため、勢いが出やすい構造になります。
欠点は、トレード回数が減ることと、強いトレンド日は1回目で伸びて取り逃すことがある点です。なので、運用としては「基本は通常ルール、ただしレンジ幅が小さい日は2段階のみ」など、条件分岐で使うとバランスが取れます。
値幅の根拠を持つ:ATRを“当日用”に使う
「レンジ幅が8〜25pips」などの閾値は便利ですが、ボラティリティが季節や相場環境で変わるとズレます。そこでATRを使って“その日の相場の素性”を定量化します。難しく考える必要はありません。5分足のATR(14)を表示し、東京レンジ幅がATRの何倍かを見るだけです。
目安として、東京レンジ幅が5分ATRの2.5〜6倍に収まる日は、ブレイクが機能しやすい傾向があります。ATRの1〜2倍しかない日は、ただのノイズ。逆に10倍を超える日は、すでに材料が出て荒れている可能性が高く、東京時間ブレイクの守備範囲を超えます。こういう日は「やらない」方が期待値が上がります。
ポジションサイズの決め方:初心者が事故らない計算式
ロット計算は面倒に見えますが、毎回同じ式を使えば数十秒で終わります。基本は「口座残高×許容損失率÷(ストップ幅×1pipsの価値)」です。例えば口座100万円、許容損失率0.7%、ストップ8pips、USD/JPYで1万通貨=1pips=100円なら、許容損失は7,000円、8pipsで800円/万通貨なので、約8.7万通貨が上限です。
ここで重要なのは、上限で張らないことです。実務では、上限の70〜80%を上限運用にします。理由は、スプレッド拡大や滑りで、理論上の損失より膨らむ瞬間があるからです。初心者が最初に破綻するのは、計算が合っているのに実損が大きくなり、感情が崩れて連続トレードで取り返しに行くパターンです。
勝ちやすい“日”の見分け:日足の位置で期待値を微調整する
ブレイク戦略は、日足の文脈に乗っていると伸びます。ここでいう文脈とは「前日高値・安値」「日足の移動平均」「レンジ相場かトレンド相場か」です。
例えば、前日高値のすぐ下で東京レンジが形成され、上抜けが発生した場合、前日高値ブレイクの注文が巻き込まれて伸びやすいです。逆に、前日高値がすぐ上にあり、上抜けしても前日高値で叩かれて戻るケースもあります。ここは、利確の設計で対応します。前日高値が近いときは、固定R倍より「前日高値まで」で一部利確し、残りをトレーリングに回すと、利益の取りこぼしとダマシ負けの両方を抑えられます。
日足の25日移動平均(または20EMA)に対して価格が上にあるなら上方向のブレイクを優先し、下にあるなら下方向を優先する、という“優先度”の付け方も有効です。両方向を同じに扱うより、トレンド方向へ寄せる方が期待値が出やすいからです。
執行の現実:スプレッド拡大と滑りにどう対処するか
短期売買では、手法が正しくても“コスト負け”します。東京時間は欧米よりスプレッドが安定しやすいとはいえ、指標やヘッドラインで一時的に拡大します。対策は3つです。
1つ目は、エントリーは終値確定でよいとして、注文は「成行」ではなく「逆指値(ストップ)+許容スリッページ」で管理することです。MT4/MT5なら許容スリッページ設定ができます。TradingView→証券会社連携でも、約定条件を理解した上で運用します。
2つ目は、ストップを“ピッタリ”に置かないことです。レンジ上限−6pipsなどの固定幅を使うなら、ブローカーのスプレッド特性に合わせて微調整します。スプレッドが広い業者では−8pipsにするなど、ストップ狩りのノイズを吸収します。
3つ目は、コスト込みでバックテストすることです。手動検証でも、1回あたり往復1〜2pipsのコストを引いたRで記録すれば、現実に近づきます。コストを無視した戦略は、実弾で崩れます。
チェックリスト:エントリー前に必ず確認する項目
短期トレードは、判断ミスというより“確認漏れ”で負けます。次の項目をエントリー前に毎回確認し、Yesが揃ったら実行、1つでもNoなら見送る、という運用が強いです。
- 重大イベント(政策・指標・要人発言)が東京時間に重なっていない
- 東京レンジ幅が閾値(例:8〜25pips)に入っている
- ブレイク足のティック数が直前平均より増えている(例:1.5倍以上)
- エントリー前にストップ位置が確定している
- 利確方法(固定R倍/節目/トレーリング)が決まっている
チェックリストを馬鹿にしないでください。利益を出しているトレーダーほど、凡ミスを仕組みで潰しています。才能ではなく、工程管理です。
トレード日誌の付け方:上達が速くなる“3行ルール”
日誌は長文にすると続きません。短期なら3行で十分です。①その日の環境認識(レンジ幅、イベント有無、日足の位置)②実行したルール(通常/2段階、ストップ幅、利確ルール)③結果と反省(ルール通りか、改善点は1つだけ)。これを毎回残します。
改善点は1つだけにします。複数の改善点を並べると、次回からルールがブレます。短期で最も重要なのは、同じ条件でサンプルを貯めることです。サンプルが貯まらないと、勝ち負けの原因分析が全部“気分”になります。
最終的な到達点:相場が変わっても崩れない設計
東京時間ブレイク戦略は、環境が変わると勝てない時期が来ます。これは避けられません。重要なのは、崩れたときに「何を調整すれば戻るか」が分かる設計にしておくことです。具体的には、調整できる変数を3つ以内に固定します。
おすすめは、(1)レンジ時間(15/30/60分)(2)レンジ幅閾値(最小・最大)(3)ティック数倍率、の3つです。これ以上増やすと最適化地獄に入ります。相場が変わったら、この3つだけを段階的に動かして再検証し、戻らなければ“休む”判断をします。休むのも戦略です。


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