利確が早いのか損切りが狭いのか?デイトレの最大順行・最大逆行を記録する方法

入口の平面から下と上へ動いた価格リボンの最大距離を測る概念画像。AI生成。 日本株・短期売買

千円の利益で終えた取引でも、一度も逆行せず伸びたものと、大きな含み損を耐えて戻したものでは内容が違います。最終損益だけでは、どの程度の逆行を受け入れ、どれだけの利益を戻したかが見えません。

そこで使えるのが最大逆行と最大順行という記録です。専門用語を覚えるためではなく、保有中の最も不利な地点と最も有利な地点を切り分ける方法として説明します。出口を変更すれば必ず改善するという指標ではありません。

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最大逆行と最大順行を定義する

買い取引では、入口から保有中の最安値までの不利な幅を最大逆行と呼びます。英語のMaximum Adverse Excursionを略してMAEと書くことがあります。反対に入口から保有中の最高値までの有利な幅が最大順行、MFEです。

ここでは不利な幅も有利な幅も、距離として正の円数で記録します。入口1,000円、保有中の安値994円、高値1,024円なら、最大逆行6円、最大順行24円です。符号の付け方はツールごとに異なることがあるため、定義を保存します。

売り取引では方向が逆になるため、同じ式をそのまま使えません。この記事は買いの一回の保有を対象にします。異なる方向や分割建玉を混ぜる前に、最も単純な記録から始めると確認しやすくなります。

一つの取引を時系列へ分解する

1,000円で200株買い、994円まで下がった後、1,024円まで上がり、1,012円で全量売ったとします。価格差の最終利益は2,400円ですが、途中の最大含み損は1,200円、最大含み益は4,800円です。

往復費用を一株2円と仮定すれば、最終利益は2,000円です。最大逆行と最大順行は、この説明では費用を加えない価格幅として残します。最終損益だけ費用控除後と明記し、違う数字の定義を見えるようにします。

計画した撤退が990円なら、費用込みの初期リスクは12円×200株で2,400円です。最終利益2,000円は初期リスクの約0.83倍、価格ベースの最大順行4,800円は2倍です。同じ分母を使っても、何の数字を割ったかは区別します。

1000円の入口から994円の最大逆行6円と1024円の最大順行24円を経て1012円で退出する保有区間の経路図
図1:最後の利益と、途中で受け入れた逆行・得られた順行を分ける。

退出後の高値を最大順行へ混ぜない

売った後に1,050円まで上がっても、その50円を保有中の最大順行とは数えません。保有期間が終わっているためです。売った後の動きを調べることはできますが、別の観察欄へ残します。

売却後の最高値を混ぜると、どんな取引も早売りに見えやすくなります。さらに後日まで無期限に追えば、当日の手順とは異なる値動きが入ります。退出後の比較をするなら、何分後まで見るかを固定します。

買う前の安値も最大逆行へ含めません。自分が保有していない時間の値幅です。チャートを切り出す際には、入口と出口の時刻を最初に印し、その間の高安だけを集計します。

最大の順行と逆行の順序も残す

最初に994円へ下がってから1,024円へ上がる経路と、先に1,024円へ上がってから994円へ下がる経路では、同じMAEとMFEでも出口の評価が違います。利益保護のルールを使える時点が変わるためです。

順序を調べずに、最大順行の半分で利確すればよかったと計算すると、現実には成立しない改善案を作ることがあります。最も有利な地点を知ってから戻し幅を選んだ結果は、当時の判断ではありません。

最大値だけでなく、その時刻を記録します。先にどちらへ動いたかが分かるだけでも、入口直後の負担が大きい取引と、利益を戻した取引を分けて検討できます。

一本の足だけでは順序を復元できない

保有中の一本の足で高値1,024円、安値988円を付けたとします。撤退990円と目標1,020円の両方を含むので、足の高安だけではどちらが先に届いたか分かりません。都合よく目標を先に達成したと決めないようにします。

より細かいデータで確認できるなら使い、確認できないものは順序不明として残します。最悪側と最良側を分けた範囲で評価する方法もあります。不確実さを隠して一つの確定損益へしないことが大切です。

特に出口が足の途中にある場合、その足の退出後の高安まで含めると保有中の幅を過大に記録します。足一本の区間と、自分の保有区間が一致しているかを確認します。

同じ高値1024円安値988円の足でも目標1020円と撤退990円への到達順序が高安だけでは決まらない二つの経路
図2:最大値の組合せが同じでも、実行可能な出口は同じとは限らない。

損切り幅を最小逆行へ合わせない

勝った取引がどれも6円以内の逆行で済んだとしても、撤退を6円へ狭めれば同じ勝ちが残るとは限りません。約定のずれや足内の順序、観測した価格の種類によって結果が変わります。過去の値へぴったり合わせる案は特に点検が必要です。

勝ち取引だけを調べると、負けるまでの逆行が対象から抜けます。負け取引や未成立も同じ条件で集め、出口変更を全候補へ適用して比較します。損失だけ小さくし、利益は元のまま残す計算は避けます。

撤退は価格の仮説が崩れる根拠から考え、MAEはその根拠と実績のずれを見る補助へ使います。たった数回の最大値を、今後も超えない境界と見なさないようにします。

利益を取り切れなかった割合の読み方

最大順行24円に対して売却の値幅12円なら、価格幅の半分を実現した計算です。しかし残り半分を簡単に取れたとは限りません。最高値で全量売る前提も、そこで自分の注文が成立した前提も入っていません。

