インサイドデイとは、当日の高値が前日高値以下、当日の安値が前日安値以上となり、値幅が前日のレンジ内へ収まった日です。売り買いの均衡で値幅が縮んだ後、どちらかへ注文が偏る局面を準備できます。ただし形が出ただけで翌日の方向は決まりません。事前トレンド、出来高、上位足の位置、抜けた後の定着を組み合わせます。
この記事では、日足で候補を探し、翌日の寄り付き後に発注する手順を扱います。高値へ逆指値買い、安値へ逆指値売りを同時に置くだけでは、寄り付きの乱高下で両方が約定する危険があります。方向を絞り、無効化価格と株数を先に計算します。
インサイドデイを数値で定義する
前日高値3,120円、安値2,980円、当日高値3,085円、安値3,010円なら、当日の75円レンジは前日の140円レンジ内です。境界が同値の場合を含めるかは検証前に固定します。包まれる日をマザーバー、内側の日をインサイドバーと呼ぶこともあります。

候補の質を見るには、当日レンジ÷前日レンジを計算します。75÷140=0.54です。0.9ならほとんど縮んでおらず、0.3なら強い収縮です。ただし狭すぎる日は売買が停止しているだけかもしれません。出来高、売買代金、材料の有無を確認します。
事前トレンドと位置で方向を絞る
上昇トレンド中、20日高値付近で発生し、安値を切り上げているインサイドデイは上方向を優先できます。一方、長い下落後の底値圏で同じ形が出ても、上抜けは戻り売りにぶつかります。過去20日の高値・安値、移動平均の傾き、直近の出来高帯を見ます。
買い候補なら、マザーバー高値の上に週足抵抗が近すぎないことが必要です。高値3,120円の20円上に過去の大量出来高帯があれば、損切り幅に対して利幅が足りません。チャート右側の空間ではなく、左側の取引履歴を確認します。
翌日の寄り付きで飛び乗らない
翌日3,100円に寄り、すぐ3,125円を付けても買いません。最初の15分高値3,132円、安値3,092円を確定し、マザーバー高値3,120円の上で終値定着できるかを見ます。3,120円を一瞬越えて3,105円へ戻れば、ブレイクではなく上値確認です。
9時25分に3,124円で確定し、押しが3,117円で止まり、3,126円へ戻ったとします。候補エントリー3,127円、無効化価格3,113円なら価格差14円です。滑り2円を加えた実効幅は16円。許容損失9,000円なら562株なので500株へ切り下げ、想定損失は8,000円です。

