マーケットブレッドスの使い方|指数上昇の広がりと偏りを読む

マーケットブレッドスで指数上昇の広がりを調べる架空の成人日本人女性アナリスト。AI生成イメージ。 日本株・短期売買

日経平均が上昇していても、値上がりしているのが一部の大型株だけなら、多くの個別株トレーダーは利益を得にくいことがあります。マーケットブレッドスは、指数の方向だけでなく、何銘柄がその動きへ参加しているかを測る市場内部指標です。指数と広がりを分けると、追随しやすい全面高と、反転に弱い偏った上昇を識別できます。

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指数は平均、ブレッドスは参加者数

時価総額加重型指数は大型株の影響が大きく、一社の上昇が多数の下落を隠す場合があります。値上がり銘柄数800、値下がり1,000なら騰落差は-200です。指数が上昇でも騰落差が負なら、上昇の裾野は狭い状態です。

逆に指数が小幅安でも値上がり1,100、値下がり700なら、多くの銘柄は上がっています。指数寄与度の大きい銘柄だけが下落している可能性があります。個別株の買い環境は指数騰落率だけでは判断できません。

基本となる三つの指標

値上がり・値下がり銘柄数

A-D差は値上がり数から値下がり数を引きます。比率は値上がり数÷値下がり数です。800対1,000なら0.8、1,200対600なら2.0です。比率は市場規模の変化を受けにくくなります。

A-Dライン

毎日のA-D差を累積します。指数が高値更新してもA-Dラインが更新しなければ、参加銘柄が減るダイバージェンスです。ただし即時反転サインではなく、脆弱性の警告として使います。

移動平均線上銘柄比率

全銘柄のうち20日線や200日線を上回る割合です。20日線上70%なら短中期の広がりが強く、200日線上35%なら長期基調はまだ弱い、と時間軸を分けられます。

指数上昇と値上がり銘柄比率の乖離を比較する図解
図1:指数高値更新でも参加銘柄が減ると、上昇の裾野は狭くなる。

場中のブレッドスを読む

9時5分は未約定銘柄が多く、騰落数が不安定です。9時15分、10時、前引けなど固定時刻で比較します。同時刻の過去20日分布を持てば、A-D比1.5が通常か極端か判断できます。

寄り付き後にA-D比が0.8から1.6へ改善し、指数もVWAPを越えるなら買い参加が広がっています。指数上昇に対し1.4から0.9へ低下するなら、大型株主導へ偏っています。水準だけでなく傾きを見ます。

架空例で地合いを分類する

10時時点でTOPIX+0.7%、値上がり1,180、値下がり620、A-D比1.90、20日線上銘柄比率68%とします。上昇が広く、買いのブレイクアウト戦略を通常リスクで使える候補です。

別の日にTOPIX+0.8%でも値上がり650、値下がり1,150、比率0.57なら偏った上昇です。指数採用大型株以外の買いは株数を半分にし、相対強度が高い業種だけへ絞るなど対応します。

A-D比と指数方向から売買環境を四象限に分類する図解
図2:指数と広がりの組み合わせで、通常・縮小・見送りを決める。

ブレッドス・スラスト

極端な売られ過ぎから短期間で値上がり銘柄比率が急改善する現象は、参加の広がりを示します。ただし定義は複数あり、名称だけで売買しません。例えば5日平均A-D比が0.6から1.8へ上昇、20日線上比率が30%から55%へ改善など数値化します。

一日の急反発だけでは空売り買い戻しかもしれません。数日間の持続、出来高、業種の広がりを確認します。発生後に価格がすでに大きく進んでいれば、追いかけるより押しを待ちます。

ダイバージェンスの扱い

指数が新高値、値上がり銘柄数やA-Dラインが低下する状態は、上昇銘柄が減っていることを示します。しかし偏りは長期間続くため、直ちに空売りする根拠ではありません。

新規買いの株数を下げる、利益を一部確定する、ストップを価格構造へ沿って引き上げるなど、リスク調整に使います。反転の実行は指数の安値割れ、VWAP割れ、業種弱化など価格条件を待ちます。

業種別ブレッドス

市場全体が中立でも半導体業種の80%が20日線上、銀行が25%なら、資金の偏りが明確です。自分が取引する業種内の値上がり数、移動平均線上比率、中央値リターンを計算します。

指数寄与の大きい一社だけで業種指数が上がる状況を除けます。業種指数、業種ブレッドス、個別株の三層が一致する候補を優先します。同一業種へ複数保有する場合は相関リスクを合算します。

等金額指数との比較

可能なら時価総額加重指数と、各銘柄を等しい比率で扱う等金額指数を比較します。加重指数だけ上昇するなら大型株集中、両方上昇するなら広い参加です。

データの構成銘柄、上場廃止、新規上場の扱いを確認します。指数間の計算条件が違う場合、単純比較できません。自作では毎日同じ母集団を使うルールを決めます。

騰落レシオとの違い

一般的な騰落レシオは一定期間の値上がり銘柄数合計を値下がり合計で割り、過熱や売られ過ぎを測ります。日中A-D比は当日の地合い、25日騰落レシオは数週間の偏りを見るため時間軸が異なります。

騰落レシオが高いから翌日必ず下落するわけではありません。強い上昇相場では高水準が続きます。逆張りサインではなく、価格と広がりの持続性を確認する補助にします。

個別株の株数へ反映する

架空銘柄を3,210円で買い、撤退3,186円、滑り3円なら一株リスク27円です。許容損失9,000円では333株、実注文300株です。地合いが「指数上・ブレッドス下」なら許容損失を半分4,500円とし、100株へ落とす案があります。

