- 狙いは「東京時間に起きるブレイクだけ」:時間帯フィルターが効く理由
- 対象市場の選び方:FXだけでなく指数・個別株にも転用できる
- 戦略の全体像:レンジを定義し、東京時間で抜けたら乗る
- 具体ルール(初心者向けの最小構成):まずは“シンプル”に勝てる形を作る
- だましを減らす“現実的”フィルター:入れるならこの順番
- 具体例:ドル円で「東京9時ブレイク」を運用する(数値でイメージ)
- 個別株に転用する場合:東京時間=寄り〜前場のブレイクに限定する
- 利益を残すための出口設計:ブレイクは“利確が下手”だと勝てない
- リスク管理:1回の負けは小さく、連敗しても死なない設計にする
- 検証のやり方:初心者でもできる「手動バックテスト」の手順
- よくある失敗と対策:東京時間ブレイクは“ルール違反”で壊れる
- 実戦用チェックリスト:エントリー前に5秒で確認する
- まとめ:東京時間に絞るだけで、戦略は“検証可能”になる
- 上級者がやっている「東京時間ブレイクの精度上げ」:ただし追加は段階的に
- 東京時間の“どこが動くか”を分解する:同じ東京でもリズムがある
- 日経225先物の具体例:東京時間ブレイクを「寄り後レンジ→ブレイク」に落とす
- ポジションサイズの決め方:計算式を覚えると迷いが消える
- イベント対応:指標・要人発言・突発ニュースをどう扱うか
- メンタル設計:この戦略は「待つ」ことが仕事になる
- 最後に:東京時間ブレイクは「小さな負けを設計できる人」が勝つ
狙いは「東京時間に起きるブレイクだけ」:時間帯フィルターが効く理由
ブレイクアウト(レンジ上抜け・下抜け)自体は昔からある手法ですが、問題は「いつでも同じように機能するわけではない」点です。特に短期売買では、値が動く時間帯と動かない時間帯が混在します。動かない時間帯にブレイクを狙うと、だまし(抜けたように見えて戻る)に巻き込まれやすく、スプレッドや手数料の負けが積み上がります。
そこで発想を逆にします。時間帯を先に固定し、その時間帯でしかエントリーしない。これが「東京時間ブレイクだけを狙う」戦略の本質です。東京時間は、(1)日本株・日経先物の現物開始、(2)国内勢の注文が厚い、(3)一部通貨ペアで流動性が増える、という条件が揃いやすく、一定の“実需と投機の衝突”が起きます。その衝突が、短期のブレイク(加速)を生みます。
対象市場の選び方:FXだけでなく指数・個別株にも転用できる
この戦略は、時間帯の特徴を使うため、対象は「東京時間に流動性が乗るもの」を選びます。
FXで相性が良い候補
典型は USD/JPY(ドル円)です。東京時間は円絡みの実需が出やすく、9時台〜昼前に方向が出る日があります。EUR/JPY、AUD/JPY などのクロス円も、日によっては東京時間の初動が強く出ます。一方で EUR/USD などは東京時間は薄くなりやすく、ブレイクの伸びが弱いことがあるため、同じルールでも成績が落ちがちです。
指数(日経225先物)での考え方
日経225先物は、9:00の現物開始後に方向が出る日があり、ブレイクの追随がしやすい局面があります。さらに、寄り後の値動きが落ち着く10:00〜11:00に「レンジ形成→再ブレイク」が起きる日もあります。
個別株での考え方
個別株の場合は「寄り付き〜前場」が主戦場です。後場は材料や指数要因で急変する日もありますが、日によるブレが大きいので、まずは前場に限定して設計すると再現性が上がります。
戦略の全体像:レンジを定義し、東京時間で抜けたら乗る
この戦略は、次の3つを固定して組み立てます。
(1)レンジの定義:直近の高値・安値、または一定時間の高値・安値を使い、ブレイク判定の基準にします。
(2)東京時間の取引ウィンドウ:例として、9:00〜11:30(前場)だけ、あるいは9:00〜15:00のうち「伸びやすい帯」だけに限定します。
(3)フィルター:だましを減らすための条件(出来高、ATR、ボラ、スプレッド、ニュースなど)を入れます。
具体ルール(初心者向けの最小構成):まずは“シンプル”に勝てる形を作る
最初は、条件を盛りすぎないことが重要です。複雑にすると「たまたま過去に合っただけ」のカーブフィットになりやすいからです。以下は最小構成です。
ルールA:時間帯固定・高安ブレイク(FX/先物向け)
レンジ:8:00〜9:00(東京開始前1時間)の高値・安値をレンジとする。
エントリー:9:00〜11:00の間に、価格がレンジ高値を上抜けたら買い、レンジ安値を下抜けたら売り。