マザーバー安値2,980円まで損切りを置けば147円必要です。9,000÷149円では100株単位の発注ができません。損切りを都合よく近づけるのではなく、翌日の小さな価格構造が形成されるまで待ちます。構造がなければ見送ります。
ATRで値幅収縮を補正する
当日レンジ75円でも、14日ATRが60円なら収縮とは言いにくく、ATR150円なら明確な収縮です。インサイドデイのレンジ÷ATRを使うと、銘柄ごとの通常値幅と比較できます。0.5以下を候補にするなど、閾値を過去データで検証します。
ATRは過去値幅の平均で方向を示しません。低いATRの翌日に必ず拡大するわけでもありません。エントリーは高値・安値の突破と終値定着、ATRは候補の収縮度と株数調整に役割を限定します。
出来高の縮小と増加を分けて見る
インサイドデイ当日に出来高が20日平均の60%まで減り、翌日の突破時に150%へ増えるなら、待機していた参加者が動いた可能性があります。反対に内側の日から出来高が200%あり、価格だけ動かない場合は、大口の吸収や分配かもしれません。翌日の方向を決め付けません。
同時刻相対出来高を使い、9時30分の当日累積を過去20日の9時30分平均と比べます。終日平均との比較は朝の集中を歪めます。突破足でRVOLが増え、その後の押しで細るかを確認します。
下抜けを狙う場合の違い
下降トレンドで安値圏に形成され、戻り高値を切り下げているなら下方向を優先できます。ただし空売りには貸株在庫、逆日歩、急反発があります。マザーバー安値を割った瞬間ではなく、下で終値確定し、安値への戻りが抵抗に変わった後を候補にします。
売り価格2,975円、戻り高値2,990円、無効化2,994円なら価格差19円です。想定滑りを買いより大きめの4円とし、9,000÷23=391株、300株へ切り下げます。小型材料株や売建可能数量が少ない銘柄は除外します。
ダマシになりやすい状況
決算発表直前の収縮は、翌日の窓開けで逆指値を飛び越える可能性があります。重要イベント前は仕掛けず、発表後に新しいレンジを作るまで待ちます。指数の寄り付きが大きく窓を開けた日も、個別パターンより市場全体の注文が優先されます。
流動性が低い銘柄では、少量の注文で高値を越えたように見えます。平均売買代金、気配差、1分当たり売買代金を確認し、自分の注文額が市場へ与える影響を見積もります。100株でも板を複数段動かすなら検証結果どおりに執行できません。
何日も連続するインサイドデイは強い収縮ですが、境界が狭く、上下両方へヒゲが出やすくなります。最も外側のマザーバーを基準にするか、直近の内側高安を使うかを固定します。途中で有利な境界へ変更してはいけません。
時間切れと利確を決める
翌日ブレイク後、10時30分までに0.5R進まずレンジ内へ戻るなら時間撤退とします。スイングで保有する場合も、3営業日以内に高値更新できなければ閉じるなど期限を置きます。値幅拡大を狙う戦略なのに、動かないこと自体が仮説の弱まりです。
第一目標は次の抵抗または1.5R、第二目標はマザーバー幅を突破点へ加えた水準を候補にします。先の例でマザーバー幅140円を加えると3,260円ですが、途中に3,190円の抵抗があるならそちらを優先します。理論目標を理由に価格構造を無視しません。
検証表の作り方
事前トレンド、レンジ比率、ATR比率、当日出来高比、翌日RVOL、ギャップ率、突破方向、再テスト有無、最大順行・逆行、最終Rを記録します。上昇トレンドと下降トレンド、寄り付き突破と10時以降、出来高増加と減少を分けます。
勝率だけでなく平均利益R、平均損失R、滑りを含む期待値を計算します。条件を増やし過ぎると過去へ適合するため、方向、収縮、出来高、執行の四群から一つずつ選びます。インサイドデイは仕掛けの答えではなく、需給が圧縮された場所を明示し、翌日の価格行動を待つための準備パターンです。
週足と日足の組み合わせ
日足のインサイドデイが週足の上昇トレンド中に出る場合と、週足抵抗の直下に出る場合では意味が違います。週足終値が20週高値に近く、押し安値を切り上げているなら上抜け候補です。一方、過去一年の高値に何度も跳ね返されている場所では、ブレイク後の利幅が小さくなります。
上位足の確認は指標を増やすためではなく、目標と無効化の空間を測るためです。日足高値を越えた先に抵抗がなくても、週足に大量出来高帯があれば目標を手前にします。週足の判断で日足の損切りを広げることはしません。
候補銘柄を機械的に抽出する
当日高値が前日高値以下、当日安値が前日安値以上、当日レンジが14日ATRの70%以下、20日平均売買代金5億円以上という条件で候補を出します。次に決算予定、売買規制、週足位置を人が確認します。抽出条件と発注条件を分けると、形を見つけた興奮で注文するのを防げます。
候補が20銘柄あっても、監視は最大5銘柄に絞ります。事前トレンドの明瞭さ、次の抵抗までの距離、出来高縮小、気配差で順位を付けます。場中に監視数を増やすと、すでに抜けた銘柄を追いかけやすくなります。
注文方式の選び方
高値3,120円に逆指値買いを置けば早く参加できますが、寄り付きのヒゲで約定しレンジ内へ戻ることがあります。終値確認はダマシを減らす一方、価格が遠くなります。再テスト指値は良い価格を狙えますが、強い動きでは約定しません。
三方式を混ぜず、検証単位を分けます。例えば「15分足終値が高値の0.1%上で確定し、次の押しを上限付き指値で買う」と固定します。約定しない取引も記録し、機会損失と滑りのどちらが大きいか比較します。
連続インサイドデイの扱い
マザーバーの中に二日、三日と収まると値幅はさらに縮みます。基準を最初のマザーバー高安に置けば損切りが広く、直近の小さな高安に置けばダマシが増えます。方向判定は外側、執行は内側、無効化は再テスト構造というように役割を分けます。
例として外側高値3,120円、内側最終日高値3,080円なら、3,080円突破だけではマザーバー内です。先行エントリーを許すなら株数を半分にし、3,120円突破後に追加します。合計リスクは当初9,000円を超えないよう、最初の建玉の損切り額も含めます。
ギャップでレンジ外に寄った場合
翌日3,180円に寄れば、マザーバー高値3,120円から60円離れています。予定したブレイク価格では約定できず、リスクリワードも変わります。寄り成行で追わず、最初の15分レンジとVWAPを作り、寄り値を守れるかを確認します。
反対に下へギャップした場合も、事前の買いシナリオは失効です。安くなったことを理由に買わず、下方向の新しい構造として分析し直します。逆指値注文を前日から置く場合は、寄り付きギャップで想定価格を飛び越える可能性を織り込みます。
ポジション追加のルール
最初の500株を持った後、高値更新でさらに500株を加えると損失上限が倍になります。追加は既存建玉の損切りを引き上げ、全体の最大損失が9,000円以下になる場合だけにします。含み益を現金と同じように扱わず、急反転時の滑りも加えます。
追加位置が初期目標に近い場合は、平均取得価格が悪化して全体の損益比が下がります。追加分だけで次の抵抗まで1.5Rあるかを計算し、不足すれば保有分の管理に集中します。
統計をゆがめる例外処理
損切りになった時だけ「決算前だから除外」、利益になった時は残す、という後付けは成績を過大評価します。除外条件は検証前に一覧化し、全取引へ適用します。配当落ち、分割、取引停止も同じ基準で処理します。
成功例のチャートだけを保存せず、未約定と見送りも残します。見送った銘柄が大きく上がってもルール違反ではありません。運用目的はすべての値動きを取ることではなく、同じ条件を同じリスクで反復することです。
実務チェックリスト
前日高安の内側か、レンジはATRに対して縮んだか、事前トレンドは明瞭か、週足抵抗まで1.5R以上あるか、翌日の出来高が増えたか、抜けた外で終値定着したか、無効化価格と株数を計算したか。この七項目を発注前に確認します。
引け後はチャート画像、注文履歴、判断時刻を保存します。20件ごとに条件別期待値を見直し、改善は一項目ずつ行います。形の単純さを保ったまま、位置、流動性、執行を数値化することが、インサイドデイを実用的な戦略へ変えます。


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