マーケットプロファイルは、各価格帯に市場がどれだけ長く滞在したかを横向きの分布として表す方法です。価格を「高い・安い」ではなく、参加者に受け入れられた価格と、短時間で拒否された価格に分けて考えます。
TPO・POC・バリューエリア
TPOはTime Price Opportunityの略で、一定時間ごとに取引された価格帯へ印を付けます。最も多く印が集まる価格がPOCです。分布の中心約70%を含む範囲をバリューエリアとし、上限をVAH、下限をVALと呼びます。出来高プロファイルが取引数量を集計するのに対し、TPOは滞在時間を見ます。

始値の位置でシナリオを分ける
前日のバリューエリア内で始まれば、まずPOCへの回帰を想定しやすくなります。VAHより上で始まり、その水準を押し目で維持すれば新しい価格帯を探索する可能性があります。反対に上で始まってすぐVAH内へ戻るなら、上方価格が拒否され、POC方向への回帰が候補になります。
重要なのは線への接触ではなく滞在です。VAHを5円超えただけでブレイクとせず、複数の時間区分が上側に形成されるか、出来高が伴うか、再テスト後に戻されないかを確認します。
具体例:前日分布から計画を作る
前日POCが2,040円、VAHが2,075円、VALが2,005円とします。当日が2,090円で始まり、最初の30分で安値2,078円を維持した場合は上方受容の候補です。エントリー2,095円、失効2,070円、滑り5円なら1株リスク30円。許容損失15,000円なら上限は500株です。

単独で使わない
プロファイルは約定の背景をすべて示すものではありません。ニュース、指数、限月交代、寄り付きと大引けの出来高集中で形は変わります。TPOと出来高プロファイルが異なる場合は、長く滞在したが数量は少ないのか、短時間に大口が通過したのかを考えます。
POCは磁石でも支持線でもなく、過去に合意が形成された価格です。当日も機能するかは、近づいたときの約定速度、反発幅、滞在時間で確認します。線を増やすより、前日のVAH・POC・VALの三つに絞ってシナリオを作るほうが実践的です。
分布の形から市場状態を考える
中央が厚いD型分布は、買い手と売り手が概ね合意した均衡状態を示します。下側が細く上側が厚いP型は、安値からの買い戻しや上方への受容が背景にある場合があります。反対にb型は高値からの売りが残った可能性があります。ただし形の名前だけで翌日の方向は決まりません。どこで始まり、前日のバリューを受容するかが優先です。
イニシャルバランスを組み合わせる
寄り付き後の最初の一定時間、例えば60分の高値と安値をイニシャルバランスとして記録します。その幅が過去20日中央値の半分以下なら、その後に値幅が拡大する余地があります。すでに1.5倍なら追随の残余値幅は小さいかもしれません。VAH突破とイニシャルバランス突破が重なるかを確認します。
複数日の合成プロファイル
一日だけでなく、三日から五日の分布を合成すると中期の合意価格が見えます。POCが2,040円→2,055円→2,070円と上へ移るなら、合意価格そのものが上昇しています。価格だけが上がりPOCが動かない場合は、高値がまだ受容されていない可能性があります。
記録と検証
- 前日VAH・POC・VALと当日始値の位置
- 最初の30分でバリュー内外のどちらに滞在したか
- イニシャルバランス幅と20日中央値の比率
- POCの前日比移動方向
- エントリーから1R到達と失効の先後
プロファイルを使う利点は、予測を一つに固定せず「受容なら継続、拒否なら回帰」と条件分岐できる点です。寄り前に二つのシナリオを書き、場中は価格がどちらを満たしたかだけを判定すると、感情的な追随を減らせます。
最初は前日一日分だけを使い、取引後にスクリーンショットと判断理由を保存します。20例ほど蓄積してから、時間区分やバリューエリアの設定を変えます。最初から多数の期間を重ねるより、同じ定義で検証を続けるほうが、POCやVAHが自分の市場と時間軸で機能したかを評価しやすくなります。


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