市場が今日上がったのに、薄い銘柄が翌日から数日かけて追随することがある。価格遅延指標は、現在の市場リターンだけでなく過去の市場リターンが個別株をどれだけ説明するかで情報反映の遅さを測る。
遅れて見える原因は投資機会とは限らない。古い終値、取引停止、広いスプレッドでも同じ形が出る。
回帰設計
個別株リターンを当日市場リターンだけで説明する制約モデルと、過去1〜5日の市場リターンも加える完全モデルを比較する。遅行項の説明力が大きいほど遅延が高い。
当日モデルの決定係数0.20、完全モデル0.35なら、増分0.15が遅行情報の寄与候補になる。
図解

時刻と価格
日次終値が最後の約定なら、薄商い銘柄では古い価格が残る。気配中値やVWAPでも再計算し、結果が取引不活発だけで作られていないか確認する。
海外市場との時差、休日、引け時刻も統一する。
売買仮説
遅延上位銘柄へ市場上昇後に買いを入れる仮説は、翌日寄りの売気配で検証する。終値でシグナルを作り同じ終値で買わない。
期待追随幅からスプレッドと市場インパクトを引き、未約定を含める。
リスク
遅延銘柄は小型・低流動性へ偏りやすく、急落時に売れない。時価総額と業種を中立化し、出口日数を別管理する。
遅延低下は市場効率化だけでなくデータ品質改善でも起こる。制度変更前後を分ける。
比較

検証
実務検証では、設計期間と評価期間を分け、未来のデータを計算条件へ混ぜない。取引費用、未約定、データ欠損を含め、利益例だけでなく失敗した期間を保存する。
運用開始後は推定値と実績の差を月次で監査する。誤差が想定の二倍を超えた場合は閾値を都合よく変えず、利用を停止して入力と前提を点検する。
データを作る手順
対象銘柄、観測頻度、調整価格、欠損処理、計算窓を分析前に固定する。現在残る銘柄だけでなく、当時の上場廃止や取引停止を含む母集団を使い、生存者バイアスを避ける。
指標の算出日と売買可能日を分け、終値で完成する値を同じ終値で取引したことにしない。翌営業日の始値または一定時間後の気配を用いる。
推定誤差を表示する
点推定だけでランキングを作らず、ブートストラップや期間分割で信頼区間を作る。値が高くても区間が広い銘柄は強い判断材料にしない。
20日、60日、250日など複数窓で符号と順位が維持されるか確認する。最も成績が良い窓だけを後から選ばない。
具体的な資金管理
資産1,000万円、一取引の損失予算を0.5%の5万円とする。ストレス時に5%逆行する可能性があるなら、理論上の建玉上限は100万円である。指標が良好でも損失予算を超えて増額しない。
複数銘柄が同じ市場要因へ反応する場合、個別上限を単純合計しない。危機時相関を高く置き、同時損失を計算する。
費用後バックテスト
手数料だけでなく、買いは売気配、売りは買気配を使い、注文参加率に応じた滑りを追加する。未約定をゼロ損益として捨てず、評価時点価格との差を機会損失にする。
費用前で有意でも、費用後期待値がスプレッド推定誤差より小さければ運用候補から外す。利益率と同時に回転率、容量、最大ドローダウンを示す。
アウトサンプル評価
前半期間で閾値と計算方法を決め、後半期間へ固定適用する。後半が悪いから条件を追加する場合、その改良はさらに次の未使用期間で評価する。
上昇相場、下落相場、高ボラ、低ボラで結果を分ける。特定局面だけで機能するなら、その局面をリアルタイムで識別できるかも検証する。
運用停止ルール
直近20回の費用後期待値がマイナス、推定誤差が想定の二倍、データ欠損が許容値超過のいずれかで新規利用を停止する。
停止中に損失を取り戻すため建玉を増やさない。再開条件は次の完全な評価期間で事前基準を満たすこととする。
確認チェックリスト
- 定義と単位を明記したか
- 利用可能時刻を守ったか
- 外れ値を恣意的に除いていないか
- 信頼区間を確認したか
- 費用と未約定を含めたか
- 停止条件を事前に決めたか


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