ROICは「投入した事業資本で、どれだけ効率よく利益を生んだか」を見る指標です。ROEが株主資本を基準にするのに対し、ROICは有利子負債も含む事業への投下資本を意識します。企業の利益成長だけでなく、成長のために使った資金が報われているかを確かめる道具になります。
式を暗記する前に、二つの箱を置く
概算は税引後営業利益 ÷ 投下資本です。分子は本業が稼いだ利益、分母は事業で使っている資金です。投下資本は、一般に株主資本と有利子負債から余剰現金などを調整して考えます。会社ごとに開示定義が異なるため、単年の数字を横並びにするより、同じ会社の推移を見るのが出発点です。

改善の中身は3通りある
- 利益率が上がる:値上げ、製品構成の改善、固定費の効率化。
- 資産回転が上がる:在庫・売掛金・設備を同じ売上でより少なく使う。
- 低収益事業から資本を引く:撤退、売却、自社株買い、成長投資への振替。
ROICの上昇だけを見て、投資を止めた結果ではないかも確認します。成長投資をしながら改善するのか、縮小して見かけ上改善するのかで、将来の意味は異なります。
決算で追う実践手順
まず3〜5年の営業利益率、在庫回転、設備投資、ROIC目標を一本のメモにします。次に中期経営計画で「どの事業に、いくら投資し、いつ収益化するか」を探します。最後に四半期決算で、売上ではなく粗利率・販管費率・在庫・投資額が計画と整合しているかを確認します。
仮想例:A社とB社
A社は営業利益100、投下資本1,000でROIC10%。B社は利益120でも投下資本2,000なら6%です。利益額だけならB社が大きく見えますが、追加投資1円がどれだけ利益を増やすかはA社の方が良いかもしれません。もちろん資本集約度や景気循環が異なる業種を単純比較してはいけません。比較は同業内、かつ複数年で行います。
投資判断に使う5つの質問
- 会社独自のROIC定義と目標値はあるか。
- 改善の理由は利益率・回転率・資本配分のどれか。
- その改善は一時要因でなく継続可能か。
- 追加投資の回収時期が説明されているか。
- 株主還元と成長投資の優先順位が明確か。
ROICは万能な点数ではなく、経営が資本をどう扱っているかを追跡するための質問票として使うと役に立ちます。


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