ブレイク判定:1分足の終値で抜け確定、またはスプレッドを考慮して「高値+X pips」で買い発動(Xはスプレッドの1〜2倍)。
損切り:逆側のレンジ内に戻ったら即撤退(例:レンジ内に終値が戻ったら)。
利確:固定R倍(例:損切り幅の1.5倍で半分利確、2.5倍で残り)、または時間切れ(11:00で手仕舞い)。
この最小構成が強い理由
8:00〜9:00は、東京に向けてポジション調整が入りやすく、9:00以降に「抜けた方向へ走る」日があります。毎日ではありません。だからこそ、損切りを小さく、伸びる日だけ大きく取る設計が必要です。ブレイクは勝率よりも期待値が命です。
だましを減らす“現実的”フィルター:入れるならこの順番
フィルターは、入れ方を間違えると「チャンスを減らすだけ」になります。優先順位を決めます。
フィルター1:スプレッド/板の状態(コストで負けない)
東京時間でも、指標前後や流動性低下の瞬間にスプレッドが拡大します。その状態でブレイクを追うと、入った瞬間からマイナスになります。スプレッドが通常の1.5倍を超える場合は見送りなど、コスト基準を先に決めます。先物なら板の厚み、気配の飛びを見ます。
フィルター2:ボラの下限(動かない日は触らない)
ブレイクアウトは「動く日」に偏って利益が出ます。そこで、ATR(平均的な値幅)や直近の値幅で、その日の“動きやすさ”を測ります。例:直近30分の値幅が過去20日平均の70%未満なら見送り。初心者はこのような単純な下限で十分です。
フィルター3:方向の優位性(上位足の傾き)
上位足(15分足や1時間足)の移動平均が上向きなら上抜けだけ、下向きなら下抜けだけを狙う。これだけで、レンジの往復(往復ビンタ)を減らせます。判断は簡単で良いです。例えば1時間足の20MAが上向きなら買いのみ。
具体例:ドル円で「東京9時ブレイク」を運用する(数値でイメージ)
ここでは、架空の数値で流れを示します。考え方が理解できれば、実際のチャートで同じ確認ができます。
例1:上抜けが走った日
8:00〜9:00の高値が149.80、安値が149.55。9:03に149.82まで上抜けし、1分足終値が149.81で確定。スプレッドは0.2pips相当で安定。ここで買い。損切りはレンジ内戻り(149.78割れで撤退)と決めるなら、実質の損切り幅は約3pips。
その後、東京株高と連動して149.95まで上昇。損切り3pipsに対して利幅14pipsなのでRは約4.7。ブレイクはこういう“当たり日”があるから成り立ちます。
例2:だましで小さく負ける日
同じレンジで、9:10に上抜け確定して買ったが、9:15にレンジ内へ戻り、終値が149.77。ルール通り撤退。負けは数pipsで終わります。重要なのは、この小さな負けを受け入れないと、例1のような大きな利益が取れない点です。負けを伸ばした瞬間に戦略は崩れます。
個別株に転用する場合:東京時間=寄り〜前場のブレイクに限定する
株はFXと違い、出来高(参加者)が見えるのが強みです。転用のコツは、レンジと出来高をセットで見ることです。
レンジの定義(例)
寄り付き後5分〜15分で「最初のレンジ」を作り、その高値・安値を基準にします。初心者が扱いやすいのは、寄り直後のノイズが収まりやすい10分レンジです。
エントリーの条件(例)
10分レンジ高値を上抜け、かつブレイク足の出来高が直前平均の2倍以上。これで「アルゴの加速」や「踏み上げ」を拾いやすくなります。逆に出来高が伴わない抜けは、置いていかれても気にしません。
利益を残すための出口設計:ブレイクは“利確が下手”だと勝てない
ブレイクの難点は、利確が早すぎると伸びを捨て、遅すぎると戻りで利益を吐き出すことです。初心者は次の2段階が扱いやすいです。
出口案1:分割利確(固定R)
損切り幅を1Rとし、+1.5Rで半分、+2.5Rで残り。勝率が多少低くても期待値が出やすい形です。統計を取ると、ブレイクは「勝つときに大きく勝つ」ので分割は相性が良いです。
出口案2:時間切れ(ウィンドウ終了で必ず降りる)
東京時間ブレイク戦略の目的は「東京時間の動きだけ取る」ことです。ならば、11:30や15:00など、終了時刻で強制決済するのは合理的です。伸び続けていても、設計の外は取らない。これはメンタルにも効きます。
リスク管理:1回の負けは小さく、連敗しても死なない設計にする
ブレイクアウトは連敗が普通に起きます。だから最初に“口座が壊れない”ルールを作ります。
推奨の基本
・1回の損失は口座の0.3%〜0.7%以内(初心者は0.3%寄り)。
