8時59分の買い気配が1,020円だったのに、9時の始値が995円になることがある。これは表示された気配値が「予約済みの約定価格」ではないからだ。寄り付きでは一定時点までの注文を集め、売買が最も多く成立し、未成立数量などの条件も満たす価格を探す。
連続売買と板寄せは値段の決まり方が違う
場中の連続売買では、入ってきた注文が既存の反対注文と順番に成立する。板寄せでは注文時刻の優先が一部異なり、一つの価格でまとめて始値を作る。したがって寄り直前に大口成行売りが増えると、均衡価格は一気に下へ動く。
買いが1,010円で2,000株、1,000円で5,000株、990円で9,000株、売りが990円で3,000株、1,000円で6,000株、1,010円で10,000株まで累積している架空例では、1,000円なら買い5,000株と売り6,000株のうち5,000株が成立する。残る売り1,000株が不均衡だ。

成行注文は価格を指定しない
成行買いが3,000株追加されれば、より高い価格まで売り注文を吸収し、均衡価格が上がり得る。反対に成行売りの増加は下方向へ効く。ただし成行数量だけを見ても、反対側の指値分布が厚ければ価格は大きく動かない。
特別気配は注文不均衡を処理する時間
需給が大きく偏り、通常の範囲で始値を決めにくい場合は、気配を段階的に更新して反対注文を呼び込む。特別気配中の表示価格で直ちに全量が約定するとは限らない。更新値幅や更新時間は市場ルールを確認する。

寄り付き注文の実務
寄成行は成立を優先するが価格上限がない。寄指値は価格を制限できる一方、始値が条件外なら成立しない。決算翌日や指数入替日は通常日より不均衡が大きくなりやすいため、前日終値からの乖離率だけでなく、気配更新、注文数量、想定スリッページを記録する。
バックテストで始値を無条件に約定価格とするのも危険だ。自分の注文量が寄り出来高の10%を占めるなら、その注文自身が価格形成へ影響し得る。検証では始値、寄り出来高、売買方向、参加率をセットで保存する。
注文不均衡を数値で追う
寄り前は最良気配だけでなく、基準価格の上下にある累積数量を見る。買い成行8,000株、売り成行3,000株なら差は5,000株だが、1,010円までに指値売りが7,000株あれば吸収できる。成行差だけから上昇幅を決めない。
観察表には8時50分、55分、59分の均衡価格と不均衡数量を残す。直前に取り消された注文は需給の確約ではない。発注判断には、寄り出来高に対する自分の注文比率と、許容価格を越えた場合に取消すか不成立を受け入れるかも記す。
損失管理へ落とす
前日終値1,000円、通常損切り2%でも、決算翌日に8%ギャップを想定するなら100万円の建玉で8万円動く。1取引の許容損失が3万円なら、建玉上限は37万5,000円程度となる。寄り付き戦略はチャートの線より株数管理の影響が大きい。
約定後は予想均衡価格、実際の始値、平均約定価格、寄り出来高を保存する。平均滑りが改善しないなら、注文種別だけでなく発注数量とイベント持越しの可否を見直す。
実務チェックリスト
- 注文受付終了時刻と訂正・取消条件
- 成行買いと成行売りの差分
- 価格別の累積指値数量
- 自分の注文が寄り出来高に占める割合
- 特別気配時の更新ルール
- 不成立時に追いかける上限価格
始値予測が1,010円でも許容上限が1,005円なら、寄成行ではなく寄指値を選び、不成立を受け入れる。予測精度より、想定外の価格で大きく買わない制御を優先する。
記録は売買前の予測値と売買後の実績値を分ける。後から説明を書き換えず、想定と実績の差を次回の数量・条件へ反映する。単一指標だけで発注せず、価格、数量、時間、流動性、最大損失を一つの取引計画として管理する。


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