ブレッドスが良いからストップを広げず、価格構造は固定します。調整するのは株数と新規件数です。地合い判断で損切りを遠ざけると、一回損失が不安定になります。

データ上の注意

値上がり・値下がりの判定基準が前日終値か始値かを確認します。ETF、REIT、優先株を含むかでも結果が違います。データ提供元を途中で変えたら連続性を検証します。

未約定銘柄、ストップ高・安、売買停止をどう扱うか固定します。数値が精密でも母集団が不明なら比較できません。分析表に対象市場と有効銘柄数を表示します。

検証方法

取引時刻の指数騰落率、A-D比、直近30分変化、20日線上比率、業種ブレッドス、戦略、損益Rを記録します。買いと売り、ブレイクと逆張りを分けます。

A-D比0.8未満、0.8~1.2、1.2~2、2以上で平均Rを比較します。手数料と滑りを差し引き、別期間でも再現するか確認します。閾値を少し変えて結果が崩れる条件は採用しません。

日次ルーティン

9時15分、10時、前引け、13時30分に指数とA-D比を記録します。常時監視で小さな変化へ反応せず、更新時刻を固定します。地合いを「広い上昇・偏った上昇・中立・広い下落」の四つへ分類します。

引け後に分類と個別戦略の成績を集計し、翌日の許容リスクを決めます。一日の損益を見て分類を変えず、観察数値で機械的に判定します。

実行前チェックリスト

  • 指数構成とブレッドス母集団を確認したか
  • 同じ時刻でA-D比を比較したか
  • 指数方向と広がりが一致するか
  • 業種内にも参加が広がっているか
  • ダイバージェンスを即時反転と誤認していないか
  • 地合いは株数と件数で反映したか
  • 価格ストップを広げていないか

新高値・新安値銘柄数

52週新高値数と新安値数はトレンドの広がりを示します。指数が高値でも新高値数が減り、新安値数が増えるなら内部の弱さが進んでいます。一日の瞬間値ではなく5日平均と累積差を使い、反転予告ではなくリスク警告として扱います。

出来高を加えたブレッドス

値上がり銘柄の売買高合計と値下がり側を比較します。値上がり数が多くても、下落銘柄へ大きな売買代金が集中すれば地合いは見た目ほど良くありません。銘柄数A-D比1.8、出来高比0.9なら大型株への売り集中を疑います。

上昇出来高比率

上昇出来高÷全出来高を計算し、70%超を買い優勢、30%未満を売り優勢という区分から検証できます。極端値が一日続くトレンド日と午前だけで反転する日を分けます。一社の大商いで歪む場合は上限処理や中央値も比較します。

戦略選択へ落とし込む

指数上昇・A-D比上昇ではブレイク買い、指数上昇・A-D比低下では大型株限定、指数下落・A-D比低下では買いを縮小、という対応表を作れます。価格トリガーと採算が不足すれば、環境が良くても注文しません。

転換点より持続時間

A-D比が0.5から1.5へ急改善しても、一時間後に0.7へ戻れば短期買い戻しです。指数がVWAP上、A-D比1.5以上を60分維持、業種中央値も正など時間条件を加え、瞬間値で分類を何度も変えません。

先物主導日の確認

先物が急上昇して現物大型株だけ反応すると、指数は上がってもA-D比が追いつきません。その後15~30分で改善すれば現物全体へ波及、改善しなければ偏りです。急変直後は現物約定が広がるまで待ちます。

小型株指数との照合

大型株指数上昇、小型株指数下落、A-D比低下なら個別小型株の買いには逆風です。両指数とA-D比が同方向なら一致度が高まります。指数構成変更をまたぐ比較では系列の連続性を確認します。

期待値例

A-D比1.5以上の買いブレイク45件が勝率50%、平均利益1.6R、平均損失0.9Rなら期待値0.35Rです。0.8未満の30件と比較し、手数料・滑り後の差を見ます。閾値1.4や1.6でも傾向が残るか確認します。

注文メモ

「指数+0.7%、A-D1.90、20日線上68%、業種72%、通常リスク」と一行で残します。偏りなら「半分リスク、同業種一銘柄まで」とします。損益を見て場中に区分を書き換えません。

ブレッドス悪化時の出口

保有株が高値でもA-D比が1.8から0.7へ低下し、業種内値上がり比率も70%から35%へ落ちれば追い風が消えています。新規追加停止、半分利食い、直近安値へストップ引き上げの順に対応できます。

ブレッドスだけで全撤退せず、個別株が相対的に強ければ残りを保有します。市場情報は保有量を調整し、価格構造が最終判断を担います。

見送り記録

A-D比が低いため見送った候補のその後1時間リターンを保存します。見送りが損失を避けた割合と利益を逃した割合を比較すれば、フィルターが厳し過ぎるか分かります。

一日の損失上限

広い下落の日に買いを続けると、異なる銘柄でも同時に損切りへ達します。通常一取引9,000円なら逆風時は4,500円、日次上限9,000円など総量を減らします。地合いで調整するのは株数で、価格ストップは遠ざけません。

まとめ

マーケットブレッドスは指数の裏側で何銘柄が参加しているかを測ります。A-D比、累積ライン、移動平均線上比率を使い、指数との一致と乖離を観察します。売買方向は価格で決め、ブレッドスは株数、候補数、戦略選択へ反映すれば、指数だけでは見えない地合いをリスク管理へ変えられます。毎日同じ時刻に記録して指数との組み合わせを検証すれば、自分の売買手法に合う地合いの条件を具体化できます。前場と大引けで値を保存し、勝率だけでなく平均損益、最大連敗、候補銘柄数との関係まで比較すると運用ルールへ落とし込めます。

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