高値からの戻りを待つ出口なら、最高値より低い売値になるのは仕組みの一部です。毎回100%を目指すと、未来の高値を知っていたような出口を求めることになります。比較するのは、事前に実行可能なルール同士です。

一方で大きな順行を何度も全損へ戻すなら、利益保護の方法を検討する材料になります。順序と時刻を確認し、どの時点でどの条件を追加する案かを明示してから別期間で試します。

価格と気配のどちらで測るか

約定した現在値の高安を使う場合、その価格で自分も売買できたとは限りません。買い保有を閉じるなら実際の買い気配や数量も関係します。使えるデータが約定価格だけなら、その制約を記録します。

最良気配を使う場合も、表示数量を超える注文は別の価格へ届くことがあります。最大順行の価格だけで大口の全量売却を想定しないようにします。測定の精度と、執行の再現性は別の問題です。

ツールを変更したときは価格系列の定義をそろえます。以前は約定値、新しい記録は気配値という場合、数字の変化をすべて手法の改善と評価できません。記録の方法も日誌の一部へ残します。

数量を途中で変える場合

途中で一部利確した取引では、一株の価格幅と口座全体の含み損益の最大値が一致しなくなります。同じ24円の順行でも、そこへ達したとき残りが100株なら、200株を持ち続けた例と金額は違います。

まず入口から最初の数量で測る価格幅を残し、数量変更は別の履歴へ記録します。口座金額の最大値を調べるなら、各時点の確定損益と残建玉を合わせて計算する必要があります。二つを同じMAEという名前で混ぜないことです。

複数回の買い増しでは基準買値も変わります。最初の入口を基準にする分析と平均買値を基準にする分析を分けます。初心者はまず、数量を変えない取引だけを別の群にして整理すると混乱を減らせます。

少ない取引から結論を急がない

五回の勝ちで最大逆行がすべて小さくても、相場環境が偏っているかもしれません。値動きの大きい日、静かな日、時間帯を分け、対象がどこまで広がっているかを確認します。数値の精密さと統計的な確かさは違います。

大きな一回の負けを除けば改善するという説明も、除外理由が後付けなら注意が必要です。注文ミスやデータ不足は注記して別集計できますが、通常の負けを都合よく消さないようにします。

入口の条件を変えた期間は分けて記録します。違う入り方を一つにまとめて出口だけ最適化すると、どの条件へ有効なのか分からなくなります。まず手順とデータの同一性を確かめます。

日誌の一行を作る

入口時刻、買値、数量、出口時刻、売値、保有中高値と時刻、安値と時刻、費用、初期リスクを並べます。計算したMAEとMFEに、足内順序が不明な箇所の印も付けます。後から再計算できる元の数字が重要です。

今回の例なら「買値1,000、安値994が先、高値1,024が後、退出1,012、200株、費用400円」と残せます。最終利益2,000円だけより、入口の負担と利益の戻しが見えます。

改善案は一度に一つへ絞ります。入口、撤退、数量、利確を全部変えて結果が改善しても、何が寄与したかを説明できません。新しい案を決めた後は、まだ見ていない期間で同じ定義を使います。

同じ最大値でも到達までの時間が違う

最大順行24円へ十秒で達した取引と、二十分かけて達した取引では、同じMFEでも資金の拘束と監視の負担が違います。最大値へ到達した時刻に加え、入口からの経過時間も残します。

時間で終了するルールを使うなら、二十分後の高値はそのルールでは保有できなかったかもしれません。全期間の最大順行を、短い保有期限の目標としてそのまま使わないようにします。比較の時間窓を固定する必要があります。

例えば入口から五分以内だけを測る欄と、実際の退出までを測る欄を分ければ、短い時間の進み方と長い保有の結果を比較できます。どちらか良い数字だけを採用せず、目的ごとに別の指標として残します。

最大値へ届く前の逆行を無視しない

先に6円逆行してから24円順行した例で、撤退を5円に狭める案なら、24円の利益の機会はその取引では残らない可能性があります。最高値だけを残して損失幅だけ変えると、出口変更の効果を過大に評価します。

最初に逆行が起きたかは、取引の存続を決める条件です。反対に先に大きく順行したなら、その後どこで利益保護の条件を追加できたかという問いになります。同じ二つの最大値でも、検討する課題を分けます。

順序不明のデータでは、この比較を一つの結果へ確定できません。より細かい資料がないときは、変更案の成績へ幅を持たせるか、その対象だけ別集計にします。不明の件数を消さず表示します。

初期リスクを超えた逆行がある記録

撤退990円という計画に対し、実際の保有中安値が988円まで含まれているなら、なぜ990円で終了しなかったかを確認します。注文がなかった、判断で待った、成立価格が飛んだなどで原因が違います。

単にMAEが大きかったとまとめず、注文状態と変更履歴へ戻ります。価格の測定は原因を示しません。最大逆行を計算して初めて見つかった手順の不整合を、そのまま次の検証へ持ち込まないことが大切です。

まとめ

最大逆行と最大順行は、最終損益に隠れた保有中の経路を整理する道具です。入口と出口の間だけを測り、順序、時刻、価格系列、数量を確認します。過去の最良地点へ出口を合わせるのではなく、実行できる変更案を検証する材料として使います。

四本値の確認先

ローソク足が表す始値、高値、安値、終値の基本は日本取引所グループの教育資料を参照します。最大逆行と順行の計算は本文の架空の保有例です。

日本取引所グループ:チャートの表示内容

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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