・1日の最大損失は1.5%(超えたら強制終了)。
・同方向での連続エントリーは最大2回まで(だまし連発日に焼かれない)。
なぜここまで制限するのか
勝てない時期は必ずあります。相場がレンジのとき、イベントが多いとき、戦略が市場に合っていないとき。損失制限は、次の“合う局面”まで生き残るための保険です。短期売買は「生存→検証→改善」の繰り返しでしか上達しません。
検証のやり方:初心者でもできる「手動バックテスト」の手順
高度なプログラムがなくても、検証はできます。以下の流れで十分、実戦投入できるレベルの気づきが得られます。
ステップ1:期間を決める
まずは直近3か月、可能なら6か月。相場の地合いが変わっても機能するかを見るためです。
ステップ2:ルールを紙に固定する
レンジ定義、エントリー条件、損切り、利確、時間切れ。曖昧さがあると検証が崩れます。
ステップ3:20回だけ記録する
いきなり200回は不要です。まず20回で、だましのパターンと勝ち方のパターンが見えます。記録項目は「日付」「レンジ幅」「エントリー価格」「損切り幅」「最大含み益」「結果」だけで十分です。
ステップ4:改善は1つずつ
フィルターを追加するなら1つだけ。例えば「スプレッド拡大時は見送り」を入れて、20回また記録。こうやって因果を切り分けます。
よくある失敗と対策:東京時間ブレイクは“ルール違反”で壊れる
失敗1:抜けた瞬間に飛びつき、損切りを置かない
ブレイクは勢いがあるので、飛びつきたくなります。しかし損切りがないと、だましで致命傷になります。エントリー前に撤退条件を決め、注文と同時に置くのが基本です。
失敗2:東京時間外のブレイクを触ってしまう
“たまたま伸びた”を見ると、時間外でも入りたくなります。ですが、それをやると戦略の統計が崩れます。検証した戦略は検証した時間帯だけで運用します。
失敗3:レンジ幅が大きい日に同じロットで入る
レンジが大きい日は損切り幅も大きくなります。ロットを同じにするとリスクが跳ねます。損切り幅に応じてロットを下げる、これが固定リスクの基本です。
実戦用チェックリスト:エントリー前に5秒で確認する
(1)今は東京時間の取引ウィンドウ内か?
(2)スプレッド(板)は通常か?
(3)レンジは定義できているか?(高値・安値が明確か)
(4)ボラは下限を満たしているか?
(5)損切りと利確、時間切れは決めたか?
この5つを満たさないなら見送ります。見送る勇気が、ブレイク戦略の利益を守ります。
まとめ:東京時間に絞るだけで、戦略は“検証可能”になる
短期売買で勝てない最大の理由は、手法が悪いよりも「条件がバラバラで検証できない」ことです。東京時間ブレイク戦略は、時間帯で条件を固定することで、再現性と検証可能性を一気に上げます。
最初は最小構成(レンジ+時間帯+明確な損切り)で始め、記録し、1つずつ改善してください。ブレイクは連敗が前提です。小さく負け、伸びる日に大きく取る。その設計を守れた人から、結果が出ます。
上級者がやっている「東京時間ブレイクの精度上げ」:ただし追加は段階的に
最小構成で一定の手応えが出たら、次は“精度”を上げます。ここで重要なのは、勝率を上げる=期待値が上がるとは限らないことです。ブレイクは勝率が上がるほど、取れる値幅が小さくなる傾向があります。したがって、追加する要素は「だましを減らしつつ、伸びる日を逃しにくい」ものに絞ります。
改善案1:レンジを「前日高安」や「アジア高安」に拡張する
8:00〜9:00レンジは分かりやすい一方、日によっては情報量が少なく、ブレイクの方向が不安定になります。そこで、前日高値・前日安値、または東京時間開始までのアジア高値・安値を「上位の壁」として併用します。具体的には、9:00ブレイクが発生しても、すぐ上に前日高値があるなら利確を早める、あるいは見送る、といった使い方です。初心者でも「壁が近いなら伸びにくい」という直感で判断できます。
改善案2:ブレイクの“質”を数値化する(勢いの確認)
だましの典型は「抜けた瞬間だけヒゲで超えて、終値が弱い」パターンです。これを減らすには、ブレイク足の勢いを見ます。例えばFXなら、1分足の実体が直近平均の1.2倍以上、あるいはブレイク足で高値更新後に終値が高値付近(上ヒゲが短い)で終わる、といった条件です。先物や株なら、歩み値で成行が連続し、板の厚みが抜け方向に寄ることを確認します。
改善案3:「一度戻ってから再加速」を取る(押し目ブレイク)
