同じ満期なのにプットだけ高い?オプション・スキューを保険料として読む

下落保険として需要が集中するプットオプションを表す金融イラスト。AI生成。 リスク管理

指数が4万円、3カ月物ATMのIVが20%でも、10%下のプットが26%、10%上のコールが18%ということがある。同じ原資産・満期でもIVが横一列にならない形をスキューと呼ぶ。

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価格ではなくIVへ変換して比較する

プット価格とコール価格は行使価格が違えば単純比較できない。理論価格から逆算したIVを同じデルタや同じマネーネスで並べる。25デルタ・プットIVが24%、25デルタ・コールIVが19%なら、プット側が5ポイント高い。

この差を方向付きで表す代表指標がリスク・リバーサルだ。定義の符号はデータ提供元により異なるため、「コールIV−プットIV」か逆かを必ず確認する。前者なら19−24=マイナス5ポイントで、下落保険が相対的に高い。

権利行使価格ごとのインプライドボラティリティが左側で高くなるスキュー曲線
株価指数では低い行使価格のプットIVが高くなる形がよく観察される。

高いプットは暴落予言とは限らない

機関投資家の継続的なヘッジ需要、急落時のジャンプリスク、ディーラーの在庫制約が保険料を押し上げる。スキュー拡大は警戒の証拠にはなるが、下落時期や方向を単独で当てる指標ではない。

満期とイベントを揃える

1週間物と3カ月物を混ぜると、決算・会合・選挙など特定日の保険料を誤読する。比較は同一満期で行い、ATM水準、指数価格、金利、配当見込みも記録する。前日比を見る場合は、デルタ固定と行使価格固定で結果が変わる点にも注意する。

ATMと25デルタのプット・コールからリスク・リバーサルを計算する表
符号、デルタ、満期を固定しなければ時系列比較はできない。

売買へ使う前の確認

「プットIVが高いから売る」は、頻繁な小利益とまれな巨大損失を交換する取引になり得る。最大損失、証拠金増加、流動性、早期行使、IV上昇と原資産下落の同時発生をストレス計算する。単独売りではなくスプレッドで損失を限定する場合も、約定幅と満期時の損益折れ線を先に作る。

カレンダー方向にも分解する

1カ月物のプットIVが30%、3カ月物が24%なら、短期イベントへの保険需要が集中している可能性がある。しかし年率換算IVの大小だけでは、プレミアム総額や損益分岐点は分からない。満期までの日数を使って実際の価格へ戻す。

イベント通過後には原資産が予想方向へ動いてもIV低下でオプション価格が下がる場合がある。方向、スキュー、期間構造の三つを分け、どの要因へ賭ける取引かを言葉にする。

ストレス表を作る

原資産がマイナス5%、マイナス10%、プラス5%、IVが各ケースでプラス10ポイント・不変・マイナス5ポイントとなる損益表を作る。満期損益だけでは途中の証拠金や評価損を捉えられない。

流動性の低い遠い行使価格は理論上魅力的でも、買値と売値の差が大きい。ミッド価格で検証せず、買いは売気配、売却は買気配を用いる。複数レッグは同時成立できる注文機能の有無も確認する。

実務チェックリスト

  • 同一満期・同一デルタでの比較
  • リスク・リバーサルの符号定義
  • ATM IVと期間構造
  • 買値と売値を使った実コスト
  • IVと原資産を同時変化させた損益
  • 満期前に必要となる証拠金

25デルタ差が前日の3ポイントから6ポイントへ拡大しても、プットIV上昇かコールIV低下かで意味が違う。両レッグの水準と原資産の変化を別々に記録する。

記録は売買前の予測値と売買後の実績値を分ける。後から説明を書き換えず、想定と実績の差を次回の数量・条件へ反映する。単一指標だけで発注せず、価格、数量、時間、流動性、最大損失を一つの取引計画として管理する。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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