東京時間の初動は速く、追いかけると高値掴みになりがちです。そこで、ブレイク後に一度レンジ上限まで戻ったタイミング(リテスト)で入る方法があります。例えば、上抜け後にレンジ上限付近で下げ止まり、再び1分足終値で上向きになったら買う。損切りはレンジ内戻りで小さくできます。勝率が上がりやすい一方、強いトレンド日は置いていかれるので、追撃用として「ブレイク即乗り」と併用するのが現実的です。
東京時間の“どこが動くか”を分解する:同じ東京でもリズムがある
東京時間は一枚岩ではありません。値が動きやすい帯と、止まりやすい帯があります。ここを理解すると、無駄なトレードが減ります。
9:00〜9:30:初動が最も出やすいが、だましも多い
株の寄り付き、先物の現物連動、FXの実需が重なりやすい時間です。ブレイクの初速は出ますが、逆に“寄り付きの注文が一巡しただけ”の動きも混ざります。ここを狙うなら、損切りを浅くし、回数を限定するのが安全です。
10:00〜11:30:方向が残っている日の「二段目」が出る
初動で方向が出た日、いったん落ち着いた後に再びブレイクすることがあります。特に日経先物では、9時台のトレンドを引き継いで10時台に再加速する日があります。FXでも、仲値(9:55前後)を挟んで短期の加速が起きる日があります。
12:00前後:FXは薄くなりやすい、株は昼休みで市場構造が変わる
昼は薄くなり、ブレイクが伸びにくい日が増えます。ここを避けるだけで成績が改善するケースは多いです。戦略名が「東京時間ブレイク」でも、実運用では「東京前場ブレイク」に絞る方が堅いことがあります。
13:00〜15:00:後場の需給で走る日もあるが、ニュースに左右される
後場寄り直後は、先物主導で急に動く日があります。ただし、突発ニュースや海外市場の影響で振られやすく、初心者には難易度が上がります。最初は、前場のみに限定し、後場は検証が進んでから追加するのが無難です。
日経225先物の具体例:東京時間ブレイクを「寄り後レンジ→ブレイク」に落とす
日経225先物では、FXよりも「時間帯の需給」が素直に出ることがあります。初心者向けの落とし込み例を示します。
ルールB:寄り後15分レンジ・ブレイク(先物)
レンジ:9:00〜9:15の高値・安値。
エントリー:9:15〜10:30にレンジ高値を上抜けたら買い、下抜けたら売り。
損切り:レンジ内に戻ったら撤退(またはレンジ半分まで戻ったら撤退)。
利確:直近の節目(前日高安、ラウンドナンバー)で分割利確+時間切れ。
先物はティックが細かく、だましもあります。だからこそ、レンジ定義と撤退条件が明確だと、検証と改善がしやすくなります。
ポジションサイズの決め方:計算式を覚えると迷いが消える
初心者が最もつまずくのがロットです。おすすめは「損切り幅から逆算する」方法です。考え方は単純です。
許容損失額(円)=口座残高×リスク割合
1pips(または1ティック)あたり損益を把握し、
ロット=許容損失額 ÷(損切り幅×1pipsあたり損益)
これを毎回守ると、レンジ幅が大きい日は自然にロットが落ちます。結果として、荒い日に焼かれにくくなります。
イベント対応:指標・要人発言・突発ニュースをどう扱うか
東京時間でも、重要指標(日本のCPI、日銀関連、米指標の前倒し解釈など)や要人発言で急変します。初心者は「当てに行かない」方針が安全です。
実務的な運用ルール
・重要イベントの前後15分は新規エントリーをしない。
・すでにポジションがある場合は、損切りを必ず置き、含み益があるなら一部利確してからイベントを迎える。
・イベントでスプレッドが拡大したら、その日はブレイク戦略を停止する。
メンタル設計:この戦略は「待つ」ことが仕事になる
東京時間ブレイクは、毎日チャンスがあるようで、実は“取るべき日”は限られます。だから、待てない人ほど無駄なトレードを増やし、成績を落とします。
対策は単純で、日次のルーティンを作ることです。例えば、8:50にレンジを引く、9:00〜11:00だけ監視、11:00に日誌をつけて終了。これを徹底します。勝つ人は、勝てる時間帯だけに集中し、他の時間は相場から離れています。
最後に:東京時間ブレイクは「小さな負けを設計できる人」が勝つ
この戦略で最も重要なのは、エントリー技術よりも「負けの扱い」です。だましは必ず起きます。負けを小さく固定し、伸びる日だけ利益を積み上げる。この非対称性を守れたとき、東京時間というフィルターが強力な武器になります。


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